2006年度9月議会(9月21日) 議案外質問 黒田二郎議員1.個人市民税の軽減について税制改正の中止・凍結を【黒田議員】 私ども日本共産党の試算によれば、年金暮らしの単身高齢者で年金額が280万円とした場合、昨年から今年にかけて、所得税・住民税・介護保険料・国民健康保険料を合わせた負担増は、11万4千円。これで終わりかと思ったら、来年、再来年とまだまだ続き、さらに3万8千円もの負担増となります。 わが党市議団が7月中旬から実施している市政アンケートには、4千人を超す市民から回答が寄せられています。そこには、「住民税が上がるとは聞いていたが、いきなり10倍の値上げとはひどすぎる」「どうやって生きていったらいいのか」「税金の無駄遣いをやめよ」などなど、怒りの書き込みがびっしりとありました。 市民の怒りをよんでいる大元は、国の政治です。そこで、市長にお聞きします。とりわけ高齢者に重い負担増をもたらした各種控除の廃止・縮小措置の中止と、来年度から影響がでる施策の凍結を、国に対して強く要求すべきと思いますが、いかがでしょうか。
本市独自の軽減策の拡充を【黒田議員】 今年度、税制改正の結果、歳入増となった個人市民税75億円を財源と考えれば、できないことはないはずです。市民の暮らしを守るために、緊急に、本市独自の軽減策の拡充をすすめるべきと考えますが、いかがでしょうか。
市長の資質・資格が問われる【黒田議員】 2.名古屋城本丸御殿の復元についてなぜ今、本丸御殿なのか【黒田議員】 これまで永年にわたって検討を重ねながら、着手に至らなかった理由は、どこにあったのでしょうか。97年6月補正予算案に、その実現の可否をさぐる調査費500万円を計上した松原市長は、財政難が続く中では「市民の支持や寄付がないとやれない」と語っていたと、当時の新聞報道にあります。 ならば、今、本市の財政状況は好転したのでしょうか。市長は、今年度予算案を提案した際に、「依然として厳しい財政状況」という言葉を枕言葉に使っていたはずです。 また、市民の支持や寄付は集まったのでしょうか。 本丸御殿復元基金への市民の寄付は6億円といいますが、名古屋城博の収益金等を除いた正味でいうなら2億円にしかすぎません。 名古屋市が行った名古屋城跡全体整備計画のパブリックコメントで意見を寄せたのは、わずか19名、本丸御殿復元に対する意見は6件で、市民の機運が盛り上がらないことを示すものでしかありませんでした。 先に紹介したわが党市議団のアンケートでは、「本丸御殿の復元」についても、市民の意見を聞いています。複数回答を選んだ方もあり、合計は100%を超えますが、それでも「2010年の一部完成をめざす」という市の方針を支持する回答は、わずか3%にしかすぎませんでした。 一方、48%の市民が「暮らしや福祉を削ってまで推進すべきでない」と答え、「財政事情に応じてゆっくりすすめる」が20%、「市民の中でもっと議論が必要」という回答が29%ありました。「復元反対」も19%ありました。 自由記述欄には、「赤字の財政状況を考えたらやるべきではない」「昔の殿様の御殿より、現在の市民の暮らしを優先してほしい」など、批判的意見が多く寄せられました。 市民の間には、今、本丸御殿復元を優先課題として進める市の姿勢に対して、むしろ反発の声の方が多いという現実を、市長は、どのようにお考えでしょうか。 そこで、あらためて市長にお聞きします。「依然として厳しい財政状況」と認識しているにもかかわらず、市民の支持や寄付が集まっていないにもかかわらず、本丸御殿復元の着手を決断した理由について、はっきりと、お答えください。
建設に付随する事業費はいくらか【黒田議員】 まず、150億円以上に必要経費は発生しないのか、お聞きします。150億円には、建設に付随する事業費は含まれているのでしょうか。たとえば資材置き場や資材運搬にあたっての史跡保護のための経費、観光客の新たな出入り口の設置などにかかる費用が今後、必要となってくると思われますが、いかがでしょうか。お答えください。
寄附の目標は達成できるのか【黒田議員】
