代表質問(3月1日) 村瀬たつじ議員
<< 目次へ戻る
《1 市長の政治姿勢について》
定率減税半減などで増税路線の中止を
【村瀬議員】 小泉内閣は年金制度はじめ社会保障の切り捨てに加えて、今、開会中の通常国会に所得税・住民税の定率減税の半減などによる増税案を提出し、本格的庶民増税路線に踏み出しています。この増税案は、所得税のみならず住民税にも深刻な影響をもたらすものです。
定率減税の半減で住民税が増税となる名古屋市民はいったい何人に上るでしょうか。財政当局にお聞きしましたところ、実に93万人の市民が住民税増税となります。すでに法改正されて2005年度から実施が決まっている配偶者特別控除の廃止や妻の均等割り非課税の廃止などによる住民税増税や2006年度から実施の公的年金控除の縮小や老年者控除廃止、さらに定率減税半減とあわせて今国会で決めようとしている65歳以上の住民税非課税限度額の廃止などの増税を合計すると増税規模はさらに膨れ上がって、市民延べ145万人の住民税が増税になります。(負担増150億円)
消費税についても谷垣禎一財務相は、2月10日の記者会見で「消費税税率引き上げは今の段階から議論の積み重ねが必要だ」と述べ、増税論議を急ぎたい意向を示しています。
市長、このような市民の所得を奪い市民生活を根底から破壊し、景気回復に大きな足かせとなる増税路線は絶対におこなってはならないこととは思いませんか。市長は、国に対して、定率減税半減など今、国会で審議中の増税押しつけ案については撤回を求め、さらに将来の定率減税廃止や消費税増税の企てを直ちに中止するよう国に意見を提出すべきだと考えます。市長の見解はいかがでしょうか。
増税路線に異議となえず
【市長】
定率減税は平成11年当時の厳しく減退した経済状況に対応するために法人所得税、所得課税の見直しが行われるまでの間の緊急避難的な特例措置として導入された。現在、最近の経済情勢に見合い平成18年度から控除率を二分の一に縮減する改正法案が国会で論議されている。
消費税については政府税調の平成17年度の税制改正答申では、少子高齢化社会が進展する中で社会保障制度をはじめとした公的サービスを安定的に行うため消費税は極めて重要な税であり、国民の理解を得る努力を払いつつ、税率を引き上げる際には社会保障の給付水準との関係を明確にすることが必要と述べられている。今後ますます少子高齢化が進展すると見られる中で、ひきつづき活力ある社会を維持していくためには現役世代のみならず幅広い世代が公平に負担を分かち合う事が必要であることが考えられるが、国会において様々な視点から議論されているので、その動向を注視していきたい。
負担は雪だるま式に増える
【村瀬議員】 この増税路線が実施されますと、所得税や住民税負担が増えるだけではありません。増税の跳ね返りで名古屋市の諸制度でも市民に大変な負担増が押しつけられます。
ここに2004年の市民負担と、今国会で審議中の増税案が成立し実施された場合の2008年の市民の負担がどれだけ増えるのか、市当局にお聞きした資料を基に、高齢者夫婦の例で、わかりやすいパネルにしましたのでご覧ください。夫は68歳、厚生年金受給額は年額260万円、妻は65歳、年額80万円の基礎年金だけです。夫婦のみの暮らしです。現在、所得税と住民税は夫婦とも非課税ですが、国会に提出されている増税が全面実施される2008年には、非課税だった所得税・住民税がそれぞれ4万5千円と3万2千円の課税となります。国民健康保険料は、現行の保険料率が続くとすれば、5万7千円から17万4千円に大幅に上がります。介護保険の保険料は5万6千円から8万5千円、敬老パス負担金は2千円から1万円にそれぞれ跳ね上がります。この結果、この夫婦の所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料、敬老パス負担金の合計負担額は、年額11万5千円から34万7千円と3倍にもなり、23万2千円もの負担増になります。一部激変緩和措置が実施される2年間だけは若干負担が軽くされる部分もありますが2008年からはこうなります。
