議案に対する反対討論(2006年12月8日)山口きよあき議員
11万人の市民税の減免を縮小する市税条例の改悪は認められない
【山口議員】
私は、議題となっている「名古屋市市税条例の一部改正案について」反対の立場から討論します。
税源移譲を口実に減免制度を改悪
この条例改正案は、税源移譲に伴う所得税と住民税の税率変更を口実に、本市独自の住民税減免制度の減免率を、50%は25%に、30%は15%に半減し、低所得者や高齢者・障害者などの税負担を増やすものです。当局は「納税者間の公平を保つため、住民税と所得税の負担合計は変わらない」という説明でしたが、とんでもありません。
おおもうけの大銀行は法人税ゼロなのに
国はいま、史上最高の利益をあげている大銀行には、税制上の優遇措置を続けています。UFJ一行だけでも、今年度の最終利益見込みは8700億円。きちんと課税すれば本市には約10億円の市民税が見込めますが、銀行は法人市民税を1円も払っていません。
定率減税の廃止などに続いての連続大増税
ところが庶民には、定率減税廃止などの大増税です。年金収入278万円の高齢夫婦では、一昨年までは所得税・住民税ともに非課税でした。それが今年は7万8500円、さらにこの改正案で来年度は8万6800円に跳ね上がります。
4億円あれば11万人が救える制度なのに
行の減免制度は、本市の財政上、重荷ですか? いまの減免額は4億4千万円、市税収入のわずか0.09%です。これだけの財政負担で、納税者の約1割、11万5千人もの市民負担が軽減できているのです。
市民の暮らしを守る立場に立て
社会的格差と貧困が市民の間にも広がっています。こんな時になぜ、わざわざ、弱者にいっそうの税負担を強いるのか、理解できません。
住民税の減免は、国でなく名古屋市が決めます。国の増税から市民を守る大切な役割を担っている減免制度の後退は、断じて認めることはできません。
所得税と個人住民税の税率改正
課税所得 |
06年度 |
07年度 |
対象者数 |
所得税 |
住民税 |
計 |
所得税 |
住民税 |
計 |
〜195万円 |
10% |
5%(3%) |
15% |
5% |
10%(6%) |
15% |
57万人 |
195〜330万円 |
|
|
20% |
10% |
|
20% |
|
330〜695万円 |
20% |
10%(8%) |
30% |
20% |
|
30% |
34万人 |
695〜900万円 |
|
|
33% |
23% |
|
33% |
|
900〜1800万円 |
30% |
13%(10%) |
43% |
33% |
|
43% |
5万人 |
1800万円〜 |
37% |
|
50% |
40% |
|
50% |
|
住民税の( )は市民税。対象者は17年度課税ベース。
06年度の住民税の課税所得は195は200、695は700と読み替える。
名古屋市における低所得者に対する減免制度
区分 |
名古屋市の減免制度 |
類似の減免制度がある
政令指定都市 |
減免対象者 |
減免対象 |
減免率 |
1 |
総所得金額等が基礎控除額(33万円)以下の者 |
均等割 |
100% |
横浜市、神戸市 |
2 |
総所得金額等が基礎控除額(33万円)を超え、基礎控除額に2を乗じて得た頗(66万円)以下の者 |
所得割 |
50% |
なし |
3 |
障害者、未成年者、65歳以上の者、寡婦、寡夫等で、総所得金額が141.5万円のもの。 |
均等割
所得割 |
50% |
京都市
大阪市、堺市、神戸市(65歳以上の者を除く)
福岡市(障害者に限る) |
4 |
納税義務を負わない障害者等の夫と生計同一の妻で、総所得金額等が125万円以下の者 |
均等割
所得割 |
50% |
神戸市 |
5 |
動労学生(所得金額65万円以下) |
均等割
所得割 |
100% |
すべての指定都市 |
6 |
前年中の総所得金額が200万円以下で本年の見込額が前年の2分の1以下と見込まれる者 |
所得割 |
50%
30% |
千葉市、川崎市、横浜市、静岡市、京都市、大阪市、堺市、神戸市、広島市、北九州市、福岡市 |
(注)減免率及び所得要件等は、本市と異なる場合がある。1と5は今回の削減の対象外。
大手銀行6グループの最終利益
|
06年9月中間決算 |
07年3月決算見込 |
三菱UFJ |
5072億円 |
8700億円 |
みずほ |
3923億円 |
7200億円 |
三井住友 |
2436億円 |
5700億円 |
りそな |
4609億円 |
5600億円 |
住友信託 |
639億円 |
1200億円 |
三井トラスト |
669億円 |
1200億円 |
合計 |
1兆7348億円 |
2兆9600億円 |
※住友信託を除き2007年度以降も「ゼロ」が続きます。
所得税と個人住民税(所得割)の負担の変化
(委員会資料より) |
04年度 |
07年度 |
改正後 |
現行 |
単身世帯の給与所得者(年収131万円) |
所得税 |
11,900 |
7,400 |
7,400 |
住民税 |
4,100 |
12,300 |
8,600 |
合計 |
16,000 |
19,700 |
16,000 |
夫婦子2人世帯の給与所得者(年収278.7万円) |
所得税 |
0 |
0 |
0 |
住民税 |
0 |
1,200 |
1,200 |
合計 |
0 |
1,200 |
1,200 |
単身世帯の年金所得者(年収261.5万円) |
所得税 |
18,400 |
46,000 |
46,000 |
住民税 |
0 |
70,200 |
47,200 |
合計 |
18,400 |
116,200 |
93,200 |
夫婦世帯の年金所得者(年収278万円) |
所得税 |
0 |
33,700 |
33,700 |
住民税 |
0 |
53,100 |
36,200 |
合計 |
0 |
86,800 |
69,900 |
※年収は、いずれも減免対象となる上限。
※2007年度改正は住民税減税25%、現行が50%。
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