黒田二郎議員の議案外質問 サッポロビール工場跡地の開発について開発計画の周知をサッポロビール工場跡地の開発については、昨年、都市再生緊急整備地域に指定され、現在の土地所有者である都市基盤整備公団が、都市再生緊急整備地域の整備方針に沿った開発計画をつくり、すすめています。 都市再生特別措置法では、建築基準法にもとづく用途、容積率、高さなどの規制が取り払われ、都市計画の提案にもとづいて柔軟に建物が建てられることになっています。そのため、名古屋市のホームページで紹介されている「都市再生緊急整備地域の概要」では、「都市計画の提案をする者は、提案に先立ち周辺地区内の住民に対して十分に説明し理解を得るように努める」と、なっています。開発計画をすすめる公団は、この趣旨にもとづき、住民への十分な説明を行なう必要があるのではないでしょうか。 実際に、住民への説明がどうなっているのか、公団にお聞きしたところ「(千種区の)千石学区の区政協力委員協議会の場で説明させていただいた」というものの、不特定多数の住民を対象にした説明会は行なっておらず、「今後も予定していない」とのことでありました。8万4千平方メートルにも及ぶ開発計画は、広範囲に影響を及ぼします。具体的な開発計画は、事前に市民に情報を公開し意見を求めてしかるべきではないでしょうか。 直接の事業者は都市基盤整備公団ではありますが、都市再生緊急整備地域への指定を国に求めてきたのは名古屋市です。そのような経緯からしても、名古屋市として一定の責任があるといわなければなりません。 そこで、住宅都市局長に伺います。広く住民を対象とした説明会の開催など市民への情報公開を事業者に求めるべきではなかったのか。また、今後については、どのように考えているのか、お答えください。 公団が段階ごとに、随時説明 公共施設の整備計画は都市基盤整備公団に聞いたところ、500戸程度の分譲及び賃貸住宅を建設する考えのもとに事業者を公募しているとのことでしたが、一挙に住民が増えれば地域の保育園や学校など公共施設の整備や増設が必要となってきます。この点について、名古屋市は、どのように考えているのか? 新たな整備や増設は必要ない 大型店の出店が地域経済に与える影響公団は、イオンが床面積2万8千平方米を予定し、24時間型の営業計画を出したと説明していました。千種区では、千代田橋地域に2万4千平方米の大型店アピタが建設中であり、デパートの星ヶ丘三越は店舗を2万平方米から2万8千平方米に拡張しました。いま星ヶ丘テラスと呼ばれていますが、土日は、大変な賑わいを見せています。しかし、いっぽうで周辺の商業地域は、閑散としています。このように、大型店の出店が周辺地域の需要を吸い上げることによって、地域全体が落ち込むという矛盾を生み出しているなかで、さらにこのような大型店の出店を前提とした開発計画が地域経済に与えるマイナスの影響について、いったいどのように考えているのか、お答えください。 地域と密着した商業地づくりは重要 研究開発施設の検討状況最後に、名古屋市は、この場所で産学官連携による医学・薬学系の研究開発機能の導入を検討しており、そのため、都市基盤整備公団において約一万平方メートルに及ぶ土地がリザーブ用地として確保されていると伝えられていますが、それはどういう機能をもった施設で、どれくらいの規模の建物を想定しているのか、現時点における検討状況について、お答えください。 大学の技術シーズを活用した新たな事業を 構想の段階から全庁横断的に知恵を集め、市民の声を聞け市民経済局長はただいまの答弁で、「大型店が増加している一方で、中小小売店舗は減少傾向にある」ことを認め、「地域に密着した商業地づくりが重要である」と答えられました。しかし、実際には、それと逆行した街づくりがどんどん進められていると言わなければなりません。急激な人口増に対応した公共施設の問題でも、住宅都市局長は、私の質問で初めて「所管局と協議した結果」、「必要ない」という答えが返ってくるという状況です。 サッポロビール工場跡地の開発は、直接には都市基盤整備公団がやることかもしれませんが、名古屋市の方針にも掲げられ都市再生緊急整備地域への指定申請をしてきたのも名古屋市です。である以上、はじめから関係局との横断的な協議がなされてきていてしかるべきと、私は思います。まちづくりは、構想の段階から全庁横断的に知恵を集めながら市民の声も聞き、すすめるべきだということを強く求めておきたいと思います。