国のおこなう庶民増税によって所得税、住民税が大幅に増税になるだけでなく、このように国民健康保険料や介護保険料、敬老パス負担金など雪だるま式に市の制度でも大幅に負担が増えます。さらに市営住宅の家賃や保育料まで負担が増える場合もあります。市長は、このような増税に連動して、雪だるま式に増える市民の負担増を軽減する措置を考慮されるべきと考えますがいかがでしょうか。
【市長】
配偶者特別控除や定率減税廃止に伴う影響は、福祉策の多くは税制を転用する事により所得制限や費用負担の基準を設けているため、その影響が想定されるところだ。しかしながら先頃、配偶者特別控除の廃止に伴い、老人保健医療受給者の一定以上の所得者の算定基準見直しの方針が国において決定されたそうだが、これと同様に他の政府での対応についても国の責任において対処するものと考えている。国民健康保険料については税制改正により一定の影響が生じるが、負担増が予想される層への特例的な軽減措置等を講ずるよう国に要望を行っている。
また、介護保険料については、平成17年度は影響なく平成18年度以降については、現在国において保険料を含む介護保険制度全体の大幅な見直しについて検討が行われている。その動向を注視することが必要であると考える。敬老パスの負担金については、介護保険料段階に基づいているので平成17年度は影響ない。
次に老年者控除の廃止等にともなう市営住宅入居等への対応については、平成16年度税制改正および公営住宅法施行令の改正により老年者控除が廃止され、あわせて公的年金控除の改訂が行われ、家賃算定の基礎となる所得月額が上昇することとなる。なお老年者控除廃止については、既存利用者に対し2年間の激変緩和措置がとられることになっている。家賃算定の基礎となる所得月額が上昇することに伴い、家賃の変動が生ずる場合、あるいは新規募集の際、これまで応募できた方ができなくなる場合がある。今回この改正は、高齢化社会の進展の中で世代間の負担の公平をはかるという国の方針に基づくものであり、本市としてはその趣旨をふまえて対処したい。
市長選挙前の予算編成はこれでいいのか
【村瀬議員】 今回市長提出の新年度予算案には、4月の市長選で松原市長が「なごや夢普請」と銘打った「政権公約」いわゆる「マニフェスト」に掲げた小学校2年生への30人学級導入、産業立地促進助成、東山動植物園の再生プラン策定や産業技術未来博物館の基礎調査などの新規施策がいくつも盛り込まれました。これらは新世紀2010計画にないものです。
しかし今回の予算案は、市長選挙を控えた年度の当初予算案であります。この場合の当初予算案は、本来、継続事業を中心に組み、新規事業については市民の審判を経た新市長にゆだねる意味から必要最小限の「骨格予算」とするのが通例であります。歴代名古屋市政はそのように予算編成がおこなわれてきましたが、4年前松原市長は、この慣習を破壊しました。 当時もマスコミなどからも批判がありましたが、今回も同様な予算編成を繰り返すことは有権者の審判を軽視することに他なりません。
新聞報道でも「有権者の選択で決まるべき選挙後の予算を先に組んでしまって選挙するのでは、有権者の意思が反映されないことになる」と識者の批判の声を紹介しています。市長は、このような予算の組み方は「有権者の審判軽視」という批判をどう受け止めておられるのでしょうか。市長の見解をお聞きします。
【市長】
平成17年度の予算編成にあたっては、安心・安全を支え合うまち、環境と個性の解け合うまち、人と産業のまちの3つを重点テーマにして、未来への布石、共同性、緊急性の三つの視点から限られた財源を効率的重点的に配分することにより、「名古屋新世紀計画2010」第2次実施計画を着実に実行し、生活、環境、文化、産業の全ての分野にわたって調和のとれた誇りと愛着のもてるまち、なごやの実現を図ることとした。
例えば次世代育成支援、安心安全快適なまちづくり、地震対策基盤作り、交通戦略、産業創出活性化などに一刻の猶予も停滞することなく適時適切に対応していくことが市政を運営していく上での基本であるという考え方にたって、現時点で見込みうるものはおおむね当初予算に提示した。
市長の資金集めパーティで「特定業者」は断ったのか
