2006年度6月議会 議案外質問 かとう典子議員

市バス路線の拡充で暮らしやすい緑区に

路線及び運行回数の充実を

【かとう議員】
市バスの路線の充実について質問いたします。

市民が、市内のどこに住んでいても、安心して生活できるようにするために、公共交通を確保することは、行政の重要な責任です。

私は、緑区民の皆さんに、交通問題のアンケートを、行ないましたが、「市バスの路線を延ばしてほしい」「市バスが1時間に1本では利用しづらい」などの回答が、多く寄せられました。

緑区は、山坂が多く、「自転車」での移動は困難で、自家用車かバスを、利用しなくては、区内の移動はできません。商店街がほとんど無く、点在している大型スーパーへの、日常の買い物にも歩いては行けず、休日のスーパー周辺は、自家用車の渋滞が目立っています。

今後、高齢者や障害者など、交通弱者が増えることが予想され、買い物に行けない住民が増加すれば、日常の生活に大きな支障をきたすことになります。そのためには、公共交通の充実、特に市バスの路線、運行回数などを充実させることが必要であると考えます。

そこで交通局長にお尋ねします。

市民が、自家用車から公共交通の市バスを利用する生活に切り替えることができるように、市バスの路線、及び、運行回数を増やしていただきたいと思いますが、お答えください。

地域の開発状況や需要動向等をふまえて整備する

【交通局長】
市バス路線は、(1)バス停まで500メートル、(2)路線間隔は1キロメートル、バス路線相互や鉄道との競合・並行はしない、(3)鉄道に短絡化する、(4)需要に応じた運行密度とし、最低1時間1回の運行、などを基準として整備を進めてきた。

緑区内でも、おおむね1キロメートル間隔で市バス路線網が整備され、運行回数も各バス路線の需要動向に応じた回数を基本とし、需要の少ない路線でも1時間に1回の運行を確保している。

今後も、地域の開発状況や需要動向等をふまえ、バス路線の整備に努めたい。

鳴海駅など名鉄やJRの駅からも市バス路線を

【かとう議員】
さて、緑区内を通る鉄道交通としては、名鉄名古屋本線と、JR東海道本線があります。市バスは、地下鉄野並駅から、放射状に出ていていますが、名鉄やJRの駅につながっている路線はほとんどなく、名鉄・JRの利用者にとっては不便です。駅と駅とを結ぶ市バスの路線を充実させるべきだと思います。

そこで交通局長にお尋ねします。

地下鉄桜通線の徳重への延長は、2010年度を開業目標として工事がはじまり、開業時には、バス路線の再編成がされると思います。バス路線との連絡は、徳重駅だけではなく、たとえば、桜通線の新駅と鶴舞線、名鉄本線、JR線の既設駅も考えられると思いますが、バス路線再編成の基本的な考え方をお尋ねします。

名鉄鳴海駅についてですが、多数の市民が、市バスから降りてから数百メートル歩いて、鳴海駅で乗り換えています。鳴海駅の連続立体交差事業とともに、駅前広場の新設や道路の拡幅が予定されています。市バスを鳴海駅に乗り入れるべきであると思いますが、お答えください。

需要動向等を踏まえ検討したい

【交通局長】
桜通線の徳重延長により、現在の野並から東で、地下鉄鶴舞線と名鉄名古屋本線の間に、都心へ向かう新たな基幹的なルートができる。バス路線は、最寄りの鉄道駅に接続することを基本とし、具体的な路線は、需要動向等を勘案しながら検討していく。

これまでもJR関西本線の春田駅、名鉄名古屋本線の有松駅、八田総合駅などにおいて、駅前広場の整備等にあわせた市バスの乗り入れを実施してきたが、鳴海駅は、需要動向等を踏まえながら、今後、検討していく。

民間バスが廃線されたら市バスの運行を

【かとう議員】
鉄道駅に乗り入れているバス路線の問題では、有松駅の名鉄バスが2年前に廃止となったために、区民は大変困っています。たとえば、今まで有松駅行きのバスに乗り、岡崎方面へ電車に乗り継いでいた人たちが、名鉄電車を利用するためには、市バスで地下鉄 野並駅にでて、名鉄金山まで、大回りをしなければならなくなり、大変不便になっています。

