議案外質問(9月21日) 田中せつ子議員
義務教育費国庫負担金の廃止に反対を
藤ヶ丘駅周辺問題〜万博での乗り換え滞留対策は無為無策
《「三位一体改革」による国庫補助負担金の見直しついて》
義務教育費国庫負担制度の廃止は教育水準の低下につながる
【田中議員】国庫補助負担金削減案は、全国知事会でも反対の声があがっていました。むろん公共事業関連などにある無駄な補助金を削減するのは当然ですが、補助金と一口に言っても、その多くは暮らしや福祉にかかわる予算が多数を占めております。とりわけ教職員給与の半分を国が負担する義務教育費国庫負担制度について、来年から中学校分を削減し、2009年度までに小学校分も廃止する方向を打ち出したことは重大です。これを廃止すれば、自治体の多くが財政難に直面しているもとで地方によっては教育水準の低下や自治体間の格差が危惧され、文科省も難色を示しています。
文科省からの政令市への意見聴取では教職員給与費負担と学級編成などの権限委譲について「適切な財政措置が前提」であることが多くの意見となっています。そこで教育長にお尋ねします。
教育長は、義務教育費国庫負担制度の廃止についてどのようにお考えなのでしょうか。
廃止された全額の税源移譲を求めている(教育長)
【教育長】すべての国民は義務教育により、一定の内容・水準の教育を受けることができ、国民として必要な基礎的な資質を培うことができると考えている。地方分権の観点から、地方が主体的に教育水準を確保したうえで、さらなる創意工夫を発揮することにより、教育の質的向上を一層図りたい。したがって、義務教育費国庫負担金を廃止された場合、所要全額について税源移譲による財源措置を講じられることを要望している。
市長はなぜ裏づけのない削減に賛成したのか
【田中議員】市長にお尋ねします。政令指定都市「市長会」の代表である松原市長は「義務教育費国庫負担制度の廃止」を推進する立場をとられましたが、私は残念でたまりません。たとえ国から権限委譲されるとしても、財政的な裏づけがなければ、手放しで喜ぶことはできません。
義務教育費国庫負担制度は、憲法と教育基本法で定める国民の教育権を保障する重要な制度です。教育の機会均等を保障し、全国的な教育水準を確保するために国が財政保障に責任を負う必要があります。「教育の機会均等」を守るためにも義務教育費国庫負担制度は国の責任として堅持させるべきと考えますが市長の見解をお聞かせください。
移譲されれば特色ある教育ができるからだ(市長)
【市長】義務教育費国庫負担金については、税源移譲されれば、地方の裁量で特色ある教育を実施することができ、地域の実態にあった教育を進めることが教育の水準を向上させていくことになる。負担金が廃止されたら自治体の財政状況により教育の水準が下がるのではないかとのことだが、教育の給与費の負担については従来とも定員・定数がきちんと公表されており、情報公開を徹底することで、他に流用されることはない。
補助金削減が国の狙いだし、現実に減らされている(再質問)
【田中議員】まず、「三位一体改革」による国庫補助負担金の見直しについて再度質問します。市長も教育長も「義務教育費国庫負担制度の廃止」については税源移譲されることを前提条件にあげておられますが、「三位一体改革」の初年度となった今年度、税源移譲をはるかに上回る補助負担金と地方交付税の削減が、実際行われました。必要な分、全額が税源移譲される保証がないものだから、多くの市町村首長が反対しているのではないですか。自治労連のまとめによりますと、8月中旬までに24の知事、529市町村長、2市町村会議長から意見が提出されております。「地方は骨太ならぬ骨祖そしょう症になりかねない」「国の赤字を地方に押し付けている」という厳しい意見も出ているぐらいです。税源移譲とセットだというが、税源移譲されなければ子どもたちの教育はどうなってしまうのか。それでも、「義務教育費国庫負担制度廃止」を推進する立場を市長はおとりになるのですか。
税源移譲とのセットを要求し、それを信じる(市長)