【村瀬議員】 政治と金の問題は国政・地方政治を問わず、きわめて重大ですが、その中心の問題は政・官・業の癒着です。名古屋市では一昨年の道路清掃談合汚職事件、昨年は総選挙における日歯連資金にかかわる公職選挙法違反事件など相次ぐ政・官・業の癒着、不正事件に市民から大きな批判を浴びました。新南陽工場建設をめぐる汚職事件の住民訴訟で、鹿島などゼネコンと元公明市議らに9億円の損害賠償を命じた判決が最高裁で確定し、政・官・業の癒着に改めて断罪が下されました。市政においても、この教訓を生かし政・官・業の癒着を断ち切ることが緊要です。
新聞報道によれば松原市長の選挙母体「チャレンジ21・名古屋の会」の政治資金パーティが2月2日におこなわれ、1枚1万円のパーティ券は6,000枚売れて、2,500万円が選挙資金に回される、ということです。1昨年11月の定例会で、わが党議員の「少なくとも市の公共事業などを請け負っている業者などからはもらわないようにしてはどうか」という質問に対して、市長は「特定業者、あるいは関係の業者からのパーティ券の購入、こういったことについては極めて抑制的に対処してまいりたい、できれば断ってまいりたい、こんなふうに思っているところでございます」と答弁されています。
松原市長、今回のパーティでは「特定業者」、あるいは「関係の業者」からのパーティ券の購入は断ったのですか、それとも前回に続いて今回も継続されたのですか。市長、お答えください。
【市長】
政治資金規正法では政治資金の透明化を図ることにより、政治活動が透明かつ公正に行われるよう種々の規制が定められている。政治資金パーティー券については政治資金規正法上一定の制限のもとで購入することが禁止されておらず、個人や会社などの団体がその意志に基づいて自由に政治に参加することが認められている。
ご指摘の政治資金パーティーについては私の政治姿勢、政治理念、政策等を理解し賛同していただける個人の方々に、幅広くご支持いただきたいという私の考えをふまえ、主催者側において開催したものと考えている。
市長の退職金は廃止を
【村瀬議員】 市長の退職金が4年間の任期毎に4,800万円支払われることが明るみになって市民の間に大きな衝撃が走りました。「えっ本当」「知らなかった」「考えられない」「多すぎる」「市長に退職金いるの?」など驚きの声ばかりで、「これ位当然」という声はまったく聞きません。市長は本定例会で「市長の退職手当の特例に関する条例」を制定し、今期の退職手当を4804万8千円から3326万4千円に3割減額しようとしています。しかし、それで市民は納得するでしょうか。「市長に退職金は要らない」これが市民の声ではないでしょうか。廃止でなく、半減でもなく、3割減にしようという根拠は何でしょうか。市長の見解をお聞きします。
条例案は今回限りの特例になっていますが、なぜ今回限り、とされたのでしょうか。あわせて市長にお聞きします。
【市長】
その額が高いなど様々な意見をいただいた。今期の退職金のみ支給額を3割減額することを妥当であると考える。私自ら総合的に考慮して決定した。今後、退職金の水準についてはしかるべき第3者機関をおくなどして検討していく。
<< 目次へ戻る
《2 福祉の切り捨てや公共料金・使用料の値上げなど市民の負担が急増》
市民に犠牲を強いたことをどう思うのか
【村瀬議員】 松原市長は今年1月年頭所感で、「かって名古屋が、これほど注目を集めたことはなかった。元気・最強・絶好調と雑誌の特集でも景気のよい言葉が踊っている。名古屋の健闘は特筆に価する」と手放しで述べています。しかし、ある銀行系シンクタンクは、愛知、岐阜、三重の東海三県の市町村別ランキングで名古屋市は152市町村中、135位であり「元気な名古屋という表現は必ずしも実態を表していない」と警告しています。元気なのは史上空前の連続して1兆円の大もうけをあげているトヨタなど大企業だけではないでしょうか。名古屋が元気かどうか、その判断の基準は、市民の生活がよくなっているかどうか、市民が元気かどうかではないでしょうか。
