個人質問(3月3日) わしの恵子議員

名古屋市が率先して青年雇用を
西区・山田ゴミ焼却工場を閉鎖
妊産婦検診を無料にして

青年に対する支援策について


議場で質問するわしの恵子議員

【わしの議員】
完全失業者の半分が34歳以下の若者です。日本の将来をになう若者が安定した仕事にもつけず、自分の生活もままならない――雇用や労働条件の悪化、教育や家族の変化のなかで、日本の若者は、「このままでは若者の大半が社会的弱者に転落するのではないか」と指摘されるほどの、深刻な状況におかれています。

行政としての対策が急がれるものですが、数点におよんでお聞きします。

本市による雇用の実態はどうか

【わしの議員】
新年度の予算案で市は、若年者就労支援事業としてフリーターやニートを対象に、正規雇用等の実現に向け、勤労意欲の醸成・確立を図ると、親子向け就労支援セミナーやワークショップの開催を行うということですが、「青年の意識」だけを問題にした対策だけで、本当に正規雇用の実現につながるのでしょうか。今の青年たちの多くは、働く意欲がないためにフリーターや、ニートになっているのではないのです。2004年度の国民生活白書でも、若者の就職難と「フリーター」急増の大きな原因について、これまでは「青年の意識の問題」としてきた政府も、大企業の新規採用抑制とアルバイト、派遣などの非正規雇用への切り替えが大きな要因と認めざるを得なくなっています。「正規雇用の実現」をいうなら、こうした現実に目を向けた対策が必要ではないでしょうか。そこで名古屋市役所に働く人たちの雇用実態はどうでしょうか。

この数年間、名古屋市では正規の雇用職員を減らしてパートやアルバイト、嘱託や非常勤職員を増やしていることと思います。調べてみましたら、昨年4月1日現在で、嘱託、アルバイト、パート職員の合計は4247人となり、さらに、市立幼稚園・高校の常勤、非常勤講師を含めれば非正規雇用の職員は2万人の全職員の中の20数%にも上ります。これでは率先して正規雇用の実現をはかるべき名古屋市としては問題ではないでしょうか。

そこで総務局長にお尋ねします。正規の雇用の実現をはかるためにも、名古屋市が正規雇用の増大に努めること、とくに若者の雇用に責任を負うようにすべきではないでしょうか。

【総務局長】
市の多様な業務に対応するため、正規職員や臨時的任用職員、嘱託職員を、必要に応じて配置し、最少の経費で最大の効果を挙げる行政運営に努めなければならない。

正規職員は、長期にわたって業務に従事することを予定し、競争試験又は選考を経て採用している。臨時的任用職員は、一時的な業務繁忙などに対応するため雇用する。嘱託職員は、短い勤務時間で、特定の業務に従事することを予定して雇用している。

今後とも、正規職員、臨時的任用職員、嘱託職員のそれぞれのメリットを活かして、さらに効率的な行政道常に努めたい。

市立高校卒業生の追跡調査をせよ

【わしの議員】
二ートと呼ばれる青年が、名古屋市内にどれだけいるのかきちんと把握する必要があります。たとえば、愛知県内の昨年3月の高校卒業者のうち3267人が無業者であり、高校卒業者数の5%を占めています。さらに、高校中退者が県内で年間約4220人もおり、少なくない中退者が無業者となっていることでしょうから、20代前半までの若年無業者は、愛知県内では数万人、名古屋市内でも万を超えていることが推測できます。しかし、残念ながら名古屋市立高校の卒業生の追跡調査は行われていません。調べてみましたら、2000年当時までは、文科省の指導により、高校卒業後の追跡調査が行われていたということですが、現在は行われていません。

そこで教育長にお尋ねします。ニートやフリーターという立場に置かれている青年たちに対して、行政としての支援をするためにも、まずは名古屋市立高校卒業生の中で、卒業時に進学もしない就職もしない青年たちの追跡調査を行うべきと考えますがいかがでしょうか。

