議案外質問(2006年11月29日)さとう典生議員

都市計画道路の見直しについて

さとう議員

計画から60年の高田町線はやめよ

【さとう議員】
都市計画道路の見直しについてです。住宅都市局は長期未整備都市計画道路の見直しを行っています。昨年末から今年の初めにかけて、パブリックコメントを行い、今年度になってから地元での説明会を開催しています。

今日はそのうち昭和区にかかわる「高田町線」について質問します。

先日、地元の人から「高田町線」についてもめているらしいけどどうなるの?と質問を受けました。「吹上の振興会館の西から瑞穂区大喜の向こうまで30m幅の計画があったのを20mの幅に変更して道路を造る」と説明すると、返ってきたのは「だれが通るの?」「何年かかるの?」「いくらかかるの?」と言う疑問でした。まさに高田町線についての問題はこの三つに集約されていると思います。

7月に開いた当局の説明会に私も参加して、住民のみなさんの意見を聞かせていただきました。説明会での当局の通行量の予測に対し「いまある道路で十分対応できるのではないのか」という反論があり、避難路という説明に対しても「現在の道路脇の建物を耐震補強すればよいのではないか」という指摘がありました。 また、歩道の整備という点についても「いまの道路で安全に通行している」と新たな道路を造って車を呼び込むことに反対の意見が出されました。

このように、住民説明会では当局の提案は理解が得られませんでした。

さて、この道路は昭和21年に計画決定してから、60年が経過しています。これはもう計画そのものが無効になっていると判断すべきであります。アメリカには公共事業について 5年以内に実行されなければ自動的に計画が廃止になる「サンセット条項」があるとのことです。これと比べれば実に12倍の期間ですから」10回以上計画が廃止なる計算です。私は都市計画をつくる場合には、本当の意味で「住民の意見を聞く」ことが求められると思います。

私はいま、住民のみなさんの意見を聞くために、独自にアンケート調査を行っています。「新しい道路は必要ない」という意見が圧倒的です。その中の意見を紹介しますと、「いまは静かな住宅地でみんな穏やかに過ごし決して不便を感じていません。御器所の郡道が狭いと申されますが、今はその為、車が少なく、タクシー運転手さんなど一番走りやすくて安全だと言われます。」このように高田町線という道路そのものが必要ないという意見です。

ところで、もし、この高田町線をつくろうとすればどうなるのでしょうか。この路線は住宅密集地帯を貫くため、移転しなければならない市民が多数にのぼり、多くの犠牲を強いることになります。また、用地買収費や移転費用など事業費がかさみます。説明会で当局は現計画の幅30mで延長4.4kmの場合約280億円、幅を20mにした場合に140億円と事業費の見込みを明らかにしました。莫大な工事費です。しかも、完成まで工事費はふくらむことはあっても減りません。

この高田町線と交差する豆田町線、瑞穂区役所から堀田通へと西に抜ける道路を土木局で事業中ですが、延長700mで事業費約70億円、着手から完成まで15年もかかります。高田町線は4.4kmですから6倍以上になります。果たして事業費は当局の見込みに収まるのか疑問です。このように、整備には莫大な事業費と長い時間が必要で、その間、地域への大きな負担となります。また、道路ができれば、騒音、大気汚染の発生など環境の悪化が予想されます。これでは「環境首都」をめざすという看板が泣くことになります。


高田町線建設予定地域

そこで、住宅都市局長にお聞きします。

市民の意見を聞いて、「高田町線」の整備は断念すべきであると思いますがいかがでしょう?

地元説明会などで理解を得てすすめたい(局長)

【住宅都市局長】
高田町線は、昨年度策定・公表した「未着手都市計画道路の整備方針」において「車線数を4車線から2車線に変更して整備する」こととしている。この整備方針の説明と計画づくりに際して地元の意見を聞くため、今年7月、都市計画変更案を作成する前段階として、沿線住民を対象に昭和区役所と瑞穂区役所でそれぞれ2回の説明会を開催し、7月以降も地元町内会等からの要請により地元主催の説明会に随時出席し説明を行ってきた。説明会やパブリックコメントなどで、「通過交通が増え、事故を誘発するから反対」、「木造密集地での災害時に有効だから早く整備すべき」あるいは、「具体的な計画案が示されないと判断できない」等の賛否両論の意見がある。

高田町線は、木造密集地区で、災害時の避難路や延焼防止帯として大きな役割が期待され、広幅員の歩道整備で、歩行者や自転車の通行の安全性向上などの整備効果も高く、是非とも必要な路線だ。市としては、引き続き地元説明会等で理解を得るよう努力したい。