今、市民のくらしは元気どころか大変な状態です。構造改革による負担増の押しつけやリストラなど国の責任によるところもありますが、名古屋の市政が市民の負担を増やし続け、追い討ちをかけています。市長、あなたは在任の8年間、福祉・暮らしの予算を削り、市民の負担を増やし続けました。そのすすめ方は、予算編成に当たっては下からの積み上げ方式をやめ上からトップダウンで各局に予算額をあてがう「財源配分方式」に変え、自治体の事業を「採算性」と「効率性」を最優先する「行政評価」にもとづいて、市民のくらしにかかわる予算を大幅に削り市民の負担を増やし、市民に犠牲を強いる、という手法です。
なかでも昨年度と今年度は名古屋市の優れた福祉施策に大鉈をふるい、市民の負担を大幅に増やすという名古屋市政史上最悪の事態となった年でした。その内容は国民健康保険世帯主本人医療費負担を2割から3割へ改悪したのをはじめ、高齢者の医療費無料制度(福祉給付金)の対象者を10万人から3万人に減らし、68歳からの医療費助成の廃止、敬老パス有料化、国保料75歳減免の縮小、介護保険料の値上げ、要介護高齢者等福祉金の廃止、成人基本検診の有料化、がん検診の値上げ、何回にも及ぶ授業料や保育料値上げ、遺児手当の所得制限強化、生活保護の福祉奨学金廃止や修学旅行支度金の削減、老人クラブへの助成金や子ども会活動補助金の削減、障害者の作業所運営費補助や福祉タクシー料金助成の削減など上げればきりがありません。私の試算では、この2年間で市民負担増は180億円以上にも上っています。
わが党議員団が取り組んだアンケートに寄せられた声の一部を紹介します。51歳の男性は「困っていることは、今後さらに税金が増えること。老後の年金や生活が不安です」。79歳の女性「年金が減額され介護保険料、健康保険料は増額され、生きていけなくなります」と切実です。また、54歳の女性「高血圧で倒れ仕事もできず保険料も払えない。借金して病院にいっている」。子を持つお母さんは「図書館が無料なのにその駐車場が有料なんて、子どもと一緒に絵本をみるが30分超えないようにするのは大変」などの声が寄せられています。
市長、あなたがおこなった市民負担増がどれほど市民を犠牲にし、苦しめているか、自分のしたことに胸が痛みませんか? 市長の認識をお聞きします。
【市長】
右肩上がりの経済成長が望めない、少子高齢社会が急速に進行するなど社会経済情勢が変化する中で多様化し増大する市民ニーズにどう対応していくかが大きな課題となっている。こうした状況を背景として各種の施策を持続的安定的に運営していくためには、費用対効果を考慮した施策の選択、あるいは負担能力のある方には応分の負担をしていただく事が必要である。
「受益者負担」の名による今後の市民負担
【村瀬議員】 市長はマニフェストの自己評価で福祉のまちづくりに5段階評価で最高の5と評価しています。福祉施策をズタズタにしたのが、あなたにとって最高の評価でしょうか。今後も福祉の後退を続けると宣言するとでもいうのでしょうか。昨年11月定例会で市長は、「受益者負担のあり方研究会」の答申にもとづいて、今後の利用者負担料金の設定をすすめていくと言明しました。新年度予算案には盛り込まなかったものの今後の有料化や料金引き上げを予定しているのではないでしょうか。
自治体が自治体らしく、住民の安全、福祉の向上を追求するのであれば、これ以上市民を犠牲にする有料化や料金値上げなど市民負担増はおこなうべきでありません。今後「受益者負担」の名による有料化や値上げはおこなわない、とともに、評判の悪い図書館の駐車場など市民利用施設の駐車場有料化は撤回し、無料に戻すべきと考えますが市長の見解はいかがでしょうか。お聞きします。
【市長】
文化、スポーツ施設や駐車場などのように特定の利用者に限ってサービスを受ける場合に、利用する人と利用しない人との負担を公平に、の観点からその利用者に応分の費用負担を求めていくという受益者負担の原則がある。施設の管理運営経費のうち、利用者の負担に不足する部分は市税収入で補うことになるため、厳しい財政状況の中で、平成13年度に策定した財政健全化計画において、健全化の一つの方策として受益者負担の適正化を掲げ、利用者である市民のみなさまに負担をお願いした。
公共施設の駐車場についても、施設の利用実態をふまえ一定時間内の利用を無料にするなど、配慮する形で有料化を進めている。市の提供する各種サービスを利用される市民の皆様の、負担増となることは大変心苦しいことではあるが、一方では市民負担が少なければ少ないほどその運営利益の不足分は市税でまかなうことになり、市民全体で負担することになる。依然として厳しい財政状況の中で、適正な市民負担をお願いする、経費削減や経常経費の削減など行政なりの努力をすすめます。今後もサービスの安定的、持続的な提供に努める。