【市長】税源移譲とセットだ。そのことを強く要求し、それを信じてすすめている。税源移譲がなされないという事になれば、三位一体改革はなされないものと考えている。事務的な問題で手続きはあるが、全体として税源移譲とセットだ。
【田中議員】税源移譲がされなければ今以上に大変なことになることを指摘しておきます。
学校事務職員の配置へ影響があるのではないか
【田中議員】2点目は、三位一体の改革で義務教育費国庫負担金が廃止されたら、一番先に削減されるのではないかと心配の声が挙がっている学校事務職員の配置についてです。
今や事務職員の仕事は、すべてコンピュータ化され、ほとんど一日パソコンの前に座っていなければならない状態にあります。いま、その事務職員の健康被害が問題になっています。長期療養をする事務職員も増えています。
事務職員の仕事は教師のように、はたから見て仕事内容がすぐにはわかりません。しかし経理、施設管理、教職員給与、福利厚生、文書管理などの仕事に加え、児童生徒にかかわる福利厚生などの仕事にも携わり、学校現場で教育の一環を支えている大切な役割を持っています。
たとえば、就学援助事務の仕事を担当しているある事務職員は、忙しい中でも、教育委員会からの「就学援助のお知らせ」に加え、できる限り文書の表現をやわらかくして、子どもの様子も伝えながら、学校独自の文書を作っているそうです。電話もなかなかつながらない保護者へは、手紙での対応を心がけたり、また、外国人の保護者には、理解できる言語に翻訳を依頼するなどの努力もされたりしています。こうした子どもや保護者に寄り添って仕事ができるのは、今のように現場にいてこそ、その役割が発揮できます。だからこそ事務職員の各学校の一人以上の配置を守るべきではないでしょうか。
たとえ補助対象でなくなっても必要不可欠な事務だ(教育長)
【教育長】学校における諸般の事務には、文書、統計事務や給与授受のほか、物品の購入、管理事務など様々な事務がある。学校事務職員は学校教育を円滑に進めるうえで必要不可欠なものと考えています。したがって、学校事務職員の給与費が国庫負担制度の対象でなくなったとしても、事務の必要性は変わるものではない。
1校1人の配置を守れ(要望)
【田中議員】学校事務職員の配置については、教育長は「必要性は変わるものではない」と答弁されました。今ある形で一校に一人以上の事務職員の配置が教育上、必要であることを、強く申し上げておきます。
小中学校の大規模改造がいっそう遅れないか
【田中議員】3点目は義務教育費補助金として使われる主なものに、小中学校の大規模改造がありますが、これについてお尋ねします。
先日わたしは、市内のある学校を訪問しました。教室や廊下のところどころの壁に深いひびが入っていたり、雨漏りの跡がカビのように壁にこびりついていたりしました。床が、一部盛り上がっている教室もありました。現在、修理費用として140万円あるそうですが「ほかに緊急に修理するところも出てくるので、ひび割れのためだけに使うことはできない。」と先生はおっしゃっていました。「業務士さんにこつこつと壁のペンキ塗りをしてもらっているので、汚れがめだたなくなった」とも言われました。学校の中でお金がかからないように、修理をされているのですが、深いひび割れはどうすることもできないようです。この学校は、建てられてから30年近く経っていますが、名古屋市の大規模改造の対象には、まだ入っていません。
本市では10年前は大規模改造に約54億円使われていましたが、今年は(平成16年度)3億8千万円となっています。大規模改造の国の基準では築20年以上の学校が対象となっています。名古屋市は現在、築30年以上の学校しか対象にしていません。国の基準より10年遅れているにもかかわらず、いまだに、小学校7校 中学校2校の計9校が手付かずのままです。耐震補強を急ぐ必要があり、予算を振り向けることは、理解できますが、だからといって、大規模改造を後回しにしてもいい理由にはなりません。大規模改造は、子どもたちの教育にとって最低の条件整備です。遅れている9校の早期の工事着手と、本市の計画には入っていなくても、国基準には入っている学校で、大規模改造を急ぐ必要のある所、例えば先に述べたような学校は、ただちに調査をして、個別に対応をすることが必要ではないでしょうか。
