2007年2月定例会 予算に対する代表質問(3月2日)黒田二郎議員

  1. 住民負担増を軽減し、暮らしと福祉を守る
    住民税の減免制度を元に戻し拡充を
    介護保険料の引き下げを
    障害者自立支援制度の1割負担撤廃を
  2. 生活保護行政と、ホームレス問題の根本解決のために
    白川シェルターの廃止について
  3. 子育て支援の充実、子どもたちの豊かな成長を保障する教育について
    子どもの医療費助成制度の中学卒業まで拡大を
    30人学級の全校全学年実施を
    学童保育とトワイライトスクールのついて
    学童保育の条例化について
  4. 地域経済を振興し、安定した雇用を拡大
    官公需の発注率を引き上げよ
    大型店の出店を規制するまちづくりについて
    雇用状況の改善を
    若年嘱託職員としての採用をやめ、正規職員として採用を
  5. 予算配分における重点の考え方について―不要不急の大型公共事業の見直し
    (徳山ダムからの導水路建設、モノづくり文化交流拠点構想、名古屋城本丸御殿の復元)
  6. 議員OBの外郭団体への「天下り」
  7. 国民保護計画の中止―憲法9条を守る

住民負担増を軽減し、暮らしと福祉を守る

質問する黒田議員

【黒田議員】
政府は、大企業や大資産家には減税の大盤振る舞いをしながら、国民には、所得税・住民税の増税をはじめとした負担増や福祉の切り捨てなど、際限ない痛みを押しつけてきました。

とりわけ、高齢者・障害者・低所得者と、いわゆる社会的弱者ほど重い負担、痛みが加えられ、「貧困と格差」は、ますます深刻になっています。

こんなときこそ地方自治法にうたわれているように、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条2)のが地方自治体の本来の役割です。名古屋市は、今こそ、地方自治体本来の役割を発揮させ、福祉の心を取り戻し、住民の負担を少しでも軽減し、暮らしを支えるために力を注ぐべきです。そこで、市長に、3点について質問します。

住民税の減免制度を元に戻し拡充を

【黒田議員】
1点目は、本市独自の65歳以上の住民税の減免制度について、所得基準を見直し、対象者を拡大するとともに、減免率を4分の1から2分の1へと元に戻すことについてです。

年金暮らしの高齢者を直撃する増税は、国民健康保険料や介護保険料の引き上げに連動し、「雪だるま式」の負担増が住民に押しつけられました。

そのために、医者に行く回数を減らしたり、ヘルパーやデイサービスの回数も減らしたりと、生活費を切り詰める涙ぐましい節約が行なわれています。

定率減税の廃止による本市への影響額を当局にお聞きしたところ、61億円ということでありました。名古屋市の歳入増となる61億円は、元はと言えば市民のお金。このお金は、市民の負担を軽減するためにこそ、使うべきではありませんか。お答えください。

他都市と比べそん色ない軽減策だ(市長)

【市長】
市税は公平に負担していただくことが原則であり、特定の納税者への減免措置は、公平性を阻害しないよう、十分に留意する必要がある。

本市における減免は、低所得者軽減では、他都市と比較しても十分配慮しており、さらに拡充するのは適当でない。

介護保険料の引き下げを

【黒田議員】
2点目は、とりわけ多くの高齢者の怒りをよんでいる介護保険料の引き下げをはかることについてです。

昨年、保険料の基準額が月額3,153円から4,398円へと、1.4倍にまで引き上げられました。年額にして約1万5000円の負担増は、高齢者にたいへんな痛みを感じさせることとなりました。

この点では、まず、国に対して、介護給付費に占める国の負担割合を25%から30%へと5%の引き上げを、要求するよう求めます。

同時に、本市においても、可能な限り保険料の引き下げをはかることを、求めます。あわせて、お答えください。

生きがい事業などで伸びを抑えたい(市長)