そこでお尋ねします。

民間交通が撤退するとしたとき、市民生活に対する利便性を考え、早急に、それを補完する市バス路線を作るべきだと思いますが 交通局長お答えください。

採算は困難だが総合的に判断したい

【交通局長】
民間バス事業者が撤退した路線では、一般的に採算を見込むことは大変難しいが、隣接するバス路線までの距離、道路の整備状況や需要動向等も踏まえて、総合的に判断していく。

需要を増やすためにどう努力するのか(再質問)

【かとう議員】
市バスについては、鉄道駅に接続することを、基本的な考え方としているとの答弁をいただきました。鳴海駅の完成時、また、地下鉄開始時にはもちろん、この基本的な考え方で進められるとのことです。 区民は今すぐにでも駅への乗り入れ、路線の改善を切実に願っています。1日も早く実現してください。民間バスの撤退についても、住民の声を良く聞いて、ぜひ早急に実現されることを要望します。

次に、バス路線及び運行回数の充実について再質問いたします。

「需要動向等をふまえながら」とか「需要動向等を勘案しながら」といわれた点です。

市バスは1時間に1本しかないので、とても不便だから、市民は自家用車を利用せざるを得ません。それで市バスに乗る人が減って赤字路線が増える。だから運行回数を減らす。これではイタチごっこです。これをどうやって、公共交通を充実させる方向に向けるかです。今現在でも車に乗れない市民が、市バス1本で、市民病院や保健所に行くことのできない地域があります。乗り継ぎは当然といわれるかもしれませんが、1時間に1本のバスでは乗り継ぐたびに1時間近く待たされるからと、利用者は困っておられます。

ただいまのご答弁では、私は納得できません。市民の切実な願いをしっかり受け止めて、バス路線及び運行回数を充実させていただきたいと思いますが、交通局長、あくまで市民の視線に立ってお答えください。

経費がかかるので、効率性と利便性をふまえて努力する

【交通局長】
バス路線や運行回数を増やすためには新たに車両を購入し、乗務員を採用することが必要となり、バスの運行経費が大変大きく増加する。一方、市バスの乗車人員の減少傾向の中で経費の増加に見合う乗車料収入を確保することはきわめてむつかしい。

現在のバス路線は、長年にわたる市民の意見に答えたものであり、運行回数も利用実態をふまえたものだ。今後も効率性の確保と利便性の観点をふまえバス路線の整備に努力する。

経営優先でなく市民の足を守る立場に立て(要望)

【かとう議員】
交通局長のご答弁は、経営の視点ばかりを強調されています。市民の立場に立つなら、これでは困ります。これから地域懇談会も開かれますが、ぜひ市民の声にしっかり耳を傾けてください。 私は、冒頭にも言いましたが、市内のどこに住んでいても市民であり、市民の足を守るのが行政の仕事ではありませんか。

これからの超高齢化社会に交通難民があふれる町にしないよう、充実させることをもとめて質問を終わります。

認定子ども園について

認定子ども園を認めるな

【かとう議員】
幼稚園と保育所を一元化した施設、すなわち「認定こども園」について、質問いたします。

本年5月「認定こども園」についての法律が制定されました。また、名古屋市は、今年度、「幼稚園・保育所一体化施設の設置に向けた検討」を行なうこととしています。

「認定こども園」とは、親の就労にかかわりなく、幼稚園でも保育所でも、その他の認可外施設でも、ゼロ歳児から就学前の子どもを対象に保育・教育を行なうことを可能にする制度で、都道府県の認定をうけて、「認定こども園」となるものです。

私は、国会における政府答弁を見る限り、この「認定こども園」制度では、3つの点で、これまで確保されてきた保育水準を切り下げるものになるのではないかと懸念を持つものです。

1つ目には、職員定数、施設設備などの具体的基準についてです。これを、都道府県が条例で定めるとしていますが、現行の保育所と幼稚園では、人員配置や設備の基準で大きな違いがあります。

例えば給食施設ですが、保育所は調理室が義務付けられていますが、幼稚園は努力義務だけです。しかし、子どもにとっての食事は、大人のそれと違って、生命維持だけでなく成長に欠くことのできない大切な役割を果たしています。子どもの年齢、発達段階、アレルギーの有無などによって、きめ細かな対応が求められます。

