2006年度6月議会 議案質疑 わしの恵子議員

児童福祉施設条例の改正について

障害者立支援法で深刻な利用者負担増に

【わしの議員】
今年4月から障害者自立支援法が施行されています。全国各地の障害者の入所・通所施設では、国による軽減措置があるものの、食費や光熱水費の実費負担など、高すぎる利用料に退所せざるをえなくなったり、工賃収入を大幅に上回る利用料負担に施設利用の断念や中止の検討が続出しています。

障害者からは「なぜ働く場からも利用料をとるのか」、施設の経営者からも、報酬単価も減らされ、「施設の廃止も考えざるを得ない」と悲痛な声もでています。

このままでは、障害者の生活は大幅に後退するどころか、障害の重度化にもなりかねないなど、日本の障害者福祉の前途にとって憂うべき事態が起こっています。これは、国が障害者福祉に応益負担を導入したことが最大の原因です。

私は、障害者自立支援法の施行によって、本市においても障害者がどのような影響を受けているのか、一刻も早く実態調査を行い、自立支援法の抜本的な改善を国に求めるべきだと考えます。

児童福祉法も自立支援法にあわせて改定され、児童も利用者負担増へ

児童福祉法の改正に伴い、条例改正がされますが、障害児が地域療育センターなどの施設を利用するときの使用料の徴収を定め、使用料の減免ができるようするものですが、福祉サービスを利用する度に生じる1割の費用負担や給食費など、保護者にはこれまで以上の負担が強いられます。

そこでおうかがいします。費用負担があるために、福祉サービス等の利用を控えることになれば、発達途上にある子どもにとって、「児童が心身ともに健やかに生まれ育成される」ことを目的とする児童福祉法の本旨と相容れないものになります。市長は、今年10月からは障害児施設を利用する家庭に、利用料の負担増と食費の実費負担がおおいかぶさることについて、どのような見解をおもちでしょうか。

国において軽減策を考えるよう要望する(市長)

【市長】
サービスの利用を抑制することにならないよう、国の責任において、家計への影響を充分に考慮し、十分な負担軽減措置を講ずるように国へ強く要望している。

障害児は、早期発見・早期療育がとても大切であり、今回、本市独自の減免規定を盛り込んだ条例改正案を提案した。

児童虐待などには措置の継続が必要だ

【わしの議員】
知的障害児施設に入所している児童をみると、児童虐待や家庭の事情などで、親から離された子どもについては、契約制度を導入することが困難と思われる児童も少なくないと思います。

児童福祉法の改正後も、障害児施設ではこれまでどおり措置制度を継続することも必要だと考えますがいかがでしょうか。

必要なときは措置も行う

【子ども青少年局長】
知的障害児施設など入所施設も、契約が原則となる。虐待等契約になじまないケースは、措置を行うことができるとされており、市としても、現在の入所児童の状況等を十分に把握し、必要な児童については、措置を継続したい。

本市独自の軽減措置を

【わしの議員】
今回の児童福祉法の改正にあたっては、これまでの名古屋市の障害児福祉を後退させることのないようにすべきです。

先日、知的障害児通園施設である地域療育センターを訪問し、お話を伺いました。この施設では、乳幼児期の子どもの発達や、成長面での不安や悩みについて相談に応じ、適切な治療、訓練、保育などのきめ細かな援助が行われており、障害乳幼児の発達支援の場として、大切な役割を果たし、親たちのよりどころとなっています。

こどもを通園させている家族の方からは、「これ以上、負担が増えたら通えなくなってしまう」「利用料の他に、補装具のお金もかかる」と不安の声が届いています。

現行の措置制度による徴収金は、世帯収入に応じて、国基準の0%から25%、50%、60%ときめ細かく設定されています。

条例改正では、国の軽減を行っても、利用料負担が大きくなる通園施設の利用者に対し、市独自の減免ができるようにするというものですが、現状の料金設定のように、きめ細かな段階を設けて、親の負担増にならないような減免措置が必要だと考えます。

名古屋市が、これまでに培ってきた、障害児福祉を後退させないように、独自の減免措置で、現行の負担額と同じ水準でできるようにすべきですが、子ども青少年局長の見解を求めます。

保育所との均衡もふまえ、軽減措置を検討

【子ども青少年局長】
国の説明では、低所得の方に配慮した一定の軽減策が講じられることになっている。市としても、保育所における障害児保育との負担の均衡の観点や、今後政省令で示される国の軽減措置の内容をふまえ、障害児通園施設の利用者負担について、本市独自の軽減措置を検討したい。

障害者福祉の後退はさせてはならない(意見)

【わしの議員】
今回の児童福祉法の改正にあたっては、本市の障害児福祉を後退させないよう求めます。