2月定例会 個人質問(3月6日) 田中せつ子議員 留守家庭児童健全育成事業(学童保育)とトワイライトスクールについて少子化対策に重要な学童保育事業の支援を【田中議員】 日本の少子化問題は国際比較からみても深刻です。2004年の全国の出生率は1.29。名古屋市は1.19で、とりわけ深刻な事態です。この原因を究明し、対策を進めるべきであることは、誰が見ても明らかではないでしょうか。名古屋市は少子化対策として「なごや子ども・子育てわくわくプラン」「名古屋市次世代育成支援計画」を策定しています。 「わくわくプラン」よると「合計特殊出生率が低下しているのはどんな理由からですか」というアンケートに対して「子育て費用の負担が大きい」と答えている人が一番多く過半数を占めています。2番目は「仕事と子育ての両立が難しい」と回答しています。内閣府の調査によっても、日本の共働き家庭の世帯数は、1992年に妻が専業主婦の世帯を上回り、この四半世紀で約1.5倍に増えております。長引く不況や、離婚などによるひとり親家庭の増加で「母親が働く」というのは、今や一般的になっています。一人っ子も多く、近所に頼れる両親や親戚がいない家庭も多くなっています。共働きや一人親世帯の市民が安心して子育てができるようにすることが少子化対策の上でも、一番必要だと考えます。そして男性も女性も仕事と子育てしやすい環境をつくっていくことが求められています。 2004年に出された「名古屋市男女平等参画審議会答申」の中で「女性が今まで社会の中で、活躍しにくかったことの根本には、子育てとの両立を可能にする社会的支援体制が整備されていなかったこと」に原因があると位置づけ、「名古屋市が率先して取り組むこと」として「就学児をもつ家庭の子育ても、学童保育の充実などで支援する必要がある」とあります。共働きがふえた30数年前、本市でも学校が終わってから、一人で過ごす子どもの寂しさを何とかしたいと、父母の熱意から学童保育が誕生しました。それ以来、「子どもの放課後を守ろう」「働く女性の権利を守ろう」と歩み続けてきた歴史があります。 そこで、お聞きします。 21世紀の課題である少子化対策と男女平等参画社会をつくるためにも、仕事と子育ての両立が必要だと考えますが、そのためにも学童保育事業を支援することが不可欠ではないでしょうか。市長お答えください。
学童保育の制度化し公的責任を【田中議員】 学童保育への支援をもとめる本議会への請願は、毎年取り組まれ、多いときは50万人もの署名をそえて提出されています。これだけの署名が集まるのは、学童保育がこの30年以上にわたって地域のなかで果たしてきた役割を、広範な市民が理解していることのあらわれではないでしょうか。 学童保育は学校から「ただいまー」と帰ってくる子どもたちを、専任の指導員が「おかえりー」といって迎えてくれます。暑いときなどは、学童保育に帰ってきた子どもは、それぞれ自分のロッカーがあり、その中には、親が用意した服が置いてあり、自宅に帰ってくる子どもがするように、学童保育所でも着替えから始めます。学校でつらいことや悲しいことがあったら保護者がわりの指導員に泣いて話す子もいます。給食から時間が経っていれば当然、育ち盛りの空腹を満たすおやつが準備されています。だからこそ、「学童っ子」は、自然に「ただいまー」と言って学童保育所に帰ってくるのであります。ここには子どもたちの「生活の場」が保障されております。 しかし、政令市の学童保育の保護者負担を比べると、名古屋市の保護者負担は市内平均で約18000円と全国一高いのであります。これでは、経済的に入りたくても入れない児童が出てくることは、お分かりだと思います。学童保育が法制化されてからは、全国的な流れとして、多くの学童保育が、市町村など公的団体の運営になってきています。そうしたところは、家賃負担は父母にかかってきませんし、指導員の身分も正規職員・嘱託職員などが85%も占めています。指導員の人件費も父母負担にはなっていません。全国的な水準と比較すれば、名古屋市の学童保育への助成が大きく立ち遅れているといわざるを得ません。 そんな中でも父母や指導員の粘り強い運動で、2004年度ようやく午後6時までの助成が実現し、05年度は家賃補助の増額や高学年の障害児が助成対象になりました。新年度予算案には、一人親世帯への保育料の助成が提案されているなど一歩ずつ前進はしています。20人以上在籍する学童保育所を大規模学童保育といいますが、ここでは毎年、約800万円から1000万円ぐらいの運営費が必要といわれています。しかし、公的な補助は、年間350万円しかない、助成のところでも、全体の支出の30%〜40%であり、あとは親の費用負担にかかっています。父母たちは地域の行事におけるバザーや、季節ごとの物資販売を取りくみ、その収益で、なんとかやりくりをしているのが現状でありますが、最近はひとり親世帯も増えており、親の運営参加も厳しくなっています。そんな中でも親・指導員・そして地域の方々が「学童保育の子どもの笑顔」が曇らないようにと必死にがんばっているからこそ、学童保育は続いてきたのです。 しかしわが町、名東区では、30年以上続いた学童保育所が、3月で1か所、廃所になるところと3月から大規模から小規模になるところがあります。20人以上だと大規模学童保育所ですが、一人でも減ると小規模になってしまいます。それによって、助成は年間350万円から180万円となり、ますます経営が厳しくなってしまうのです。「小規模になれば、今までがんばってきた指導員も辞めてもらうことになるので、とてもつらい」と父母の会の役員の方たちは言います。「指導員が身分保障もあり、安心して続けられるような状況にならないと、すぐにやめてしまったり、ころころ変わってしまったりする事態になるので、これでは、子どもや保護者との信頼関係が築けない」とも言います。学童保育の施設はどうかといいますと、冬は寒く夏は暑いプレハブで、たたみは擦り切れていたり、じゅうたんは、ガムテープでとめてあったりのところもあります。真夏でもクーラーもない狭い場所で、大規模のところは、30人から40人近くの子どもたちが、生活しているのであります。 そこで質問します。 施設の家賃にも指導員の人件費にも及ばない今の水準だけで、よしとするのでしょうか。公的な責任として職員配置や施設の最低基準をはっきり定めるなど学童保育を公的に保障する条例化を求めますが、市長の答弁を求めます。
