1985年度予算編成以来、大蔵省(当時)の削減方針により、義務教育費国庫負担金は旅費・施設費・教材費・恩給費・共済費追加費用等が削減され、教職員給与費のみとなった。この21年間、学校事務職員・栄養職員の給与費については、予算編成の度に削減の対象としてあげられてきたが、地方自治体の財政負担増大に対する懸念、学校教育にもたらす影響の大きさから、貴議会を始め地方自治体、教育関係団体等からの広範な反対の声により、そして国会においても衆参両院で請願が採択され、現行国庫負担制度が維持されてきた。
地方税財政の構造改革として三位一体改革が議論される中、昨年8月24日に政府の要請に応じて地方6団体が提出した国庫補助負担金等に関する改革案には、第1期改革分として中学校教職員給与費相当分の8500億円を削減し、第2期改革分として小学校教職員給与費相当分も削減するなど、最終的に義務教育費国庫負担制度を全面廃止することが含まれている。地方6団体の主張は、税源移譲により地方の財政基盤を確立し、国の不必要な関与を排し、自主的な行財政運営を進めるとするものであるが、同制度は学校運営に必要な制度として定着しており、その廃止は理解に窮するものである。文部科学省は総額裁量制の導入により地方の裁量は拡大しているとし、同制度の廃止に反対している。
2005年度予算編成では、2006年度までの2年間で義務教育費国庫負担金を暫定的に8500億円削減することが決定され、2005年度予算では4250億円が削減された。義務教育費国庫負担制度存廃の結論は中央教育審議会に委ねられ、義務教育特別部会で議論が進められている。7月19日の中間報告では存廃両論併記になったが、多数意見は制度堅持と明記されており、最終答申は10月末に出されることになっている。
一方、地方では三位一体改革の実態は地方への負担転嫁による国の財政再建策に過ぎないと指摘する声が強くなっている。昨年度、地方交付税・臨時財政対策債が一挙に減り、予算編成に苦慮する地方自治体が続出したが、財務省は地方交付税の一層の削減を図ろうとしている。
仮に義務教育費国庫負担制度が廃止され、それに見合う税源移譲が実現したとしても、地方交付税に大なたが振るわれるのであれば、地方の財源は縮小し、学校教育予算も削減されざるを得ない。
学校教育予算の削減は学校現場に計り知れない混乱をもたらし、教育水準の低下を招き、将来にわたって取返しのつかない問題を呼び起こすことは必至である。
ついては、教育の向上に最も強い意志と責任を持つ貴議会が、内閣総理大臣、財務大臣、総務大臣及び文部科学大臣に対して、次の事項を内容とする意見書を提出されるようお願いする。
- 2006年度予算に向けて、地方の財政力を強化し、義務教育費国庫負担制度を維持すること。
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