2005年度決算に対する反対討論(10月17日) さとう典生議員

市民不在のオール与党市政で、負担増と疑惑まみれ、
ムダづかいを推進する決算は認められない

さとう議員

【さとう議員】
日本共産党名古屋市議団を代表して、ただいま議題となっております、平成17年度一般会計決算の認定に反対の立場で討論します。

自民公明の悪政をそのままおしつけた

昨年度も、小泉政権により、税制改悪による負担増、社会保障費の切り下げなど国民に苦しみが押しつけられました。この、国の悪政に対し、防波堤となって、市民の暮らしを守ることが市政運営に求められました。

ところが、松原市長のトップダウン予算の下で、都市再生の名による、相変わらずの大型公共事業が推進され、そして、新たな受益者負担の原則がつくられ市民への負担の押しつけが行われました。

また、税制改悪、配偶者特別控除の廃止で、住民税の負担増が市民の暮らしを直撃しました。今年になって高齢者を襲った、雪だるま式に増える負担の始まりでした。このことへの対応が求められましたが、何の手だても打たれませんでした。

以下、反対の理由を具体的に述べます。

1 市民への負担増、くらし・福祉の切り捨て

第1は市民への負担増、くらし・福祉の切り捨てが行われたことです。

まず、保育料の負担増です。まさに税制改悪の影響をまともにかぶり、軒並み負担が増えました。99年の定率減税導入時に保育料が引き上げられました。今度は配偶者特別控除が廃止されたのに、何の対策も行われなかったため、自動的に負担が増えました。まさに、ダブルパンチのひどい仕打ちであります。

小中学校標準運営費はさらなる削減が行われました。「我慢の限界」を超えてどこまで切り下げるのか。学校の運営が成り立たなくなってきています。

介護福祉の分野では、「ホテルコストの導入」がされ、入所者の負担は半年で30万円増えました。自己負担が重荷になって、施設を出ざるを得ない高齢者が続出しました。

年金などの低い収入で、ぎりぎり生活していた庶民は負担増と福祉の切り捨てで、やりくりができなくなり、「元気のいい」はずの名古屋で生活保護世帯が激増しています。

2 大企業の優遇や、無駄な公共事業

第2の理由は、大企業の優遇や、無駄な公共事業が押し進められたことです。

その一つが産業未来博物館構想の推進です。産業観光の分野は本来民間でできる分野です。「元気な名古屋」なら民間に任せておけばよいのであって行政が加わって新たな箱ものをつくる必要はありません。

都市高速道路の建設には昨年度も100億円以上のお金をつぎ込みました。しかし、環境非悪化の原則が守られず、依然として悪化の状態が続いています。「環境首都宣言」といいながら、行っていることは正反対ではありませんか。

都市再生の名によるトヨタなど大企業の超高層ビル建設に相変わらず多額の税金がつぎ込まれました。苦しんでいる市民の生活は切り捨てる一方で、大もうけを続ける大企業を応援することを認めることはできません。

徳山ダムへの支出も、利用しない水のために、将来にわたり市民の負担を増やすものであり、まさに無駄な公共事業です。

3 市民不在の市政

第3の理由は市民不在の市政が行われたことです。

則武保育園の民営化問題はその典型でした。年の瀬に突然説明会が開かれ、お母さん方が「残してほしい」と署名を直接渡したいと言っても、市長は会いませんでした。保育園の民営化問題では横浜地裁で「特に民営化を急ぐ理由があったとは認められず、裁量の範囲を逸脱、乱用したもので違法」と行政が断罪されています。名古屋も同罪といっても過言ではない市民不在の民営化決定でした。

4 職員の削減で、市民サービスの切り捨て

第4は職員の削減で、市民サービスの切り捨てがすすめられたことです。

職員定員の大幅削減が行われ、市バス運転士に象徴的に見られるような非正規雇用が広がりました。これは自治体の責任放棄であり、市民サービスの低下を招いています。また、受給者が増えているにもかかわらず、生活保護事務職員の配置は不十分なままであり、国からも監査で指摘されています。さらに、消防では警防要員が削減され、市民の安心・安全が後退させられました。

5 不正が見過ごされる

第5の理由は、不正が見過ごされ、外郭団体への補助金が不当に支出されたことです。フジチクグループによる関税法違反事件は、名食を舞台におこなわれ、社長が逮捕され、有罪になりました。ところが、この事件に毅然とした対応がとられず、引き続き補助金がつぎ込まれました。愛食の営業権取得に発した疑惑は深まるばかりです。

6 戦争へ国民を総動員する態勢づくり

第6の理由は国民保護法の事務執行です。この法律は「国民保護」といいながら、避難訓練などを通じて戦争へ国民を総動員する態勢をつくるものであり、憲法9条に違反するものです。自治体として行う必要はありません。

以上の理由で決算認定に反対であることを表明し、討論を終わります。

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資料

2005年度 歳入歳出決算総括表   (円)
会計別 歳入決算額 歳出決算額 差引額
一般会計 967,380,394,134 963,333,504,823 4,046,889,311
特別会計 1,299,267,137,274 1,297,914,377,282 1,352,759,992
  市立大学 30,673,868,234 30,673,868,234 0
交通災害共済事業 461,099,264 438,967,976 22,131,288
国民健康保険 190,239,592,224 190,239,592,224 0
老人保健 175,534,343,698 175,534,343,698 0
介護保険 96,383,641,915 95,432,835,573 950,806,342
母子寡婦福祉資金貸付金 750,592,138 699,521,738 51,070,400
農業共済事業 81,971,409 51,969,831 30,001,578
市場及びと畜場 12,388,884,413 12,386,650,340 2,234,073
土地区画整理組合貸付金 100,000,000 100,000,000 0
市街地再開発事業 6,750,101,672 6,571,021,672 179,080,000
墓地公園整備事業 1,876,784,214 1,876,784,214 0
基金 125,091,755,989 125,090,742,550 1,013,439
調達 16,150,579,250 16,150,579,250 0
公債 642,783,922,854 642,667,499,982 116,422,872
2,266,647,531,408 2,261,247,882,105 5,399,649,303