大規模改造は耐震補強とともに重要なこと(教育長)
【教育長】校舎等の建設年次や老朽状況に配慮しながら、大規模改造を行なうことにより教育環境の改善を図ることは、緊急課題になっている耐震補強とともに重要なことだ。小中学校の大規模改造工事については、未着手の学校の早期着手も含め、今後順次実施したい。
今でも国基準より10年も遅れていてできるのか
【田中議員】大規模改造が、いまでも国の基準どおりに行われていないのに、三位一体改革で補助金が廃止されたら、今よりも後回しになるのではないかと心配をしますが、大丈夫でしょうか。
補助金カットは税源移譲とセット(市長)
【市長】校舎の大規模改造工事については、補助金のカットは税源の移譲とセットになっており必ずしもこれによってくる金が減るというわけではない。このことについてはきちんと要求していく。なおそれぞれいただいた点については、地方の判断で、緊急度、必要度に応じて適切に対処していくものだ。
いつまでにやるつもりか(再質問)
【田中議員】学校の大規模改造については「今後とも進めていく」ということは、9校の早期着手と実際に雨漏りしている学校をほかって置いていいのか、対策を急ぐべきだと思うがやるのかやらないのかお答えください。
重要な仕事だ(教育長)
【教育長】三位一体改革について義務教育を取り巻く状況は非常に大きな○○○中にある。教育は次代を担う子どもたちを育てる重要な仕事です。教育環境についてもその範疇で考えたい。
ちゃんと予算を(要望)
【田中議員】21世紀を担う子どもたちが生活する場所ですのでもっと予算をかけて直してください。要望します。
《藤が丘駅前のまちづくりについて》
万博時の藤が丘駅周辺の安全対策はだいじょうぶか
【田中議員】地下鉄藤が丘駅から東部丘陵線に乗り換えるのに、万博開催中は乗降客で混雑することはだれでも予想できることであります。特に土・日・祝日は、今までに体験したことの無いような人が集まることが考えられます。階段の上り下りでもスムーズに行けばいいのですが、ひとつ間違えば事故につながりかねません。あってはならないことですが、兵庫県明石の花火大会での将棋倒しのような事故が起きることも想定した対策をとる必要があると思います。そこで、まず地下鉄藤が丘駅構内での安全確保について、プラットホームや階段での安全性のために人員の配置は考えられているのでしょうか。
ホームやコンコースは職員配置で万全を講じる(交通局長)
【交通局長】愛・地球博開催期間中に、多くのお客様に地下鉄東山線をご利用いただきたい。ゴールデンウイーク、お盆、会期末など大変多くのお客様が一時に集中し、藤が丘駅の混雑が予想される。そうした事態に対応するため、ホーム、コンコースへの駅職員の増員や誘導員の配置により体制強化を図り、地下鉄ご利用のお客様に、安心して乗り換えできるように、万全な対策を講じたい。
輸送力の差で生じる滞留はどうなる
【田中議員】以前から問題になっている地下鉄と東部丘陵線の輸送力の違いから起きる滞留問題です。藤ヶ丘駅周辺に滞留する乗客は、ピーク時で数千人に上るといわれています。それに対する対策として、人があふれてもいいように万博期間中は、雨・風をしのげて、人が並んで待つことができるような場所ができる計画のようですが、東部丘陵線藤が丘駅までの人の移動についての安全対策を名古屋市としてどのように考えていらっしゃるのか。
協会が誘導策を検討している(総務局長)
【総務局長】多客日において滞留が実際に発生した場合には、地下鉄を降りた観客が円滑にかつ安全に乗り継ぐことができるように、東部丘陵線の藤が丘駅まで警備誘導することが必要だ。
博覧会協会では、関係機関などにより構成される「輸送対策協議会」で、市も加わって具体的な方策について詰めの協議をおこなっている。
