2006年度9月議会(9月26日) 議案外質問 田中せつ子1.「改定介護保険法による福祉用具の貸与」について電動ベッドを取り上げないで――市独自で福祉用具の貸与を【田中議員】 私のところにも、市民から相談がよせられておりますが、一つ紹介しますと、「要介護1」で、80代の一人暮らしの方ですが、借りていた電動ベッドを返さなければならなくなったそうです。「今は、このベッドがあるから、夜中に自分で起き上がって、トイレに行くことが出来るが、なくなったら、一人で起き上がるのに時間がかかり、とても不安だ」と訴えられました。業者が「8万円で買ってほしい」と言ったそうですが、「わずかな年金では、購入できないし、月々1万円以上するレンタル料も払えない」と言われました。 6月定例会で、「これまでどおり福祉用具の貸与を続けていただきたい」と言う質問に対して、健康福祉局長は、「全国一律の仕組みであり、市独自には考えない」と言う冷たい答弁でした。 全国でベッドなどを取り上げられることに、怒りの声が集中したため、8月14日付けで厚生労働省は「ベッドなどの福祉用具を一律に取り上げないこと」とする事務連絡を都道府県の担当者に送り、「介護度が軽度であることをもって機械的に保険給付の対象外とすることのないよう、例外に該当するか否かについて確実にする」ことなどを求めました。 また、東京都・港区では、介護用ベッドが利用できなくなる要支援1と2、要介護1の高齢者に対し、「自立支援型ベッド」のレンタル費用の一部を区が独自に助成することを決めました。それに次いでいる自治体もあります。 本市としても、こうした動きを受けて、どのように対応していくのか検討がされたのでしょうか。 また、本市独自に助成をすべきですが、健康福祉局長の答弁を求めます。
介護保険でなく市独自に実施を(再質問)【田中議員】 まず、福祉用具貸与の件について、市長にお尋ねします。 あなたは、電動ベッドを取り上げられる80代の方の女性の生活が、想像できますか。夜トイレに行くのが不安だとおっしゃるのは、起き上がるのに時間がかかり、その間に粗相をしないか心配されているのです。高齢者は、夜中に何度もトイレに行かれます。そのたびに、痛い思いをし、時間もかかるのなら、いっそのことおむつにしようかとなってしまいます。こんなことでは、高齢者の自立の質は落ち、加速度的に寝たきりが増えるのではないでしょうか。介護保険制度をつくったときの精神とも大きくかけ離れていきます。 健康福祉局長は、「福祉用具の貸与は制度の枠内で対応すべきもの」と答弁しておりますが、介護保険制度の中でやれないというのなら、市独自の福祉施策で、やればいいのではありませんか。要は、市長のやる気にかかっているといえます。市民が困っているのに、国のいうままで、何もやらないというのが市長の政治姿勢なのですか。市長お答えください。
(意見)市民の願いに反する冷たい姿勢だ【田中議員】 2.教育基本法改定に対する「市長の考え方」について教育基本法を変える必要はない【田中議員】 政府の改定案をみてみますと、「教育の目標」として「国を愛する態度」など20に及ぶ徳目を列挙して、その達成を学校や教職員、子どもたちに義務付けようとしています。 「徳目」それ自体には、当たり前のようにみえるものもありますが、問題はそれを法律で定め、国が子どもたちに強制することが許されるかということです。これは、憲法19条が保障した思想・良心・内心の自由を侵害することにつながります。 また、現行の教基法の第10条は、国家権力に強く支配された戦前の教育を反省し、教育の自由と自立性を定めたもので「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきである」と明記されております。 ところが、政府の改定案は、「国民全体に対し直接に責任を負って」を削除し「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」に置き換えられています。このことは、法令をたてに「教育への国家権力の介入」を正当化しようとしているのであります。 このほど東京都教育委員会が「日の丸・君が代」を強制する通達を出したことについて、東京地裁は「違憲・違法」の、画期的な判決を下しました。このことは、教基法第10条が、「教育に対する行政の介入」に歯止めの役割を果たすことを示したものといえます。 私は、教育基本法を変える必要はないと考えますが、元教師であり、元教育長でもあった市長は、「教育基本法改正」の動きについてどのような考えを、お持ちですか。お答えください。