 

2005年度 公営企業会計経営収支状況総括表  (千円)
区分 総収益
A
総費用
B
純損益
C=(A−B)
繰越利益剰余金
(△繰越欠損金)
D
当年度未処分
利益剰余金
(△未処理欠損金)
E=(C+D)
病院事業 23,895,742 24,352,090 △456,347 △6,436,600 △6,892,948
水道事業 51,362,929 50,122,868 1,240,060 4,105,117 5,345,178
工業用水道事業 861,422 832,088 29,333 192,717 222,051
下水道事業 77,426,357 75,677,342 1,749,015 △586,277 1,162,737
自動車運送事業 25,733,762 38,207,790 △12,474,028 △60,157,133 △72,631,162
高速度鉄道事業 82,277,288 114,206,533 △31,929,245 △281,610,705 △313,539,951
総計 261,557,503 303,398,714 △41,841,210 △344,492,882 △386,334,093

 

基金残高 2006年3月末日現在  (単位:円)
基金名 土地/動産
/有価証券
預金 運用金 未払金 合計
基金会計 教育基金
土地
(1,616,66平方m)
10,938,321
20,000,000 75,969,726 106,908,047
火災等損害てん補積立基金
有価証券
39,478,000
8,502,985,491 8,542,463,491
住宅敷金積立基金 1,440,000,000 2,494,157,392 3,934,157,392
名古屋城整備積立基金 23,754,938 23,754,938
名古屋城本丸御殿積立基金 561,161,419 561,161,419
交通災害共済積立基金 200,000,000 891,695,817 1,091,695,817
文化振興事業積立基金 500,000,000 976,181,520 1,476,181,520
国際交流事業積立基金 650,000,000 1,620,025,711 2,270,025,711
大規模施設整備積立基金 1,081,380 1,081,380
高速度鉄道建設積立基金 42,809,854 42,809,854
環境保全基金 200,000,000 406,800,000 606,800,000
中区役所等管理基金 500,000,000 1,103,113,680 1,603,113,680
介護給付費準備基金 920,887,318 920,887,318
公債償還基金
有価証券
4,605,439,000
59,087,625,997 102,300,000,000 165,993,064,997
財政調整基金 677,200,558 882,361,245 1,559,561,803
定額資金
運用基金
土地基金
土地
(15,021.44平方m)
1,827,791,519
2,954,260,481 4,782,052,000
市税還付金等繰替基金 13,207,745 292,225 13,500,000
美術品等取得基金
動産
(81点)
410,064,650
89,935,350 500,000,000
合計
土地
(16,638.10平方m)
1,838,729,840
動産
(81点)
410,064,650
有価証券
4,644,917,000
74,835,215,622 112,300,292,255 194,029,219,367

 

2005年度末の起債残高  (単位:千円)
区分 平成17年度末現在高 借入先内訳
政府資金 公営公庫資金 民間等資金 その他
一般会計 1,798,316,487 465,928,573 38,843,572 1,293,339,524 204,818
  健康福祉債 25,520,977 10,154,159 0 15,162,000 204,818
環境債 92,352,748 63,297,748 0 29,055,000 0
市民経済債 87,498,182 1,099,982 0 86,398,200 0
土木債 793,609,015 268,934,409 10,120,772 514,553,834 0
住宅債 132,431,664 32,935,344 18,917,320 80,579,000 0
消防債 19,652,030 175,360 0 19,476,670 0
教育債 159,045,784 70,380,699 352,087 88,312,998 0
その他債 488,206,087 18,950,872 9,453,393 459,801,822 0
特別会計 170,223,193 32,555,734 17,579,508 100,908,438 19,179,513
  市立大学会計 77,415,021 18,383,021 7,839,000 51,193,000 0
母子寡婦福祉資金貸付金会計 2,557,015 0 0 0 2,557,015
市場及びと畜場会計 30,019,618 13,373,684 8,955,934 7,690,000 0
土地区画撃理組合貸付金会計 250,000 0 0 0 250,000
市街地再開発事業会計 13,709,412 799,029 784,574 12,125,809 0
墓地公園整備事業会計 9,033,500 0 0 9,033,500 0
用地先行取得会計 37,238,627 0 0 20,866,129 16,372,498
企業会計 1,443,566,637 656,905,152 463,184,285 323,477,200 0
  病院事業会計 11,596,876 7,366,876 401,000 3,829,000 0
水道事業会計 110,942,213 30,099,692 22,362,235 58,480,286 0
工業用水道事業会計 259,384 101,739 157,645 0 0
下水道事業会計 558,395,193 258,840,852 152,710,341 146,844,000 0
自動車運送事業会計 18,163,405 6,776,335 2,027,070 9,360,000 0
高速度鉄道事業会計 744,209,566 353,719,658 285,525,994 104,963,914 0
合計 3,412,106,317 1,155,389,459 519,607,365 1,717,725,162 19,384,331

市債残高推移(1997年から2005年)

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