意見書日本共産党をはじめ各会派から提案された11件の意見書・決議案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、9案件は適切な修正や調整を行って共同提案に合意し、8件にまとめ上げて成立しました。 日本共産党の提案した3案件のうち、2案件は他党派が反対し議案として本会議に上程することはできませんでしたが、青年雇用に関する意見書は他会派との調整の中で合意を獲得し可決しました。
ゴチック字は可決された意見書
《採択された意見書》治安対策の強化に関する意見書平成14年の我が国の刑法犯認知件数は285万件を超え、7年連続で戦後最多を記録するなど、近年、治安は急速に悪化している。中でも、路上窃盗やひったくりなどの路上犯罪が激増しているほか、さまざまな凶悪犯罪や組織的な窃盗事件等が増加している。 名古屋市内においても、市民の身近な場所で発生する犯罪が急増するなど、治安の悪化に対する市民の不安感が増大し、極めて憂慮すべき状況が続いている。 こうした治安の低下による国民の不安を払拭するため、空き交番の解消など警察力の強化が求められており、国においては各種の対策を進めているが、特に治安の低下が進む大都市に重点を置いた対応の充実を図っていく必要がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、警察官の増員・退職した警察官の活用などによる空き交番等の解消など、犯罪撲滅・抑止に向けた治安の強化を一層図られるよう強く要望する。 公的年金制度の安定維持に関する意見書生涯を安心して暮らすためには、老後の生活に要する収入が確保されていることが必要であり、公的年金制度は、国民の老後の所得を保障し、その生活を終身にわたり実質的に支える重要な制度である。 しかしながら、急速な少子高齢化の進展やデフレ不況の長期化など公的年金制度を取り巻く環境の悪化に伴い、国においては、年金支給開始年齢を段階的に65歳へと引き上げることなどを内容とする年金制度の変更が行われた。さらに、給付水準や税法上の取り扱いなどが検討されている状況である。 このような状況で、国民年金の保険料未納率の上昇などに見られるように、公的年金制度に対する現役世代の不安・不信感は高まりつつあるが、すべての国民が老後を安心して迎え、活力ある高齢社会を実現するためには、公的年金制度の安定した維持が必要不可欠である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へと早急に引き上げるなど、少子化等に対して柔軟に対応でき、国民に信頼され、安定した公的年金制度の維持及び老後の所得保障を図るため必要な措置を講じられるよう強く要望する。 ホームレス対策に関する意見書近年の長引く不況や雇用情勢の悪化などを背景に、大都市を中心にホームレスが増加しており、公園や道路等の公共空間での居住が恒常化し、地域住民との間であつれきも生じている。また、ホームレスの多くが疾病や貧困等さまざまな問題を抱えており、深刻な社会問題となっている。 昨年7月、国会において「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」が成立し、雇用の場や医療の確保など、ホームレスの自立支援に関する地方公共団体の責務について定められた。これまでも本市においてはホームレスに対して各種の自立支援を行ってきたが、財政面で大きな負担となっており、法律に基づきホームレスに対する支援をさらに充実させていくためには、国による十分な財政措置が不可欠である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、ホームレスの自立と社会復帰に向けた総合的な支援策の推進を図るとともに、地方公共団体が実施するホームレスの自立支援事業等に対して十分な財政措置を講じられるよう強く要望する。 住宅の耐震改修等に対する補助制度の充実を求める意見書東海地震など大規模地震が近い将来発生する可能性が高いとされている現在、本市においては東海地震の地震防災対策強化地域に指定されたこともあり、地震対策を強力に推し進めることが喫緊の課題となっている。とりわけ、住宅の耐震性の向上は、住宅の倒壊による出火等を防ぎ、市民の安全確保に寄与するため、その一層の推進が求められているところである。 ところが、住宅の耐震改修等には多額の費用がかかることが多く、地方公共団体では耐震診断を無料化したり、耐震改修費用の補助を独自に行うなどそのPRに努めているが、昨今の厳しい経済状況のもとでは、実際に耐震改修工事を行うケースは少ない。また、平成14年度から国において耐震改修の工事費の一部を国と地方公共団体が補助する制度が実施されているが、条件が複雑等の理由により、利用しにくいとの指摘もなされている。先般、国土交通省は、条件の緩和や補助金額の拡大など制度の改善を行う方針を示したが、今後も一層の制度の拡充を行う必要がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、市民の安全を確保し、災害に強いまちづくりを進めるため、市民がより利用しやすいものとなるよう、住宅の耐震改修等に対する国の補助制度の一層の充実を図られるよう強く要望する。 労働債権の保護に関する意見書民間調査会社の調べによれば、平成14年度の企業倒産件数は1万8000件を超える高い水準にある。倒産した企業では労働者が賃金等の支払いを受けられない事態が多く発生していることから、労働者の賃金等のいわゆる「労働債権」を保護することが必要となっている。 先般、法務大臣の諮問機関である法制審議会は、一定の労働債権を破産法上の財団債権とすることなどの内容を含む破産手続に関する答申を行ったが、労働債権は労働者の生活の基盤となるものであり、労働債権の保護を図るための早急な対応が求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、倒産した企業の労働者の労働債権の保護を図るために必要な措置を速やかに講じられるよう強く要望する。 高額療養費制度の改善を求める意見書高額療養費制度は、医療費の一部負担が一定額を超えたとき、その超えた分を払い戻す制度であるが、今回自己負担限度額の引き上げが行われたところである。 この高額療養費制度については、患者等に制度自体の周知徹底がなされていないことに加え、高額療養費が事後に支給される現在の仕組みは、例えば当初の費用の工面に困難を来すなど、患者等にとっては不親切な面もある。 また、医療と介護に係る一部負担の合計が著しく高額になる場合にも、同様の高額療養費制度を創設すべきである。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、高額療養費制度の改善を図るため、次の事項を実現されるよう強く要望する。
青年の雇用問題の解決を求める意見書(案)長引く不況の中、雇用情勢は戦後最悪の水準が続いており、とりわけ若年層の失業率は約10%と極めて深刻な状況となっている。学卒未就業者の増加などの異常な就職難、失業・求職期間の長期化などによって若者自身が耐え難い苦しみに直面しているとともに、青年の雇用問題は、職業能力の蓄積がなされないことによる経済基盤の崩壊や、社会不安の増大、晩婚化・少子化などにもつながる日本社会の重大問題となっている。 こうしたなか、今年5月に発表された政府の平成15年版「国民生活白書」は、フリーターが417万人と急増している問題について、フリーターのうち「正社員になりたい」と考える人が7割を超えていることを指摘し、正社員の減少、パート・アルバイトの増加や正社員の長時間労働の増加、企業の新卒採用の抑制など、相対的に大きい企業側の要因を問題にしている。サービス残業をなくせば161万人の雇用増、大企業のサービス残業をなくすだけでも84万人の雇用増という試算もあるように、この問題での企業の社会的責任は大きい。 よって、名古屋市会は、国会および政府に対して、青年の雇用問題の解決のために、教育・職業訓練や就職支援などとともに、大企業への雇用増の働きかけなど積極的な施策を推進することを強く要望する。
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