<< 目次へ戻る
《3 「ポスト万博」でトヨタや大企業言いなり》
【村瀬議員】 松原市長は、万博・空港関連事業に巨額な事業費を注ぎ込んできましたが、いわゆる「ポスト万博」で何を重点にしようとしているでしょうか。
市長は市民に対し、「金がない」と福祉、くらしの予算を削減してきましたが、ポスト万博も、これまですすめてきている徳山ダムやサイエンスパーク、都市高速道路などだけでなく財界が望む大型事業を熱心にすすめようとしています。そのうえトヨタの幹部などが名古屋市の「産業活性化プラン」策定などに加わるようになり、財界からの要望には、より熱心にこたえていこうとしています。そして中部経済産業局が打ち出した東海三県の自治体と経済界が協力し、外資企業の誘致を中心とした、いわゆる「グレーター・ナゴヤ・イニシアチブ」(大名古屋経済圏構想)にもとづき名古屋駅周辺を「国際ビジネスの一大拠点の形成」と位置づけ、「万博」や「空港」の次には「都市再生」により超高層ビル建設など本格化させようとしています。
新年度予算案では、既存の中小企業や商店街などへの対策予算は、今年度より8,800万円も削られ、合計9億円でしかないのに、トヨタ・毎日ビルには6億円、名鉄・中電・トヨタなどの「ルーセントタワー」に10億円、三井ビルに2億円、と、三つのビルに合計18億円、既存の中小企業予算の2倍の補助金が予定されています。これらの「都市再生」に対する補助金は今後さらに増えていくと思われます。そうなれば市民向け予算がますます削減され、いっそう市民に犠牲を強いる市政となるでしょう。
さらに「都市再生」は、規制緩和などにより大企業に大きなメリットがあるものの、その地域に居住する住民にはとっては居住環境が破壊され住みにくいまちにならざるを得ません。このような、まち壊しにつながり、新たな浪費を生み出す「都市再生緊急整備地域」の指定を返上すべきではないでしょうか。見解を求めます。
【住宅都市局長】
都市再生緊急整備地域について。都市再生緊急整備地域の指定にあたっては民間の資金やノウハウを活用して、都市の魅力と国際競争力を高め事業を推進する有効な手だてである、と認識している。この地域の指定に際して、議会に諮り、国に申し出を行い、法律に基づき国が指定したもの。その結果、平成14年に名古屋駅、伏見、栄地区など合わせて約428ヘクタールが指定を受けた。都市再生緊急整備地域は都市再生の拠点として、また都市全体に波及効果をもたらし、都市開発事業を誘導する地域だ。これにより都心部をはじめ元気ななごやに大いに寄与するものとして今後も期待しており、指定を返上する考えはない。
中小企業の活性化こそ優先を
【村瀬議員】 新たな施策として予算化された海外からの企業誘致への支援とともに、重点産業立地促進助成は、一企業だけでも最高10億円まで助成金を出すことも可能になっています。都心部事業所開設促進助成は、名古屋駅前のトヨタ・毎日ビルはじめ大企業のオフィスビルを支援するというものですが、市内に初進出であればトヨタグループの企業も助成対象であります。こういった施策が市内事業所の99%を占める中小企業や地域経済の活性化につながるかどうか疑問です。
都心部事業所開設促進助成でトヨタ・毎日ビルなど大企業のオフィスビルを支援するよりも、既存の中小企業を守り、活性化させることに重点を置くべきでないでしょうか。
【市民経済局長】
ポスト万博・企業誘致・既存中小企業活性化について。当市産業において極めて重要な役割を果たしている中小企業活性化について、従来からきめ細かく施策を展開している。中部国際空港の開港や愛・地球博の開催を契機に産業活性化や雇用機会の創出をはかるため、現在、産業活性化プランの策定をすすめている。このプランの計画を一つ一つ着実に実施していきたい。
