意見書・決議日本共産党をはじめ各会派から提案された12件の意見書・決議案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、6件は適切な修正や調整を行って共同提案に合意し、成立しました。 日本共産党の提案した5案件のうち、米国産牛肉の輸入再開禁止を求める意見書は他党派との合意で一部修正の上可決し、他の4案件は本会議に上程することはできませんでした。
太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。
《採択された意見書》認知症の高齢者等の保護に関する意見書我我が国では、急速な高齢化の進展に伴い認知症の高齢者が増加しており、このような高齢者をねらった悪質な商法による被害が後を絶たず、その一つとして、住宅のリフォーム工事に関するトラブルが問題視されており、悪質な業者に対する早急な対応が求められている。 一方、こうした被害を防ぐため、判断能力が十分ではない成年者を保護する成年後見制度の活用が期待されているが、制度自体があまり知られておらず、手続が煩雑なことや費用の問題などから、その利用が進んでいないのが現状である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、判断能力が十分ではない認知症の高齢者等を保護するため、リフォーム工事に関する法的規制の強化を図るとともに、後見を必要としている成年者を発見し、成年後見制度の利用につなげる制度づくりや費用負担の軽減など、成年後見制度の利用促進に特段の措置を講じるよう強く要望する。 北朝鮮の核兵器開発に関する意見書本年2月、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は核兵器保有を宣言し、核問題解決のための6カ国協議への参加の無期限中断を表明した。さらに、5月には原子炉からの使用済み核燃料棒取り出しを表明するなど、核兵器開発を加速させており、近い将来、核実験に踏み切ることが懸念されている。 また、北朝鮮は、既に我が国のほぼ全域が射程に入る中距離弾道ミサイルを保有しており、このミサイルに核が搭載されることになれば、我が国全土が核の脅威にさらされることとなる。核兵器の廃絶は、世界で唯一の被爆国である我が国国民の切なる願いであり、北朝鮮による核兵器開発は到底容認できるものではない。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、北朝鮮に6カ国協議への早期復帰を促し、核兵器開発を中止・断念させるため、粘り強い外交努力を行うよう強く要望する。 ホームレス援護施策の推進に関する意見書深刻な雇用情勢等により生み出された多数のホームレスは、健康で文化的な生活を送ることができない状態にあり、また、ホームレスが起居する公園等を抱える地域社会においてあつれきが生じるなど、ホームレス問題の解決は放置できない重要な課題となっている。 こうした中、本市では、いわゆる「ホームレス自立支援法」に基づき、「ホームレスの自立の支援等に関する実施計画」を策定し、ホームレス問題の解決に向けて積極的に取り組んでいるところであり、とりわけ就業に向けた訓練を初めとする自立に向けての支援を充実していくことが重要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、ホームレスの自立支援を着実に推進していくため、自立支援事業の利用者及びシェルターの入所者への就労訓練事業に対する財政措置を講じるなど、ホームレス援護施策を充実するよう強く要望する。 公共施設に係る震災対策の強化に関する意見書近年、大規模な地震が相次いで発生し、その被害は甚大なものとなっている。 地震対策においては、建物の耐震化の促進が極めて重要であり、さらなる震災対策の充実が求められている。 こうした中、当地域では、東海及び東南海・南海地震の発生による被害が懸念されており、とりわけ避難所となる学校や災害医療の活動拠点となる病院といった公共施設の耐震化を早急に進めることが強く求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、地震に強いまちづくりの推進に向け、公共施設の耐震化に必要な財源を確保するよう強く要望する。 米国産牛肉の輸入再開に関する意見書政府は、輸入禁止が続く米国産牛肉の輸入再開について、米国との協議の中で輸入牛肉も国内と同一の基準で対応すべきであると主張してきたが、輸入の対象となるBSE検査の必要のない若い牛を生後20カ月以下とすることで合意した。 しかしながら、米国では日本のように牛の個体管理がなされていないため、米国の主張する肉質判別では月齢の正確な把握は難しい。 現状のまま米国産牛肉の輸入が再開されれば、適正に管理された国産牛肉と月齢の不明な米国産牛肉が一緒に店頭に並び、消費者の安全と信頼を大きく揺るがすことになる。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、米国産牛肉の輸入再開については、科学的データに基づき安全性を徹底的に検証するなど、慎重に対応するよう強く要望する。 真の地方分権改革の早期実現に関する意見書昨年8月、地方六団体は、地方分権の理念に沿った三位一体の改革を実現すべく、「国庫補助負担金等に関する改革案」を内閣総理大臣に提出した。 しかしながら、昨年11月に示された「三位一体の改革について」の政府・与党合意の税源移譲案では、その移譲額を平成16年度分も含めおおむね3兆円としており、その8割が示されたものの、残りの約2割については具体化されていない。また、生活保護費負担金など多くの課題が今年中に結論を得ることとして先送りされており、真の地方分権改革というには不十分な内容となっている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、地方財源の拡充を図るため、まずは所得税から個人住民税へ3兆円規模の税源移譲を確実に実施し、また、生活保護費負担金の国庫負担率引き下げを決して行わないなど、地方の意見を踏まえ、真の地方分権改革を実現するよう強く要望する。
