黒田二郎議員の決算人提案に対する反対討論

2004年10月15日

日本共産党名古屋市会議員団を代表して、2003(平成15)年度一般会計決算の認定に反対する立場から、討論を行ないます。

反対理由の第1は、市長の、トップダウンによる財源配分方式のもと、各局における予算削減が進められた結果、とりわけ市民の暮らしや福祉にかかわる施策がことごとく後退させられたことであります。市民に与えた影響額は、総額で100億円にも上りました。

その基本方針は、外部経営アドバイザーを加えた経営会議における議論を背景に、住民に奉仕するという自治体本来の役割を投げ捨て、徹底した民営化や民間委託をすすめるというものでありました。

国民健康保険の世帯主負担が2割から3割へと引き上げられたことは、多くの市民生活に影響を与えました。この結果、松原市長が、選挙の際、「なかなかがんばる名古屋の福祉。さらにいっそうの充実をめざします」とした公約は、この年、ついに、敬老パスを除いて、すべて裏切られることになりました。

公約違反の福祉の切捨てを認めるわけにはまいりません。

反対理由の第2は、公共料金の値上げや職員削減で市民サービスを切り捨てた場合に許可される財政健全化債を、昨年に引き続き発行するなど、市民に痛みを押し付ける一方で、さらなる財政悪化を進めたことです。一般会計だけで、662億円もの借金が積み増しされた結果、今年3月31日現在の名古屋市の借金総額は、3兆4000億円となり、市民一人あたりでは、155万円にものぼります。

反対理由の第3は、厳しい財政状況にありながら、万博関連事業に偏った予算執行が行なわれ、市民の暮らし・福祉にかかわる予算が犠牲にされたことです。

主会場の巨大万華鏡といい、笹島で開催する深夜までの巨大な遊園地といい、万博も支援事業も「自然の叡智」というテーマからは、かけ離れたものとなりました。

わずか300平方メートル約90坪の土地を21億7千万円もの巨額資金により取得した納屋橋のたもと堀川沿いの土地は、年度末における補正予算の計上により用地取得を急いだものでした。ところが、万博盛り上げ事業として予定した飲食店の出店は、当局をして「むつかしい」といわざるを得ない状況です。たしかな見通しもなく、万博のために行なった突然の用地取得は、いったい、何だったのか。税金の使い方が、あまりにも杜撰であったとしか、言いようがないではありませんか。

反対理由の第4は、大企業の利益を優先した開発優先の市政が、引き続き、すすめられたことです。

牛島南ビルやトヨタ・毎日ビルの建設など大企業に対する補助金は、長引く不況のもと、とうてい市民の理解が得られるものではありません。

有松駅前再開発は、大型店の無秩序な出店が商店街の衰退をもたらすなど、大問題となっているときに、名古屋市が率先して大型店を誘致し、開発をすすめたものです。

東部丘陵線は、過大な需要と採算の見通しのもとに、建設が進められました。

これらは、いずれも根本的な見直し・施策の転換こそ図られるべきであり、到底、認めるわけにはまいりません。

反対理由の第5は、市民の声を聞こうとせず、行政の思いのままに、市民の気持ちとかけ離れた市政運営がすすめられたことであります。

1千億円もの事業費増額をもちかけられた徳山ダムは、市長をして「進むも地獄、引くも地獄」と言わしめた深刻な問題でありました。ところが、この問題で、市当局は、市民に意見を求め、あるいは市民の間での討論をよびかけることもなく、もっぱら行政内部での密室の検討に終始しました。

住民基本台帳ネットワークシステムにおける住基カードの発行は、個人情報の漏洩に市民の不安が解消されないなか、予定した2万枚にはるかに及ばず3800枚の発行にとどまるなど、行政の意思と市民の気持ちがいかにかけ離れているかを示す象徴的な出来事でもありました。

以上、述べてきたように、5点にわたる理由から、一般会計決算の認定には反対である旨を表明して、私の討論を終わります。