徳山ダムについて水需要予測見通しの見直しを 水資源開発公団は8月8日、建設中の徳山ダムの総事業費が、現行計画より1010億円増えて3550億円になることを明らかにしました。現行計画による名古屋市の負担割合は7・3%。そのまま増加額に当てはめると、本市の追加負担額は74億円になると新聞報道で伝えられています。徳山ダムは、今年度末までで計2455億円を支出し、現在の総事業費2540億円の97%分を使う計算ですが、ダム本体の盛り立て工事は7月末で12%しか済んでおらず、来年度の予算不足が確実になっていたものです。 多額の追加費用は国民の税金です。今回のように、1000億円を超すような巨額の上積みを求めるにあたっては、このまま事業を継続するか、費用対効果を考え事業を中止するか、工事を中断して事業の妥当性を再検討することが、当然、必要です。 名古屋市にとっても、徳山ダムはまったく不要だと言わなければなりません。かつて、1988年(昭和63年)に策定された名古屋市新基本計画において、徳山ダムが必要だとされた水需要の見通しでは、西暦2000年には一日最大給水量が160万トンに達するとみられていました。ところが実際には、112万トンでしかなくその後も110万トン台で推移しています。また名古屋市の人口は、新世紀計画2010では、2005年をピークに減少傾向となるとしています。それでも名古屋市はダムの必要性を説くため昼間人口の増加や世帯数の増加傾向をあげてみせます。しかしながら昼間人口は95年から2000年にかけてむしろ減少しており、世帯数は伸びていると言っても5年間で6.8%、しかも水道をたくさん使わない単身世帯が増えているのです。 いっぽう、給水能力はいまだ導水計画すらない長良川河口堰を除いても160万トンを確保しています。水源の多系統化で安定性を確保するとなっていますが、94年の異常渇水の際には木曽川も長良川も枯渇状況は同じでありました。渇水で木曽川の水が枯れたとしてもそのときに揖斐川なら水が取れるとなぜいえるのでしょうか。少雨傾向は木曽川であれ、揖斐川であれ、同じではありませんか。こうした状況で、なぜ現在の1日最大給水量の1.7倍にもなる190万トンもの水利権確保が必要なのでしょうか。 工業用水に至っては、一日最大配水量が95年の7万トンから2000年の6万5千トンの間を行き来し、前提となる製造品出荷額等をみても95年の5兆6600億円から2000年には4兆7700億円へと低下するいっぽうです。 さらに、今年7月4日に開かれた国土審議会水資源開発分科会木曽川部会の議事録を読むと、次のように書いています。事務局の国土交通省水資源部は、水需要の安定性向上に資する対策について、「従来は、水資源開発によって水源を確保するというのが1本柱だった」としながら、今後の対策としては、「既存施設の有効活用や、発電用水など用途間の水の転用・地域間の融通、節水意識の向上と機器普及、雨水利用など水源の多様化、」等々が重要であるとして、「どんどん施設をつくって全く制限ゼロで切り抜けられるような施設を整備するのか、あるいは10分の1渇水であれば、例えば10%あるいは20%、その制限は我慢してもらおうという前提で考えるのか。そこは恐らく水道事業体の判断ではないか。」「水道事業体が自分の財政状態、それから各ユーザーとの調整、そういったなかで決めるべき問題」と説明しています。また、「厳しい渇水のときに、制限率をゼロ、厳しい渇水になっても悠々と水が取れると、そういうことを必ずしも社会的にのぞむといいましょうか、供給する必要はないのではないか。」とも述べています。 こうした考えかたのもとに、国土交通省は、2015(平成27)年を目標とする木曽川水系の水資源開発基本計画、すなわち、新しいフルプランの策定に向けて作業をすすめており、関係県に対して需要想定調査を要請しているとのことです。 そこで、まず、上下水道局長にお聞きします。るる述べてきたような今日の情勢のもとで、本市における水需要見通しについて、見直す考えはありませんか。お答えください。 