2007年2月定例会 予算に対する代表質問(3月2日)黒田二郎議員
住民負担増を軽減し、暮らしと福祉を守る質問する黒田議員 【黒田議員】 とりわけ、高齢者・障害者・低所得者と、いわゆる社会的弱者ほど重い負担、痛みが加えられ、「貧困と格差」は、ますます深刻になっています。 こんなときこそ地方自治法にうたわれているように、「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条2)のが地方自治体の本来の役割です。名古屋市は、今こそ、地方自治体本来の役割を発揮させ、福祉の心を取り戻し、住民の負担を少しでも軽減し、暮らしを支えるために力を注ぐべきです。そこで、市長に、3点について質問します。 住民税の減免制度を元に戻し拡充を【黒田議員】 年金暮らしの高齢者を直撃する増税は、国民健康保険料や介護保険料の引き上げに連動し、「雪だるま式」の負担増が住民に押しつけられました。 そのために、医者に行く回数を減らしたり、ヘルパーやデイサービスの回数も減らしたりと、生活費を切り詰める涙ぐましい節約が行なわれています。 定率減税の廃止による本市への影響額を当局にお聞きしたところ、61億円ということでありました。名古屋市の歳入増となる61億円は、元はと言えば市民のお金。このお金は、市民の負担を軽減するためにこそ、使うべきではありませんか。お答えください。
介護保険料の引き下げを【黒田議員】 昨年、保険料の基準額が月額3,153円から4,398円へと、1.4倍にまで引き上げられました。年額にして約1万5000円の負担増は、高齢者にたいへんな痛みを感じさせることとなりました。 この点では、まず、国に対して、介護給付費に占める国の負担割合を25%から30%へと5%の引き上げを、要求するよう求めます。 同時に、本市においても、可能な限り保険料の引き下げをはかることを、求めます。あわせて、お答えください。
障害者自立支援制度の1割負担撤廃を【黒田議員】 今回、国の軽減策に加えて、市独自の軽減策も示されました。 今回の国の軽減策は、障害者自立支援法で、本人や家族の負担増、施設の収入減・経営難が広がり、見直しを求める世論と運動に押されて、一定の手直しをせざるを得なくなったものです。全面実施からわずか数ヶ月で手直しをせざるを得ないこと自体が、この自立支援法が重大な欠陥をもっていることを示しています。 今回の国の軽減策や市独自の軽減策によっても、問題が根本的に解決するわけではありません。 障害者や施設を苦しめる元凶は、「応益負担」ですが、国は、その見直しには、手を触れようとしません。障害者本人や家族、施設にとって、「原則1割」の「応益」負担の撤回は、切実です。市長は、国に対して、「応益」負担の撤回を強く求めるべきですが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
生活保護行政と、ホームレス問題の根本解決のために【黒田議員】 最初に、生活保護世帯への公衆浴場入浴券の支給を廃止することについて、質問します。公衆浴場入浴券は、昨年、月2枚から1枚へと減らされましたが、それに続く全面廃止です。これには、市民の間から「生活保護を受けている者は、風呂にも入るなということか」と、怒りの声があがっています。 昨年は、高等学校入学支度金及び夏季・歳末見舞金の支給も廃止されました。本市の生活保護施策は、毎年のように後退しています。 今、生活保護を巡って、政府は、老齢加算の廃止に続き、15歳以下の子をもつ一人親世帯が受給している母子加算を、3年間で全廃しようとしています。憲法25条に定められた生存権をまもる“最後の砦”である生活保護の切り捨ては許せません。 こうした国の悪政にさらに追い打ちをかけるような、1枚400円の公衆浴場入浴券の廃止は、いかにも冷たいと言わなければなりません。人間的な暮らしに、お風呂に入ることは欠かせませんが、それさえも奪おうというのは、生活困窮者に対するセーフティネットとしての生活保護行政を無慈悲にも後退させるものといわなければなりません。この点について、どのようにお考えでしょうか。お答えください。
