意見書・決議

日本共産党をはじめ各会派から提案された13件の意見書・決議案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、6案件は適切な修正や調整を行って共同提案に合意し、成立しました。

日本共産党の提案した4案件のうち、3案件は他党派が反対し議案として本会議に上程することはできませんでした。特に大規模小売店出店規制に関しては、自民党案と1本化をめざしましたが、公明党が反対し、成立しませんでした。

意見書案に対する各会派の態度
(議会運営委員会に提出された意見書・決議案)
意見書案 原案提出 各会派の態度
共産 自ク 民主 公明
政治倫理の確立に関する決議(案) 自・民 修正 修正
テロ対策の強化に関する意見書(案) 民主 修正 修正 修正 修正
介護労働者の労働環境改善に関する意見書(案) 民主 修正
大規模小売店の出店規制に関する意見書(案) 自ク
認定NPO法人の認定要件緩和を求める意見書(案) 自ク
教科書検定基準の見直しに関する意見書(案) 自ク
消費者団体訴訟制度の創設を求める意見書(案) 公明
堀川の総合的な整備に関する意見書(案) 公明 修正
緊急地域雇用創出特別交付金事業の存続と改善を求める意見書(案) 共産 修正
大店立地法の「指針改正」に関する意見書(案) 共産 自民案と一本化
シックスクール対策の強化を求める意見書(案) 共産
日米地位協定の見直しを求める意見書(案) 共産
地方分権推進のための「国庫補助負担金等に関する改革案」の実現を求める意見書(案) 全国市議
会議長会
生活保護費の国庫負担率に関する意見書(案) 健康福祉局

太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書
議運に提案された段階での態度 ○=賛成 ●=反対
 ●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。
 共産:日本共産党 自ク:自民党市民クラブ 民主:民主党 公明:公明党

 

《採択された意見書》

政治倫理の確立に関する決議

本年8月、本市会議員2名が昨秋の衆議院鼓員選挙における公職選挙法違反(被買収)容疑により起訴され、辞職した。
今回の議員の起訴・辞職は、本市会に対する市民の信頼を大きく揺るがし、本市会全体の不名誉となる極めて深刻な事態であり、まことに遺憾である。
もとより、我々議員は、市民にいささかの疑念も抱かれることのないよう、みずからを厳しく律することが求められていることは言うまでもなく、議員として市政に携わる責務を再度深く認識し、主権者たる市民の厳粛な信託のもと職務に精励していかなければならない。

よって、名古屋市会は、市民の信頼回復を図るため、二度とこのような不祥事を繰り返すことのないよう、早急に議会改革を進めるとともに、公職選挙法その他法令の遵守の誓いを新たにし、さらなる政治倫理の確立に全力で取り組むことを決意するものである。

国際博覧全開催時のテロ対策の強化に関する意見書

平成13年の米国での同時多発テロを初め、世界各地でテロ事件が続いており、テロの脅威は依然として存在している。
来年には、当地域において国際博覧会の開催が予定されており、外国人も含め多くの来訪者が予想されることから、この博覧会がテロの格好の標的となるおそれがあり、博覧会開催期間を中心とした当地域でのテロ対策は、喫緊の課題となっている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国際博覧会開催時のテロに関する情報収集・分析及び危機管理体制の充実を図るとともに、その会場や周辺地域の警備体制の強化・支援など、万全のテロ対策を実施されるよう強く要望する。

介護労働者の労働環境改善に関する意見書

介護の現場では、ホームヘルパーを初めとする多くの介護労働者が、劣悪な労働条件のもと、不十分な感染症対策等の安全衛生面に不安を感じながら働いているのが実態である。
こうした中、質の高い介護サービスを安定して維持していくためには、現場の介護労働者が安心して働くことができるよう、労働環境の改善を図っていくことが不可欠である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、介護労働者の労働環境の改善に向け、労働条件に関する基準の明示や職員配置基準の見直し、さらには安全衛生対策の指導強化など、積極的な対応を図られるよう強く要望する。

消費者団体訴訟制度の創設を求める意見書

近年、消費者をめぐるトラブルが急増しており、悪徳商法や架空請求等の被害も後を絶たない。こうした被害者は訴訟の知識が乏しいことなどから、個人で訴訟を提起することは困難な場合が多く、被害救済を求めることを断念し、結果的に悪質な事業者等の不当・違法な行為が反復・継続され、被害を拡大させている。
こうした中、国民生活審議会において、消費者団体が消費者にかわって訴訟を提起することを認める消費者団体訴訟制度について検討がなされているが、多発する消費者被害を防止・救済するために、一刻も早い制度の導入が求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、消費者被害を防止するとともに、その利益の擁護を図るため、消費者団体訴訟制度を早急に創設されるよう強く要望する。

堀川の総合的な整備に関する意見書

本市中心部を南北に流れる堀川は、江戸時代初期より名古屋の発展を支えてきた「母なる川」であり、間もなく開削400年を迎えようとしている。
こうした中、本市では、都市の発展とともに汚濁化の進んだ堀川の再生に取り組むため、マイタウン・マイリバー整備事業整備計画の認定を受け、総合的な整備に努めているところである。また、近年では、堀川に対する市民の関心も急速に高まり、堀川浄化に向けた市民活動も大いに盛り上がりを見せているが、水源のない堀川を浄化し、快適な水辺環境を創出するためには、新たな水源からの導水を行うなど、環境にも配慮した取り組みが必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、市民の願いである堀川の浄化と沿川のにぎわいを復活するため、次の事項について実現されるよう強く要望する。

