2006年度決算に対する反対討論(10月17日)
山口きよあき議員

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市民負担増を当然といい、大型事業を優先、教育や福祉をないがしろにした決算は認められない


討論を行う山口議員

【山口議員】
平成18年度一般会計決算について、日本共産党名古屋市議団を代表して、認定に反対の立場から討論します。

増税などで格差と貧困が拡大

昨年度は、自民・公明政権によって、国民に定率減税の半減など重い増税と負担がのしかかり、格差と貧困の広がりが誰の目にも明らかになった年でした。

その一方で、法人市民税は910億円になりました。景気が回復したのなら大企業の減税こそまず改め、応分の負担を求めるべきです。減税前の水準に戻せば、本市に入るはずの法人市民税は、あと237億円も増え、市民への負担増は必要なかった、との試算もあります。

ところが名古屋市は、国の悪政にはモノを言わず、市民にだけ、増税にさらに拍車をかける数々の負担増を押しつけました。その項目を列挙するだけで討論時間を超えてしまいます。そこで以下3点にしぼって反対理由を述べます。

低所得者に大きな影響、85億円の市民増税

第一に、市民に重い負担をかぶせ、とりわけ社会的に弱い立場の市民に対し、冷たい仕打ちを行ったことです。

個人市民税の増税は85億円。なかでも課税所得200万円以下の階層からの税収が大きく増えました。低所得者に、より重い増税だったのです。

介護保険料は4割も値上げです。年金が月額1万5千円にも満たず、保険料の天引きできない低所得者のなかで滞納者が5千人を超え、さらに介護が必要な人には、重い負担を課す「制裁」まで加えられました。

国民健康保険の保険料も上がり、多くの滞納者を生み出しました。加えて保険証を取り上げられた市民は、前年の36倍です。

救うべき社会的弱者に対し逆に制裁を加える、これが行政のやることですか。

さらに子育て世代への冷たい仕打ちも見過ごせません。

就学援助の認定所得基準を切り下げた結果、就学援助認定者は前年より1828人も減りました。基準がきびし過ぎたのではありませんか。

生活保護の母子加算や児童扶養手当の削減が続くなか、「手当てから就労支援へ」と、遺児手当を改悪し支給対象者を1万8千人から6千人へと3分の1に減らしました。ところが市の支援センターの紹介で新たに就労できたのは82人。ひとり親世帯の深刻な実態の改善は、今後に残されました。

その他、保育料の値上げや障害者自立支援法にともなう応益・1割負担など、支援が必要な市民に対し、逆に重い負担を強いたことは許せません。

10年で300人以上の教員削減など教育環境悪化

第二に、教育をめぐる厳しい状況を一段と悪化させたことです。

小・中・養護学校での教員の欠員は95人。加えて18年度には93人が病気等で新たに休職しました。臨時教員は190人も増えましたが、教員の新規採用は前年より24人増えただけ。松原市長の在任10年間で、正規の教員は300人以上減らされました。過労による精神疾患も急増し、残業は多いのに、授業準備の時間すら十分にとれません。教員の絶対数が足りないのです。この実態をいつまで放置しておくのですか。

同じくこの10年間で、小中学校の運営費は総額115億円から84億円へと、4分の3に削られました。18年度は前年に比べて小学校一校平均で80万円、中学校では同じく一校当り121万円も運営費が削られました。節約も限界です。学校現場からの悲鳴が、市長には聞こえないのでしょうか。

大企業には湯水のごとく税金投入

第三に、大企業優遇、大型開発優先の市政運営を続けてきたことです。

名古屋駅前の都市再生地区には、ミッドランドスクエアなどの巨大なビルが林立しました。18年度で事業が終了したこれら超高層ビルに対する本市からの補助金は累計で83億円にものぼります。税金のムダづかいの典型です。

そのほか、環境非悪化の原則を守らず都市高速道路の建設を進めたこと、本市の水需要とは無縁の徳山ダムへの支出を続けたことなど、大型開発優先の政治にまったくブレーキがかかりません。

その一方で、生活関連道路の費用は10年間で4分の1になり、市営住宅は建て替えるたびに戸数が減ります。市民生活に直接役立ち、地域経済を足下から暖める、くらしに身近な公共事業は減り続けています。

市民負担当然の市政は許されない

審議のなかで当局は「厳しい財政だが、大きなプロジェクトは必要」「市民負担なしに財政健全化はできない」と、市民負担増を当然の前提に、大型開発に突き進む姿勢を明らかにしましたが、この財政運営姿勢こそ総決算すべきです。

ムダをやめ暮らし支える市政に

市民はいま、税金の無駄遣いをやめ、くらしを支えてほしいと願っています。

国の悪政に追随し、さらに負担増の追い討ちをかけたのが昨年度の市政運営でした。このような決算はとうてい認定できるものではありません。

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資料

2006年度 名古屋市会計 歳入歳出決算総括表   (円)
会計別 歳入決算額 歳出決算額 差引額
一般会計 977,091,509,102 970,773,546,912 6,317,962,190
特別会計 1,315,705,253,032 1,309,421,698,719 6,283,554,313
  交通災害共済 296,275,417 296,274,913 504
国民健康保険 201,880,343,627 199,579,546,918 2,300,796,709
老人保健 167,598,957,099 167,598,957,099 0
介護保険 105,413,025,876 101,793,226,309 3,619,799,567
母子寡婦福祉資金貸付金 808,998,394 795,417,247 13,581,147
農業共済事業 81,988,988 51,102,338 30,886,650
市場及びと畜場 19,774,701,673 19,774,701,673 0
市街地再開発 4,357,043,943 4,296,975,593 60,068,350
墓地公園整備 1,654,151,857 1,654,151,857 0
基金 137,073,918,634 136,921,803,471 152,115,163
用地先行取得 25,523,585,627 25,523,585,627 0
公債 651,242,261,897 651,135,955,674 106,306,223
2,292,796,762,134 2,280,195,245,631 12,601,516,503