白川シェルターの廃止について【黒田議員】 今年1月末現在で、シェルターを出た1,160人のうち、355人、約3割の人たちは自主退所とされています。この人たちの多くは、再び、ホームレス生活に戻ったと考えるのが、自然ではないでしょうか。 また、シェルターから自立支援センターへ移ったからといって、必ずしも全員が社会復帰したとは、言えないはずです。自立支援センターを出て就労自立した人たちの中には住み込みで就労した人たちが少なくありません。この人たちは、仕事がなくなれば同時に住宅を失う人たちでもあり、再び、ホームレスに戻ることが十分に考えられます。 昨年6月定例会で健康福祉局長は、「白川シェルターがホームレスの自立に大きな役割を果たしてきた」と、答弁されていますが、単純に評価することはできません。 また、先の答弁では、「シェルターを利用する人数も少なくなってきている」とも言われていますが、緊急一時宿泊施設のはずのシェルターへ、野宿をしなければならない人が「泊めさせてほしい」といっても、それはできないことになっています。また、健康回復をシェルターの目的のひとつにあげていながら、1日1食で、しかもご飯と漬物程度の食事しか提供せずして、どうして入所者が増えるのでしょうか。市内には、まだまだホームレスが少なくありません。 そこで、お聞きします。これまで行ってきたホームレス施策の効果を検証し、再び、ホームレス生活に戻らないよう、人権と福祉の観点から、シェルターを含めた施策の継続と発展こそが必要と考えますが、いかがでしょうか。
子育て支援の充実、子どもたちの豊かな成長を保障する教育について【黒田議員】 たとえば、子どもの医療費に所得制限を導入しているのは、愛知県下では名古屋市だけです。 また、政令市で事実上、最後となった病児保育は、新年度、ようやく実施することになりましたが、利用料は、他都市の一日2000円と比べて、8時間を超えると4000円と倍額を設定しています。こんなことで、どうして「子育てするなら名古屋」と胸を張ることができるのでしょうか。子育て施策の現実を変えるために、以下、4点について、市長に質問します。 子どもの医療費助成制度の中学卒業まで拡大を【黒田議員】 今や、医療費助成制度は、全国の自治体で、年齢拡大が進められています。東京23区内では新年度予算において中学卒業まで通院・入院・食事代のすべてを無料とする区が、次々と広がっています。県内でも、大府市・東海市が新年度から実施するなど、広がりを見せています。本市においても、中学卒業まで年齢を拡大することを求めます。 同時に、所得制限の撤廃を求める声も少なくありません。医療を受ける時の負担について、所得で線を引かれることは、市民の間に不公平感を抱かせるだけでなく、なぜ、有料となるのかについて説得力を欠くものとなっています。 所得制限を撤廃し、すべての子育て世帯に対する中学卒業までの医療費完全無料化を実施することについて、お答えください。
30人学級の全校全学年実施を【黒田議員】 子どもたちの学力低下、いじめや不登校があるなかで、教師の目がゆきとどく30人学級が、いま切実に求められています。教員の配置権限がまだ県にある中で、クラスを担任できる常勤講師の採用に踏み切ったことは評価できますが、ならば、これをさらに進めて、小中学校すべての学年で、計画的に実施することを求めますが、いかがでしょうか。お答えください。
学童保育とトワイライトスクールついて【黒田議員】 今、両事業のあり方検討が進められていますが、両事業は、もともと趣旨も違えば、事業内容、運営方法、職員体制も、それぞれに大きく異なる事業です。学童保育は、児童福祉法に位置づけられた子どもたちの「生活の場」です。親代わりの指導員は、来るはずの子どもが来なければ「何か、あったのか」と心配し、探したりもします。一方、トワイライトスクールは、登録児童数のうち、1日あたりの参加者数が3分の1程度しかいなくても、事業の性格上、問題ともならないのです。両事業の統合一元化には、そもそも無理があるだけでなく、一元化によって、生活の場としての学童保育が消滅させられないかとの不安が市民の間に大きくあります。一元化は進めるべきではありません。お答えください。
学童保育の条例化について【黒田議員】 児童福祉法は、いわゆる学童保育について、「市町村は、(中略)利用の促進に努めなければならない」としています。 しかしながら、本市においては、学童保育を必要とする市民が自主的に運営する民間の育成事業を支援するという域を出ていません。そのために今、市内の小学校は260校ですが、学童保育所は179か所しかありません。また、貸し主の事情から、借りている土地や建物の明け渡しを求められることもしばしばですが、市民は、土地や建物さがしに、いつも大変な苦労を余儀なくされています。 また、施設はと言えば、けっして広いとは言えない借家に、毎日30数人がひしめいていたり、老朽化した建物のため床が朽ちて穴が開きべこべこの状態になっていたり、劣悪な施設の中で子どもたちが生活している学童保育所は、けっして珍しい話ではありません。 さらに指導員は、こどもの発達にかかわる専門家でありながら、労働者というよりボランティア程度の低賃金と労働条件のもとで働いています。 このような状態で、果たして児童福祉法に規定されているように、名古屋市が「利用の促進に努め」ていると言えるのでしょうか。 私は、学童保育事業を条例化して、市の責任においてすべての小学校区で学童保育を実施することや、「生活の場」にふさわしい施設や職員配置など設置基準を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
