2006年度6月議会 議案外質問 山口きよあき議員消防体制の充実について消防職員の人員まで削減するのか【山口議員】 今回の事故についての直接的な原因究明と再発防止策は、いま作業の最中だと思います。今日は、消防の職員体制の問題などについて、市長ならびに消防長に何点かうかがいたいと思います。 本市では23年前、栄で起きた地下鉄変電所火災で消防職員が2名亡くなっています。その事故も教訓にして、本市の消防体制は多くの方々の努力で、年々充実がはかられてきました。 また11年前の阪神淡路大震災直後1995年2月定例会では、全会一致で「5年を目途として消防職員の充足率を満たすよう格段の努力をすること」との要望が採択され、その後も救急隊の増設などで消防職員は1998年には2291名となりました。 ところがその後、松原市長は「行革」リストラの名で、職員を削り続け、消防局の職員数は、昨年度には2257人とピーク時よりも34人も減らされました。昨年度はついに、本市創立いらい初めて、事務方ではなく現場に出動する警防要員の職員定数までもが削られました。ひとつひとつの火災現場に出動する体制は、減らしていないと言うかも知れませんが、人を減らした影響は、いざというときに現れるのではないでしょうか。 いま警防要員を減らせるほど、本市の消防力には余裕がありますか。警防要員の充足率は、6年前に国の「消防力の基準」が大幅に緩和された下でも約90%、実数では200人近くも不足しています。そこでまず市長にうかがいます。 なぜ消防職員を、しかも警防要員を減らしたのですか。これでは安心安全なまちづくりにも逆行するのではありませんか、消防管理者としての市長の見解をうかがいます。
今の出動態勢では不十分【山口議員】 消防活動の基本単位は、国基準で1小隊5人です。タンク車1台に5人が搭乗して出動するのが基準です。ところが、現実には休暇対応などにより1小隊当たり5人を切ることが少なくないと聞いています。これでいいのでしょうか。 消防長は、今回の事故を受けて、「現場の士気が低下することがないようにしたい」と言われていますが、いろいろ訓示するよりも、現場が必要とする体制を全市あげて確保することこそ、隊員の士気を高める一番の方法ではありませんか。そこで消防長に質問します。 あなたはいまの人員体制で十分だと考えているのでしょうか? 少なくとも1小隊5人体制を、実際の出動レベルで確保することは譲れないと私は考えますがいかがですか、現場の出動体制についての認識をおたずねます。
指揮隊の人員削減は安全軽視だ【山口議員】 また指揮官は隊員の安全確保面でも大きな責任を負います。その業務を組織的に、より的確に行うために本市でも、23年前の事故を踏まえて専任の指揮隊が創設され、充実させてきたのです。ところが昨年度、12人も削られたのはまさにこの指揮隊の要員なのです。 市民の安全と安心、生命と財産を守るために、消防の体制は拡充こそ必要であって減員などとんでもありません。 消防長、指揮隊の人員を削ったのは問題ではありませんか、お答え下さい。
木造建築物火災への対応を基本に【山口議員】 戦争やテロの備えには力を入れるが、毎日の市民生活での不安をなくす、安全を確保するための課題が結果的におろそかになってはいないでしょうか。 今回の火災は、旧い木造住宅でおきました。市内には、まだたくさんの古い木造住宅があり、とくにそういう所には多くの高齢者が暮らしています。銭湯もなくなり、介護保険も値上がりし、火事は心配だけど、一人で風呂を沸かしたり火を使う高齢者が少なくありません。また最近では、親の留守中に幼い子どもが犠牲となった火災のニュースも目につきます。 高齢者や子どもたちの生命をどう守るか、いってみれば、通常の火災にどう対処するのかが、あらためて問われているのです。 とりわけ今回のケースは、3年前に神戸で同様な事故があったばかりです。高齢化が進み、木造家屋の密集地域がたくさんある本市にとっても他人事ではなく、この事故を受けて、木造家屋の火災での安全管理も現場に注意喚起されていたはずです。 戦争やテロ対策よりも、市民の身近な不安である火災への備えこそ大切です。多くの高齢者が暮らす一般の木造建築物での火災対応にあらためて光をあてるべきです。消防局としてどう考えているのか、消防長にうかがいます。
今後は絶対に殉職者を出さない強い決意で積極的な指針を(要望)【山口議員】 市長も、現場の警防要員は、確保に努める必要があると言いましたね。だったらなぜその大切な要員を削ったのですか、しっかり反省していただきたい。 最近の構造別建物火災件数を見ると、この3年間で、木造建築物の割合が、3割から4割にあがっています。また火災による死者の5割以上は65歳以上の高齢者です。あらゆる災害へ備えるとの答弁でしたが、通常災害への備えに油断は禁物です。 消防庁、いま新しい「消防力の整備指針」を策定中ですね。今回の事故の教訓を受け止め、市民の安全確保を第一に、そして今後は絶対に殉職者を出さない強い決意で、現場の士気も高まる積極的な指針をたてることを強く要望しておきます。 精神医療の本市独自助成について名古屋市だけが有料化した【山口議員】 今日は、昨年11月議会で取り上げた精神医療費の独自助成にしぼってうかがいます。11月には「国の制度の枠組みでやるしかない」との冷たい答弁でしたが、その後、県下の自治体を調べてみて驚きました。 精神の通院医療費を有料化したのは名古屋市だけです。甚目寺町と大口町の2町ではもともと制度が無く有料でした。愛西市など5市町は半額負担があります。