具体的には、国内外からの企業誘致活動を推進し名古屋駅から栄、伏見を中心とした都心部に、国際ビジネスを展開する企業、都市型産業を進出させることが地元中小企業のビジネスチャンスの拡大にもつながると考えている。また、既存の中小企業の活性化については、従来の施策に加えて技術支援の充実だとか、新産業支援資金の貸し付け、ものづくり産業支援資金の貸し付け拡充などかかげてさらに積極的に支援に努めていく。
《4 教育の運営費の増額を》
【村瀬議員】 新年度予算案で注目すべき点は、教育予算の中の小中学校の運営費予算が大幅に削減されていることです。市内小中の各学校での教育活動に必要な経費や維持管理のために必要な経費である標準運営費は、2,002年以来財政赤字を理由に3年間連続して削減されました。この結果、学校では、「教材用の画用紙やビー紙が不足している」とか「算数セットが父母負担となっている学校も出ている」などの声が出ています。 2003年度決算の委員会で(当時は削減率小学校17% 中学校15%)わが党議員の追及に対し、市教委は「もう我慢の限界です」と答弁する始末です。
その上、この新年度予算案では、さらに1割カットされ、2001年当時と比べれば生徒一人当たり小学校で33%減、中学校では30%の減額です(小学校38,726円→25,871円 中学校48,849円→34,365円)。税収もわずかながら増え、借金も若干は減らせる見通しなのに、なぜ小中学校の標準学校運営費や光熱水費を削減しなければならないのでしょうか。合理的な理屈は見当たりません。
市長、あなたは教育現場から「もう我慢の限界です」という声が出ているのに、さらに減らそうとしていますが、現場の声をいったいどのように受け止めているのでしょうか、お聞きします。そして小中学校の標準運営費、光熱水費の予算額を削減前に戻すおつもりはありませんか。市長の見解をお聞かせください。
【教育長】
小中学校の標準運営費と光熱水費削減について。教育委員会としては財政状況が厳しい中、経費削減に努めているが、日頃の教育活動に支障が出ないよう配慮している。学校の日頃の節約の努力も承知している。予算も限られていることから、資源の有効活用や予算の効率的執行に取り組んでいる。しかしながら、教育活動に支障が出ないよう負担していくことが大切なので、平成17年度は学校歳入予算であるマイスクールプランを増額し、教育活動に必要な予算を計上するとともに、光熱水費についても学校運営に支障のないよう予算確保に努めた。議員の「教育運営費等を元に戻すつもりはないか」とのお尋ねだが、そのような考えはない。
<< 目次へ戻る
《5 消防職員が不足しているのに削減と万博派遣》
【村瀬議員】 市長は新年度予算の提案説明で三つの重点テーマの第1に「安心・安全をささえあうまち」を掲げられました。現在、国の消防力基準に照らして本市の消防職員の充足率は、91%でしかありません。ところが、新年度予算案では消防職員が14人も減らされることになっています。増やさなければいけないのに減らすとは、やることがさかさまではありませんか。
そのうえ、さらに、本日3月1日から愛知万博開催中、24人の消防職員と消防車両6両を万博消防署に派遣させると聞きました。4月から現在人員より38人減員された状態になります。もちろん、万博会場の消防体制は必要ですが、だからといって、ただでさえ消防力基準に満たない名古屋市の消防体制をさらに削っていいということにはなりません。万博消防署に必要な人員は、むしろ増員すべきではありませんか。万博が終われば、不足している部署に配属させればそれで済むことです。
万博消防署への派遣により、本市の消防防災体制を後退させることは、市長の重点テーマ「安心・安全をささえあうまち」に反することにはならないでしょうか。市長、お答えください。
【市長】
万博開催にあたっては万博にふさわしい消防防災体制の確立を目指し、愛知県を中心として県内消防本部等が参加した愛知万博消防防災対策本部において検討を進めてきた。期間中における来場者の安全を確保するために、県内の全消防本部からの派遣協力体制のもと89名体制の消防署が設置されることをうけて、本市からも24名の派遣をする。
派遣に要する消防職員の補助として採用するなど、必要な職員の確保につとめる。派遣期間中、消防署に負担がかからないように方策を講じていく。開催期間中においても市民の生命、財産を守るために消防署勤務員の訓練研修の効率化などおこない、必要な消防防災体制を維持していきたい。市内と博覧会会場の双方に万全にすることが重要だ。