【市長】
介護保険制度の円滑な実施という観点から、他の指定都市と共同で、65歳以上の方の介護保険料負担が過大とならないよう、必要な財政措置を国に要望している。

市では様々な生きがい健康づくりや介護予防事業に取り組んでいる。今後もこれらの事業を効果的に実施して、保険給付費の伸びを抑え、保険料の水準を適正なものとしたい。

障害者自立支援制度の1割負担撤廃を

【黒田議員】
3点目は、障害者の「原則1割」の「応益」負担の撤回を国に求めることについてです。

今回、国の軽減策に加えて、市独自の軽減策も示されました。

今回の国の軽減策は、障害者自立支援法で、本人や家族の負担増、施設の収入減・経営難が広がり、見直しを求める世論と運動に押されて、一定の手直しをせざるを得なくなったものです。全面実施からわずか数ヶ月で手直しをせざるを得ないこと自体が、この自立支援法が重大な欠陥をもっていることを示しています。

今回の国の軽減策や市独自の軽減策によっても、問題が根本的に解決するわけではありません。

障害者や施設を苦しめる元凶は、「応益負担」ですが、国は、その見直しには、手を触れようとしません。障害者本人や家族、施設にとって、「原則1割」の「応益」負担の撤回は、切実です。市長は、国に対して、「応益」負担の撤回を強く求めるべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。

国での配慮を要望している(市長)

【市長】
利用者負担については、これまでも、国の責任においてより一層の配慮を行うよう、要望してきた。今回、国において、月額負担上限額を4分の1にするなど様々な軽減策が図られた。市も、国の軽減に加え、資産要件の撤廃や収入要件の緩和などの市独自の軽減を実施する。

生活保護行政と、ホームレス問題の根本解決のために

【黒田議員】
次に、生活保護行政と、ホームレス問題について、健康福祉局長にお聞きします。

最初に、生活保護世帯への公衆浴場入浴券の支給を廃止することについて、質問します。公衆浴場入浴券は、昨年、月2枚から1枚へと減らされましたが、それに続く全面廃止です。これには、市民の間から「生活保護を受けている者は、風呂にも入るなということか」と、怒りの声があがっています。

昨年は、高等学校入学支度金及び夏季・歳末見舞金の支給も廃止されました。本市の生活保護施策は、毎年のように後退しています。

今、生活保護を巡って、政府は、老齢加算の廃止に続き、15歳以下の子をもつ一人親世帯が受給している母子加算を、3年間で全廃しようとしています。憲法25条に定められた生存権をまもる“最後の砦”である生活保護の切り捨ては許せません。

こうした国の悪政にさらに追い打ちをかけるような、1枚400円の公衆浴場入浴券の廃止は、いかにも冷たいと言わなければなりません。人間的な暮らしに、お風呂に入ることは欠かせませんが、それさえも奪おうというのは、生活困窮者に対するセーフティネットとしての生活保護行政を無慈悲にも後退させるものといわなければなりません。この点について、どのようにお考えでしょうか。お答えください。

他都市との均衡も考えた(局長)

【健康福祉局長】
事業を開始した昭和24年当時は、多くの生活保護世帯が公衆浴場を利用し、生活保護基準も一般世帯の消費水準に比べ低かった。その後、生活保護基準は徐々に引き上げられ、被保護世帯における入浴設備の保有率も高くなり、18年度の被保護人員数に占める入浴券の支給割合は13.9%まで減少した。無料入浴券が支給されない世帯との均衡や、他都市でもほとんど支給されていないという状況も考慮して、平成19年度に無料入浴券を廃止し、激変緩和のため、平成18年度は支給枚数を従来の1人月2枚から1枚に減じて支給してきた。

白川シェルターの廃止について

【黒田議員】
次に、白川シェルターの廃止について、質問します。

今年1月末現在で、シェルターを出た1,160人のうち、355人、約3割の人たちは自主退所とされています。この人たちの多くは、再び、ホームレス生活に戻ったと考えるのが、自然ではないでしょうか。

また、シェルターから自立支援センターへ移ったからといって、必ずしも全員が社会復帰したとは、言えないはずです。自立支援センターを出て就労自立した人たちの中には住み込みで就労した人たちが少なくありません。この人たちは、仕事がなくなれば同時に住宅を失う人たちでもあり、再び、ホームレスに戻ることが十分に考えられます。

