名古屋港管理組合議会 一般質問(3月16日) 山口きよあき議員 スーパー中枢港湾指定に係る諸問題について大水深バースの建設費総額はいくらか【山口議員】高規格の大水深バースの整備を条件に指定を受けたスーパー中枢港湾ですが、その目的のひとつに、港湾コストを削減し、アジア地域での港湾間競争に打ち勝つというものがあります。具体的な目標は港湾コスト3割削減と言われています。そのために、港湾施設の集約と大型化、コンテナターミナル運営の民間委託、労働コストの削減、港湾の様々な規制緩和の促進などが進められるということですが、そこにはいくつか見過ごせない問題があります。以下数点うかがいます。 コンテナターミナルによる増収は【山口議員】巨額の設備投資をして造成するこのコンテナターミナルは、建設から管理運営にいたるほとんどが公社と民間会社の手に委ねられます。この岸壁ターミナルは国の直轄事業として建設されていますが、完成したのちはどうなるのでしょうか。民間会社に委ねるということは、国から会社に貸し付けるということなのでしょうか、そうなると管理組合には使用料、貸付料などは入るのでしょうか、入るのならいくらぐらいと見込んでいるのか、明らかにしてください。 トヨタが支配するターミナルにならないか【山口議員】また京浜、阪神のコンテナターミナルとは異なり、名古屋港の新しいコンテナターミナルのオペレーター会社である飛島コンテナふ頭株式会社には、トヨタ物流サービスが30%出資しています。これは、主に港運会社の出資で構成されている他港とは際立った違いです。なぜ名古屋港だけが港湾関係以外の資本が参加した構成になっているのですか、これでは税金を投入してつくった公共岸壁が事実上、特定企業の支配下に置かれるのではありませんか、コンテナターミナルの運営に、名古屋港管理組合はどれだけ、どのように関与できるのか、うかがいます。 コスト削減のしわ寄せに懸念が【山口議員】これまでも港湾の規制緩和が数々進められてきました。リードタイムの短縮、迅速な貨物の積み下ろしでコストを削減するためということですが、永年にわたり港湾の労使間で築かれてきたルールが破壊されるのではないか、との不安の声が、港湾作業を担う労使双方から聞かれます。 働く人の権利を守れ【山口議員】管理組合は、これまでも港湾で働く人たちの福利厚生に努めてきたと思います。どこの岸壁、ふ頭であろうと、どこの港運会社に雇用されていようと、名古屋港で働く人たちに共通する問題として、管理組合として港湾の福利厚生に責任を持ってきたのではないでしょうか。港湾コストの削減が、港湾労働者の雇用と港の働くルールの破壊でもたらされるとしたら見すごせません。港湾で働く人々の福利厚生に責任をもつ管理組合として、この問題にどう対処していくのか、お答えください。 地震と津波への備えについて港湾労働者への避難誘導は【山口議員】東海地震に加えて、東南海・南海地震を想定して愛知県、名古屋市は地域防災計画を改定しました。昨年11月議会では、それらを踏まえて名古屋港の防災計画の改訂を具体化する、と答弁がありましたが、管理組合の防災計画策定は現在どうなっているのか、また本組合の計画では、地震や津波の際に、港湾で働いている人々の避難誘導計画はどう位置づけられているのか、まずうかがいます。 港湾施設の総点検を【山口議員】また昨年12月のインド洋スマトラ沖の巨大地震と大津波は、深刻な被害をもたらしました。あらためて津波の破壊力をみせつけられました。名古屋港では、防潮扉が閉まらない場合を想定した防災訓練は年々実施してきているようですが、津波の被害想定はいまのままで十分なのでしょうか。あらためてこの機会に、地震・津波に備えて、海岸防災施設の総点検をすべきだ、と考えますがいかがでしょうか、お答えください。 危険物積載船への防災対策は【山口議員】先日、一昨年に9号地の石油貯蔵施設で発生した火災事故の責任者が書類送検されました。危険物を取り扱う施設の安全管理体制が厳しく問われています。ところで名古屋港は、コンテナにばかり注目が集まりがちですが、一方で、石油貯蔵タンク、製造業関連の船が多数、出入りしている港でもあります。そこでうかがいます。名古屋港への危険物積載船の出入りはどのくらいあるのか、船舶への防災対策、とりわけ津波の経験がない国の船舶への防災指導はどうしているのか、さらに接岸中に地震・津波が発生した場合の対策はどうなっているのか、教えてください。 指定管理者制度の導入について指定管理者制度の対象施設と計画は【山口議員】指定管理者制度が導入され、地方自治体では具体的な指定が始まっています。統合したばかりのみなと振興財団や緑地保全協会など、組合から管理委託している公の施設が指定管理制度の対象になると思いますが、具体的な対象施設はどれだけあるのか、指定は施設ごとか、法人ごとかなど指定管理者制度の導入計画を明らかにしてください。 また管理組合からの派遣職員、委託先のプロパーについての雇用責任についてはどう考えているかを、おたずねして一回目の質問を終わります。 ■再質問 指定管理者制度でも雇用責任をはたせ(要望)【山口議員】指定管理者制度については、今年1年しっかり個々の財団、施設に即して議論していきたいと思います。今日は、管理組合としての雇用責任を、プロパーをふくめてしっかり果たすことだけ、まず要望しておきます。 防災問題についてなにを点検するのかを明確にして実施を(要望)【山口議員】防潮壁や護岸もふくめて点検を行うという答弁でした。先日も福岡港沖で大きな地震があったばかりです。何を点検するのかが問題です。耐震性をぜひしっかり調査していただきたい、また津波の圧力にも耐えられるかもふくめて、この機会に、徹底的に点検し、必要な補強を進めるよう強く要望します。 船はすぐ動けないではないか【山口議員】防災問題では1点だけ再質問します。係留中の船や、ふ頭で働いている人たちに対しては、「情報伝達、避難誘導をしっかり行う」との答弁でした。策定する計画では、ぜひそうして欲しいのですが、まず現状が問題です。地震が来た、津波が来るぞ、というときに、船はどうすることになっているのか、台風ならば時間的にもよゆうがありますが、地震・津波の時は、沖に出る時間的余裕がありません、また船長などが陸に上がっていて船にすぐ戻れないときなど、現在はどうすることになっていますか、働いている人は現在、どこに避難せよ、となっているのか、船と人についての現状を具体的に答えてください。 スーパー中枢港湾について大水深バースは不要だ【山口議員】管理組合の負担は約400億円、国の直轄事業とはいえ5割近い負担です。これだけの負担をして新しいバースを建設するのに、管理組合には、この整備によって何も収入は増えません、国から民間会社に直接貸し付けるだけだ、という答弁でした。そして、ターミナルの運営も民間会社に委ねるので、そこの運用についても、そこで働く労働者の福利厚生(厚生施設に限定した答弁でしたが)についても会社まかせで管理組合は直接関与できないという答弁でした。 ■要望 防災問題について【山口議員】結局、避難先については、具体的な答弁はありません。6月までに策定する防災計画は、事業者や労働者、近隣住民、海上保安本部、国土交通省、などなど関係者としっかり協議をして、つくりあげていただきたい。船のことは港長まかせでは、防災計画になりません。机上のマニュアルにならぬよう、具体的な計画を策定していただくよう強く要望しておきます。 スーパー中枢港湾について飛島南側のコンテナターミナルの運用開始は12月です。採算性やコストの問題から労働条件まで、まだまだ議論すべき問題点は少なくありません。今後とも引き続き、必要な議論をしていきたい、と申し上げて質問を終わります。 |