3.全国一斉学力テストは参加すべきでない国家権力介入の典型ではないのか【田中議員】 文部科学省は、来年4月に小学6年と中学3年生のすべての児童・生徒に、国語、算数、数学のテストを全国一斉に受けさせ、すべての学校と子どもに成績順の序列をつけさせようとしています。この間いくつかの自治体で独自に一斉学力テストを実施し、特に東京都の一部の区や市では、テストの結果を学校ごとに順位をつけて公表しています。そして、それが、小中学校の学区制廃止とセットで進められているのです。 その結果、「成績上位校」に新入生が集中し、逆に新入生がゼロの学校も生まれています。このように全国一斉学力テストは、地域や学校、子どもたちのランク付けにつながりかねません。 本来テストというものは、学力向上のためにどこに問題があるのか、子どもたちに役立つために行うものです。地域・学校・子どもたちに格差をつけるために行う全国一斉学力テストは、激しい競争を子どもに強いるだけではないでしょうか。 去る2月定例会で教育長は「本市にとって必要かどうか勘案し、慎重に検討したい」と答弁されていますが、教育現場に大きな混乱と困難をもたらすことが予想される「全国一斉学力テスト」に、私は、「参加すべきではない」と考えますが、教育長の答弁を求めます。
市長は今のままでのテスト実施に疑問を呈していた【田中議員】
現行は全国テストの先取りでないのか(再質問)【田中議員】 教育長お答えください。
(意見)全国一斉学力テストには参加すべきではない【田中議員】 4.本市の就学援助について所得基準を元に戻すべき【田中議員】 それによって認定率が昨年度末、15.0%でしたが、8月1日現在13.7%と大幅に下がり、約1800人も減りました。 全国的にみても、就学援助の受給者は増えておりますが、この10年間で、本市の就学援助を受ける児童生徒も、2倍に増えております。 こうした背景には父母のリストラや給与水準の低下があると指摘されています。厚生労働省の調査では、正規の雇用者の給与は04年度まで4年連続で減り続け、2000年の94%まで落ちたという結果も出ております。 そんな社会情勢にもかかわらず、本市は準要保護の縮小を行いました。 各政令市の就学援助の所得基準額を見ても、今までどおりの基準を守っている政令市があるなかで、本市では、引き下げ額が一番大きいものとなっています。その結果、給食費の滞納が増え、教師が集金の催促に追われている学校もあると聞いております。 就学援助を利用しやすくすることは、育基本法第3条「教育の機会均等」を守ることにつながります。教育の機会均等もなし崩しになっては、公教育とは呼べないのではありませんか。 経済的な差で教育環境に差をつけないように、どの子も行き届いた教育を受けさせるための就学援助は、大きな役割をはたしています。地方自治体として「教育基本法の理念」を生かし、就学援助の所得基準を元に戻すべきではありませんか。教育長の答弁を求めます。
5.3年生以上にも計画的に30人学級を少人数指導より少人数宇学級を【田中議員】 思春期の子どもたちの指導は、入門期とは違った意味で難しさがあります。先生が学級の子どもたち一人ひとりに丁寧に目が行き届くようにするためには、小学1・2年生にとどまらず、3年生以上も計画的に30人学級を進めていく必要があります。 30人学級を進める際に障害となっていた、教員の確保については、非常勤講師でなく市独自の常勤講師の配置が検討できるようになりました。 本市の30人学級は、現在2年生までとしていますが、全学年に拡大しない理由として当局は「競争心がなくなる」とか、「友達が限られるから」をあげてきました。そして、3年生以上は「少人数指導」や「T.T」で対応するからよしとしています。 しかし、文科省の調査でさえ、「少人数学級(30人学級)の方が少人数指導より教育的効果がある」という結果が出ているのです。 札幌市では、小1、小2に続いて、今年から中1に35人学級が導入されました。今年度から、中学校の少人数学級の実現が28府県にのぼっています。今や、全学年への「少人数学級」の拡大は、全国的な流れとなっています。 本市でも30人学級の3年生以上拡大を計画的に進めていくべきと考えますが、教育長の答弁を求めます。
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