昨年6月定例会で健康福祉局長は、「白川シェルターがホームレスの自立に大きな役割を果たしてきた」と、答弁されていますが、単純に評価することはできません。

また、先の答弁では、「シェルターを利用する人数も少なくなってきている」とも言われていますが、緊急一時宿泊施設のはずのシェルターへ、野宿をしなければならない人が「泊めさせてほしい」といっても、それはできないことになっています。また、健康回復をシェルターの目的のひとつにあげていながら、1日1食で、しかもご飯と漬物程度の食事しか提供せずして、どうして入所者が増えるのでしょうか。市内には、まだまだホームレスが少なくありません。

そこで、お聞きします。これまで行ってきたホームレス施策の効果を検証し、再び、ホームレス生活に戻らないよう、人権と福祉の観点から、シェルターを含めた施策の継続と発展こそが必要と考えますが、いかがでしょうか。

ホームレス数は減少した(局長)

【健康福祉局長】
「名古屋市ホームレス自立の支援等に関する実施計画」基づいて、シェルター・自立支援事業各2か所を設置するなど就労等による自立を目指して各種施策を展開した結果、市内のホームレス数は、平成15年1月には1,788人であったものが、平成18年6月には804人まで減少し、施策の効果が現れた。

子育て支援の充実、子どもたちの豊かな成長を保障する教育について

【黒田議員】
次に、子育て支援の取り組みと、子どもたちの豊かな成長を保障する教育について、お聞きします。市長が政策参与として迎えた白石真澄氏が登場するコマーシャル「子育てするなら名古屋」を見た人が、「現実と違ってがっかりしている」との声を上げています。

たとえば、子どもの医療費に所得制限を導入しているのは、愛知県下では名古屋市だけです。

また、政令市で事実上、最後となった病児保育は、新年度、ようやく実施することになりましたが、利用料は、他都市の一日2000円と比べて、8時間を超えると4000円と倍額を設定しています。こんなことで、どうして「子育てするなら名古屋」と胸を張ることができるのでしょうか。子育て施策の現実を変えるために、以下、4点について、市長に質問します。

子どもの医療費助成制度の中学卒業まで拡大を

【黒田議員】
その第1は、子どもの医療費助成制度を中学卒業まで拡大することと、所得制限を撤廃することについて、お聞きします。

今や、医療費助成制度は、全国の自治体で、年齢拡大が進められています。東京23区内では新年度予算において中学卒業まで通院・入院・食事代のすべてを無料とする区が、次々と広がっています。県内でも、大府市・東海市が新年度から実施するなど、広がりを見せています。本市においても、中学卒業まで年齢を拡大することを求めます。

同時に、所得制限の撤廃を求める声も少なくありません。医療を受ける時の負担について、所得で線を引かれることは、市民の間に不公平感を抱かせるだけでなく、なぜ、有料となるのかについて説得力を欠くものとなっています。

所得制限を撤廃し、すべての子育て世帯に対する中学卒業までの医療費完全無料化を実施することについて、お答えください。

国の制度改革を見守る

【市長】
乳幼児医療費助成制度は、これまで順次対象年齢の拡大に努め、平成18年8月からは、新たに小学1年生から小学3年生を対象に入院分の医療費について助成を開始するなど、いっそうの対象拡大を図った。

中学校卒業までの拡大と所得制限の撤廃という拡充には多額の経費増を伴いますので、慎重に検討していく必要がある。

平成20年度には、国の医療制度改革が予定されており、医療費助成制度のあり方全般の中で、財政状況等を十分に見極めながら、制度の拡充について検討したい。

30人学級の全校全学年実施を

【黒田議員】
第2は、30人学級を小中学校すべての学年で実施することについてお聞きします。

子どもたちの学力低下、いじめや不登校があるなかで、教師の目がゆきとどく30人学級が、いま切実に求められています。教員の配置権限がまだ県にある中で、クラスを担任できる常勤講師の採用に踏み切ったことは評価できますが、ならば、これをさらに進めて、小中学校すべての学年で、計画的に実施することを求めますが、いかがでしょうか。お答えください。

一律の学級定員減は無理だ(市長)

【市長】
小学校3年生以上は学年の発達段階にあわせ、時には大勢の集団の中で切磋琢磨したり、時には小集団で基礎・基本を確実に身に付けたりするための指導が必要です。したがって少人数指導の成果と問題点を詳細に検討し、その対応を考えていくことになる。よりきめ細かな教育を推進するための条件整備をすすめることがより肝要と考え、一律の学級定員の減少は、総合的に考えて無理と考える。

