政府は、2005年1月開会の第162回国会で、「今後の障害保健福祉施策について(改革のグランドデザイン案)」の内容を盛り込んだ障害者自立支援法を成立させようとしている。これによると、福祉サービスや公費負担医療を受ける利用者に対し、1割の定率(応益)負担を求めるとともに、施設での食費等の自己負担を求めることとなるが、利用料負担と食費等の実費負担を合計すると障害者には負担できないほどの過大な金額となること、多くの福祉サービスの利用を必要とする重度障害者ほど多額の利用料が徴収されること、低所得者への
配慮についても生活保護世帯の場合と、同一生計者全員が市町村民税非課税の場合にしか適用されないなどその範囲が極めて限定的であることから、障害者とその家族の生活に深刻な打撃を与えることになる。
また、制度全般にかかわる大がかりな改革であるにもかかわらず、実施に必要な準備期間が全く考慮されていないなど、地方公共団体においても探刻な混乱をもたらすことが懸念される。
障害者が社会の−員として普通に生活するためには、社会的・福祉的支援や介護等が欠かせない。応益とは、サービスを利用することにより利益が発生して初めて議論されるべきものである。社会的介護を受けることを利益とする考え方は、福祉の基本理念としての人権を根底から否定するものと言わざるを得ない。
私たちは、障害児・者、高齢者も含め、社会福祉制度の根幹にかかわる定率(応益)制度の導入による大幅な自己負担強化に強く反対する。
ついては、貴議会が次の事項を内容とする意見書を政府、衆議院議長及び参議院議長に提出されるようお願いする。
- 障害者・医療・障害者福祉サービスへの定率負担導入を見送ること。
- 制度改革に関して関係者・自治体と十分な協議を行うこと。
- 衆参両議会は拙速に審議を進めることなく、公聴会を中央・地方を含め開催し、障害当事者を含めた意見を聞くこと。
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