2021年5月臨時会

江上博之議員の議案質疑:PCR検査の拡大と保健センターの拡充を(2021年5月18日)

2021年度補正予算:高齢者施設等の従事者に対するPCR検査等について  江上博之議員 

3月に行った検査はなぜ半数にとどまったのか、理由をどう分析しているのか

 


【江上議員】今回の補正予算では、約1200施設の約38000人の方に週一回一人最大8回のPCR検査を行って、無症状の感染者を発見し、未然に感染を防ごうというもので大変歓迎する事業です。
 日本共産党名古屋市議団は、4月9日にも緊急要請を市長あてに行い、高齢者施設等への「一斉かつ定期的なPCR検査」をもとめるとともに、「施設が安心して検査に応じることができるよう、感染者が発生した場合、事業継続に支障をきたさないための事業者への人的支援の仕阻み強化」を求めていました。
 コロナ感染は変異株もあり猛威を振るい、このところ感染者が一日269人とか最高を更新しています。4月1か月の市内感染者は3月の3.9倍、2,449人です。そのうち、感染経路不明が1,119人で45.7%です。無症状の感染者が多いのが新型コロナウイルス感染症の特徴です。無症状の感染者を探し出すことは大変重要です。
 ですから、今回の週1回の検査を関係施設100%、どう行うかが課題です。
 市は3月にも月1回で検査を行いました。施設、従事者は同じ対象で約1200施設のうち約半数の施設、半数の方が検査をうけ2人の感染者が判明しました。
 そこで、質問します。なぜ、半数にとどまったのか、理由をどう分析しているのかお答えください。

 

2月にも検査したり、施設が独自に検査したり、時間がなかったりで(局長)
【健康福祉局長】3月の高齢者施設等従事者へのPCR検査では、1,217施設、約38,000人を対象として、約半数の610施設、17,844人に検査を実施しました。
 検査実績が約半数となった理由は、2月に寄贈された検査キットで同様の検査を行ったこと、既に施設独自に検査を行っている、申し込み期間が短かったなどです。

今回はどのような方法で施設、従事者100%検査実施を行うのか
【江上議員】今回は100%の施設が行って感染経路を断つことが大切です。私は、検査を行わなかったのは、検査を行って、元気な従事者が感染と判明し、14日間職場を離れたら、補充もままならず、経営ができないというのが大きな理由ではないかと思います。
 そこで、3月を教訓にして今回、どのような方法で、施設、従事者100%検査実施を行うのかお答えください。

PCR検査は受けるタイミングが大事
 「無症状の方は、気づかずに周りの人に感染させてしまう恐れがあります。周りの人に感染を拡げないためにも『人にうつす期間』に検査を受け、早期に感染防止策をとることがとても重要です。積極的に検査をしましょう!」――名古屋市が高齢者施設等の職員にあてたPCR検査の案内文です(下図)。
 河村市長が「PCR検査は感度が7割」というほど後ろ向きだった市の姿勢を、共産党の論戦と市民の運動が変えました。

早期発見の意義を伝えるためチラシやFAX、メールなどで周知し、受検されない施設には繰り返し受検勧奨する(局長)
【健康福祉局長】今回は、2021年4月16日付国の通知を受け、愛知県と連携しながら、入所施設の従事者を対象にクラスター防止の観点から期間中に週1回程度、一人上限8回の検査を行う。
 より多くの施設に受検いただくため、各施設に、過1回定期的に検査を受けることによって、無症状の陽性者を早期に発見することができる意義を伝える必要がある。
 そのため、PCR検査についての啓発チラシを作成し、全ての対象施設に対してFAXやメール、電話での受検勧奨を行うとともに、NAGOYAかいごネット等での周知を行うなど様々な媒体で事業の周知を行っている。
 一定期間経っても検査実績のない施設には、改めてメールや電話をするなど、全ての施設が検査を受けていただけるよう積極的な受検勧奨に努める。