学童保育とトワイライトスクールついて

【黒田議員】
第3は、トワイライトスクールと留守家庭児童健全育成事業すなわち学童保育との一元化を進めないことについてお聞きします。

今、両事業のあり方検討が進められていますが、両事業は、もともと趣旨も違えば、事業内容、運営方法、職員体制も、それぞれに大きく異なる事業です。学童保育は、児童福祉法に位置づけられた子どもたちの「生活の場」です。親代わりの指導員は、来るはずの子どもが来なければ「何か、あったのか」と心配し、探したりもします。一方、トワイライトスクールは、登録児童数のうち、1日あたりの参加者数が3分の1程度しかいなくても、事業の性格上、問題ともならないのです。両事業の統合一元化には、そもそも無理があるだけでなく、一元化によって、生活の場としての学童保育が消滅させられないかとの不安が市民の間に大きくあります。一元化は進めるべきではありません。お答えください。

平成20年度を目途に所管を一元化し、よりよいあり方を考える(市長)

【市長】
留守家庭児童健全育成事業とトワイライトスクールは、それぞれ機能や経緯が異なり、これまで並行して実施してきた。しかし、放課後の子どもの健全育成という面では共通するところがあり、よりよいあり方について検討している。

昨年11月に、外部委員からなる有識者の会議を設置し、「学びや遊びの機能の充実」や、「保護者が昼間家庭にいない子どもに対する生活の場所の充実」という二つの観点から、専門的な見地からの意見を伺っている。

今後、有識者会議のご提案も踏まえ、平成20年度を目途とする両事業の所管の一元化に向け、両事業のよりよいあり方について、方向性を決めていきたい。

学童保育の条例化について

【黒田議員】
第4は、学童保育の条例化についてお聞きします。

児童福祉法は、いわゆる学童保育について、「市町村は、(中略)利用の促進に努めなければならない」としています。

しかしながら、本市においては、学童保育を必要とする市民が自主的に運営する民間の育成事業を支援するという域を出ていません。そのために今、市内の小学校は260校ですが、学童保育所は179か所しかありません。また、貸し主の事情から、借りている土地や建物の明け渡しを求められることもしばしばですが、市民は、土地や建物さがしに、いつも大変な苦労を余儀なくされています。

また、施設はと言えば、けっして広いとは言えない借家に、毎日30数人がひしめいていたり、老朽化した建物のため床が朽ちて穴が開きべこべこの状態になっていたり、劣悪な施設の中で子どもたちが生活している学童保育所は、けっして珍しい話ではありません。

さらに指導員は、こどもの発達にかかわる専門家でありながら、労働者というよりボランティア程度の低賃金と労働条件のもとで働いています。

このような状態で、果たして児童福祉法に規定されているように、名古屋市が「利用の促進に努め」ていると言えるのでしょうか。

私は、学童保育事業を条例化して、市の責任においてすべての小学校区で学童保育を実施することや、「生活の場」にふさわしい施設や職員配置など設置基準を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

当面、助成制度による支援をする(市長)

【市長】
現在、両事業のあり方について、今後の方向性を定めるよう努めている。当面は学童保育の自主的な活動を尊重し、またそれぞれの地域ニーズに応じた柔軟な運営が行われるよう、引き続き助成制度による支援をしていく。

「留守家庭児童育成会運営助成要綱」を定め、運営の原則や運営委員会の設置、指導員の資格、指導室の面積・設備等の基準を設定している。

地域経済を振興し、安定した雇用を拡大

官公需の発注率を引き上げよ

【黒田議員】
次に、地域経済を振興し、安定した雇用を拡大することについて、質問します。

市長は、新年度予算案の提案説明にあたって、「元気な名古屋」と言われましたが、元気なのはトヨタをはじめとした一部大企業の話であって、庶民の実感や暮らしの実態とは、かけ離れていることを、指摘しなければなりません。

