6月議会 個人質問(6月30日) 山口清明議員 (答弁は傍聴者のメモをもとに作成しました。正確には10月頃にできあがる議事録をご覧下さい) ブラジル人等外国籍の子どもの学習権保障について【山口議員】 彼ら日系ブラジル人は1990年の入国管理法改正により定住者として来日できるようになった方々であり、この地方の産業や経済を支える労働力となっています。しかも単身の「出稼ぎ」ではなく「定住」指向が増え、家族や子どもたちも急増しています。愛知県は、いまや全国で最も多くのブラジル人が暮らしている地域となっています。 5月、ブラジルのルラ大統領が来日しました。名古屋市内でブラジル人学校の校長先生たちと懇談しまし、そこで「大統領は『言葉の壁などで学校に行かず非行・犯罪に走るブラジル人の若者が増えていると聞く、すべてのブラジル人が教育を受けられるようにしたい』と語った」と報道されています。 そこで今回は、とくにブラジル人の子どもたちの教育問題に焦点をあて、いくつか質問いたします。 外国人の子どもの学習権の保障を【山口議員】 就学している子どもだけでなく、国籍にかかわりなく、学齢期にある子どもたちみんなに必要な教育を保障する責務が自治体にはある、と私は考えますが、教育長の見解をうかがいます。
実態把握が第一だ【山口議員】 そこで本市として、外国人学校への通学者も含め、学齢期の子どもたちの就学状況を調査し、不就学の子どもにはどんな問題があるのかなど、実態をつかむ必要があると思いますが、教育長の答弁を求めます。
子どもたちに言語と基礎学力を身につけさせるために【山口議員】 日本語教育を必要とする外国人の子どもが市内の小学校には509名在籍しています。うち118名がブラジルの子どもたちです。 そのうち、私の娘も通っていますが、東海小学校では、いま全校児童259人中52人、5人に1人のブラジルの子が学んでいます。そのうち日常会話がまったく問題ないという児童は6年生でたった一人です。ある学年では40人中13人のブラジル人がいっしょに学んでいます。これだけの人数になると日本人のなかに溶け込むよりも、彼ら独自の集団で過ごす時間が長くなり、日本語を覚えなくても、なんとかやっていけてしまうのです。 それでも、先生が何を言っているのかわからないまま、一日中教室で過ごしているのは、相当のストレスです。私も授業参観で、ただ教室にいるだけの姿を見て、何とかできないものかと痛感しました。 中学校になると、長期欠席の生徒も増えてきます。残念な話ですが、親の仕事や用事の際の通訳を頼まれていることが少なくないといいます。 なんとか日本社会で生きぬく力を身につけてもらおう、と先生方もがんばっていますが、その努力にも限界があります。そこで以下、いくつか改善のための提案を申し上げます。 (1)外国語ができる教員の養成・配置を【山口議員】 外国人が10人以上通う学校へは県教委から教員の加配があります。東海小学校にも2名加配されており、日本語教室という仕組みもあります。しかし、この加配はあくまでも教員の数が増えるだけで、とくに外国語ができる教員が配置されるわけではありません。クラスに一人か二人なら、こういう配慮だけでも有効な教育ができたと思いますが、かたまって暮らす外国人が増えてきて、日本語がわからない子どもたちが、特定の学校に集中している状況には十分な対応ができません。国際センターからの通訳派遣もありますが、先生の代わりにはなりません。 ポルトガル語など外国語が話せる教員を採用する、特別に募集する、計画的に養成する、研修や留学などを含めた抜本的な対策が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
(2)独自のカリキュラムを【山口議員】
ブラジル人学校との連携を【山口議員】 県下では10数校あるブラジル人学校ですが、市内では1校だけ、港区にまったくの私立の学校コレージオ・アウレオがあります。そこでは2歳から17歳まで70人の子どもたちが、もともとスーパーマーケットだった所を改造した教室で学んでいます。また日本の学校に通いながら週二日、放課後ここに通うコースもあり、15人が通っています。市内外まで広く送迎もしています。 しかし公的助成もなく、授業料も諸経費込みで月5万円以上かかります。経済的理由で、通いたくても通えない子どもも少なくありません。 この学校には、子どもたちの教育に情熱を燃やす教員がたくさんいます。学校法人にはなっていませんが、ブラジル政府からは正式に認可されている学校です。彼らの力をもっと活かせないのでしょうか。 たとえば、プレスクールとしての活用です。放課後を利用してブラジル人学校で、授業の補修を受けている子どもたちがいますが、これを学校の補修としてきちんと位置づけ、支援できないでしょうか。 また小学校中学校のカリキュラムのなかに、ポルトガル語の授業を組み込み、その授業をブラジル人学校の教員に担ってもらうとか、考えられないでしょうか。 このブラジル人学校では、日本語や日本文化、たとえば「習字」といったカリキュラムもあり、日本人に直接教えてほしい、との要望もあります。教員同志も相互に派遣し、それぞれの学校での教え方だけでも交流できれば、それだけでも大きな意味があると思います。 こうした点を改善すれば、外国人を多数受け入れている、特定の学校にだけ負担がかかっている現状も、ある程度改善できるのではないでしょうか。ブラジル人学校との連携をどうすすめていくのか、教育長の積極的な答弁を求めます。