増える陽性者への対応として保健センターの体制は大丈夫なのか?
【江上議員】100%検査を行うとして、毎日5000人ぐらいの方が検査をうけることになります。感染者が出てきます。出てきたら、保健所での疫学調査、健康観察が必要です。
 そこで、3点目の質問です。現在の保健所の人員体制で対応できるのかお答えください。

1日120人の新規感染者に対応するため派遣職人を増員し、200人を超える現状では担当以外の看護職員や地域の検診協力者にも依頼している(局長)
【健康福祉局長】新型コロナウイルスの感染状況は、5月13日に新規陽性者数が過去最高の269人を記録するなど、危機的状況を迎え、これに対応するために保健センターに十分な体制が必要であることは認識している。
 2020年12月以降、1日120人の新規陽性者に対応できるよう既存の職員に加えて派遣職員91人を各保健センター及び新型コロナウイルス感染症対策室に増員し対応してきた。
現在は新規陽性者が1日200人を超える状況で、これに対応するため、保健センター以外の職場で働く看護保健職職員による応援を行うほか、各保健センターで検診等の機会に協力されている地域の看護人材の方々にも協力をお願いできるよう調整を行っている。
 今回のPCR検査実施に伴う陽性者も、これらの取組及び必要に応じて派遣職員を増員するなどして対応したい。

感染者が発生した高齢者施設等への支援が必要ではないか(再質問)
【江上議員】施設、対象者を100%実施のためには、感染者が出た場合の施設の運営に支障がないよう人員の補充が必要です。しかし、今でも人手不足です。介護職員を増やす。また、経営の補償をおこなうこと。このような対応が必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。

 

「かかり増し経費」の補填を行っている(市長)
【市長】検査だけでも大変ということは、この間、ある施設に行って聞いてきた。いわゆる「かかりまし経費」が発生して来るようです。
 そこで、「かかり増し経費」の補填として、雇用を確保するための職業招介料や割増賃金・手当等を補助するとともに、衛生用品の購入費用等を補助することで、人材確保や事業所経営への支援を行っている。2020年度実績としては、370件、3億円を超える補助を実施しており、2021年度もこの補助を継続し、2021年度予算としては2.1億円。

保健センターの組織・人員をどうやって充実させていくか(再質問)
【江上議員】市長は5月10日の記者会見で、「感染症対策はなぜ見落とされてきたのか――保健所を中心とした公衆衛生の歴史を振り返る」という文書を披歴されました。そこにあるように、保健所法が1994年地域保健法に変わり、保健所体制、人員が減退したこと。さらに、「2009年の新型インフルエンザを受けて、有識者で構成する新型インフルエンザ対策総括会議が2010年に公表した報告書」で、保健所体制等の「組織や人員体制の大幅な強化、人材の育成」を求めていましたが実際には逆にさらに減退したことを文書は指摘しています。
 名古屋市でも1996年以来保健所体制、人員が減らされています。2010年以後も人員が減り、保健所・保健センターになったのは、河村市長の時代です。
 そこで、質問します。感染者の追跡調査を引き続き行うためには、保健センターの保健師の増員が必要です。市長としてどのように増員するのかお答えください。

発病者との関係を断つのが当たり前で基本だ(市長)
【市長】よう読んでいただいて、記者会見を見取っていただきありがとうございます。共産党の方はまじめですが共産主義が間違っているのでちょっといかんのですけど。
 名古屋市の、地を這う感染経路をきちんと追っていくという調査、把握しとる限りで、先週で3500人弱のところに連絡を取っている。緊急事態宣言という考え方も、人と人との関係をストップしていくというか、遠慮していくという考え方で、そうであるならば発病者との関係を断っていくことが当たり前のことであって、それが基本にならないかん。(時間がないので中断してもらう)

新たな取り組みの提案が必要だ(意見)
【江上議員】感染防止対策としてなんとしても新たな取り組みを提案していただくことを願って質問を終わります。

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