6月議会 個人質問(6月28日) うめはら紀美子議員

(答弁は傍聴者のメモをもとに作成しました。正確には10月頃にできあがる議事録をご覧下さい)

介護保険の改悪でいっそう深刻な事態にならないか

(1)軽度の人への利用制限はやめよ

【うめはら議員】
5年前、誰もが安心できる老後をめざして介護保険制度が実施されました。国民が期待したような介護保険になっているでしょうか。介護の社会化が進み、中高所得階層のサービス利用が増加しましたし、介護基盤の整備が一定進みました。しかし、低所得者に対する措置制度がなくなり、国や地方の公的責任が後退しました。そのうえ、今回の介護保険法の改正で、介護サービスの切り縮めや負担増など老後の不安がいっそう増すものとなっています。

先日、私どもが主催した介護シンポジウムにおいても深刻な実態が明らかになっています。施設に入所している家族からは「今は年金の7万円で何とかやっているが。10月からいくらかかるのか知りたい。特養ホームでは、いまだに教えてくれない。居住費や食費を取られるようになったら払えなくなる。夫をつれて帰っても面倒を見る人がいない」。93歳の一人暮らしの方からは「ヘルパーさんが週2日来てくれて買い物などをしてくれるので、何とか生活できている。来てもらえなくなったらどうやって暮らしたらよいのか」など切実な声があがりました。

そこで、介護保険の改正について名古屋市としての考えをうかがいます。

まず第一に、軽度「要介護者」の介護サービスの利用制限への対応についてです。多くの高齢者の生活の支えとなっているホームヘルプサービスなどの在宅介護サービスの利用を制限して新予防給付にすることについてお聞きします。

「改正」法では、現在、「要支援」の人及び,「要介護1」のうち急性疾患や認知症の方、トレーニングができない方以外の人が、新しい予防給付サービスに移行し、筋力トレーニングや栄養指導など「介護予防」が中心になります。名古屋市での推計では、現在「要支援」と「要介護1」合わせて3万人いますが、新区分ではそのうち25100人がこれまでの介護給付からはずされます。厚生労動省は外す理由として、家事援助介護サービスを受けることにより「介護者の自立しようとする意欲をさまたげ、介護度が重度化した」としています。

新予防給付となる方は、現在「要支援」の方は無条件で、そして「要介護1」は本人の意向は聞かずに行政処分としての介護認定時に一方的に見直しをされます。そして,新予防給付となった方の予防ケアプランは地域包括支援センターの保健士が作成することになります。

厚生労働省の出した例をあげてみましょう。90歳の「要介護1」の女性のケースです。1人暮らしで転倒骨折し、訪問介護による生活リハビリ、掃除、入浴介助を週3回利用している方です。 厚生労働省の見直し後のプランでは「要支援2」で通所サービスを1・2回利用し、運動機能の向上などの予防サービスを受け、家事が1人でできるようにする訓練をするための訪問介護を週1回受けることになります。この改善策では掃除や買い物については「地域のサービス」となっており見守りが中心です。介護保険での家事代行サービスの生活援助は認められておらず、訪問介護は蒲団干ししか認められていません。この改善策で90歳の一人暮らしの方の生活が支えられるとは思えません。

「新予防給付」でもヘルパーやディーサービスの利用は一律には禁止されないと政府も言い始めましたが、その期間や内容は制限されるといわれています。

そこでお尋ねします。介護保険をはずされ「新予防給付」になる人が名古屋市の予測では25100人と言われていますが、この方たちの中には、新予防給付になると自宅での自立した生活出来ない方が出てくることが予想されます。政府の答弁でも自治体が責任を持ち「地域包括支援センター」で「新予防給付」を行うとしています。名古屋市ではどのように検討されているのか局長お答えください。

一律に従来のサービスをカットするものではない(局長)

【健康福祉局長】
「新予防給付」の対象は、一律に従来のサービスをカットするものではなく、適切なマネジメントに基づいて提供されるサービスは認められる。新予防給付のマネジメントは、従来の居宅介護支援事業者から「地域支援包括支援センター」に変わる。「地域包括支援センター」は、介護予防サービスのマネジメントや権利擁護等、地域における総合相談窓口として、来年度、創設される。