  1. 堀川の十分な維持用水を確保するために、新たな水源などから必要な量の導水を行うこと。
  2. 白鳥・納屋橋地区及び松重・名城地区の整備を推進するため、必要な財源の確保を図ること。
  3. 水辺空間を活用した沿川地域のにぎわいづくりを進めるため、河川敷地を効率的に活用することができるようにすること。

緊急地域雇用創出特別交付金事業の存続と改善を求める意見書

国の臨時応急措置として、平成13年度から実施されてきた緊急地域雇用創出特別交付金事業は、本市においても4年間で延べ4400人を上回る雇用が生み出されるなど、雇用・失業対策として一定の役割を果たしてきた。この事業は、今年度で終了する予定となっているが、本事業の存続が強く望まれている。
また、雇用期間が6カ月と短いことなど制度上の制約も多く、より一層の成果を得るため、さらなる要件緩和等の制度の改善が地方公共団体にとって必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、依然として厳しい雇用情勢にかんがみ、緊急地域雇用創出特別交付金事業を平成17年度以降も継続して実施するとともに、継続に当たっては、失業者の就労に役立ち、実施主体である地方公共団体が活用しやすいよう実施要領や運用方法などを改善されるよう強く要望する。

生活保護費の国庫負担率に関する意見書

生活保護制度は、憲法第25条の理念に基づき、国民に健康で文化的な最低限度の生活を全国一律に保障する重要な役割を担っており、社会保障の根幹をなす制度である。

厚生労働省は、来年度予算の概算要求に当たり、生活保護費の国庫負担率を4分の3から3分の2に引き下げようとしているが、国の負担率の引き下げは、本来国が負うべき財政負担を地方公共団体へ転嫁するものであり、生活保護制度の後退は避けられず、制度に対する国の責任を放棄するものと言わざるを得ない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、生活保護費の国庫負担率引き下げを行われないよう強く要望する。

 

《日本共産党が提案し、採択されなかった意見書(案)》

大店立地法の「指針改正」にあたっての意見書(案)

大店法(大規模小売店舗法)が廃止され、「街づくり三法」(大店立地法、中心市街地活性化法、「改正」都市計画法)が制定されたが、大型店の無秩序な出店・撤退が相次いで、名古屋市内の地域商店街は衰退や荒廃に追い込まれている。この結果、商店街や地域経済の問題だけでなく、市民の暮らしや交通渋滞、住環境などにも深刻な影響を及ぼしている。
さらに、一週間前に市に届出を提出し、説明会を開催するだけで可能となった深夜営業など営業時間の延長も、青少年非行や防犯問題など種々の悪影響や重大問題を発生させている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、来年度に予定される大店立地法の「指針改正」にあたって、大型店舗の新規出店をはじめ二十四時間営業や深夜営業による生活・住環境の悪化を防止し、青少年はじめ市民生活の安心、安全を確保するために、以下の事項の実現を強く要望する。

  1. 大型店が出店する際には、その地域の住民と自治体に対し、地域環境に対する影響評価を事前に義務づけ、住民への説明と自治体との協議を経て合意を得る仕組みを作ること。
  2. 異常な深夜営業を規制し、安心・安全な「まちづくり」をすすめるようにあらためること。
  3. 正月の初売りなど地域固有の伝統的な商文化や営業様式を保存・継承するため、大型店に対し、地域の商慣行に協力することや、地域の商店街活動への貢献など社会的責任を果たすようさせること。

シックスクールから子どもたちの健康を守る意見書

いま、シックスクールについての不安が全国に広がっているが、名古屋市においても例外でなく市民からその対策について強い要求が出されている。特に緑区の新設小学校では児童に、揮発する化学物質によってシックハウス症候群の症状があらわれ、ついにはあらゆる化学物質に影響を受ける化学物質過敏症と診断されるにいたった。
国においては、「学校環境衛生基準」の改訂などの対応がすすめられてきたが、子どもたちの健康を守る取り組みのさらなる強化が求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、シックスクールから子どもたちの健康を守るため、下記の点について実現されるよう強く要望する。

  1. 子どもたちを有害な化学物質などによる環境被害から守るため、実態調査や情報収集、未解明の化学物質に関する有害性調査や管理の改善などを有効にすすめるよう、法整備を含めて抜本的な対策を講じること。
  2. 化学物質過敏症を発症した際の検査・治療費用を保険適用とし、また国において医療費補助を行うこと。
  3. 「学校環境衛生基準」にもとづく検査などこれまでの対応策について、自治体、学校関係者に周知し、実行に遺漏のないよう徹底をはかること。
  4. 床ワックス、樹木消毒薬、トイレ消毒薬クレゾールなども、子どもたちのアレルギー症状や化学物質過敏症の症状悪化の要因となるため、教育用具、日用品についても安全なものが使用されるようにすること。

日米地位協定の見直しを求める意見書

去る8月13日、沖縄県宜野湾市でおきた米軍ヘリ墜落事故は、日本側が要請した現場検証が拒まれたまま、米軍によって機体が回収され、破片が散乱した公道なども米軍によって一方的に封鎖されるなど、事故後の米軍の対応は、余りにもひどいものであった。このような事態を生み出した背景に、在日米軍を保護するために治外法権的な扱いを認めた日米地位協定があることは明白である。
名古屋市民にとって、今回の事態は、対岸の火事では済まされない。名古屋港には、米海軍の艦船がしばしば入港しているが、今後、艦船が港内において事故を起こしたり、乗組員が上陸して対市民事故の加害者になるとか、犯罪を犯す可能性も否定できない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、我が国が主権国にふさわしく、そしてなにより市民が安心して暮らせるようにするため、日米地位協定の改定を強く要望する。