【教育長】
高等学校卒業時に、進学あるいは就職などの進路が決まらない生徒のその後の状況の把握は、従前は文部科学省による卒業半年後の追跡調査に合わせて実施してきたが、平成12年度より文部科学省が調査を取りやめたので、現在は、市立高等学校も調査をしていない。

しかし、昨今、フリーターやニートなどが、深刻な社会問題となっていることは十分承知をしており、高等学校卒業後の進路状況も、調査・把握し、今後の進路指導に生かしていく必要があると考えている。

したがって、市立高等学校は、次年度より、卒業生を対象に9月未現在で進路状況について、追跡調査の実施を予定している。

相談窓口の開設を

【わしの議員】
先日、青年たちと話しをする機会があり、改めて大変ショックを受けました。パートのため年金・健康保険などの社会保険への未加入者が少なくないという問題や、結婚しようと思っても、不安定な働き方をしていては、自信がもてないとか、就職活動をがんばっている若者からは、「自分はダメな人間かもしれない、と落ち込んでしまう」と深刻な声ばかりでした。青年たちが、人間らしく暮らしていけるように、まずは青年たちの悩みや困難に心を寄せることが求められます。

新年度予算案では、新たな青少年教育の中核施設の整備をかかげていますが、そこには、このような青年たちのさまざまな悩みや困難に心を寄せて、相談におうじることができるような「青年のための相談窓口」を開設することを求めますが、教育長の考えをお聞きします。

【教育長】
新たな青少年教育施設の主な機能として、「情報・相談」、「社会参加支援」、「活動発表・交流支援」、「主体的活動支援」の4つを予定しているが、それらの具体的内容は、現在検討を進めている。

この施設は、青少年の多様な夢の実現や交流を支援するとともに、地域で主体的に活躍する青少年を育成する施設としたい。

有給の職業訓練制度の創設を

【わしの議員】
パートやアルバイト、派遣や請負などの不安定雇用は、十分な職業訓練や教育が受けられず、青年自身のスキルアップにつながらないだけでなく、日本の産業技術の継承や発展にも支障をもたらすものです。

市として、青年のための新卒者を含めての有給の職業訓練制度及び、訓練貸付制度の創設をすべきだと思いますがいかがでしょうか。

【市民経済局長】
若年者向けの職業訓練制度として、国が、35歳以下の方を対象に、職業能力や社会人としてのマナー等の習得を目的としたプログラムを、専修学校等に委託して実施をしている。愛知県は、本市をはじめ県下各地に高等技術専門校を設置して、30歳以下の中・高卒者を対象に、木造設計、自動車整備、コンピューター制御などの技能、技術の習得を目的としたプログラムを実施している。なお、公共職業安定所長が公共職業訓練を指示された雇用保険給付対象者には、受講手当、通所手当が支給され、また技能者育成資金の貸付制度の利用も可能となっている。

本市としては、これらを活用していただくよう広報に努めたい。

《山田工場の溶融処理施設について》

環境アセスの実施をせよ

【わしの議員】
西区の山田工場は、昨年4月から稼動がストップし、ごみ焼却工場の役割が終わりました。そして今年度に続いて新年度も溶融処理施設への用途変更調査が行われるとしていますが、山田工場の周辺は、町工場が張り付いており、多くの地域住民が居住している地域です。

これまでも山田工場の稼動中は、地域住民にさまざまな影響を及ぼしてきましたが、灰溶融炉への変更はさらに、地域住民にとって見過ごすことが出来ない問題が生じてきます。山田工場では、南陽工場で出た年間32000トンの焼却灰を、灰溶融炉で溶融処理をするというものです。年間32000トンの焼却灰を処理するためには、日量130トンの炉が必要ということですが、これは、稼動したばかりの名古屋市五条川工場の灰溶融炉の約2倍の規模にもなるものです。周辺地域の方々に影響を与える恐れのある、灰溶融炉の施設の建設についてはあらゆる機会をとおして住民参加・合意を前提にしてすすめることは当然のことです。住民の目線に立って、安全性の確保はもちろん、建設の問題で住民がチェックできるのは、環境アセスメントのときだと思うものです。そこでお尋ねしますが、周辺地域の住民の声を受け止めるためにも環境アセスをしっかり行うべきだと思いますがどのように行われているのでしょうか。