シャトルバスの運行はなんのため
【田中議員】東部丘陵線を補完するシャトルバスは、新聞報道によると万博期間中のゴールデンウイーク、お盆休み、閉幕間近かの週末など、特に混雑が予想されるときに運行予定で、午前中に長久手会場行きを約5分間隔で35本計画されているようです。この計画で東部丘陵線に乗るのをあきらめて、シャトルバスに乗ろうとする人の滞留問題が、はたして解決できるのでしょうか。焼け石に水ではないですか。
滞留解消の一つの方策だ(総務局長)
【総務局長】藤が丘の滞留者問題には、滞留者の安全確保の方策はもとより、滞留をできる限り発生させない対策を、あわせて講じることも必要だ。そこで、多客日において藤が丘と博覧会会場を結ぶシャトルバスを臨時に運行することについて発着場所など具体的な運行方法について関係機関とともに検討している。
一つ一つの対策だけでは滞留を解消することは困難であるので、できる限りの対策を組み合わせて実施する必要があり、多客日に観客が過度に藤が丘に集中することのないように呼びかける対策を併せて検討している。
東部丘陵線は何の解決にもならず、1000億円の投資は無駄だった(意見)
【田中議員】滞留問題について、協議しているとか、検討しているというが、万博まで約半年しかないのにこんなことで大丈夫でしょうか。
藤ヶ丘駅周辺の滞留問題解消に万博協会は、名古屋駅からJRで高蔵寺周りの愛環鉄道に乗せる計画のようですが、これでは、万博後は赤字になるとわかっていても、万博に間に合わせるために、東部丘陵線に1000億円もかけた意味が無いじゃないですか。桃花台のピーチライナーも、走らせれば走らせるほど、赤字になるということで、もう廃止になるようです。その二の舞ではないでしょうか。このことを強く指摘しておきます。
東部丘陵線藤が丘駅の地上部分の活用構想をもて
【田中議員】東部丘陵線藤が丘駅の地上部分は現在更地になっています。以前、ここには「エフ」という名鉄関連会社の商業施設が建てられていました。エフは2階建てで、桜並木と憩いの場所がある建物というイメージでした。周りの商店街とも、釣り合いがとれていました。万博が終わってから、この場所に、今までとは違う高層のビルが建てられるのではないかと予想している商店街の人は少なくありません。「人の目を引くような高層のビルが建てられたら、人がたくさん集まってくれる。しかし商店街のほうまで足を伸ばしてくれるだろうか」「東部丘陵線の工事が始まって客足は減った。工事でごたごたしているところへは、近寄りたくないのだろう。工事が終わるまでの辛抱と思ってきたが、また、ここで工事が始まるかと思うと、ちょっと気が重い」「藤が丘のまちはイベントをよくやるところだ。それを楽しみにたくさん人が集まってくれる。そうした人たちの憩いの場所も取り入れてほしい」等の声もあります。
藤が丘駅前の発展は、住民合意と今ある商店街の活性化なくして考えられないのではないでしょうか。万博後の商業施設も含めた、藤が丘駅前のまちづくりのあり方については、地域住民の意見を十分聴くと同時に、名古屋市としても、主体的に考える必要があると思いますが、いかがでしょうか。住宅都市局長にお尋ねします。
地域で議論がされる(住宅都市局長)
【住宅都市局長】藤が丘地区については、地域住民や地元商店街の方々などにより平成13年に「藤が丘まちづくり推進協議会」が結成されている。
この協議会で藤が丘駅周辺の整備や学区内の道路や公園などの諸課題について協議・検討が行われてきた。
今後のまちづくりについても、このような地域での様々な議論の中で協議されていくものと考えている。
余りに他人事だ(意見)
【田中議員】藤が丘の駅周辺のまちづくりについて「まちづくり推進協議会」の意見は聞くということですが、あまりに他人事の答弁に聞こえます。住民の意見を聞くとともに、名古屋市がどんなまちづくりを考えているのか青写真を持つべきではないのかと思います。
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