1月に発表された名古屋市景況調査=市内中小企業を対象にした景気状況の調査結果=によると、「業種別では、建設業、卸売業、小売業、サービス業は悪化となっており、小売業、サービス業では他の業種に比べ厳しい状態にある結果となった」と報告しています。そのうえで、「市内中小企業の景況感は、消費関連の業種を中心に改善の動きが後退した」と結論づけているではありませんか。

そこで、まず、中小企業に対する官公需の発注率を引き上げることについて、市民経済局長に伺います。

現在の発注率を、工事に限ってみますと、本市の場合、5年前の49%が昨年度は49.8%で横ばい状態となっていますが、この割合は、政令市で最低クラスとなっています。

中小企業にこそ仕事が回るようにすべきですが、発注率を引き上げるという目的・意識的な考え方について、お答えください。

国の契約目標を上回っている(局長)

【市民経済局長】
「官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律」の趣旨をふまえ、これまでも全庁的な会議の場で、毎年閣議決定している「中小企業者に対する国等の契約方針」の周知徹底を図っている。平成17年度も、契約額全体では、中小企業の比率が国の契約目標比率である43.6%を上回る52.8%となっている。今後とも、中小企業者の官公需の受注機会の増大に向けて、この方針の周知徹底に努めていきたい。

大型店の出店を規制するまちづくりについて

【黒田議員】
次に、大型店の出店を規制するまちづくりについて、住宅都市局長に伺います。

現在、名古屋市都市計画審議会土地利用計画部会において、「大規模集客施設のあり方」について、検討が進められていますが、その中で、準工業地域についても市独自の規制策が検討されていると伺っています。私は、この市独自の規制については一定の評価をしつつも、その対象は1万平方メートルを超える場合としているなど、まだまだ不十分なものと考えます。

昨年10月施行の「福島県商業まちづくり推進条例」は、大店立地法の手続きに先立つ計画段階での届け出と説明会の開催を義務付けた全国初の条例として注目を集めています。

本市においてもさらに踏み込んだ「まちづくり条例」などの独自規制が必要と考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

立地規制の見直しで都市計画審議会に諮問中(局長)

【住宅都市局長】
大規模店舗を含む大規模集客施設は、今回の都市計画法の改正で、立地規制の見直しが行われた。現在、準工業地域を含め、市街地全体について、本市の実情に合わせた大規模集客施設の適正な立地のあり方について、都市計画審議会に諮問している。来年度の答申を尊重し、良好な市街地環境の形成に向け、市としての対応方策を検討していく。

雇用状況の改善を

【黒田議員】
さて、雇用状況が改善したと言われますが、増えたのは、臨時・派遣・契約社員・偽装請負・パート・アルバイトなど低賃金で身分不安定な非正規労働者です。いっぽうで、正規労働者は減り続けています。また、青年の雇用状況は、二人に一人が非正規労働者です。地域経済を活性化させるためには、雇用状況の改善が欠かせません。そこで、2点について、おたずねをいたします。

賃金を適切に確保させることを発注要件にせよ

【黒田議員】
1点目は、財政局長に質問します。

私は、名古屋市が発注する工事や委託事業を請け負う民間業者が、その事業に働く労働者の賃金を適切に確保させることを発注要件に含ませることを提案します。

いわゆる低価格入札でダンピング競争が行われた結果、労働者に低賃金が押しつけられ、地域全体の賃金水準が押し下げられます。そしてそれは、地域経済にマイナスの波及効果をもたらします。

私の提案は、低価格入札がもたらす弊害をなくし、雇用のルールを確立させ、地域経済を立て直す力にもなるものと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。

労働条件に関与するのは困難(局長)

【財政局長】
賃金等の労働条件は、雇用関係にある労使の間で決定されるものであり、発注者という立場で、これに関与することはなかなか困難です。

公共工事や委託事業の発注の際には、工事等に従事する労働者の賃金も適正に積算した上で、予定価格を設定している。仮に、低価格での入札があった場合でも、調査をした上で契約を締結することとしており、工事等に従事する労働者の賃金等にしわ寄せがいくことのないよう努めている。