【環境局長】
平成16年3月に閉鎖した山田工場は、現在、他工場から出る焼却灰を溶かす溶融施設に用途変更するという方向で検討を進めている。

環境アセスメントは、施設規模を130tとすると「名古屋市環境影響評価条例」の対象事業には該当せず、溶融施設に係る環境面の調査、予測、評価について「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく生活環境影響調査の方で行うことになる。

現在行っております工場周辺の環境調査は、地元4学区の代表者で構成される「山田工場環境保全協議会」の場で説明し了解の上で実施しているが、工場閉鎖前後の周辺の環境を詳細に把握することができ、地元の皆様の理解を得るための基礎資料となる。

山田工場の用途変更は、地元の理解が重要と考えており、これからも、地元に説明し、意見を聞きながら進めたい。

灰溶融炉の安全性や問題点は

【わしの議員】
灰溶融炉には、施設そのものがもっている問題があります。その点で質問します。いうまでもなく灰溶融炉とはごみを焼却して出てきた灰を1300度から1500度の高熱で溶かし、固形化する施設です。焼却灰を溶融してスラグ化することで、その容積は約半分になるとか、溶融スラグは道路工事などでの有効活用ができるなど利点が宣伝されていますが、まだまだ問題点も多いのではないでしょうか。

1つは、事故が相次いでいることです。2001年8月には愛知県小牧岩倉衛生組合の炉の壁からスラグが流出する事故が起きています。02年1月には、東海市の灰溶融炉で爆発事故が起こり、従業員10人が重軽傷を負っています。

さらに、昨年7月には、静岡市のプラズマ灰溶融炉で水蒸気爆発が起きています。この静岡市の沼上工場では、1日あたりの処理量は60トンで2基の灰溶融炉が設置されていました。山田工場でも日量130トン規模の炉が計画されているそうですので、もし爆発が起これば同じような大惨事になる恐れがあります。

2つは、建設・運転のコストの問題です。灰溶融炉を設置すると、焼却炉の建設コストは、10%から20%増しになるといわれています。また、山田工場では南陽工場で出たごみの焼却灰をいったん冷やしてから運び込み、その焼却灰を、灰溶融炉で再び乾燥させ、さらに温度を超高温に上げるという作業が繰り返されるため、膨大なエネルギーの浪費になります。そのため運転コストですが、130トン規模では、年間億を超える膨大な電気代がかかるそうです。これでは税金の無駄遣いだといわざるをえませんし、地球温暖化防止対策にも逆行することにもなります。

3つは、灰溶融炉から出てきた溶融スラグの使い道は、道路工事などでの有効利用ができるといわれますが、安全性には問題が残ります。もともと焼却灰のなかには、ダイオキシン、水銀、鉛などの重金属類などさまざまな有害物質がふくまれています。焼却灰が溶融・固化されたスラグは、灰の状態よりは漏出の危険は少ないものの、将来にわたって安全といえるのかどうか疑問点は残ったままです。

以上のようにまだまだ技術的に未完成であり、安全面でも疑問が残り、財政的にも大きな負担をまねくような灰溶融炉施設についてどのような認識をされているのか、環境局長の答弁を求めます。

【環境局長】
灰溶融施設は、すでに国内で約80施設が稼動しており、実用化されているが、安全面については、事業を進める上でなお一層留意していく。

山田工場の灰溶融施設への用途変更に当たり、既設建物を活用して建設することや運転コストを抑えるシステムを検討することなどで、建設・運転コストの削減に努めたい。

溶融スラグは、国の定めた溶出基準などにより安全性を確認した上で使用することとしており、スラグの土木資材への利用も、経済産業省で、標準化すなわちJIS化の動きもあり、スラグの利用促進が図られる。