強行するなら住民投票を

【さとう議員】
今回の経過を見ていて疑問に思ったのは、計画をつくるのに当たって「市民の意思を聞く」という場がないことであります。市民がどれだけ反対しようとも行政の主導で計画決定がされるという仕組みになっているのは問題です。都市計画決定については議会も関与できない仕組みです。議会から委員が都市計画審議会に出ているものの、議会は予算審議の場で賛否を明らかにできるだけです。

市民の税金を使う事業の計画を決めるに当たって、住民や議会が意思表明する機会がないというのは、民主主義に反するのではないのでしょうか。

そこで、市長に提案し、お考えをお聞きします。

都市計画の決定について「市民の意思」を明らかにするため、「住民投票」制度を創るべきと考えますが、いかがでしょう?

いろんな機会で意見を聞くから必要ない(市長)

【市長】
都市計画の手続きを進めるにあたっては、公聴会や説明会の実施、案の縦覧・意見書の提出を通じ、市民の意見を直接聞く機会が設けられている。その後、都市計画審議会で議論し、判断していただける手続きとなっている。従って、市民意見は計画に十分反映できるので住民投票を行う必要はないが、説明会の開催方法等について、工夫を凝らすなど、多くの方々から幅広い意見を吸収できるように取組む。

道路特定財源がムダな道路を生み出す

【さとう議員】
さて、次に、なぜこのような整備計画がでてくるのかを論点にします。

都市計画道路の整備率が87%を超え、残りが少なくなったことがあると思います。これまで後回しにされていた、「当局も整備の必要があまりない」と考えていた路線も整備にかからないと補助金をもらって工事をする場所がなくなってきたという事情があるのではないのでしょうか。

ガソリン税など道路特定財源は道路整備に使い道が限られています。その使い道を探して、「常に事業箇所を求め、道路建設が止まらない」という公共事業のあり方が問われ、批判されています。本市の公共事業費道路関係の費用は昨年度は219億円でした。

このお金が道路特定財源の補助事業になっているわけですから、毎年それだけの工事をする場所がいることになってきます。すなわちなぜ道路を造るのかと言えばこのお金があるから道路を造るといい換えてもあながち間違いではないと思います。さらに言えば、この仕組みの中で「高田町線」はじめの都市計画が見直され新たな事業箇所としてねらいが付けられているのではないでしょうか。

私は「やめられない止まらない道路造り」を止めるためにはこの道路特定財源の制度を見直すべきであると考えます。

そこで、市長にお尋ねします。

道路特定財源は制度を見直し、「一般財源にすることを国に求めて行くべき」と考えますがいかがでしょう?

必要な財源だ(市長)

【市長】
「未着手都市計画道路の整備方針」で計画を見直し、事業費のスリム化を図っても、53kmの都市計画道路の整備が必要だ。また、連続立体交差事業などの整備も必要で、これらをあわせると残事業費は概ね4,100億円にのぼり、今後、老朽化した橋梁の架け替えなどの費用も増大する。したがって、いまだ道路に係る財政需要は大きく、安定的な道路整備財源が必要で、道路特定財源の大都市への配分拡大などを求めている。

賛否両論でない、圧倒的に反対の声だ(再質問)

【さとう議員】
答弁をいただきましたが、全く納得がいきません。

高田町線について、答弁は賛否両論ともあるようなお話でしたが、私のアンケートには93%の方が反対、賛成はわずか7%と反対の声が圧倒的です。また、「必要性・効果」について績々述べられましたが、それらはすでに説明会で住民のみなさんから、反論があったことばかりです。

問題は「60年間、当局も整備の必要性が低い」と考えてきた道路を「なぜ今、つくらなければならないのか?」ということです。これから、少子化で人口が減り、名古屋市も「公共交通と車の比率を3:7から4:6へ変えよう」としているときに、住宅密集地の真ん中に道路を造るというのは時代錯誤といってもよいのではないでしょうか。用地買収などにかかる「行政の側の労力」と「住民の側の犠牲」という巨大な時間とお金の浪費をしているような場合ではないと思います。

いまの議論をふまえて、今度は改めて市長に「高田町線の廃止について」見解をお聞きしたいと思います。

必要な道路だ(市長)

【市長】
高田町線は4車線を2車線の計画に変えて整備することにした。反対が多いと言うが、住民それぞれの立場から意見をいただいている。防災性の向上に役立ち、地域に密着した道路として必要な路線である。今後説明会などをより一層しっかり行って理解と協力をえてすすめたい。

計画は廃止せよ(意見)

