名古屋港管理組合議会 一般質問(11月16日) わしの恵子市議

飛島ふ頭南側コンテナターミナルの利用について

【わしの議員】
通告に従い順次質問します。最初に、飛島ふ頭南側コンテナターミナルの利用についてです。

大水深バースはどうしても必要か

【わしの議員】
飛島ふ頭南側に水深16mの第一バースが完成し、新しいコンテナターミナルとして12月から供用開始されることになりました。私どもは、スーパー中枢港湾指定のために、巨大な大水深バースを3バースも建設するのは過剰な投資ではないか、と指摘してきました。また新しいターミナル運営会社によって、港湾コストを3割も削減して、アジア地域での港湾間競争に打ち勝つのだといわれていますが、そのことによって長年にわたりつくり上げられてきた港湾の労働者の働くルールなどが破壊されるのではないか、との危惧も抱くものです。

そこで大水深バースの稼動を前にして、数点うかがいます。

第1に、大水深バースを具体的に利用するのは、どこの船会社になるのか、またどこの航路の船舶が、年間どのくらい利用することになるのでしょうか。

具体的に、今年度3月末までの入港予定はどうなっているのでしょうか。またそのうち、この16mの水深バースを必要とする船は何隻入港するのか、お答えください。

既存バースからの移行で週5隻の利用(室長)

【企画調整室長】

飛島ふ頭南側コンテナターミナルは飛島コンテナ埠頭株式会社の出資者である日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船3社及びそのグループ船社が利用し、航路は、北米、欧州航路等の基幹航路を主体に年間約300隻が入港する予定だ。

12月供用以降順次、既存ターミナルから移行し、1月以降は週5隻の利用と聞いており、大水深バースを必要とする6万トンを越える船舶は、週2隻見込まれる。

既存バースの利用が減少しないか。

【わしの議員】
第2に、既存のバースへの影響です。いままで使っていた岸壁を変更して、16mバースを利用する船が多いのではないかと考えますが、新しいバースを使った方が、コストがかからないということなのでしょうか。大水深バースの供用により、既存バースとのコスト比較と、船会社(荷主)の費用負担がどう変わるのか、また既存バースの利用が減少することにならないのか、おたずねします。

能力を超えて取り扱っている既存バース(室長)

【企画調整室長】

大水深バースは、既存バースに比べ、高効率な運営を行うため、港湾コストの削減が可能となる。既存バースは、現在、施設能力を大きく上回るコンテナを取り扱っており、大水深バース供用時には既存バースの利用船舶の一部が移行することにより、施設能力に見合った効率的なターミナル運営ができる。

財政への影響は

【わしの議員】
第3に、管理組合の財政への影響です。860億円も投資して、大水深バースを3つも作るということですが、スーパー中枢港湾として、岸壁については国の直接貸し付けによる運営がおこなわれることになり、管理組合への使用料収入はなくなると考えますが、稼動にともなう管理組合の財政収支への影響はどうなるのか、お答えください。

またこれだけの岸壁を維持管理するには相当の費用がかかると思われますが、それへの影響もあわせてお答えください。

【総務部長】

スーパー中枢港湾として、新規制度の導入で係留船舶から直接使用料をいただくということはなくなります。現在、その対応策として、施設借受者との間で他のコンテナターミナルとの均衡を考慮し、港湾管理者の減収とならないよう、調整を進めている。国の直接貸付により、維持管理に伴う費用面の支出も不要となうおので、財政への影響はない。

企業や国に応分の負担を求め、財政負担軽減を(意見)

【わしの議員】
飛島ふ頭についての管理組合への財政の影響についてですが、スーパー中枢港湾として、係留船舶から使用料はもらえないが、その対応策については、「施設借受者との間で調整を進めている、維持管理費も不用であり財政への影響はない」と答弁されましたが、今後、大水深バースの運営に伴って、航路や道路などの維持管理にも相当な費用がかかるものと考えます。ですから、岸壁を利用する企業にも応分の負担をしてもらうべきです。