資金計画の策定の時期はいつか【黒田議員】 ちなみに、国の補助金について、私ども日本共産党名古屋市議団が文化庁にお聞きしたところ、「年間12〜13億円の予算しかない。すべて名古屋市にというのは無理だ。そもそも予算がない」とのことでしたから、多くを期待することはできないであろうことを付け加えておきたいと思います。
発掘調査の必要性とその経費はどうか【黒田議員】 発掘調査について、文化庁にお聞きしたところ「当然、必要である。遺構の状態もみて、進めるべき。必ずしも全面的でなくともよい」が、それでも「半年程度で済むものではない」と言われました。 名古屋市の今年度基本計画策定、来年度実施計画策定というスケジュールからは発掘調査を予定していないようにみえますが、どのようにお考えでしょうか? お答えください。仮に発掘調査を予定しているというのなら、いつから始まってどれくらいの期間を予定しているのか、その費用は、150億円という試算の中に、含まれているかどうか。含まれていないとすれば、いくらくらいになるのかも、合わせてお答えください。
復元に必要な木曽ヒノキの量はわかるのか【黒田議員】
松原市長の木曽ヒノキへの相当な思いが伝わってきます。人工林でなく、他所のヒノキでなく、木曽ヒノキでなければならない。という思いです。 しかし、木曽ヒノキがそんなに確保できる見通しがあるのでしょうか。 98年8月に開催された第1回名古屋城本丸御殿復元課題検討委員会資料によれば、「文献及び焼失前の写真から見て、主用材は木曽ヒノキで、しかも品等の高い木材であったと推測している。しかし、主用材のすべてに木曽ヒノキを使用することは、物理的に不可能である。」と報告しています。 木曽ヒノキについて、林野庁関係者にお聞きしたところ、「自然林の保全のために伐採計画がある。本丸御殿のためにこの計画を増やすことはできない」「本丸御殿は、床面積3000平方メートル、木材1600立方メートルと聞いているが、実際には切ってみないといいものかどうか、製材をかけてみないと使えるものかどうかわからないので、何倍かの量が必要となる」ということでした。 木曽ヒノキの値段は、市場でセリにかけられ決まります。ここに平均卸売価格を示した資料がありますが、ヒノキと木曽ヒノキでは、値段にも数倍の開きがあります。 98年2月の名古屋城本丸御殿復元課題調査報告書では、工事請負費120億円のうち木工事が57億円余でほぼ半分を占めています。ヒノキの値段がどうなるのか、何本使うのかによって、150億円という数字も大きく変動するのではないでしょうか。 そこで市民経済局長にお聞きします。できるだけ当時のままの木造で復元しようとしたとき、必要とされる木曽ヒノキはいったい、どれくらいの量になるのでしょうか。また、150億円という試算の中では、木曽ヒノキはいったいどれくらい確保できる前提となっているのでしょうか。お答えください。
(意見)乱暴なやり方でないか【黒田議員】 (再質問)ワンマン市長とのそしりを免れない【黒田議員】 私は、本市の財政状況や現在の市民の気持ちを考えたら、今、急いでやるべきではないことを強調しておきます。 先ほど紹介したあなたの本の中には、こういうくだりがあります。「御殿の復元には15年かかる予定であるが、実際にはもっと早く作れないかと密かに考えている」。・・・「密かに考えている」とは、何ですか。行政の私物化ではないですか。短期間に作れば当然、毎年の所要経費も膨らんできます。その分、他の施策が圧迫されます。こんな大事なことをあなたは、「密かに考えている」のですか。市民不在、議会軽視もはなはだしいのではありませんか。しかも、「密かに考えている」ことを本に堂々と書くに至っては、「何でも自分の思い通りになる」といった市長の腹の中が透けて見えてきます。これでは、ワンマン市長とのそしりを免れることはできません。この点について、今、どのようにお考えか、お答えください。
(意見)市民の願いは「福祉・暮らしの充実」【黒田議員】 こういう市政は、多くの市民が期待する市政とは正反対のものです。わが党は、あくまで市民の立場に立ち、市政の根本的な転換を引き続き追及していくことを申し上げて私の質問を終わります。
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