学童保育所を全学区へ設置に【田中議員】 昨年度卒園者と今年度の卒園予定者から推定すると、毎年平均7000人以上の保育園児(留守家庭の子どもたち)が名古屋市の学校へ入学する見込みといわれています。この数をもとに小学3年生までの学童保育の対象児童数を推計すると約21000人となります。この子どもたちが保育を必要としているとも考えられます。しかし現在、市内の学童保育所数は、児童館16か所、民間学童保育所180か所であり、学童保育在籍児童は約6000人ですが、学童保育所がない学区が未だに3割もあります。保育を必要としていても、保育が受けられない児童が、単純計算しても約15000人いることになります。 「わくわくプラン」には、学童保育所の数を本年度見込みで183か所。2009年度までの計画目標としては、198か所となっております。全学区に学童保育をつくるという観点に立つならば、この目標数自体も低いと思いますが、現在、学童保育は、本年度見込みにも達せず、減少しています。こんなことでいいのでしょうか。 そこでお尋ねします。この理由はどこにあると考えているのでしょうか。「わくわくプラン」に掲げた目標を達成するために、市として、どのような施策を考えているのでしょうか。健康福祉局長にお尋ねします。
トワイライトと学童は役割が違う【田中議員】 トワイライトスクールは、1997年松原市長が立候補した時の公約ですが、その後、昨年の11月定例会で市長自ら、「トワイライトスクールと学童保育は、歴史、機能が違う」と答弁されておられます。トワイライトスクールは全児童対策であり、学童保育は留守家庭児童対策というように、いままで、それぞれの役割分担が明確にされてきました。 学童保育は「保護者が労働などで昼間家庭にいない児童」、つまり保育を必要としている子どもたちには、「安心感がある」場所と「体も心も受け止める」専任の指導員が必要です。 トワイライトスクールは「全児童対策」だから、登録してあれば誰でもいけます。学校が終わって、トワイライトスクールに行っても、「ただいま」ではなく「こんにちは」と言って入ってくる子供たち。まさに、「今日は、楽しい行事があるから、トワイライトスクールで遊んでこよう」という雰囲気です。専任は元学校関係者一人。スタッフは登録制で日替わりです。参加する子どももスタッフも固定しておりません。登録すればいつでも好きなときに来て、好きなことをする場所のため、参加する予定の子が、その日に来ていなくてもスタッフが把握できないということも往々にしてあるようです。 日によって、仲間集団もスタッフも変るというトワイライトスクールでは、毎日通わなければならない子どもにとっての責任ある「生活の場」をつくることは難しいのです。国も全児童を対象にした施策から97年には学童保育を独立させ、新たに児童福祉法に位置づけ、法制化したのではありませんか。新年度予算では、トワイライトスクールを、午後7時まで時間延長をして、おやつも出すという、共働き家庭にも配慮したモデル事業を提案しています。しかし、親が働いている子どもを、遅くまで預かるのは、本来トワイライトスクールでやることではなく、学童保育の役割ではありませんか 留守家庭児童のためには、児童福祉法で定めた、学童保育があるのに、あえて、トワイライトスクールに、学童保育の機能を持ってくるのでしょうか。共働き家庭のニーズに応えるには、トワイライトスクールを午後7時まで予算化することよりも、学童保育の午後7までの助成をすることのほうが先ではないですか。 トワイライトスクールでは学童保育の代わりにはなりません。3日の代表質問の際にモデル事業で午後7時まで預かる児童について教育長は「登録時に就業や介護などの参加理由を把握する」と答弁されましたが、こうした特定のニーズ、つまり保育のニーズに応えることができるのは、トワイライトスクールではなく、学童保育ではありませんか。 そこで2点お尋ねします。 11月議会答弁とトワイライト時間延長は矛盾する【田中議員】
トワイライトスクールの「時間延長モデル事業」は必要ない【田中議員】
トワイライトスクールに比べて学童の補助が少なすぎる(再質問)【田中議員】 「わくわくプラン」で名古屋市の目標として学童保育所数を198箇所としてあるにもかかわらず、「学童保育は自主的な取り組みだから、できなければできないでいいよ」ということなのでしょうか。一方で、トワイライトスクールは全校実施するといいますが、1校あたり、1000万円かけて整備し、年間800万円近くもの運営費をかけているのに対して、学童保育所は劣悪な環境の中、運営費はその半分ないし、4分の1の公的助成しかありません。これでは、あまりにも扱いに、差がありすぎるのではないですか。市長お答えください。 公的なかかわりより自主性を重んじる【市長】 学童保育への午後7時までの助成を(再質問)【田中議員】
学童つぶして何が少子化対策か(意見)【田中議員】 私がこの質問を取り上げることが、新聞で報道されたら、わが市議団に電話がかかってきました。「4月から入学する子どもをトワイライトに入れようと思って、見学したら、どうも思っていたイメージと違う。そこで、聞いてみたら、親が働いているのだったら、学童保育のほうがいいのではといわれたそうです。 学童保育を見学に行ったら、あまりにぼろぼろなので、わが子をこんなところで生活させると思ったら、涙が出てきた。」というお話でした。そのぐらい劣悪な施設なのです。助成でやっていくといっても、こういう状況をご存知ですか。
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