処分場の延命化を図る上で、埋立量削減に大きく寄与する灰溶融施設の整備は、ぜひとも進めなければならない事業である。

《妊婦一般健康診査の拡大について》

無料検診の回数を増やせ

【わしの議員】
1人の女性が産む子どもの数、合計特殊出生率は全国が1,29、名古屋市では、1,18とさらに深刻です。子育て世代の多くが、「子育ての負担を軽くして欲しい」と望んでいます。名古屋市が子育て支援の充実をかかげるのなら、無料妊婦検診の拡大についても真剣に取り組むべきだと考えます。

妊娠・出産の費用は、およそ検診が10万円。分娩・入院費が40万円で合計50万円かかります。出産後に30万円は戻ってきますが、50万円もの現金を用意しなければなりません。

特に近年、フリーターなど不安定雇用の増加により、出産費用は若い夫婦に重くのしかかっています。妊婦検診を受けるために、生活費の節約もしているという涙ぐましい話も聞いています。厚生労働省は96年11月の通達で妊婦検診の望ましい受診回数をおおむね14回としています。そのうち、市の無料妊婦検診は2回のみです。妊婦検診を安心して受けられるよう負担を軽減すべきだと思います。健康福祉局長に質問します。

無料妊婦検診の回数拡大を求めますがいかがでしょうか。

【健康福祉局長】
現在すべての妊婦の方を対象に、妊娠前期に1回、後期に1回、合計2回、市が委託した医療機関において無料で実施している。

この制度は、国の通知に基づいた事業であり、国は、妊娠前期に1回、妊娠後期に1回、合計2回無料で実施する。市としても、国の考えに沿って実施しているが、多くの市町村で同様の実施回数とされている。したがって、実施回数の拡充は、他の指定都市などの動向を見守りたい。

国庫補助制度の復活を

【わしの議員】
また、数年前までは、妊婦検診への国庫補助があったのに現在はなくなったと聞いています。そこで、政府に対して、妊婦検診への国庫補助復活を求めることについても伺います。

【健康福祉局長】
国庫補助の復活ではなく、国の三位一体改革の動きを踏まえ、必要な財源確保という観点から、他の自治体と協力しながら、国への要望に努めたい。

不安定雇用の実態に胸が痛まないのか(再質問)

【わしの議員】
まず本市の雇用実態ですが、非正規の職員を含めてそれぞれのメリットを活かすと総務局長はいわれました。パートやアルバイト、嘱託など非正規の職員は正規職員と比べて待遇格差は大きいと思います。私は最近、市立高校の非常勤講師をしている若い女性から「給料が安くて国保料を払うのが大変」と聞きました。そこで市長におたずねしますが、本市に働く非正規の職員について待遇が悪いことや、雇用期間に制限があり、1年や半年といった雇用契約の更新時に、自分は働き続けられるかと心配しながら不安な気持ちを抱き続けている実態をご存知でしょうか。市長の認識についておうかがいいたします。

【市長】
臨時的認証職員も嘱託職員も、市の行政運営をささえる貴重な人材だ。そういう方々と正規職員がともに本市の行政運営をすすめていく必要な人材である。それぞれ互いに補い合って仕事をすすめていくものだ。

なぜ待遇改善しないのか

【わしの議員】
市長は非正規職員について貴重な人材だといわれました。そうであるならば待遇改善をはかるべきではないでしょうか。わたしはこのことを強く求めます。

さて市長は、これまで名古屋市の職員について大幅に人員削減してきたことを評価されておりますけれども、その一方で、そのために待遇の悪い非正規の職員が多いのは納得することができません。

名古屋市が正規雇用の実現をはかるためにも、正規職員の雇用の増大に努めること、そして若者の雇用にも責任を持つべきだと強く指摘します。

私は今回、青年の問題について総務局はじめ教育委員会、市民経済局に質問いたしましたけれども、青年の支援策については、まだまだこれからだなということを痛感しました。

今後、名古屋市が青年の問題についてしっかり取り組んでいただきたいとおもいます。そして私ども党市議団としても引き続きこの問題を取り上げることを表明いたしまして質問を終わります。