2007年9月定例会 議案質疑 江上博之議員(2007年10月3日)

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新南陽清掃工場事件住民訴訟にかかわる弁護士報酬請求訴訟の判決に従え

住民訴訟を敵視するのか

【江上議員】
14年前の新南陽清掃工場建設に伴う談合事件にかかわる住民訴訟の弁護士報酬を求める裁判で、先日3800万円を名古屋市に支払うよう、住民側勝訴の判決が下りました。しかし、名古屋市の主張する196万円を大きく上回るため、控訴するための同意を議会に求められています。以下3点にわたり質問します。

新南陽清掃工場建設費210億円に対する談合事件で、9億円の賠償が最高裁で確定し、遅延損害金を含め約12億5千万円が名古屋市にゼネコンから返還されました。これは、市民が政官業の癒着に怒った住民訴訟の結果であり、住民はこのお金を環境都市名古屋市に役立つ使い方をしてほしいと求めてきました。

そこで、第1にお聞きします。何より、市民の大切な税金を取り戻した訴訟を行った市民に対して感謝の気持ちを表すのが市民の代表である市長として必要と考えます。市長は住民訴訟の結果に対してどのような認識をお持ちでしょうか。お答えください。

住民訴訟は法に認められた重要なもの(市長)

【市長】
住民訴訟は、住民全体の利益のために、地方自治法に基づいて住民に認められた制度であり、重要なものと認識している。

弁護士の仕事を軽く見ているのではないか

【江上議員】
住民訴訟で住民から委在を受けた弁護士は、「長期にわたる訴訟、非常に複雑な訴訟」に取り組み、判決では、「訴訟活動に果たした役割は、相応に評価されてしかるべき」と述べています。

そこで第2にお聞きします。市長は、約12億5千万円の返還金を取り戻すのにはたした弁護士の役割はたいへん大きいとお感じになりませんか。いかがお感じかお聞きします。

弁護士は一定の役割を果たしている(市長)

【市長】
住民訴訟の経過や背景は、様々であり、訴訟を長期にわたり担当している弁護士の方々は、一定の役割を果たされていると考える。

算定根拠は名古屋市に入った12億円だ

そもそも今回のような住民訴訟の弁護士の報酬の請求がなぜ認められているのでしょうか。住民は、個人の権利利益を守るためではなく、市民全体の利益を守るために訴訟を起こしています。そして、その結果勝訴してもその利益は、名古屋市が得ます。住民訴訟を起こした住民は、委任した弁護士に対し、報酬を払わなければなりません。その基準は、日本弁護士連合会報酬等基準に基づくことは名古屋市も認めています。市に代わって住民が訴訟を行うのですから、その負担の一部を市が負うことが「衡平の理念」から必要だ、という判断から地方自治法上に条文があるのではないでしょうか。問題は、いくらを基準にするかということです。条文で、「勝訴した場合において」「その報酬額の範囲内で相当と認められる額」とし、「『相当と認められる額』とは、弁護士活動の対価として必要かつ十分な程度として社会通念上も適当な額」といわれています。住民が訴訟を起こさなければ、12億円余のお金は市に入りませんでした。住民は、この12億円余を基準にしています。それに対し、名古屋市は、住民訴訟は不正をただすもので、経済的利益は算定不能としています。そして、その場合の基準額として、800万円としています。ここから196万円という弁護士報酬を算出しています。これでは、談合による不正額がいくらでも800万円を基準にしてしか支払われず、住民訴訟の弁護士は手弁当程度で弁護し、事実上住民訴訟を否定するものではないでしょうか。市長としていかがお考えでしょうか。

算定根拠が市の考えと違うから控訴する(市長)

【市長】
弁護士報酬額の算定は、日本弁謹士連合会が示す「報酬規程」の「経済的利益の額が算定不可能な場合」に基づいて行うべきと考える。しかし、今回の判決は、この主張が受け入れられず、また、報酬額も著しく高額なので、他の上級審の判例なども踏まえて控訴する。住民訴訟の制度を否定するものではない。

住民訴訟があったからこそ12億円が入ったのだ

【江上議員】
納得することはできません。住民が立ち上がったからこそ12億円余が名古屋市に入ったのです。そのことをふまえた対応を求めます。

 

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