また、国直轄事業といいながら、管理組合の負担も膨大なものとなるわけですので、国に対しても国直轄事業にふさわしい負担を求めるべきだと意見を述べさせていただきます。

アスベスト対策について

アスベスト混入が確認された施設での対策は

【わしの議員】
先程、名港管理組合が管理している施設の中で吹き付け材にアスベストが混入されて使用された可能性がある1955年頃から1988年頃建設の施設の調査状況が報告され、155施設の中で7施設についてアスベスト混入が確認されました。また、引き続き1996年までの吹き付け材施工においても調査がおこなわれ、結果は水族館南棟でアスベスト混入が確認されたということです。そこでお尋ねします。

第1に、アスベスト混入が確認された施設でのアスベストの使用実態及び施設の利用状況について、また、今後のアスベスト対策をどうするのかお答えください。

測定結果で安全を確認したので見守る(部長)

【建設部長】

7施設においては、断熱材及び耐火被覆材として、天井裏又は屋根裏にアスベストが混入した吹付け材が使用されている。このうち、旧名古屋港案内所の利用は、年に1・2回、旧浚渫事務所共同油倉庫は、ほとんど使用されていない。名古屋港湾会館は不特定の方が利用しており、施設事務所は本組合職員が、金城ふ頭5・6・7号上屋は港湾関係者に利用されている。

これらの施設につきましては、アスベスト粉じん濃度調査の結果、安全性が確認されので、今後、状態の監視を行いつつ利用していきたい。

アスベスト除去が必要だ(再質問)

【わしの議員】
アスベストについては、2つ再質問します。1つ目ですが、アスベスト混入が確認された施設の中には不特定の方や、管理組合職員、港湾関係者に利用されていることが明らかになったにもかかわらず、監視つまり見守るだけでいいのでしょうか。現在、粉じん濃度の調査では安全性が確認されたということですが、今後影響が出てくる恐れがないとはいえません。アスベストの除去対策が必要と考えますが再度答弁求めます。

劣化したら対策を考える(部長)

【建設部長】

これらの施設では、アスベスト粉じん濃度調査の継続的な監視を行い、劣化が認められた場合には、適切な対策を進める。

臨港地域内の民間施設への調査・対策を

【わしの議員】
第2に、管理組合が所有していない臨港地域内の各施設についても吹き付けアスベストの使用実態を調査し対策をたてる必要があると思いますがいかがでしょうか。

実態把握はしていない(部長)

【港営部長】

本組合としてはその実態を把握していない。しかし、港湾管理者としても非常に関心を持っており、情報の収集に努めている。現在、業界では、国からの調査依頼により、倉庫等におけるアスベストの有無について調査中であると聞いている。

輸入・荷役・保管などの労働者(退職者)への不安にこたえよ

【わしの議員】
名古屋港は、日本でも最大規模のアスベスト輸入港でした。私の調査では、1965年から昨年度までの名古屋港のアスベスト輸入量の累計は759113トンに及んでいます。最も多かったのは、1979年の37376トンでしたが、当時は港運事業者もアスベストの危険性に対する認識が弱く、危険な作業体制のもとに港湾荷役がおこなわれていたといわれています。荷役にかかわった港湾労働者の間に発症への不安が広がっています。この間、船員や港湾労働者のアスベスト健康被害も各地で報告され、救済の対象にもなっているところです。そこでお聞きします。

名古屋港でも税関をはじめ港運業者など関係機関と協力して、輸入・荷役・保管などの実態を明らかにし、その作業に従事していた労働者(退職者を含めてです)に対して、健康への不安にこたえる責任があるのではないかと考えますが、港湾管理者としてのアスベスト問題への認識についてお答えください。

事業主の責任だ(部長)

【港営部長】

アスベストの輸入や保管などの作業に従事する労働者の健康管理は、事業主の責任で実施されるべきだ。

アスベストへの諭識が不十分だ(再質問)

