後期高齢者医療広域連合議会 2021年8月定例会 決算質疑(伊藤建治春日井市議・2021年8月23日)

保険料値上げや軽減特例の改悪などで保険料が払えず保険証を取り上げる事態も  伊藤議員(春日井市議)

制度改悪による負担増・保険料率改定の影響はどうだったのか
【伊藤議員】改定時は見込みで10.04%の増、平均保険料で83,781円から92,191円とあったが実際はどうだったのか。

一人当たりの平均保険料は2020年度91,736円で前年比7,618円、9.1%の増
【管理課長】改定は所得割率が8.76%から9.64%に、均等割額が45,379円から48,765円になった。
 一人当たりの平均保険料額は2019年度決算で84,118円、2020年度決算で91,736円、前年度比7,618円、9.1%増だった。

軽減特例の縮小に伴う影響はどうか
【伊藤議員】2020年度も低所得者の均等割額の8割軽減が7割へ、8.5割軽減が7.75割へそれぞれ縮小された。この影響を受けた人数と影響額、その人数が被保険者全体に占める割合はいかほどか。

7割軽減で16万8,330人、8億2千万円余の増、7.75割軽減17万6,303人、6億4千万円余の増
【管理課長】2020年度の軽減特例の見直しによる影響を受けるのは、世帯主及び世帯の被保険者全員の所得の合計額が33万円以下の被保険者です。
 2020年度確定賦課時点における7割軽減の対象者は16万8,330人で、全体に占める割合の約17.1%。7割軽減と8割軽減の差額は4,876円で、16万8,330人に4,876円を乗じた8億2千万円余が影響額になる。7.75割軽減の対象者は17万6,303人、17.9%。7.75割軽減と8.5割軽減の差額は3,657円、17万6,303人に3,657円を乗じた6億4千万円余が影響額となる。

短期保険証の発行件数と所得別内訳はどうか
【伊藤議員】短期保険証の発行件数の推移、2020年度は所得別内訳をお尋ねします。

2021年3月末現在で641人。所得0円が245人、58万円以下が110人など
【管理課長】短期保険証の発行数は、各年度3月末現在で2019年748人、2020年713人、2021年641人。
 短期保険証交付者の所得を階層別に区分した状況は、保険料算定に用いる、所得金額から33万円を控除した「旧ただし書き所得」を基にすると、2021年の641人の所得階層別の内訳は、所得0円245人、それを超え58万円以下が110人、それを超え200万円以下が223人、それを超え400万円以下が、44人、それを超え600万円以下が10人、600万円超が9人です。

差し押さえの件数と金額は
【伊藤議員】保険料未納者に対する差し押さえの件数、金額、内容をお尋ねいたします。

差し押さえは165件で2134万円
【管理課長】差し押さえは165件、21,348,376円です。内容としては、預貯金、年金、生命保険、不動産、給与、国税等還付金などです。

短期保険証の発行は行わずに収納対策を(再質問)
【伊藤議員】保険料率改定の影響などで、平均保険料額は7,618円の増加。全体は約75億円の影響額です。
 軽減特例の縮小で、被保険者の35%が影響を受け、14億6千万円の影響でした。軽減特例の対象は、所得割も課されない低所得者であり、これらの方々に4,800円とか3,600円という負担増になっています。
 短期保険証の発行数は641人で、そのうち所得ゼロの方が約4割、短期保険証発行を受けている方の9割以上が所得200万円以下です。所得別内訳をみれば、ほとんどの方に納付できない特別の事情があることは容易に推察できます。
 短期証の取り扱いについては、自治体によって差があり、約3割にあたる、16の市町村が短期証の発行をしていません。保険証は通常のものを送付し、収納対策は、それはそれとして行っている。これが適切なやり方ではないかと思います。とくに、医療の必要度の高い高齢者であり、保険証の有無は命に直結する話です。
 広域連合全体として、短期保険証の発行は行わずに、収納対策を進めてはどうかと思いますがいかがお考えですか。

短期保険証は適切に収納対策を進めるための手法のひとつ
【管理課長】市町村が個々の生活状況に即したきめ細かな収納対策を行っており、そのひとつとして、短期保険証を活用している。納付相談の機会を設け、保険料の納付に繋げるために交付しており、短期保険証の運用は、適切に行われている。

差し押さえは生活状況など勘案して見極めているのか(再質問)
【伊藤議員】差し押さえは165件、預貯金、年金、生命保険、不動産、給与、国税等還付金などを差し押さえたとのことですが、差し押さえに当たり生活状況など勘案して見極めているのか。生活に支障が出るようなことは起きていないか。

生活状況等を十分に把握したうえで適切に行われている
【管理課長】広域連合は年1回、市町村から報告をうけ確認している。差し押さえの個別の所得状況等までは把握していないが、負担の公平性の観点から、適切に行われている。今後も、短期保険証の運用及び差し押さえは適切な対応がされるよう努める。

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