国と県の協議結果を待っている 水需要予測について「県と国の協議結果を待って必要な対応をしていく」との答弁ですが、愛知県の需要予測のなかに名古屋市分が含まれることは理解できますが、本来、名古屋市の水需要予測というのは、人口の伸びとか工業出荷額などの将来見通しをもとに、名古屋市が主体的に立てるものではないですか。 現に、決算審議における説明資料では、そうなっていますよ。平成22年度を目標年度として常住人口は市内で216万人、製造品出荷額等は6.4兆円、それに対する一日最大給水量は、142万トンと。その予測がこのままでいいのか、ということを、私は聞いているのです。人口は現在よりも減る。工業出荷額も減る。それでも一日最大給水量は142万トンなのか、その見直しを私は求めているのです。上下水道局長、再答弁ください。 県と国の協議をまつ 徳山ダム建設事業からの撤退水資源開発公団は、10月から独立行政法人「水資源機構」に変わります。新しい水資源機構法では、ダム事業からの「撤退ルール」ができました。これまでに同意してきた負担額は決して小さいものではありませんが、追加負担に利息を加えた今後の巨額な負担を考えれば、この機会に、撤退を決断すべきです。そして今回がそのチャンスでもあると思うのですが、いかがでしょうか? 渇水や水質事故に対応するため必要 追加負担に同意するな日本共産党名古屋市会議員団は、先日、水資源開発公団へ出向き、自治体に追加負担を求めないことなどの申し入れをおこなってきました。 公団は、増額の理由として、物価上昇や環境保全対策、事前の地質調査の誤りや耐震基準の強化に伴う設計変更、消費税導入、などを挙げています。しかしながら、本体工事着工は3年前。追加負担の理由として挙げられている点は、いずれも3年前の時点でわかっていることです。すでに96年には、当時の建設省と水資源開発公団の「徳山ダム建設事業審議委員会」で、物価上昇分や消費税額などを合わせて再計算し、その時点で建設を始めた場合、約300億円の増額になるとの見通しを示し、環境対策などで総工事費はさらに膨らむ見込みであることも明らかにされていました。 少なくとも3年前の着工前の時点で同意を求めるという手続きをやろうと思えばできたはずです。1985年の事業費算定から20年近く、1度も修正せず、工事着工をすすめ予定額が底をつきそうだからと、一挙に1.4倍もの追加負担を自治体に求めてくるというやり方に、岐阜県知事をはじめ関係自治体からは批判の声があげられています。そこで、市長に2点質問します。 利水者が、そろって同意しなければ追加負担を前提とした事業費の増額変更はできません。新聞報道によれば、岐阜県の梶原知事は、先月19日の記者会見で「負担増に同意しないこともありうる」と述べたと伝えられています。名古屋市は、追加負担に同意すべきではないと思いますが、いかがですか。お答えください。 慎重に検討したい 追加負担に同意しないことも選択肢に市長は「慎重に検討してまいりたい」と答弁されましたが、検討の結果次第では「同意しないこともあり得る」と理解してよろしいですか。もう一度、ご答弁いただきたい。 まずはきちんと調べて 次々と変わる徳山ダムが必要な理由 徳山ダムが必要な理由として、「水質事故のリスクに対応するため」とこれまであまり聞いたこともないような新しいことを言われました。水質事故のリスクといいますが、木曽川の水がまったく使えなくなるような事故がどこまで想定できるのでしょうか。さらに、昨日の質問のなかでもありましたが、徳山ダムの水を木曽川にもってくるといいます。木曽川のどこで取水するのか、上流で取るのであれば、それよりも下流で事故があったとき、まったくリスクの回避にはならないのではないか。 市民の声をきき、議会の同意を最後に、この問題で、市長は市民の声を聞くとともに、議会の同意を得るべきと思いますが、どのようにお考えですか? お答えください。 議会の意見はきく 市民の声を聞かないのか私は市長に、「市民の声を聞くとともに」と「議会の同意を得るべきではないか」と質問しました。それに対し、「議会のご意見を伺いながら」とは答弁されましたが、市民の声を聞くことについては答弁がありませんでした。「重要な事業と認識」されているわけですから、市民に説明し、意見を聞くこともまた当然だと思いますが、再度、ご答弁ください。 市民の声に耳を澄ましていく
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