意見書・決議

日本共産党をはじめ各会派から提案された8件の意見書・決議案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、3案件は適切な修正などを行って合意し、成立しました。

日本共産党の提案した3案件は他党派が反対し議案として本会議に上程することはできませんでした。生活保護に関する意見書は、政府が継続を決めたため必要がなくなり、取り下げました。

意見書案に対する各会派の態度
(議会運営委員会に提出された意見書・決議案)
意見書案 原案提出 各会派の態度
共産 民主 自民 公明
国勢調査の改善に関する意見書(案) 民主
個人所得課税に関する意見書(案) 民主 修正
感染症対策の充実に関する意見書(案) 自民
改造エアガン対策の強化に関する意見書(案) 公明
「事業仕分け」による行財政の効率化に関する意見書(案) 公明
生活保護費の見直しに関する意見書(案) 共産 取り下げ
「障害者自立支援法」の凍結を求める意見書(案) 共産
自衛隊のイラクからの撤退を求める決議(案) 共産

太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書
議運に提案された段階での態度 ○=賛成 ●=反対
 ●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。
 共産:日本共産党 民主:民主党 自民:自民党 公明:公明党

 

《採択された意見書》

国勢調査の改善に関する意見書

国勢調査は、国内の人口や産業構造等の実態を明らかにし、国及び地方公共団体の各種行政施策の基礎資料を捏供する役割を担っており、国が実施する最も重要な統計調査である。

しかし、先般行われた国勢調査では、個人情報保護を理由とした回答拒否のほか、にせ調査員による調査票の持ち去りや過重な負担による調査員の相次ぐ辞退など、調査をめぐるトラブルが全国的に多発しており、調査方法等の見直しを行うことが求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国勢調査の円滑な実施のため、調査項目の見直しや郵送等による調査票の回収方法を検討するなど、国勢調査の改善を行うよう強く要望する。

感染症対策の充実に関する意見書

近年、東南アジア等を中心に高病原性鳥インフルエンザが流行し、人への感染による死亡例も報告されている。また、最近ではヨーロッパでも同インフルエンザの発生が報告されるなど、その拡大が見られる状況であり、近い将来において突然変異により人から人へ感染する新型インフルエンザの発生が危倶されている。このような事態を受けて、国においては新型インフルエンザに対する行動計画を策定し、本格的な対策に乗り出したところである。

しかしながら、新型インフルエンザ対策のみならず、海外との交流が盛んな現代においては、SARS(重症急性呼吸器症候群)のような新興感染症が蔓延する危険性も高く、こうした感染症への対策等についても強化していくことが必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、新型インフルエンザ対策のみならず、その他の感染症についても、それらの発生や蔓延を防止するため、次の事項について実現を図るよう強く要望する。

  1. 感染症に対する十分な治療薬等の確保及び必要な財源措置を講ずること。
  2. 最新の知見に基づいた医療を国民がひとしく享受できる体制を整備すること。
  3. 研究等用の病原性微生物等の管理体制を強化すること。

改造エアガン対策の強化に関する意見書

改造エアガンによる発砲事件が相次いで発生し、大きな社会問題になっている。

警察庁は事件の続発を受け、全国の警察に対し、改造エアガンに対する取り締まりの強化等を指示しているが、改造エアガンによる事件の防止のためには、警察による取り締まりの強化のみならず、関連する業界団体及びインターネットのサイト運営者による自主規制の強化並びにエアガンに関する広報活動といった、多角的な取り組みが必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、改造エアガン対策を強化し犯罪を防止するため、次の事項を実施するよう強く要望する。

  1. インターネットのサイト運営者に対し、改造エアガンに関する情報提供や出品の自主規制を促すこと。
  2. 玩具としてのエアガンを扱っている業界団体に対し、改造防止のための自主規制を強化するよう求めること。
  3. 青少年や保護者に対し、改造エアガンの危険性について周知を図ること。

 

《日本共産党が提案し、採択されなかった意見書(案)》

生活保護費の見直しに関する意見書(案)

厚生労働省は、「三位一体改革」の関連で、生活保護費等に関する国の責務を一方的に地方に押しつける提案を行った。

生活保護費の国庫負担率を現行の4分の3から2分の1に引き下げ、住宅扶助などについては国庫負担を廃止し、一般財源化するというものである。

生活保護法は、憲法第25条の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し必要な保護を行うとして、国が一義的に責任を負う制度であることを明記している。国庫負担の削減が、憲法と生活保護法の精神鑓威することは明らかである。

国民所得の格差が拡大し、生活に困る人がふえるもとで、生活保護の役割が一層重要になっている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、これ以上国が負うべき財政負担を地方へ転嫁することがないよう、次のことを強く要望する。

  1. 生活保護費の国庫負担率を引き下げないこと。
  2. 老齢加算の廃止、母子加算の削減をやめ、生活保護費を拡充すること。

「障害者自立支援法」の凍結を求める意見書(案)

10月31日衆議院本会議で可決成立した「障害者自立支援法」は、障害者が知りたい制度変更の骨格部分が政省令にゆだねられるなど、障害者の不安を助長させるものとなっているほか、市町村においても来年度予算編成にかかわって財政的負担が懸念されている。

「障害者自立支援法」は、利用料の応益負担及び自己負担導入を前提とするものであり、作業所の工賃を上回る利用料負担など、障害者の生きる意欲さえ奪うものとなっている。また、サービスを多く必要とする重度障害者ほど重い負担を強いるものであり、弱い立場の障害者の生活を破壊するものであると言わざるを得ない。

今、「応益(定率)負担」の導入と食費等の自己負担について再検討することや、実態に合った障害程度区分の判定をすること等、障害者本人や団体の意見を十分尊重し、関係者の声を反映した政省令にすることが強く求められており、それらが明らかでないまま施行されることは、国民の理解が得られない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、「障害者自立支援法」の凍結を強く要望する。

自衛隊のイラクからの撤退を求める決議(案)

イラクに「主権移譲」がされて一年たったが、この間にも、イラクの首相自身が「最悪の戦争状態だ」と言わざるを得ないほど情勢はさらに悪化している。アメリカによる無法な侵略戦争と占領支配が、情勢悪化の根源にあると言わなければならない。

こうした中で、アメリカの「有志連合」と言われイラクに派兵した38カ国中、20カ国が撤退ないし撤退を計画、あるいは削減している状況にある。また、アメリカ国内においても、イラク戦争を批判する世論の声が大きくなってきている。

サマワでは、これまで10回にわたって自衛隊の宿営地が攻撃されているが、アメリカによる占領統治の一つの軍隊と見られている自衛隊がいつ標的にされるかわからない状況にある。このような状況において、自衛隊のイラクからの速やかな撤退を求める世論が高まっている。

よって、名古屋市会は、自衛隊のイラクからの撤退を強く求めるものである。

以上、決議する。