<< 目次へ戻る
《6 平和と憲法の問題について》
平和市長会議に加盟を
【村瀬議員】 「国際紛争は力による解決でなく、話し合いによる解決を」、この流れが世界の大きな流れとなっています。その流れのひとつに平和市長会議の活動があります。1982年の第二回国連軍縮特別総会において荒木広島市長(当時)の提唱で平和市長会議が結成され、現在、世界110カ国の714都市の参加があります。ちなみに本市と姉妹都市であるロサンゼルス、シドニー、そしてトリノ市も加盟しています。この平和市長会議に名古屋市も加盟して、世界の平和、核兵器の廃絶の協働に加わるべきではないでしょうか。市長の見解をお聞きします。
【市長】
和市長会議は昭和57年に広島市長が提唱し設けられたものだ。日本では広島市と長崎市の2市が加盟している。本市は昭和38年に採択された名古屋市平和都市宣言に基づき行政運営を行っているが、核兵器廃絶につきましても昭和57年に「核兵器全面撤廃に関する意見書」の提出、平成10年には「インド、パキスタンの地下核実験に対する抗議」をはじめ、平和市長会議に加わるまでもなく様々な取り組みを行っているし、今後も対応をすすめたい。
憲法9条をまもれ
【村瀬議員】 今年は先の戦争終結から60周年、被爆60周年でもあります。アジア諸国民2000万人、日本国民310万人の犠牲のうえに、非戦、戦力不保持を世界に宣言した日本国憲法は、世界の多くの国の人たちに支持され、世界と日本の平和に大きく貢献してきたことは、誰しも否定できません。
今、この憲法、とりわけ9条を改定しようとする動きがある反面、9条を守ろう、と著名人らによる「9条の会」の活動も広がっています。松原市長の「マニフェスト」では、憲法9条についてはふれておられません。そこでお聞きしますが、市長は憲法9条が世界と日本の平和に果たしてきた役割をどのように認識されているのでしょうか、お聞きします。また市長は、憲法を市の行政に生かし、憲法を遵守する義務を果たすよう求めるものです。
【市長】
憲法9条の認識について、日本国憲法の平和主義が、世界での我が国の果たしてきた役割が非常に大きい、と認識している。現在この憲法第9条をはじめ、憲法全体について国政レベルで盛んに議論がされている。私としては憲法が国の最高法規であることから、国民の間で十分議論がなされることを期待している。日本国憲法は国の最高法規であって、憲法の中に地方自治に関する記載がある。さらに私たち公務員が憲法を尊重し擁護する義務があることも、条文中にある。私どもはこれにのっとり、日頃、行政運営に努めている。
※松原市長は本会議終了後、「(改憲せずに)解釈でいろいろやるのはよくないと考えている。論憲は必要だ」との考えを示した。(毎日新聞 05年3月2日)
市民犠牲の市政を市民は許さない
【村瀬議員】 市長答弁では「とにかくカネがない、財政が赤字だから市民負担は仕方がない、市民犠牲はしょうがない」一言で言えば、そういうことにつきる内容だったと思います。
しかし、市長、あなたは4年前の前回市長選挙の時に「福祉の充実」を公約されていたのではありませんか。この福祉の充実で何を言っているか。「65歳以上の高齢者(所得要件なし)に敬老特別乗車券を交付しているのは名古屋だけ。」「福祉給付金制度(老人保健制度及び68・69歳老人医療費助成制度対象者の一部負担金無料化)があるのは名古屋だけ」「要介護高齢者等福祉金(利用者負担の軽減のため要介護者の低所得者に支給)があるのは名古屋だけ」「国民健康保険で、世帯主の医療費の保険給付割合を8割にしているのは、名古屋だけ」これらみんななくなったじゃないですか。
これが福祉の切り捨てでなくてなんですか。こういうことをどんどんやっておいて「カネがない、カネがない」。しかし、万博や空港や私が例に挙げましたムダな公共事業や大型開発にはどんどんおカネをつぎ込んでいるじゃないですか。こういう市政が市民の支持があなたは得られると思っているのですか。こういう市政の継続は決して市民が許さないと指摘して私の質問を終わります。
以上
<< 目次へ戻る
|