【さとう議員】
とても納得できる答弁ではありませんでした。住民のみなさんの声を受け止めて、「高田町線の計画を廃止する」ことを強く求めるものです。

談合防止に向けた取り組みについて

公共工事受注会社への天下りの禁止を

【さとう議員】
最近、各地で談合事件が摘発され、福島県、和歌山県では知事が逮捕され、宮崎県でも幹部が摘発されています。そして、名古屋では下水道工事をめぐって、大林組の幹部が談合を取り仕切っていたとして逮捕され、本市においても談合が行われていたことが明らかになりました。

これまで、私ども日本共産党市議団は談合事件・汚職事件が起きるたびに、この議場で取り上げ当局へ防止策・対応を求めてきました。古くは「新南陽工場事件」、最近では「道路清掃談合事件」がありました。また。談合情報が寄せられる度に、当局へ調査を求め、委員会審議でもその有無を確認してきました。その都度、当局は「調査したが確認できなかった」として、契約を結んできました。

今回の談合事件の新聞報道によれば、逮捕された大林組の元顧問は、長年にわたって中部地方の大型土木工事の受注調整を仕切ってきたといわれており、今回の下水道工事だけでなく、地下鉄や名古屋高速などでも同じグループが主導して談合を繰り返してきたといわれています。

談合によって高い落札率が維持されてきたとすれば、巨額の市民の血税がムダに使われ、ゼネコン業界が甘い汁をすってきたことになります。当局は入札制度を改善し、談合防止策を積み重ねてきましたが、今回の事件を防ぐことはできませんでした。これまでの防止策では限界があると考えます。もっと根本的に業界の体質に切り込む必要があります。

新聞でも「天下り禁止を考える時期」との意見が出され、識者も「業界への天下りが続く以上、職員自らが改革の実効性をあげるのは難しい、透明性の高い入札制度を作るには首長が強い指導力を発揮する以外にない」と述べています。まさに正論で、同感であります。今度こそ、この問題に本気になって取り組むべきであります。

今回の談合事件で問題になっている下水道工事の一つ、北区の「堀川右岸雨水幹線下水道工事」は、2005年2月の入札で、大林組のほか、鹿島、熊谷、清水、大成、ハザマ、前田のゼネコン各社を筆頭とする7つのJVが入札し、談合の結果22億9000万円で大林組のJVが落札しています。

わが党市議団の独自の調査によれば、この入札に参加した7社のゼネコンのうち、大林組をふくむ5社に6名の元市幹部職員が天下りしています。JVを構成している全21社のなかで見ると、天下りを受け入れているのは、なんと11社、半数以上になっています。こうした、「幹部職員の再就職・『天下り』が癒着の温床、談合の温床になっている」との指摘は間違いのないところです。

そこで、市長に対し、本市幹部職員の在職中関係会社への再就職、いわゆる「天下り」について、これまでの実態を調査し、公表するとともに、今後一切、禁止すべきことを求めます。

市長の答弁を求めます。

天下りはない(市長)

【市長】
市職員の民間企業への再就職には、市として斡旋を行っておらず、退職した高級官僚が職務に関連する民間企業等の高い職に就くといった、いわゆる「天下り」という実態はない。癒着や談合の温床になっているということもない。

また、国家公務員が民間企業へ再就職する場合には、法律で一定の制限が課せられるのに対し、地方公務員には法的規制がないので、これを禁止することは困難だ。

しかし、民間企業へ再就職する予定の職員には、特定の企業との癒着といった疑惑を招くことのないよう、退職時に、退職後2年間は市に対する営業活動を行わないという誓約書を提出させている。今後とも、こうした取組みを徹底し、市民の不信や疑惑を招くことのないよう、十分留意していく。

2年間に設定したのはなぜか(再質問)

【さとう議員】
次に談合防止について答弁は全く、納得できません。これだけ談合が大きな社会問題になっているのに、実態を見ず、「斡旋していない」から、「禁止」どころか「天下りはない」という答弁でした。そういう姿勢がまさに談合を許すことにつながっているのだと指摘しておきます。

さて、民間に就職した場合、「2年間は営業活動しない」という誓約書をとるということですが、退職後直ちにはやはりまずいという認識があるわけです。2年経過したら、O.K.ということになるのではないのでしょうか。

では、2年間は営業活動禁止という場合の「2年」はどのような理由で決めた期間なのでしょうか?この点は総務局長に再質問します。

国家公務員に準じただけ(局長)

【総務局長】
2年としているのは、国家公務員に対する法律上の制限に準じたもの。

きっぱりと「天下り」禁止を(意見)

【さとう議員】
一定の期間「営業活動」を禁止するということは、当局も弊害を認めているわけです。であるならば、きっぱりと「天下り」を禁止することを再度、求めて、質問を終わります。

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