また、幼稚園は、必ず運動場を持たなければならないこと、保育園では、0才児には3人に1人の保育士をつけなければならないこと、など、これらは最低基準です。これが必ずしも十分だとはいえないものであるにもかかわらず、「認定こども園」では、この基準が、「望ましい」とされ、必ず守らなければならないものではなくなっています。

2つ目は、入所の手続きについては、施設と利用者との直接契約性が導入されたことから、「保育に欠ける児童」に責任をもつべき「行政」の役割がどうなるのか、「保育に欠ける児童」が守られるのか危惧されます。さらに保育料については、施設が料金を自由に設定できるとされ、父母負担が増えていくことになりはしないか、それぞれの施設で、サービスの自由競争が始まり、お金がある人は、たくさんサービスを受けることができ、本当に「保育に欠ける児童」が、保育を受ける権利は守られなくなりはしないかなど、疑問だらけです。

3つ目には、企業参入を許すと示されていますが、企業の最大の目的は利益を上げることです。子どもやその保護者を育てるという本来の役割から離れ、子どもやその保護者を単なる料金を払う「お客様」としてしか見ず、営利追求の対象とされてしまうのではないでしょうか。 それで、全面的な発達が保障されるのでしょうか。大変疑問です。営利目的の企業は、人間を育てる場にはそぐわないものです。

福祉の民間任せ、お金がなければサービスを受けることができないなど、介護保険制度や障害者自立支援制度の保育版のなるのではないかと危惧されます。

そこでこども青少年局長にお尋ねします。

本市は、今年度、子ども青少年局で、「認定こども園」について検討をおこなうとしています。現時点において、当局は「認定こども園」について、課題をどの様に認識し、今後、その課題にどう対応されていくのかお答えください。

県の条例で認定基準がきまる

【子ども青少年局長】
認定こども園の施設及び運営に関する認定の基準は、文部科学大臣と厚生労働大臣とが協議して定める基準を参酌して、県の条例で定める。具体的な施設及び運営の認定基準は、愛知県の条例制定を待つ。

市は、就学前の子どもに対する適切な幼児教育・保育の機会の提供など、認定こども園に求められる機能の質が十分に確保されるよう検討していく。

安上がりの保育を許してはいけない(要望)

【かとう議員】
色々ご答弁をいただきました。

まず始めに要望を述べます。

「認定こども園」については、そもそも待機児童解消がすすまないので、一気に安上がりに、待機児童解消を片付けようと、出されてきたものです。「認定こども園」の最大の問題は、子どもの視点に立っていないことです。いままで名古屋市は、子どもの視点で保育行政を進め、施設設備や職員配置など、子どもの生活環境を守ってきたはずです。 私は「認定こども園」を取り入れるべきではないと思います。今年度、当局が「認定こども園」について検討するとしていますが、私が指摘した点をふまえて慎重に対応していただくよう要望いたします。

休日保育の充実を

公立園でも実施を

【かとう議員】
休日保育について質問いたします。

働く女性が増えていますが、仕事と子育てを両立させることは大変です。働き方が多様化され、子どもを保育できず、困っている声をよく聞きます。看護師、美容院、自営業はもちろん、スーパーや飲食店など、日曜祝日のほうが忙しくて休めないというサービス業の仕事が増えました。 こうした背景の下、親の願いを積極的に受け止め、休日保育を自主的に取り組んでいる民間保育園もありました。そして、ようやく本市でも今年度から制度として休日保育が市内4箇所で始まりました。当局は2010年までに、10箇所まで増やす計画と言うことですが、前倒しして、早急にひろげるべきです。

そこで子ども青少年局長にお尋ねします。

休日保育を積極的に取り組む保育園をもっと広げて、親の働く形態に見合う保育体制を作るべきです。休日保育について、民間保育園だけでなく、公立保育園も含めて増やすべきと考えますが、お答えください。

2009年度までに10か所での実施を計画している

【子ども青少年局長】
平成21年度までに10か所での実施を計画し、本年5月から市内4か所の民間保育所で事業を開始した。まずは、10か所の速成に向け努力したい。今後、利用者のニーズや利便性を踏まえ、市内における実施園の配置のあり方について検討したい。

官民併せて拡大を(要望)

【かとう議員】
休日保育は、現在、保育を必要とされている子どもたちを、子供にとっていい環境ですごせるよう、ぜひ、早急に休日保育実施園を公立、民間合わせて、広げていただくよう求めます。