 

2006年度 企業会計 経営収支状況総括表  (千円)
区分 総収益
A
総費用
B
純損益
C=(A−B)
繰越利益剰余金
(△繰越欠損金)
D
当年度未処分
利益剰余金
(△未処理欠損金)
E=(C+D)
病院事業 23,027,288 24,206,862 △1,179,574 △6,892,948 △8,072,522
水道事業 51,684,278 50,449,374 1,234,904 0 1,234,904
工業用水道事業 843,333 803,900 39,433 220,051 259,484
下水道事業 77,949,149 76,322,241 1,626,907 0 1,626,907
自動車運送事業 40,531,796 24,136,550 16,395,245 △72,631,162 △56,235,916
高速度鉄道事業 82,453,603 87,435,959 △4,982,355 △313,539,951 △318,522,307
総計 276,489,450 263,354,889 13,134,561 △392,844,010 △379,709,448

 

性質別経費の推移(普通会計)
区分 平成17年度 平成18年度
決算額
(百万円)
構成比
(%)
決算額
(百万円)
構成比
(%)
義務的経費 481,931 50.2 477,395 48.5
  人件費 187,230 19.5 182,840 18.6
扶助費 146,015 15.2 147,506 15
公債費 148,686 15.5 147,049 14.9
投資的経費 101,487 10.5 1,221,200 12.4
その他 376,879 39.3 385,120 39.1
  物件費 81,335 8.5 75,568 7.7
維持補修費 25,631 2.6 25,676 2.6
補助費等 109,246 11.4 127,650 13
積立金 730 0.1 2,149 0.2
投資及び出資金 14,197 1.5 13,686 1.4
貸付金 80,590 8.4 79,917 8.1
繰出金 65,150 6.8 60,474 6.1
合計 960,297 100 984,715 100

 

基金残高 平成19年3月未 現在 (単位:千円)
種別 土地/動産/有価証券 現金 運用金 合計
基金会計 教育基金
土地
(1,616.66m2
10,938
76,708 87,646
火災等損害てん補積立
有価証券
39,478
8,574,095 8,613,573
住宅敷金積立 3,942,583 3,942,583
名古屋城整備積立 24,203 24,203
名古屋城本丸御殿積立 696,058 696,058
交通災害共済積立 1,095,273 1,095,273
文化振興事業積立 1,441,001 1,441,001
国際交流事業積立 2,270,037 2,270,037
大規模施設整備積立 1,083 1,083
高速度鉄道建設積立 42,852 42,852
環境保全 606,800 606,800
中区役所等管理 1,603,113 1,603,113
介護給付費準備 1,205,856 1,205,856
公債償還
有価証券
22,698,031
62,099,982 62,100,000 146,898,013
財政調整 2,121,636 2,121,636
定額資金
運用基金
定額資金の運用
土地
(13,973.72m2
1,787,636
2,212,363 4,000,000
市税還付金等繰替 13,386 113 13,500
美術品等取得
動産
(83点)
421,330
78,669 500,000
合計
土地
(15,590.38m2
1,798,574
動産
(83点)
421,330
有価証券
22,737,509
88,105,706 62,100,113 175,163,234

 

市債残高 (単位:千円)
区分 平成18年度末現在高 借入先内訳
政府資金 公営公庫資金 民間等資金 その他
一般会計 1,839,581,485 456,869,585 46,267,960 1,336,263,852 180,088
  健康福祉債 20,379,400 8,133,312 0 12,066,000 180,088
子ども青少年債 4,570,943 1,107,943 0 3,463,000 0
環境債 83,011,319 53,813,319 0 29,198,000 0
市民経済債 77,646,254 998,254 0 76,648,000 0
土木債 776,180,076 257,871,489 9,363,380 508,945,207 0
住宅債 124,813,132 30,958,033 18,232,099 75,623,000 0
消防債 19,562,424 160,604 0 19,401,820 0
教育債 226,571,660 83,459,195 9,412,751 133,699,714 0
その他債 506,846,277 20,367,436 9,259,730 477,219,111 0
特別会計 106,994,732 18,304,554 12,223,493 59,132,700 17,333,985
  母子寡婦福祉資金貸付金会計 2,811,015 0 0 0 2,811,015
市場及びと畜場会計 36,683,889 17,625,947 11,787,942 7,270,000 0
土地区画整理組合貸付金会計 250,000 0 0 0 250,000
市街地再開発事業会計 13,530,862 678,607 435,551 12,416,704 0
墓地公園整備事業会計 7,863,000 0 0 7,863,000 0
用地先行取得会計 45,855,966 0 0 31,582,996 14,272,970
企業会計 1,422,595,361 635,667,795 451,841,366 335,086,200 0
  病院事業会計 14,109,181 6,806,181 436,000 6,867,0.00 0
水道事業会計 109,197,145 28,977,648 22,073,483 58,146,014 0
工業用水道事業会計 233,092 94,101 138,991 0 0
下水道事業会計 552,962,293 256,102,303 150,721,026 146,138,964 0
自動車運送事業会計 19,319,836 5,994,463 4,235,373 9,090,000 0
高速度鉄道事業会計 726,773,814 337,693,099 274,236,493 114,844,222 0
合計 3,369,171,578 1,110,841,934 510,332,819 1,730,482,752 17,514,073

市債残高推移(1997年から2005年)

 

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