2022年2月定例会

江上博之議員の代表質問⑤(2022年3月4日)

市役所におけるデジタルトランスフォーメーションについて

情報システム標準化でも、市独自の市民サービスは個別に行っていけるのか
【江上議員】市役所のデジタルトランスフォーメーションの推進として、行政事務のデジタル改革の推進、地方公共団体情報システムの標準化の推進を提案しています。
 これは、昨年5月「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」にもとづき、7月に「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」を総務省が発表し、名古屋市でのデジダル化を進めるものです。法律の目的は「住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与」としています。
 手順書では、「日本の高齢者(65歳以上)は2040年ごろにピークを迎える」「生産年齢人口は、…2040年には6,000万人を割り込むと見込まれ、今後は労働力の供給に制約が生じると想定される」から職員数の縮小を前提に、「標準化・共通化」を取り上げています。
 私は、デジタル推進に少子化を前提としていることに違和感を持ちます。名古屋市は、2015年に、「名古屋市まち・ひと・しごと創生戦略」を発表し、本市の希望出生率1.8で、子育て施策に加え、若い世代の経済的安定を図ることによって、人口減少に歯止めをかけることが可能という趣旨を発表しました。2015年の合計特殊出生率は、1.42でした。ところが、2021年の出生率は、1.8どころか1.33で、逆に下がっています。この原因が何かが問われており、若い世代の経済的安定策を取り、少子化対策を進めることこそ名古屋市に求められているのではないでしょうか。
 もう1点、デジタル化で市民から本人通知義務を約束して提供してもらった個人情報が漏洩したり、プライバシーが侵害されたりしたとき名古屋市は責任をとれるのか、どうやって責任を取るつもりなのかも問われています。
 今回の予算では、標準化・共通化が問題になっていますからその点に絞って質問します。地方公共団体情報システムの標準化・共通化で、名古屋市独自の住民サービスが確保できるか、という問題です。たとえば、名古屋市は、子ども医療費の無料化は、通院、入院とも18才までとしています。市の素晴らしい施策です。ところが、全国標準はそこまで来ていません。富山県上市町で、町議が、「3人目の子どもの国保税免除、65歳以上の重度障がい者の医療費窓口負担免除」との提案に、町長は、「自治体クラウドを採用しており、町独自のシステムのカスタマイズはできない」との答弁です。滋賀県湖南市では、市長が、事務については無理にカスタマイズするよりは簡素化を図って業務を減らしていくことも大事だと市議会で答弁しています。これでは、法律の目的である「住民の利便性の向上」に逆行します。
 情報システムの標準化に参加しても、名古屋市独自の市民サービスは、個別に行っていくということでいいですね。もし、市独自サービスができないなら参加しないということでいいですね。

標準化基準に適合させることは市の独自施策を制限するものではない
【市長】地方公共団体の情報システムを標準化基準に適合させることは法律(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律)で定められた義務。国からは、標準準拠システムは各自治体が独自にカスタマイズしないことを徹底することが示されている。
 一方で、標準準拠システムでは対応できない標準化の対象外となる各自治体の独自サービスに係る事務を処理するために、標準準拠システムとは別にシステムを構築し、標準準拠システムと連携する手法が示されている。
 情報システムを標準化基準に適合させることは市の独自施策を制限するものではなく、個々の市民サービスについては、行政需要等に応じて個別に判断するものです。

独自施策はできても補助金の保証がない(意見)
【江上議員】独自サービスができると答弁されました。しかし財政的な締め付けで、補助金がないのではないか。やるならやりなさいと言うだけで国としてはそんなことやろうとしない。

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