意見書・決議(2006年11月議会)

 日本共産党をはじめ各会派から提案された6件の意見書案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、2案件は共同提案の合意が得られ、12月8日に議決しました。

 日本共産党の提案した2案件は他会派の合意が得られず、本会議に上程できませんでした。

意見書案に対する各会派の態度(議会運営委員会に提出された意見書案)   2006年11月議会
意見書案 原案
提出
結果 各会派の態度
共産 民主 公明 自民 新自
医療制度に関する意見書(案) 民主 否決
日本司法支援センターの充実に関する意見書(案) 公明 可決
食育の推進に関する決議(案) 自民 可決
不妊治療の充実に関する意見書(案) 新自 否決
難病医療費の公費負担適用範囲の見直しに関する意見書(案) 共産 否決
偽装請負の根絶等を求める意見書(案) 共産 否決

太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書
議運に提案された段階での態度 ○=賛成 ●=反対 △=保留
●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。△も同意にいたりませんでした。
会派名 共産:日本共産党 民主:民主党 公明:公明党 自民:自民党 新自:新風自民

 

《採択された意見書》

日本司法支援センターの充実に関する意見書

司法制度改革の一環として、政府により日本司法支援センター(法テラス)が設立され、今般、業務を開始した。

法テラスは、裁判その他の法による紛争の解決に必要な情報提供を無料で行うなど、国民が法律サービスをより身近に受けられるようにするものであるが、業務開始以来、法テラスの処理能力を上回る相談の依頼が寄せられているなど、市民のニーズに十分対応できない状況にあり、さらなる体制の強化が必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、司法を市民に身近なものとするため、法テラスについて周知徹底するとともに、より相談しやすい体制の整備に向けて、スタッフ弁護士の大幅な増員、訪問や出張による相談等の実施や日曜・祝日の開業など、法テラスのさらなる充実を図るよう強く要望する。

 

食育の推進に関する意見書

近年、ライフスタイルの多様化などによる食生活の変化に伴い、栄養の偏りや食習慣の乱れが子どもを含めて国民全体に見受けられ、これらに起因して、生活習慣病の増加等の健康への影響も指摘されている。

昨年、食育基本法が施行され、本市においては、学校での食に関する指導や朝市・青空市の開催等の地産地滑の推進などの取り組みを実施してきたところであるが、健全な食生活を実践し、市民の疾病の予防及び健康の保持増進などを図るため、家庭・学校・地域等のあらゆる場を活用して、食育の推進に幅広く取り組んでいく必要がある。

よって、名古屋市会は、すべての市民が心身の健康を確保し、生涯にわたって生き生きと暮らすことができるよう、食青の推進に全力で取り組むものである。

以上、決議する。

 

《日本共産党が提案したが、採択されなかった意見書(案)》

難病医療費の公費負担適用範囲の見直しに関する意見書(案)

国の難病対策として実施されている特定疾患治療研究事業は、患者負担の軽減を図るとともに、病態の把握や治療法の研究に大きな役割を果たしてきており、難病患者や家族の大切な支えとなっている。

しかるに本年8月、厚生労働省の特定疾患対策懇談会は、患者数が5万人を超えて希少性の条件を満たさなくなったことなどを理由に、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎について、対象者の範囲を見直し、重症患者のみに絞り込む方針を決めたと伝えられた。

対象となる患者がふえたとはいえ、これらの疾病は依然として、原因も治療法もいまだ明らかになっておらず、難病であることに変わりはない。

公費負担の適用範囲が縮小されると、多くの患者・家族に医療費の負担が重くのしかかり、受診抑制による病状の悪化も懸念される。また軽度の患者を対象から外すことは、疾病の全体像の研究をも困難にしかねない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、難病患者・家族が安心して生活・療養できる環境を維持するため、特定疾患治療研究事業による医療費の公費負担の適用範囲を狭めることなく、現行の適用条件を堅持するよう強く要望する。

 

偽装請負の根絶等を求める意見書(案)

今日、若年層を中心にアルバイト、派遣、請負など低賃金の非正規雇用労働者が広がっており、働いても貧困から抜け出せない、いわゆる「ワーキングプア」の存在など、格差拡大の原因の一つとなっている。

特に、平成15年の労働者派遣法の改定で製遷業への労働者派遣が解禁されて以降、大企業の製造現場でも派遣・請負が増加しているが、労働者派遣の場合に生ずる労働安全衛隼にかかわる使用者責任や一定斯間以上継続して使用した場合の直接雇用の義務などを免れるため、実際は受け入れ企業が直接指揮する労働者派遣であるのに業務請負を装う「偽装請負」も社会問題化している。日本経済を代表する製造業の現場が、違法な偽装請負を含む低賃金の非正規雇用労働者によって支えられていることは、技術の継承や少子化問題など日本社会の将来にとっても大きな問題である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. 派遣会社・業務請負会社による偽装請負等の法令違反に厳しく対処するとともに、受け入れ先企業へも、労働者派遣法に基づく直接雇用の義務を含めた法令順守を厳正に指導監督すること。
  2. 企業に対し、正規雇用増を働きかけること。