新予防給付の対象者への支援の内容は、国から示される政省令等の具体的な内容をまって、第3期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定の中で検討する。

(2)健康診査の「介護保険化」で負担が増えるのではないか

【うめはら議員】
「改正」によってこれまで市町村が行ってきた65歳以上の「健康診査」を介護保険に組み入れると聞きました。これまでの老人保険事業などが再編され介護保険の「地域支援事業」として吸収されるということです。介護保険に該当しない高齢者を対象に「地域支援事業」を行おうとしています。地域支援事業として高齢者の検診や福祉事業が介護保険になると、これまで70歳以上は無料だった老人健診や福祉事業の自己負担が増える可能性があります。名古屋市の「はつらつ長寿プランなごや2003」では基本検診の2007年度の計画目標を60%としていますが2004年12月実績47.5%しか達成していません。  

自己負担が増えると当然「健康審査」の受診率が更に低下する恐れがあります。今度の介護保険の改正は「予防を重視するため」と政府は言っています。介護予防というならまず検診を受け易くして、早期発見、早期治療が第一ではないでしょうか。局長の見解をお尋ねします。

国からの指示がない(局長)

【健康福祉局長】
現在、国からの情報を得ていない。

(3)利用料負担の軽減をすすめよ

【うめはら議員】
在宅介護者の方から「1か月、1万円の自己負担が限界」と言う声が多く出ています。ですからケアーマネジャーの方はいくらなら出せますかと聞いてケアプランを立てるそうです。在宅サービスの利用率40%台と言う現状は自己負担が大きいために必要なサービスを抑制しているということでないでしょうか。

利用者負担に対する特別施策として県下の自治体のなかには介護手当の支給などで負担の軽減を図っているのです。ところが、名古屋市では昨年まではホームヘルプサービスの利用者への利用料減免や市民税非課税世帯に対する要介護高齢者等福祉金が7500円支給されていましたが、段階的に削られ、今年とうとう全て打ち切られました。

名古屋市は在宅での介護利用料負担の軽減を図り、安心して介護が受けれるような施策が必要かと思いますが局長お答えください。

国の制度としてやるものだ(局長)

【健康福祉局長】
介護保険法は、利用料の減免できる要件が災害などに限定され、市独自の減免は困難。利用料の低所得者対策は、本来法制度の枠組みの中で対応すべきだ。

カットはあるのか。利用軽減策は(再質問)

【うめはら議員】
介護保険の予防給付はサービスの利用制限に一律に従来のサービスをカットしないといったが、カットはあるのですね。利用料減免の点ではこれまで名古屋市は要介護高齢者等福祉給付金を軽減策として行っていると説明してきたが、これは利用料軽減策ではなかったのか。

新制度は国の方針まちだ。軽減は導入当初の話だ(局長)

【健康福祉局長】
国で詳細を検討しており、その内容を検討した上で進める。要介護高齢者等福祉給付金などは制度導入時の対応としてやってきた。

介護サービスの切り捨てはやめよ(意見)

【うめはら議員】
カットを全く行わないという答弁はありませんでした。軽減策を名古屋市としてきちっと打つべきだと思います。政府は自治体の責任で新予防給付を行うといっています。新予防給付となった25100人の方たちに現行水準のサービスを行って、老後がきちっと過ごせるようにする責任が市にはあります。利用料の軽減について、要介護高齢者等福祉給付金は施設介護の費用負担と比較して在宅介護に費用がかかるということでこれまで設けられた制度でもあり、愛知県の自治体の中には介護手当として負担軽減のために行っているところが多数あります。名古屋市でも利用料負担軽減策をとることを強く要望します。介護サービスの切り捨てにならないようにすることこそ安心の名古屋市といえます。今回の改正は必要な介護サービスを取り上げることによって、高齢者の人権と生活を踏みにじるものであり、名古屋市が自治体として住民の福祉を守る責任を果たすこと強く求めます。

