意見書・決議

日本共産党をはじめ各会派から提案された8件の意見書案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、3案件は適切な修正や調整を行って共同提案の合意が得られ、10月4日に議決しました。

日本共産党の提案した3案件のうち、リハビリテーションに関する診療報酬の緊急改定を求める意見書(案)は他会派の修正で合意し「リハビリテーションの評価体系に関する意見書」として成立しました。

意見書案に対する各会派の態度 (議会運営委員会に提出された意見書・決議案)
意見書案 原案提出 結果 各会派の態度
共産 民主 自民 公明
パートタイム労働者等の均等待遇に関する意見書(案) 民主 否決
公的年金制度の改革に関する意見書(案) 民主 否決
地方交付税の改革に関する意見書(案) 自民 可決 修正 修正
医療制度改革における高齢者負担に関する意見書(案) 自民 否決
生活関連製品の安全確保に関する意見書(案) 公明 可決
庶民大増税の中止を求める意見書(案) 共産 否決
リハビリテーションの評価体系に関する意見書(案) 共産 可決 修正 修正 修正
空中給油・輸送機KC−767の小牧基地配備の撤回を求める意見書(案) 共産 否決
北朝鮮の地下核実験に抗議する決議(案) 議運 可決

太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書
議運に提案された段階での態度 ○=賛成 ●=反対 △=保留
●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。
会派名 共産:日本共産党 民主:民主党 自民:自民党 公明:公明党

 

《採択された意見書》

地方交付税の改革に関する意見書

政府は、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」に基づき、地方分権改革として、国と地方の役割分担や税源移譲を含めた税源配分の見直しなどのほか、地方交付税改革を一体として実施する予定である。

このような中、本市においては、今後も大都市特有の財政需要が増加することが見込まれ、さらに国の景気対策に伴う地方債の増発や地方交付税総額の不足を補うための臨時財政対策債の発行による償還が将来にわたり大きな負担になるなど、財政運営はますます厳しくなることが予測されることから、地方の意見を踏まえて改革を進めていく必要がある。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国の歳出削減のみを目的とした根拠のない地方交付税の削減を行わないことはもとより、国・地方を通じた歳出削減によってもなお生ずる財源不足は法定率の引き上げによって解消するとともに、大都市特有の財政需要を的確に反映させる算定基準め仕組みを構築するなど、大都市の実情に配慮した地方交付税の改革を行うよう強く要望する。

生活関連製品の安全確保関する意見書

ガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故やシュレッダーで幼児が指を切断する事故など、生活に身近な製品による痛ましい事故が相次いでいる。

同様の事故は、各地で発生していたにもかかわらず、国への報告が義務化されていなかったことなどのため、製品の危険性が消費者へ伝わらず事故の拡大を防ぐことができなかった。

これらを受けて、政府は、ガス消費機器等についての安全対策を取りまとめ、メーカーに対する事故報告の義務化などの対策を示したが、消費者の安全のためには、多様化する新製品を含む生活関連製品全般に対する早急かつ継続的な安全対策に取り組む必要がある。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、関係法令の改正等により、ガス消費機器に係る安全対策のみならず、各種製品の事故リスク情報の迅速な公表を行うことを初め、生活関連製品全般の安全確保のための対策を確実に推進するよう強く要望する。

リハビリテーションの評価体系に関する意見書

平成18年度の診療報酬改定により、リハビリテーションに関する評価体系が大きく変えられ、保険診療の適用される期間が限定されたことや集団療法の評価が廃止されたことなど、リハビリテーション医療そのものを大幅に制限するものになった。

その結果、少なくない患者がリハビリテーションを打ち切られたり、訓練回数を制限されたりする事態が生じており、このままではリハビリテーションを必要とする患者の身体機能の低下も懸念されることから、患者の立場に立った見直しが必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. 国の責任において、リハビリテーションに関する評価体系の変更による患者への影響を調査すること。
  2. 個々の患者の必要に応じた十分なリハビリテーションを提供できるように、診療報酬の次期改定を待つことなく、速やかに必要なリハビリテーションの評価体系の見直しを行うこと。

 

北朝鮮の地下核実験に抗議する決議

本年7月のミサイルの発射の暴挙に続き、唯一の被爆国である我が国初め、恒久平和を希求する世界の人々の強い反対にもかかわらず、今般、北朝鮮が地下核実験を強行したと報じられている。