【わしの議員】
管理組合の所有ではない臨港地域の施設についての実態調査については、「港湾管理者としても非常に関心はあるが、管理組合としての調査はやらない」また、「輸入・荷役・保管などの作業に従事していた労働者の健康管理については、事業主責任」だといわれ、管理組合としては責任がないというもので、残念な答弁だと思います。

管理組合は、これまでも港湾で働く人たちの健康や福利厚生に努めてきたのではないでしょうか。国土交通省は、吹き付けアスベストの調査の対象施設に、民間建築物も入れています。また、政府においても「石綿新法」の法案を来年の通常国会に提出する予定だといわれています。こんななかで、管理組合のアスベストへの認識が不十分ではないかと考えますが再度答弁を求めます。

業界の調査を待つ(部長)

【港営部長】

労働者の健康管理は、使用実態の把握と同様、港湾管理者としても関心を持っている。業界での調査結果を待ち、状況を把握したいと考えているが、これら作業に従事している労働者の職場環境及び健康管理は、雇用者の責任として、事業主で実施されるべきものだ。

被害が出てからでは遅い(意見)

【わしの議員】

やはり、管理組合のアスベストへの認識が甘いのではないでしょうか。

劣化が認められてからの対策では遅い。アスベストについては、全国でも健康被害が次々と明らかになっています。

発症までに20年、30年もかかるアスベストによる中皮腫や石綿肺による死亡者も出ています。名古屋港の輸入量のピークであった1979年当時の港湾労働者は、「石綿が舞い上がっている中で働いていたものだ」とか「あの当時は、石綿が危険だなんて誰も教えてくれなかった」という声もあります。もはやアスベストは国民的課題となっています。管理組合としても、アスベストが、特定化学物質として大変危険性の高いものだという認識を強め、調査については、アスベスト含有製品の有無についても行うとともに、除去対策など、十分な対策をとるべきだと強く主張して私の質問を終わります。

指定管理者制度について

利用料金制の採用による値上げへの歯止めを

【わしの議員】

今回、指定管理者制度を導入し、指定管理者による管理をおこなわせる公の施設は、名古屋港湾会館、臨港緑地、名古屋港ポートビル及び名古屋港水族館です。そして、これらの施設については、利用料金制度も採用するとしていますが、利用料金制度の導入と、経費削減計画がセットになって指定管理者制度を導入すれば、指定管理者は、利用料金の引き上げや、一層の経費削減で、正規の職員を減らし、パートや派遣労働でまかなうなど労働条件の切り下げをすすめざるを得なくなるのではないか懸念するものです。利用者である市民県民と、そこで働く人にとって良いことは何もないのではないかと思います。そこでお尋ねします。

第1に、指定管理者導入により、利用者にとってプラスになることは何か、利用料金値上げの歯止めはどうするのかお答えください。

料金引き下げを目指すもの(部長)

【担当部長(関連事業担当)】

利用料金制の採用は、指定管理者の創意工夫を活かした経営戦略により、指定管理者の意欲を発揮させる効果があると考え、サービスの種類と質の向上を図り、経費の削減にも効果があると期待している。

また、本組合の利用料金制は、現行使用料を上限として、これより引き下げることを目指すもので、利用料金の上限額の引き上げには、議会の承認が必要となる。

外郭団体職員の雇用に対する責任を

【わしの議員】

第2に、外郭団体である、(財)名古屋みなと振興事業団、(財)名古屋港緑地保全協会の職員の雇用を守ることに、管理組合としてどう責任を果たしていく考えかおたずねします。

連携しながら対応する(部長)

【担当部長(関連事業担当)】

それぞれの外郭団体は、これまでの管理委託制度の中で、港湾管理者と一体となって、行政の一端を担ってきた。

指定管理者制度の導入に伴う外郭団体の職員の雇用は、本組合からの派遣職員は、派遣元である本組合が対応する必要がある。また、プロパー職員は、本組合にも相応の責務があり、今後外郭団体と連携しながら、対応していきたい。