議案質疑(10月4日) わしの恵子議員

公の施設使用料の値上げ・有料化の撤回を

値上げは市民が許さない

【わしの議員】「公の施設にかかる使用料改定」は、市の公の施設1069のうち、法令等で基準が示されている629施設を除いた440施設を対象として、「公の施設にかかる使用料の設定基準」にもとづき、106施設の使用料の値上げを行うとともに、65歳以上の高齢者の入場料は無料制度を廃止し、大人料金の2分の1に有料化するというものです。

この改定案は、その施設の設置目的や使用目的等を考慮することもなく、使用料の設定基準のみを根拠とした画一化した考え方のもとに改定しようというものと思われますが、本来の地方自治体の役割から考えるならば問題です。そこで数点市長に質問します。

第1に、受益者負担についてです。市長の提案理由では、「公の施設の使用料について、施設を利用する人と利用しない人との負担の公平の観点から、施設の性格に応じた公的関与のあり方や収益性などに基づき、利用者に応分の負担をお願いする」ということですが、元来、「公の施設」とは、地方自治法で「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」と定義づけられており、社会を構成する人々の豊かな生活を充実させるために、誰もが利用できる、「市民全体の財産」であり、基本的には公費で賄うべきものです。

そもそも受益者負担の考え方を、「公の施設」にあてはめるのは間違いで、もし料金を徴収するにしても出来るだけ低い料金設定をすべきです。ところが、今回の提案は使用料を値上げするというものです。料金を上げることによって、利用者が減ることになれば、地方自治法の「公の施設」の定義から、大きく外れ、地方自治体の役割を放棄することになります。実際、7月に市財政局が発表した「基準素案」をもとに、市が募集したパブリックコメント(市民意見)でも、値上げ反対が圧倒的多数を占め、怒りの声も大きく広がりました。今回の条例案は、こうした世論を無視できず、全施設での値上げは見送り、値上げ幅に1・5倍の上限を設けたものと思われますが、各施設の収支率が現行のままと仮定して、今回の基準にそのまま当てはめた、わが党の試算では、使用料を10倍以上に値上げしなければならない施設が出てくるという受益者負担の考え方には根拠も、理論性も整合性もなかったということではないでしょうか。

そこで市長に伺います。値上げ幅を抑えたから良いというのではなく、すでに矛盾が生じている受益者負担の名のもとによる「公の施設にかかる使用料改定」の値上げの条例案は撤回すべきではないでしょうか。

応分の利用者負担のために基準を作成した(市長)
【市長】公の施設は、「その利用につき使用料を徴収することができる」と、地方自治法に規定され、市民に一定の負担をお願いすることが想定されているが、使用料の具体的な設定基準などは示されていない。今回、建設費などは市民共有の財産として市税で賄うことにし、管理運営費について利用者に応分の負担をお願いするため、施設の性格に応じた公的関与のあり方や収益性などにより明確な基準を作成した。

なぜ高齢者を直撃する有料化は撤回せよ

【わしの議員】今回の提案は、特に高齢者を直撃するものです。市長提案では、「施設の持続的・安定的な運営を図るため、高齢者の皆様にも一定のご負担をお願いする」として、65歳以上の高齢者(敬老手帳所持者)は、現行無料の名古屋城や東山動植物園、温水プールなどの施設が有料化されるものです。高齢者の社会参加や健康増進活動の機会が奪われることは否めません。高齢者がお孫さんを連れ、名古屋城や動物園に出かけたり、プールなどで健康増進に努めることは、家族にとってもうれしいことです。また、街へ出かけ買い物をしたり、お茶などをすれば、お店にとっても活性化になります。さらに、高齢者の健康増進は、医療費を減らすことにもつながります。だから、ただ単に施設を利用する高齢者だけが受益者というのではなく、家族や街、社会全体が受益者になるといっても過言ではないと思います。にもかかわらずなぜ、受益者負担の名のもとに、高齢者を直撃するような、有料化をするのでしょうか。「昨年の敬老パスの有料化に続くお年寄りいじめは絶対許せない」という怒りの声を市長は聞くべきです。

ポスト万博は、「くらし・福祉」を第一に市政運営を行うべきです。そこで質問します。

高齢者を直撃する、現行無料の施設(名古屋城や東山動植物園、温水プールなど)を有料化することは撤回すべきではないでしょうか。お尋ねします。

施設の持続的・安定的なために一定の負担をお願いする(市長)
【市長】施設の持続的・安定的な連営のため、高齢者にも、一定の負担をお願いする。

大人料金の2分の1としたのは、高齢者と市が等分するという考え方だ。

6月に実施した市民アンケートで、「高齢者も一定の負担が必要」、「するなら2/1」という意見を参考にした。

《貯留施設設置への助成制度を》

【わしの議員】「許可を要する雨水浸透阻害行為の規模等に関する条例案」は、2000年の東海豪雨により甚大な被害がもたらされた新川流域が、特定都市河川流域に指定されたことにより、流域の開発に見合った、雨水貯留浸透施設の設置が義務づけられ、許可制がとられるというものです。許可が必要とされるのは、法令では1,000平方メートル以上の開発が対象ですが、今回の条例によって500平方メートル以上の開発に引き下げるというもので、いっそうの雨水貯留浸透施設の設置が行われることになり、浸水被害の解消に大きな力を発揮するものと、評価するものです。しかし、雨水浸透施設を設置するためには相当の負担が、設置者にかかることになります。

これまでは、公の施設の場合、例えば公園や学校グランドの地下に貯留施設をつくるときには、国からの補助があると思いますが、民間に対する補助も必要と考えます。本市の取り組みを含め、お尋ねします。

雨水流出抑制の促進を検討(局長)
【緑政土木局長】法令・条例による雨水浸透阻害行為の対策における優遇措置としては、設置された雨水貯留浸透施設について固定資産税を軽減する特例措置や日本政策投資銀行による低利融資がある。

雨水流出抑制は、昭和62年に「名古屋市雨水流出抑制実施要項」を定め、市の施設整備に際して雨水流出抑制に取り組んでいる。民間には、共同住宅・事務所など都市計画法に基づく開発行為者に対し協力要請をし、その約9割で実施していただいた。民間における雨水流出抑制の促進は、上下水道局が事務局の名古屋市雨水流出抑制推進会議の技術調査検討部会において、引き続き検討を行う。

パブリックコメントで賛成は数%しかない(意見)

【わしの議員】公の施設について受益者負担の名による値上げ、高齢者の料金有料化は、納得できるものではありません。

市民アンケートを持ち出して、「高齢者も一定の負担が必要」と意見があったといわれましたが、市が実施したパブリックコメントでは、賛成はわずか数パーセントで、反対が圧倒的多数を占めているのです。都合のいいことだけを答弁しないでください。わが党は公の施設についての値上げ、高齢者の有料化撤回の立場に立って、ひきつづき関係の常任委員会において、審議に臨むことを表明して、私の質問を終わります。