若年嘱託職員としての採用をやめ、正規職員として採用を

【黒田議員】
2点目は、交通局長に質問します。

交通局における若年嘱託職員としての採用をやめ、正規職員として採用することについてです。

交通局が採用している若年嘱託職員は、期末勤勉手当いわゆるボーナスというものがなく、年収で正規職員より約100万円下回ると言います。行政職場において若年嘱託という制度は、少子化の克服にも逆行しています。交通局においては、新年度、150人を正規採用する予定とのことですが、約400人いる若年嘱託職員全員を正規採用すべきです。お答えください。

3年で正規採用への道は開けている(局長)

【交通局長】
平成16年度に導入した若年嘱託職員は、1年ごとの更新で3年まで延長されますが、本人が更新を希望し、勤務成績が良好であれば更新を認めており、この結果、原則として3年間身分が保障される。また、嘱託期間終了後も、採用選考を受け、一般職員として正規採用される道が開けている。

若年嘱託職員の実際の勤務振りを見ても、先輩に引けを取らない優秀な職員が多く、優れた職員は積極的に正規採用し、市営交通を支える人材として大切に育成していきたい。若年嘱託職員制度は所期の目的を達成しており、今後とも活用していきたい。

予算配分における重点の考え方について

不要不急の大型公共事業の見直し(徳山ダムからの導水路建設、モノづくり文化交流拠点構想、名古屋城本丸御殿の復元)

【黒田議員】
ここまで、私は、市民の福祉と暮らしを応援する施策について質問しましたが、その財源について、私は、次にあげるような、不要不急の大型公共事業の見直しを行うことで、十分に、まかなえると考えます。ないのはお金ではなく、「福祉の心」がないのです。

大型公共事業には、ゼネコンが群がり、そのゼネコンが談合を繰り返す。下水道工事から地下鉄工事、食肉市場の建設など、名古屋市の公共事業においても談合によって、税金が食い物にされる。こんなことが、次々と、明るみに出されてきています。すでに、一部、有罪判決が下されていますが、全容解明が待たれます。このような談合を生み出す大型公共事業は、必要性や採算性についてしっかり吟味しなければなりません。

(徳山ダム導水路の建設は、推進すべきでない)

たとえば、900億円もの巨額の資金を必要とする徳山ダムからの導水路の建設は、今でさえ、水量豊富な木曽川の水で十分に満ち足りていて、しかも、今後の人口が減少に向かうという人口見通しを発表している名古屋市にとって、まさに、不要・不急と、言わなければなりません。

(モノづくり文化交流拠点構想の中止)

また、市長は、今、4大プロジェクトを推進するとしていますが、いずれも巨額の資金を必要とする事業です。

そのひとつ。モノづくり文化交流拠点構想は中止すべきです。

モノづくり文化交流拠点構想とは、最近まで産業技術未来博物館構想と呼んでいたもので、ナゴヤドーム4個分の敷地に複数の企業が“テーマ館”を出展、この地域のモノづくりの歴史や未来を紹介する構想ですが、そもそも産業界が行うことではありませんか。それを行政が主導し、総事業費200億円のうち半分の100億円を税金で肩代わりしてやろうとするものです。

名古屋市は、今、3兆3千億円もの借金財政。一日あたりの利払いは、一般会計だけでも約1億円にのぼります。これほどの借金財政になったのは、ゼネコンなど大企業優先の開発型の市政を進めてきた結果です。市の財政難は、産業界も十分承知のはず。これほどの巨額にのぼる事業を、産業界がどうしても必要と考えるなら、自前でやってもらえばよいことではありませんか。

(名古屋城本丸御殿の復元を凍結)

次に、150億円もの資金を必要とする名古屋城本丸御殿の復元は、市民合意が得られるまで凍結すべきです。予算案をみると、18年度の5200万円に続いて、19年度も8600万円の盛り上げ予算が盛り込まれています。それほど盛り上がらないことを予算案そのものが示しているのではありませんか。

今、市民の中に「どうしても、今、優先してすすめてほしい」という声が大勢になっているわけではありません。寄付が増えたといっても、大口の寄付者が増えただけで、一般市民からの寄付はそれほど増えているわけではありません。

昨年の9月定例会で紹介しましたが、私ども日本共産党市議団が行なったアンケートでも「2010年までに玄関の一部だけでも完成させたい」とする市の方針を支持する回答は、たった3%にしかすぎませんでした。名古屋城本丸御殿の復元は、市民合意が得られていないものと考えます。