しかしそれ以外の県下63市町村中、55市町村が、それぞれの努力で、何らかの形で、精神の通院医療費無料制度を維持しているのです。 自立支援法を理由に有料化したところは本市をのぞき皆無です。これで名古屋は元気だ!と胸を張れますか? 私は恥ずかしくてよう言いません。 健康福祉局長にうかがいます。愛知県下で本市だけが有料化とは、あまりに情けないとは思いませんか。 3月まで、国保の付加金制度でカバーし無料だった精神通院患者は約6600人、この人たちの負担はどうなり、治療は中断してはいないのか、市としてどう状況を把握しているのでしょうか。 ひきこもり問題でも、市の対応のおくれが指摘されました。心の病に真剣に向き合うことは時代の要請です。その第一歩として、名古屋市でも、せめて県下の他都市並みに精神の通院医療費を助成すべきです。局長、お答えください。
精神医療への助成を県下の自治体並みにせよ(再質問)【山口議員】 精神の医療費助成がこのままで、県下の市長さんとお会いするとき、はずかしくないですか。 局長は、負担軽減策の対象が9割と言いましたが、正しくは負担の上限がある方が9割です。ところが通院患者の負担は推計で、月額約3500円、上限までいかない患者が圧倒的、負担の軽減になっていないのです。そして毎月3500円でも、患者の精神的な負担は私たちの想像以上に大きいのです。 市長、よく実態を調査して、患者と家族の声もよく聞いて、せめて県下の主要都市並みの助成はやりましょうよ。3月まで行っていた助成です。市長の政治決断を強く求めます。お答えください。
改定介護保険法下での福祉用具の貸与について市独自に貸与を【山口議員】 改定された介護保険では4月から、要支援(予防介護)と要介護1の方への車イスや特殊寝台(ギャッジベッド)など福祉用具の貸し出しが原則的に出来なくなりました。9月までの猶予期間中に、業者に返すか、10割払って借り続けるか、または多額の費用で購入するか、選択が迫られています。この人たちはまだ介護レベルが低いから、ベッドや車イスは必要ないという理屈なのでしょうが、これは介護の現場を見ていない机上の空論です。 いま返却を迫られている利用者は市内に、車イスで約2500人、特殊寝台(ベッド)で5500人以上にのぼります。みなさんは、車イスやベッドがあるからこそ、外出もでき、部屋の中でもできるだけ起き上がり、寝たきりにならないようにがんばっているのです。 誰も好きこのんで介護度を悪化させようとは思っていません。寝たきりになってから貸し出されても、遅いのです。福祉用具の積極的な貸与こそが、介護度の悪化を防いできたのではありませんか。 今回の改訂により、ヘルパーが支援できる時間も大幅に制限されました。車イスやベッドは貸せないけれど、その代わりヘルパーがしっかり介助します、日常生活動作の訓練をしますというのならまだ話がわからなくもないですが、そうではありません。 こんな状態で、福祉用具を取り上げては、介護予防のかけ声とは裏腹にますます、起き上がらない、歩かない、外出しない高齢者が増え、介護の重度化が進むのではないでしょうか。 ベッドや車イスなどの福祉用具は、介護度が軽い段階から積極的に貸し出し活用してこそ、有効な介護予防になるのです。 本市はこれまでも高齢者福祉施策で、いくつかの生活支援サービスを行ってきました。介護保険だけでは老後を支えられないからこそ「はつらつ長寿プラン」も介護保険の事業計画と保健福祉計画のセットで作られています。ところができたばかりの新プランでは、国が福祉用具をばっさり削ることは想定されておらず、いままでどおりの前提で、福祉用具の貸出し目標が計画に記載されているのです。そこで提案します。 まず10月1日までに返却を迫るのはあまりに過酷です。 せめて市として、まず今年度いっぱいは猶予期間を延長するべきです。そしてその間に、国に制度変更を強く迫るべきです。それでも国が態度を改めないのなら、介護保険ではなく、市の福祉施策として、これまでどおり福祉用具の貸与を続けていただきたい。健康福祉局長に答弁を求めます。
実態を知っているのか(再質問)【山口議員】 あなたは在宅介護の現場をみたことありますか、必要性がないのにベッド使っていると本気で思っているのですか、ケアマネは怒りますよ!高齢者も怒りますよ!自立を妨げている事例を具体的に教えて下さいよ。 先ほども言いましたが、本市の介護保険事業計画には、福祉用具の貸与について、今回の給付制限に関して何も触れておらず、従来通りの制度の下での計画数値が盛り込まれています。原則、貸し出せないはずの予防給付の方にも今年度で7500人、3年後には9400人も福祉用具を貸し出す計画です。 値上げされた介護保険料は、この計画に基づき、算定したのですよね。保険料をあげた根拠のひとつが崩れるじゃありませんか。 保険料は払っても給付は受けられないのでは、市民は到底納得できません。 局長、あなたが選ぶ道は二つしかありません。 計画を修正して、給付は制限するが、その分だけ保険料を下げるか。 それとも計画どおりの給付目標を達成するために、猶予期間の延長や市の施策として福祉用具の貸与を継続するか、どちらかです。 「介護保険事業計画=はつらつ長寿プラン」の担当責任者として、もういちどはっきり答えてください。
もっと市民の実態を知り、苦悩に心を寄せよ(意見)【山口議員】 わが党は、今日取り上げた課題をこれからも徹底的に追求していくことを宣言して、質問を終わります。
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