市立高等学校の校舎老朽化対策について

改修計画を立てよ

【うめはら議員】
名古屋市には市立高校が14校あり、建設以来40年以上経た校舎が5校あります。老朽化が著しい学校があると聞き、私は、山田高校・緑高校・菊里高校などを訪問し調査をしました。

このコンクリートのかけらは山田高校の4階のひさし部分がかけ、2階のひさしに落下したものです。幸い落ちたところに人がいなく、けが人もなくよかったのですが,若し人に当たっていたら大変なことになっていたとぞっとしました。とりあえず応急修理をして修繕計画を検討中ということですが、それだけで終わっては心配です。校舎周囲のひさしはコンクリートがいたるところで浮いており、廊下やトイレのあちらこちらに亀裂が見えております。天井や壁の痛みが激しく床のPタイルが浮いて欠けています。この校舎は、1978年に建てられてから27年になりますが一度も改修工事がされていません。

つぎに、緑高校です。この高校の校舎は鳴海町時代の鳴海中学を受け継いだものもあり、校舎は1962年の建設です。校舎は増築に増築を重ね接合部の廊下側の天井には亀裂が入り2・3階の廊下や1部の教室の床が波うっています。中学生用の教室であるために狭く、廊下側は木枠の窓がつけられ教室の出入り口は179センチしかないため頭を打たないように気をつけなくてはなりません。また、1967年にできたプールは内側の塩化ビニールシートが劣化し膨張しているため泳いでターンをしようとしてもできないそうです。プールの更衣室は天井のプラスターボードが剥がれ落ちつかえなくなっていますし、プールのろ過機も旧式のため水がろ過されず青こが発生し保健所から指導を受けたということです。

また菊里高校は体育館兼講堂の屋根が老朽化しており雨漏りしていますが改修計画がありません。3階の図書室の外壁は亀裂がはいっています。

さて、一般的に学校は20年を過ぎたら大規模改造工事が実施され本年度4つの小学校が予算化されています。しかし、阪神淡路大地震の後、大規模改造工事は耐震改修が終わってからと後回しにされ、いまだ高等学校の改修計画がないのは問題です。小さな修繕費用は学校運営費からやり繰りしているそうですが、高等学校の運営費は生徒一人当たり6年前27、538円でありましたが今年の予算では18、543円にと大幅に削られました。

小学校や中学校の運営費が削減され現場でもう限界という声をよく聞きましたが、高等学校は、それを以上の事態となっています。耐震改修でも小中学校が改修されているのに比べ高校では耐震診断で優先的に改修しなければならない[2]−2が11棟も残っており、高校だけは大きく遅れています。危険な校舎や老朽化したプールは早急に改修して整備すべきです。

市立高校における危険な校舎の改築・大規模改造工事を早急に進めるべきだと思いますが教育長の見解をお聞きします。

山田高校は7月にも改修する。耐震を優先に、改修を検討する(教育長)

【教育長】
山田高校は、直ちに応急対策工事を行ったが、改めて校舎の総点検を行い、補修が必要とされた箇所の工事を7月に実施する。市立高校は、昭和40年代までに建築された緑高校はじめ9校は、すでに内外装の改修を含む大規模改造を完了している。

昭和50年代に建設された山田高校はじめ3校は、個々の建物の状況を見ながら、早急に改修が必要なものは適切な対策を実施しながら、大規模改造の実施時期などを検討する。

現在は優先的に耐震対策が必要とされる[2]―2の評価を受けた建物の耐震工事を行う。

危険なところを放置して良いのか(再質問)

【うめはら議員】
老朽校舎の問題では、緑高校などは大規模改造が完了したと言うが、危険なところを放置して良いのか。

安全に関わるところは補修する(教育長)

【教育長】
教育環境の改善のために学校施設の耐震対策と合わせ、建物の老朽化への対応も重要な課題だ。生徒の安全に係わる外壁の補修など早急に改修が必要な建物については、大規模改造を待たずに補修工事を実施していきたい。

早急に、改築・大規模改造を(意見)

【うめはら紀美子議員】
このような危険な校舎を放置せず早急に、改築、大規模改造をおこなうことを要望します。