以上、みてきたように、これらの施策は、いずれも巨額の資金を必要とするうえ、必要性や採算性からいっても、まさに、不要不急と言わなければなりません。

そこで、市長にお聞きします。市民が、増税や社会保障切り捨ての国の政治によって、痛みを感じているときに、これら不要不急の事業よりも、市民の暮らしや福祉を充実させる予算配分こそ、重点とすべきではありませんか。お答えください。

元気な名古屋には必要不可欠な施策だ(市長)

【市長】
元気な名古屋と言われるが、この元気と活力を継続・発展させるために、「名古屋新世紀計画2010第3次実施計画」の着実な推進を図る必要がある。

安定的な水の供給と近世武家文化、ものづくり文化など名古屋の個性を発信するためには、必要不可欠な施策と考えている。

議員OBの外郭団体への「天下り」

【黒田議員】
次に、議員OBの外郭団体への受入をやめることについて質問します。

最近、この問題を取り上げたテレビ番組がありました。これを見た何人かの市民から私に対して、「あんなことは許せない」と、怒りの声が寄せられました。

市長は、あの番組をご覧になったのでしょうか。市長も登場した番組ですから、おそらく見られたことと思いますが、まず、その感想をお聞かせください。

現在、前回選挙で議員を辞めた方々のうち5人が名古屋市が出資している外郭団体の役員に=肩書きは監事=ですが、就任しています。いわゆる議員の「天下り」といわれているものです。議会には、本来、行政に対するチェック機能としての役割が求められています。税金が投入されている外郭団体についても、同じはずです。昨日まで議員としてチェックする側にいた者が、議員をやめた直後からチェックされる側に回るというのでは、議会と行政の癒着ととられることは当然であり、引退議員の外郭団体の役員就任は、むしろ、ふさわしくないと言うべきです。

こんなことは、全国でもほとんど例がなく、名古屋市だけで行なわれているとして、市民の大きな怒りをかっています。まして、週二日勤務で、番組によれば実働1時間から1時間半程度、月額報酬が約35万円と聞けば、市民に、理解も共感もされないのは当然です。行政と議会への信頼を取り戻すためにも、この悪しき慣行は、きっぱりとやめさせるべきではありませんか。市長が外郭団体に、一言、言えば済む話です。名古屋市は、外郭団体を指導・監督する立場にあります。その名古屋市が、この問題で外郭団体に一言も言わないとしたら、行政に対する不信を取り除くことは、到底できません。

市長、今、この問題で、市民の中にある行政への不信と怒りの声に、どう応えていくおつもりか、明快な答弁を求めます。

本人が能力と識見に基づいて仕事をすることが大切だ(市長)

【市長】
私は定時放送は見てませんが、後でビデオを見た。今回の番組が監事のやっている職務全てを正確に報道したものと理解してないが、あの番組をみた市民の方には監事の職務や勤務形態がわかりにくかった面もあろうかと思う。本人がその能力と識見に基づいてきちんと仕事をすることが大切だ。

今後も、外郭団体役員の就任は、それぞれの外郭団体で、そのポストに適任な方の選任をしていただく、このようにお願いしたい。

国民保護計画の中止―憲法9条を守る

【黒田議員】
最後に、新年度予算は、国民保護計画にかかる予算を計上しています。国民保護計画は、戦争を前提とした計画で、住民に、日常的な避難訓練を押しつけるものです。今、市民を守る最大の保障は、憲法9条の精神を世界に広げることです。

市長。戦争を前提とした計画に市民を巻き込むべきではありません。国民保護計画にもとづく施策の中止を求めます。お答えください。

市民の理解と協力を得ながら、取り組む(市長)

【市長】
「名古屋市国民保護計画」は、基本的人権を十分に尊重しながら、市民の安全確保を目的として、避難誘導や救援、発生した災害への対処といった国民保護に取組む内容を、できる限り具体的に定めたもの。武力攻撃事態といった緊急時に、市民の生命、身体及び財産を守ることは、自治体の責務である。

今後は、「名古屋市国民保護計画」に基づき、市民の理解と協力を得ながら、全庁的に国民保革業務に取り組んでいかなければならない。

 

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