国・県へ積極的に働きかけを【山口議員】
名古屋市も「外国人集住都市会議」へ参加を【山口議員】 そこで本市も、外国人集住都市会議へ参加し、他都市と力をあわせることが必要と考えますがいかがですか。
就学実態の把握は、「義務がないため困難」でいいのか?(再質問)【山口議員】 不就学の実態調査は、やろうと思えばできる仕事じゃありませんか。法律上、義務づけられていないからやらない、とは、あまりに情けない答弁です。 私は、いろいろ問題があるが、少なくとも就学実態を把握する必要があるのではないか、と聞きました。教育委員会は日本の学校に就学している子どものみが責任範囲なのですか。外国人登録を担当している市民経済局でも、国際交流を担当している市長室でも、就学実態の調査は所管ではないと言われます。そんなことでほんとにいいのですか。 文科省も不就学児の実態調査に着手しました。今年度末に中間報告をまとめ、対策を検討すると聞いています。「どのような原因で学校に通えずにいるのか、自治体職員らに家庭訪問をしてもらいたい」とも文科省は言っているそうです。 少なくとも外国人登録をしている学齢期の子どもが何人いて、そのうち何人が学校に来ていないか、という基礎的な数の把握さえできていないのはあまりにお粗末ではありませんか。 「外国人の子どもの教育と人権ネットワーク」という団体の調査によれば、学齢期の年齢別の外国人登録者数がわからないと回答したのは、県下の市では稲沢と名古屋の二つだけでした。 近郊の自治体でも、国に先駆けて実態調査に取り組むところが増えています。 豊橋、豊田、浜松、磐田、鈴鹿、四日市、大垣、美濃加茂など東海4県の主な自治体はみな取り組み始めています。 もう一つ、岐阜県可児市の報告書がここにあります。ここは2ヵ年続けて、実態調査を行っています。報告書の冒頭には、可児の市長の言葉があります。「国籍に関係なく子どもたちには平等に教育を受ける権利があり、全ての子どもたちが安心して就学できるよう行政としてもサポートしてまいりたい。外国籍の不就学ゼロをめざしたい」こう市長の言葉が載っています。 松原市長!あなたのイニシアチブで、ぜひ行ってもらいたい。外国人の子どもたちの就学実態調査をぜひ行っていただきたい。国際交流拠点都市として発展させようというこの名古屋市で、会話はできるけれど、はっきりいって日本語でも、それぞれの母国語でも、字が書けない、読めないという子どもたちをつくってしまっていいのですか? 市長の積極的なイニシアを、この実態調査の実現に向けて、発揮していただきたい。
外国人と共に暮らすことをプラスのイメージで語り合えるように(意見)【山口議員】 この問題、実は、策定された「名古屋市次世代育成支援行動計画」(なごや子ども・子育てわくわくプラン)には、外国人の子どもたちの問題は、まったく出てきません。「特に支援を必要とする子どもと家庭への支援」という項目にさえ出てこないのです。その点もふまえて、全ての子どもの「最善の利益」を追求すると市長も述べていますが、その言葉どおり、やっていただきたい。 そして市長には、国や県へはもちろんですが、産業界へもぜひ働きかけを強めていただくよう要望しておきます。 たとえば浜松市では、学校法人の認可の規制緩和を、国や県に働きかけ、ペルー人学校がNPO法人として認可されました。そこへ市の助成も始めました。あわせて彼らの多くが働いているホンダやスズキ、ヤマハなど産業界にも応分の負担と支援を求めている、ときいています。 松原市長は、名古屋を「千客万来」の都市にしたいと話していましたが、観光客、お客様としての外国人は歓迎するが、定住者には冷たい、というのでは困ります。多くの外国人と共に暮らすことが、市民にとって、マイナスのイメージで語られるのではなく、プラスのイメージで語り合えるようになりたいものです。 まず調査からです。早急に外国人の子どもたちの就学実態調査を行うよう重ねて要望いたします。 場外船券売場(ボートピア)の誘致・建設は撤回を地元説明会なしの建設強行は許されない【山口議員】 そして建設予定地には、このギャンブル場の建設を進める株式会社「名古屋港開発」が、「名古屋市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整等に関する条例」にもとづく建設予定の看板を立てました。 本市の「建築物条例」は、その目的に「良好な近隣関係の保持」「健全で快適な居住環境の保全及び形成」をかかげており、建築主には「近隣の関係者への説明を行うこと」、及び「説明会の開催を求められた場合には、これに応ずるよう努めること」を求めており、建築確認申請を出す前に、説明または説明会の状況を市長宛に報告することを義務づけています。 しかし「名古屋港開発」は、近隣住民からの再三の要請にもかかわらず、説明会を開催しないまま、状況報告を本市に提出しました。 説明会の開催に応じることは条例上、確かに努力規定ではありますが、この条例制定以来、これまで説明会の開催を拒否したまま、建築確認が認められたことがあったのでしょうか、このままで建設を認めることは、本市の今後のまちづくりにとって、悪しき前例になるのではありませんか。 そこで住宅都市局長にうかがいます。いままでにこの条例にもとづく説明会の開催を拒否したまま、建設を強行した事例がありますか? 地元への説明と合意形成を軽視する、この会社の姿勢には、おおいに問題があり、きびしい指導が必要と考えますがいかがでしょうか?
