原爆被爆者に対する援護対策は、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」に基づいて行われているが、この対策の一つとして、被爆者の負傷や疾病が原爆の放射能に起因し、現に医療を要する場合は、厚生労働大臣が原爆症と認定し、当該疾病に対する医療費を全額国庫負担し、医療特別手当を支給するという対策がある。
しかし、厚生労働大臣の認定基準は厳しく、現在認定を受けている被爆者は被爆者健康手帳所持者の1%にも至らず、2000人台の状態が続いている。被爆後61年たった今日も、多くの被爆者が多重がん等で苦しんでいる。そして、自分の病気が原爆によるものだと国に認められることを強く願っている。
厚生労働省は、被爆者の認定基準の改定要求に耳を傾けない。そこで、集団訴訟に訴えて、現在、201人の原告が、16地方裁判所、2高等裁判所で争っている。この訴訟においては、既に、5月12日に大阪地方裁判所が9人の原告全員について、続いて、8月4日には、広島地方裁判所が41人の原告全員について、それぞれ原爆症と認定すべきと判断し、厚生労働大臣の認定申請却下処分を取り消す判決を言い渡した。しかし、厚生労働省は、いずれも直ちに控訴し、裁判所の判断に耳を傾けようとしていない。
高齢化した病弱な原告に裁判を重ねる時間はない。提訴以来既に27人の原告が亡くなっている。国はこの間、原爆症を巡る裁判で負け続けている。
ついては、厚生労働省の被爆者行政の抜本的な改善を求めるため、貴議会が次の事項を内容とする意見書を厚生労働省に提出されるようお願いする。
- 原爆症認定基準の抜本的改善をすること。
|