地域経済を振興し、安定した雇用を拡大官公需の発注率を引き上げよ【黒田議員】 市長は、新年度予算案の提案説明にあたって、「元気な名古屋」と言われましたが、元気なのはトヨタをはじめとした一部大企業の話であって、庶民の実感や暮らしの実態とは、かけ離れていることを、指摘しなければなりません。 1月に発表された名古屋市景況調査=市内中小企業を対象にした景気状況の調査結果=によると、「業種別では、建設業、卸売業、小売業、サービス業は悪化となっており、小売業、サービス業では他の業種に比べ厳しい状態にある結果となった」と報告しています。そのうえで、「市内中小企業の景況感は、消費関連の業種を中心に改善の動きが後退した」と結論づけているではありませんか。 そこで、まず、中小企業に対する官公需の発注率を引き上げることについて、市民経済局長に伺います。 現在の発注率を、工事に限ってみますと、本市の場合、5年前の49%が昨年度は49.8%で横ばい状態となっていますが、この割合は、政令市で最低クラスとなっています。 中小企業にこそ仕事が回るようにすべきですが、発注率を引き上げるという目的・意識的な考え方について、お答えください。
大型店の出店を規制するまちづくりについて【黒田議員】 現在、名古屋市都市計画審議会土地利用計画部会において、「大規模集客施設のあり方」について、検討が進められていますが、その中で、準工業地域についても市独自の規制策が検討されていると伺っています。私は、この市独自の規制については一定の評価をしつつも、その対象は1万平方メートルを超える場合としているなど、まだまだ不十分なものと考えます。 昨年10月施行の「福島県商業まちづくり推進条例」は、大店立地法の手続きに先立つ計画段階での届け出と説明会の開催を義務付けた全国初の条例として注目を集めています。 本市においてもさらに踏み込んだ「まちづくり条例」などの独自規制が必要と考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
雇用状況の改善を【黒田議員】 賃金を適切に確保させることを発注要件にせよ【黒田議員】 私は、名古屋市が発注する工事や委託事業を請け負う民間業者が、その事業に働く労働者の賃金を適切に確保させることを発注要件に含ませることを提案します。 いわゆる低価格入札でダンピング競争が行われた結果、労働者に低賃金が押しつけられ、地域全体の賃金水準が押し下げられます。そしてそれは、地域経済にマイナスの波及効果をもたらします。 私の提案は、低価格入札がもたらす弊害をなくし、雇用のルールを確立させ、地域経済を立て直す力にもなるものと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
若年嘱託職員としての採用をやめ、正規職員として採用を【黒田議員】 交通局における若年嘱託職員としての採用をやめ、正規職員として採用することについてです。 交通局が採用している若年嘱託職員は、期末勤勉手当いわゆるボーナスというものがなく、年収で正規職員より約100万円下回ると言います。行政職場において若年嘱託という制度は、少子化の克服にも逆行しています。交通局においては、新年度、150人を正規採用する予定とのことですが、約400人いる若年嘱託職員全員を正規採用すべきです。お答えください。
予算配分における重点の考え方について不要不急の大型公共事業の見直し(徳山ダムからの導水路建設、モノづくり文化交流拠点構想、名古屋城本丸御殿の復元)【黒田議員】 大型公共事業には、ゼネコンが群がり、そのゼネコンが談合を繰り返す。下水道工事から地下鉄工事、食肉市場の建設など、名古屋市の公共事業においても談合によって、税金が食い物にされる。こんなことが、次々と、明るみに出されてきています。すでに、一部、有罪判決が下されていますが、全容解明が待たれます。このような談合を生み出す大型公共事業は、必要性や採算性についてしっかり吟味しなければなりません。 (徳山ダム導水路の建設は、推進すべきでない)たとえば、900億円もの巨額の資金を必要とする徳山ダムからの導水路の建設は、今でさえ、水量豊富な木曽川の水で十分に満ち足りていて、しかも、今後の人口が減少に向かうという人口見通しを発表している名古屋市にとって、まさに、不要・不急と、言わなければなりません。 (モノづくり文化交流拠点構想の中止)また、市長は、今、4大プロジェクトを推進するとしていますが、いずれも巨額の資金を必要とする事業です。 そのひとつ。モノづくり文化交流拠点構想は中止すべきです。 モノづくり文化交流拠点構想とは、最近まで産業技術未来博物館構想と呼んでいたもので、ナゴヤドーム4個分の敷地に複数の企業が“テーマ館”を出展、この地域のモノづくりの歴史や未来を紹介する構想ですが、そもそも産業界が行うことではありませんか。それを行政が主導し、総事業費200億円のうち半分の100億円を税金で肩代わりしてやろうとするものです。 名古屋市は、今、3兆3千億円もの借金財政。一日あたりの利払いは、一般会計だけでも約1億円にのぼります。これほどの借金財政になったのは、ゼネコンなど大企業優先の開発型の市政を進めてきた結果です。市の財政難は、産業界も十分承知のはず。これほどの巨額にのぼる事業を、産業界がどうしても必要と考えるなら、自前でやってもらえばよいことではありませんか。 (名古屋城本丸御殿の復元を凍結)次に、150億円もの資金を必要とする名古屋城本丸御殿の復元は、市民合意が得られるまで凍結すべきです。予算案をみると、18年度の5200万円に続いて、19年度も8600万円の盛り上げ予算が盛り込まれています。それほど盛り上がらないことを予算案そのものが示しているのではありませんか。 今、市民の中に「どうしても、今、優先してすすめてほしい」という声が大勢になっているわけではありません。寄付が増えたといっても、大口の寄付者が増えただけで、一般市民からの寄付はそれほど増えているわけではありません。 昨年の9月定例会で紹介しましたが、私ども日本共産党市議団が行なったアンケートでも「2010年までに玄関の一部だけでも完成させたい」とする市の方針を支持する回答は、たった3%にしかすぎませんでした。名古屋城本丸御殿の復元は、市民合意が得られていないものと考えます。 以上、みてきたように、これらの施策は、いずれも巨額の資金を必要とするうえ、必要性や採算性からいっても、まさに、不要不急と言わなければなりません。 そこで、市長にお聞きします。市民が、増税や社会保障切り捨ての国の政治によって、痛みを感じているときに、これら不要不急の事業よりも、市民の暮らしや福祉を充実させる予算配分こそ、重点とすべきではありませんか。お答えください。
議員OBの外郭団体への「天下り」【黒田議員】 最近、この問題を取り上げたテレビ番組がありました。これを見た何人かの市民から私に対して、「あんなことは許せない」と、怒りの声が寄せられました。 市長は、あの番組をご覧になったのでしょうか。市長も登場した番組ですから、おそらく見られたことと思いますが、まず、その感想をお聞かせください。 現在、前回選挙で議員を辞めた方々のうち5人が名古屋市が出資している外郭団体の役員に=肩書きは監事=ですが、就任しています。いわゆる議員の「天下り」といわれているものです。議会には、本来、行政に対するチェック機能としての役割が求められています。税金が投入されている外郭団体についても、同じはずです。昨日まで議員としてチェックする側にいた者が、議員をやめた直後からチェックされる側に回るというのでは、議会と行政の癒着ととられることは当然であり、引退議員の外郭団体の役員就任は、むしろ、ふさわしくないと言うべきです。 こんなことは、全国でもほとんど例がなく、名古屋市だけで行なわれているとして、市民の大きな怒りをかっています。まして、週二日勤務で、番組によれば実働1時間から1時間半程度、月額報酬が約35万円と聞けば、市民に、理解も共感もされないのは当然です。行政と議会への信頼を取り戻すためにも、この悪しき慣行は、きっぱりとやめさせるべきではありませんか。市長が外郭団体に、一言、言えば済む話です。名古屋市は、外郭団体を指導・監督する立場にあります。その名古屋市が、この問題で外郭団体に一言も言わないとしたら、行政に対する不信を取り除くことは、到底できません。 市長、今、この問題で、市民の中にある行政への不信と怒りの声に、どう応えていくおつもりか、明快な答弁を求めます。
国民保護計画の中止―憲法9条を守る【黒田議員】 市長。戦争を前提とした計画に市民を巻き込むべきではありません。国民保護計画にもとづく施策の中止を求めます。お答えください。
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