誘致に同意した市長自身の判断根拠をしめせ【山口議員】 いま裁判にまでなっている千葉県習志野市では、市として「場外舟券売場検討プロジェクト」を設け、問題点を調査し、市民へ必要な情報を提供しています。市長は計画を容認しましたが、それまでの経過も含めて容認した根拠を詳しく市民に公表しています。 神奈川県小田原市では、市議会で誘致を求める陳情が採択されましたが、市長は、地域の諸団体、経済団体や青少年団体などから独自に意見を聴取し、5月24日記者会見を開き「ボートピア(場外船券売場)は都市のイメージダウンにつながる」「市が取り組んでいるまちの活性化や賑いの創出にはボートピアを必要としない。小田原市長として今後とも市内のボートピア設置計画に同意することはない」とのコメントを発表しました。 議会や地元町内会とは別に、市長は市長として、住民の声を聞き、場外舟券売場設置の是非を判断するのが当然ではありませんか。 そこで市長にうかがいます。市長はこの問題で、市民の声をどのように聞いたのでしょうか、そしてなぜ誘致に同意したのか、あなた自身の判断根拠を聞かせてください。 松原市長!港はやはり観光や文化の町として発展させるべきではありませんか。ギャンブルでは町の活性化はできません。先月の区民祭りに市長代理としてあいさつされた因田助役は、「名古屋は元気だ。なかでも港はイタリア村もオープンし、とくに元気だ」と話しておられましたが、そんな街に、なぜ場外舟券売場がいるのですか? 私は、松原市長に誘致への同意を撤回するようあらためて要求します。この点での見解を市長に求めます。
地元医師会も誘致に反対―市長は市民の声を聞くべき(再質問)【山口議員】 市長は、議会の動向や、地元の意見を聞いて判断したということでしたが、地元にある様々な意見を直接聞きましたか。あなた自身の態度決定への説明責任は、いまの答弁では到底十分だとは思えません。 6月25日、次のような「ボートピア建設反対表明」が出されました。短いものなので全文、読み上げます。 「名古屋市港区名港一丁目に計画されている場外舟券売り場建設予定地は名古屋市医師会看護専門学校を含め、半径500m以内に小学校、幼稚園、保育園、病院等があり、港消防署もあります。 場外舟券売り場(ボートピア)利用客が集まれば、交通渋滞、違法駐車など生活環境や治安の悪化が予想されます。 近年、名古屋港では水族館やイタリア村、遊園地等に家族連れの皆さんが多く集まる観光名所となってきており、計画のギャンブル場施設建設は名古屋港の表玄関としては不適と考えます。」 市長、どこの声明か、わかりますか。最後にこうあります。 「よって名古屋市医師会港区支部は名古屋市港区名港一丁目に計画されている場外舟券売り場設置に反対いたします」 この医師会のみなさんの声が、港区の当たり前の市民感覚ではありませんか。舟券売り場はいらない!という声は、ますます広がっているのです。 この場外舟券売場の設置が、本市にどんな影響を及ぼすのか、私はマイナスの評価を表明していますが、市長にもう一度お聞きします。あなたが誘致に賛成したのは当然、この施設が本市にとってマイナスではなく、プラスになるからだと思いますが、いったいどういう点がプラスになると考えられたのか、あなたの誘致に賛成した積極的な理由、市民に堂々と説明できる理由を答えてください。
勇気を持って誘致撤回を!(意見)【山口議員】 プラスのことを全然市民に説明できていません。 名古屋港とその周辺部の「まちづくり」を考えたとき、この場外舟券売場の建設は、将来必ず、まちづくりの障害になっていくと私は思います。 反対の世論は広がる一方です。引き返すのは勇気がいりますが、いまなら間に合います。 誘致を撤回し、ギャンブル場頼みではなく、市民が主人公になるまちづくり、地域の活性化を進めていくよう強く要望しておきます。
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