6月議会 議案質疑(7月1日) 黒田二郎議員

(答弁は傍聴者のメモをもとに作成しました。正確には10月頃にできあがる議事録をご覧下さい)

介護保険条例の一部改正及び老人福祉施設条例の一部改正について

介護保険法「改悪」――施設入所の低所得者へ負担軽減措置

これで低所得者対策といえるのか

【黒田議員】
今回の条例改正案は、国会における「改正」介護保険法の成立をうけ、提案されたものです。「法」成立の二日前。6月20日に、国の社会保障審議会介護給付費分科会が開かれています。そこでは、施設入所者の居住費、食費の全額自己負担いわゆるホテルコスト負担の10月実施について、日本医師会や老人保健施設協会、療養病床協会などの委員から「10月から実施する根拠がわからない。利用者をいじめるだけだ」「なんらかの負担緩和、経過措置が必要だ」「現場で混乱がでる」と、批判意見が続出したと伝えられています。そうした問題についてなんら解決されることなく、わずか二日後には、参議院本会議において、数を頼みに介護保険法の改悪が強行されたのです。

ところで、ホテルコストとは、特別養護老人ホームなど介護保険施設に入所する場合、食費、居住費に相当する部分を現行の保険給付からはずして、原則、自己負担とするものです。厚生労働省が示した目安によれば、1ヶ月あたりの利用者負担額は、現在より3万1千円もの負担増となります。ところが、施設入所者の中には負担が困難な利用者もいるため、低所得者対策を行うとされました。具体的には、所得に応じて負担限度額を決め、施設が定める費用額との差額部分を介護保険から補足する仕組みがつくられました。対象となるのは、住民税が世帯全員非課税以下の場合で、申請した人となります。

このうち、年金額が80万円を超え266万円以下の場合は、介護保険から補足給付される部分がある一方、自己負担額も増えます。たとえば、1か月6万7千円の年金をもらっていると、相部屋の場合で、現行4万円の負担が5万5千円となり、1万5千円の負担増となります。残ったお金から医療費や通院費等を支払えば、手元にほとんど残らなくなってしまいます。また、個室の場合は、9万5千円の負担にもなり、年金収入が7〜8万円の人だと年金額を超える負担が取られるということになります。これで低所得者対策と言えるのか、その効果はごく限られたものでしかないと言わなければなりません。

施設によっては、すでに入所者への説明が行われているようですが、今後、説明を受けた利用者から「金が払えない」とか、「個室を相部屋に変えてくれ」、あるいは「食事を3回から2回に減らせないか」など、さまざまな声が出され、「現場で混乱」が生じることは必至です。

そこで、健康福祉局長に2点について、質問します。

新たな保険給付として創設される負担軽減の効果について、本市の場合、現在の介護保険施設入所者数のうちどれだけの人が対象となるのか、その人数と割合についてお答えください。また、その内、現行より実質負担増となる人数と割合についてもお答えください。

施設入所者の57%、1万1千人が負担増(局長)

【健康福祉局長】
「特定入所者介護サービス費」の支給の対象となる入所者は、平成17年4月の実績によると、特別養護老人ホームは全体の84%で約4,170人、介護老人保健施設は全体の48%で約2,320人、介護療養型医療施設は全体の46%で約640人となっている。

 そのうち、現行より実質負担増となるのは、特別養護老人ホームでは27%で約1,160人、介護老人保健施設は38%で約890人、介護療養型医療施設は37%で約240人と見込んでいる。

負担増の利用者の理解は得られない

【黒田議員】
わずか3か月の間に、新しい制度の説明と周知徹底をはかることが求められますが、負担増となる利用者の理解がすんなり得られるとは思えません。また、お金が払えなければ施設を出なければなりませんが、簡単に行く宛が見つかる人ばかりではありません。この3か月間に想定される事態について、どのように認識されているのか、また、どう対応していかれるおつもりか、お答えください。

準備期間が短く、PRに努める

【環境局長】
PFI事業契約は、民間事業者による長期に渡る事業運営を前提にした契約だ。したがって、契約期間中に、事業量の変動や制度変更等を加味した金額としている。

【黒田議員】
現場で混乱をもたらすことについての、認識と対応策を聞いたのに、全く言及がありません。認識が違えば対応が異なってくるのは至極当然のことであります。だからこそ、そこの所をはっきりしてもらわなければなりません。しかし、時間がないのでこの続きについては、関係委員会におきまして同僚議員の審議に委ねることにして質問を終わります。