《日本共産党が提案し、採択されなかった意見書(案)》郵政民営化法案の撤回を求める意見書(案)今国会において審議されている郵政民営化法案は、郵便・貯金・簡保という郵政三事業を分け、郵便会社と窓口会社の株を100%保有する持ち株会社を新設し、全国一律サービスの義務づけがない郵貯会社と簡保会社は、株式を売却し民営化するというものである。 郵便局は、国民にとって最も身近な公的機関であり、公共料金の支払いや年金の受領など、生活する上でなくてはならないものである。ところが、都市部については、政府も、民営化後に郵便局の数が減ることを明言しているように、民営化が、国民の利便性を後退させることは明らかである。 また、分割・民営化会社の一つである郵便貯金銀行の経営の見通しについては、2016年度の収支が600億円の赤字になり、以降も赤字続きになることが、政府の試算によって明らかになっている。一方、郵政公社が続いた場合は、納付金を納めた後でも、692億円の黒字となる。政府は、新規事業で収益が上がるというが、運用先の候補の中には、投機的性格の強い金融商品も含まれており、政府答弁によっても元本割れしないものはないと認めているように、郵貯・簡保で約340兆円という国民の財産が食いつぶされることにもなりかねない。 国民の利便性を奪うのみならず、その財産をも失うことになりかねないこのような郵政民営化は、絶対に進めるべきではない。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、郵政民営化法案を撤回するよう強く要望する。 JR脱線事故を踏まえた列車運行の安全確保を求める意見書(案)平成17年4月25日、尼崎市のJ R福知山線で発生した列車脱線事故は、死者107人、負傷者549人を数え、J R史上最悪、戦後4番目の大惨事となった。 今回の事故は、JR西日本が平成3年に起こした信楽高原鉄道事故の教訓を生かせず、世界で最も安全と言われる日本の鉄道への信頼を根底から崩壊させたものであり、多数の生命を預かる鉄道事業者は、安全な運行の確保が公共交通機関としての第一の使命であることを再認識する必要がある。 事故の背景として、安全性よりも利益を優先する経営姿勢や他の鉄道事業者との競合路線での過密ダイヤ等による恒常的なスピード超過等の運行面の問題があるほか、新型の自動列車停止装置(ATS)や脱線防止ガードの未設置等の施設面での不備等が指摘されており、原因の究明はもちろんのこと、安全対策の徹底した見直しを図っていくことが急務である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国民の生命と財産を守り、鉄道事業への信頼の回復を図るため、次の措置を早急に講じるよう強く要望する。
障害者自立支援法実の撤回を求める意見書(案)今国会に上程された障害者自立支援法案は、障害者の地域生活と就労を進め、自立を支援するとの観点から障害種別を超えた福祉サービスの一元化や、現行の福祉施策の体系を大幅に見直すなど、今後の障害者施策に大きな影響を及ぼすものとなっている。障害者自立支援法案では、「応益負担」による利用者・家族の負担増が見込まれるが、障害のある人の主たる所得保障である障害基礎年金は、生活保護費よりも極めて低く、到底「応益負担」にこたえられる水準ではない。 また、現行の障害者福祉施策を再編して、新たに「就労支援」を重点とした事業体系を創設し、特に都道府県・市町村等が独自に支援してきた小規模作業所は、NPO法人の取得によって「事業参入できる」方向を提案している。しかし、事業参入が想定される「地域活動支援センター」(新規創設)は、市町村の事業として位置づけられているが、裁量的経費とされているため、国の財政責任が不明確で、市町村の財政負担について十分な説明がされていない。 さらに、今回の法案審議は、福祉サービスの実施機関である市町村の声を十分反映させる時間的保障がないままに進められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、障害者自立支援法案を撤回するよう強く要望する。 近隣諸国との友好関係と国益にかなった外交を求める意見書(案)今日、我が国と近隣アジア諸国との交流は日増しに活発となっており、とりわけ中国との関係は、中部地方の主要産業が進出し交易も盛んであるなど、名古屋市民にとって重要なものとなっている。その一方で、日中首脳の相互訪問が途絶えているなど「政冷経熱」と言われる状況は深刻であり、日中両国間のさまざまなあつれきは、民間交流にも悪影響を与えている。その原因は、我が国の問題では、小泉首相の靖国神社参拝があることは否定できない。 靖国神社は、A級戦犯を合祀し、日本の戦争は正しかったとする戦争観を持っており、植民地支配と侵略に対する反省と謝罪を正式に表明している我が国政府の立場とは相入れない。このような靖国神社へ首相が参拝することに対して、戦争で甚大な被害を受けた近隣諸国が反発することは当然であり、内政干渉として片づけるわけにはいかない。 今、近隣諸国との関係悪化を多くの国民が憂慮しており、歴代首相経験者を初め政府・与党内部でも首相の靖国神社参拝への慎重な対応、自粛・中止を求める声が広がっている。首相が個人的信条を優先させて、アジア地域の友好と相互発展という国家的利益を損なうことがあってはならず、首相は靖国神社参拝を中止するべきである。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、首相の靖国神社参拝中止を初め、我が国が近隣諸国との友好な関係を築き、国益にかなった外交を進めるよう強く要望する。
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