これが事実とすれば、我が国を核の脅威とこ放射能汚染の危険にさらすことになるのみならず、国際社会の平和と安全に対する重大な挑戦であり、強い義憤の念を禁じ得ず、国際社会において厳しく糾弾されなければならない。

昭和38年に「平和都市宣言」を宣言している名古屋市として、核兵器廃絶という全人類の悲願を踏みにじるかかる蛮行は、いかなる理由によるものであれ、断じてこれを許すことはできない。

よって、名古屋市会は、恒久平和を実現し、市民の生命及び財産を守るため、北朝鮮に対し、地下核実験に厳重に抗議するとともに、今後、あらゆる形態の核実験と核兵器開発を中止するよう強く求めるものである。

 

(参考)日本共産党が提案し、修正可決した意見書の原案

リハビリテーションに関する診療報酬の緊急改定を求める意見書(案)

今春の診療報酬改定により、リハビリテーションに関する診療報酬が大きく変えられ、最長でも180日という日数上限の設定や集団療法の廃止など、リハビリ医療そのものを大幅に制限するものになった。

その結果、少なくない患者や障害者がリハビリを打ち切られたり、訓練回数を制限されたりする事態が生じており、このままでは疾病や障害の重度化も懸念される。

またこの改定により医療機関も深刻な影響を受けている。とりわけリハビリの専門医療機関である本市の総合リハビリテーションセンター病院では、リハビリの外来患者数が前年比5割台に落ち込むなど経営面での影響は極めて大きい。また訓練回数の制限などでリハビリの効果があがりにくくなり、患者と医療従事者の意欲さえ喪失しかねない状況まで生じている。

障害者の自立支援や介護予防をすすめるうえで、リハビリテーション医療の充実は欠くことができない。

よって名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. 国の責任において、リハビリに関する診療報酬改定による医療機関と患者への影響を調査すること。
  2. 個々の患者の必要に応じた十分なリハビリテーションを提供できるように、診療報酬の次期改定を待つことなく、すみやかに必要な診療報酬の改定を行うこと。

 

《日本共産党が提案し、採択されなかった意見書(案)》

庶民大増税の中止を求める意見書(案)

高齢者は、05年に所得税、06年6月に住民税が増税となり、送られた通知書を見て、「税額が昨年に比べて十倍になった。間違いではないのか」「これではくらしが成り立たない」などの問い合わせや抗議が、各区役所に殺到している。これは、04〜05年度の税制「改正」で年金課税を強化したためであり、連動して国民健康保険料や介護保険料まで負担増となってしまったためである。

また、06年、定率減税半減によって所得税・住民税増税が実施されたが、今後もさらに定率減税廃止や、各種控除の締小・廃止など果てしない庶民増税が予定されている。勤労者の給与が減少しているなかで、この大増税が実施されたら暮らしも営業も景気もさらに悪くなるであろうことは疑う余地もなく、増税は絶対に許されない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、以下の点につき強く要望する。

  1. いま実施されている高齢者への大増税は、ただちに中止し、見直すこと。
  2. 定率減税廃止や所得税・住民税の各種控除の縮小・廃止をやめること。

空中給油・輸送機KC−767の小牧基地配備の撤回を求める意見書(案)

政府は、中期防衛力整備計画(平成13年度〜17年度)でアメリカから自衛隊初の空中給油・輸送機KC−7674機の調達購入を決めている。1号機の納期となる来年2月末には、拠点基地となる小牧基地で実用試験隊が飛行実験を行う予定となっている。小牧基地では現在、これらの航空機の格納庫建設が進められている。2010年にかけて配備されることに合わせて、空中給油・輸送部隊1個飛行隊が編成される予定ともなっている。

米軍は、前線に配備している空中給油機部隊を3分の1程度削減する計画を進める一方で、日本など同盟国に補完肩代わりをさせる共同作戦を想定している。小牧基地に配備される空中給油・輸送機がこのアメリカとの共同作戦に組み込まれていくことは明らかであり、直接的な戦闘作戦を担う役割を持つものである。

このような空中給油・輸送機の小牧基地配備が、市民生活に大きな不安を呼び起こすことは、間違いない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、空中給油・輸送機の小牧基地配備について、その撤回を強く要望する。