2007年2月定例会 個人質問(3月6日) 山口きよあき「環境首都」にふさわしい自動車公害対策を
自動車公害の現状をどう認識しているのか【山口議員】 大気環境学会にも「ぜん息の子どもが多い地域は、NO2の発生が多い地域と相関関係にある」、「SPM濃度の年平均値と小学生のぜん息被患率にも相関関係がある」などの調査研究が報告されています。 名古屋ではどうでしょう。25年前に比べて小中学生では約5倍に増え、いまや小中学生の22人に1人がぜん息。全国平均の約1.5倍の高い発症割合です。 少し細かく見ていくと幹線道路沿いで発症率が高いことに気がつきます。
市民団体による3年おきのNO2測定でも、幹線道路沿いの汚染濃度が高い傾向が顕著です。昨年秋の市民団体の調査では、港区、南区だけでなく熱田区や西区の幹線道路沿いでも環境基準を上回る高い濃度が観測されています。NO2濃度は改善が進んでいるとは言えません。 ところが名古屋市では1988年に公害指定地域を解除した後、新たな認定患者の発生を認めていません。大気汚染による健康影響調査もやめてしまいました。 しかしその後、いわゆる「あおぞら裁判」=名古屋南部公害訴訟をはじめ西淀川、川崎、尼崎、東京など各地の大気汚染裁判では、自動車排気ガスによる健康被害を認める判断があいついでいます。 そこで環境局長にまず、本市の自動車公害の現状認識をうかがいます。
ぜん息の増加と自動車公害との関係の調査をせよ【山口議員】
メーカー・国・自治体の三者による新たな被害者救済制度をつくれ【山口議員】 それは「大気汚染による健康被害者の救済と自動車排出ガス対策の強化を早急に実施することが行政本来の使命である」ことから、「大気汚染の根本的な原因は国の自動車排出ガス規制の怠慢にある」と国の責任をきびしく指摘しつつ、自動車メーカーにも「高度で成熟した自動車文明社会を築くために欠かせない企業の社会的責任を担う見地から」それぞれ被害者救済への協力を求めるというものです。 私がとくに注目するのはメーカーの姿勢です。東京都の提案に対し、因果関係の検証にこだわるよりも、社会的責任を認めて現実的な解決策に応じようとする変化も若干見られるようです。 トヨタ自動車の渡辺かつあき社長も1月の中日新聞のインタビューで次のように言っています。 「技術陣は排ガスをゼロにするにはどうすればいいか一生懸命、研究を重ねている・・・ただ自動車の技術のみでは不十分・・・高速道路は、環境に配慮してすべて地中化する(など)・・今後は街づくりを含めてモビリティ=(移動)全般を考える会社にならないといけない・・」 市長、自動車産業が主要産業のひとつである本市を環境首都にしたいのならば、まず自動車公害の根絶です。自動車産業が盛んな名古屋だからこそ、道路公害の発生を許さず、全国の被害者救済のモデル都市になる責任と資格がある、と私は思いますがいかがでしょうか。市長、あなたがリードをとり、メーカー・国・自治体の三者による公害被害者救済の制度を設けるべきではありませんか。
港区への高速道路延伸にともなう環境対策の強化を【山口議員】 市内の車両通行量はどうか。国の「道路交通センサス」調査によると、いま再び上昇傾向です。とくに高速道路通行量の伸びが目立ちます。道路建設は車を呼び込みます。車の通行量を増やす道路建設を続けることは、環境首都をめざす市長の言明とも矛盾するのではないでしょうか。 ところがいま港区では、高速4号線の延伸工事が始まっています。名古屋南部地域は大気汚染の裁判を闘った地域です。国道23号沿線の大気汚染は改善されず、市の環境測定でも南区や港区の観測データは深刻な数値が続いています。 加えていま、貿易の伸びに伴い名古屋港が一大物流拠点になりつつあります。取り扱うコンテナ個数は1997年の149万から2006年には約251万へと10年間で約1.6倍、100万個も増えました。だいたいコンテナ1個につき、大型のディーゼルトレーラー1台が港まで往復します。大気汚染発生源のディーゼル車が次から次へと名古屋港へ入ってくる深刻な状態です。 この地域へ高速道路をつくることは、環境対策上、問題がありすぎます。 いまでも大気汚染が深刻な23号線と都市高が交差します。しかも本市の緑比率が年々低下しているなか、港北公園、木場中央公園、木場南公園を串刺しにするコースに建設され、樹木が数千本も切られます。さらに高層住宅街のまんなかにランプをつくる。とても環境に配慮した計画とは言えません。 この高速道路の建設で、伐採される樹木もふくめてCO2はいくら増えるのか、せめて道路沿線にCO2排出量に見合う以上の緑を増やすべきです。少なくとも騒音と排ガスの被害を減らすため、高速道路にフタをするつもりで遮音壁を設置し、ランプの場所も住宅街から離すべきです。以上、環境局長に聞きたい質問ですが、高速道路を所管する住宅都市局長の答弁を求めます。
ぜんそく対策に、せめて環境目標値の達成を(再質問)【山口議員】 アレルギー学会によるとぜん息の要因は多様だという答弁でした。アレルギー体質の子どもが増えている、これはみなさんが実感しています。その一方で大気汚染の有無による地域差も確かにあります。つまりアレルギー体質など、汚染物質に対する感受性が強い、敏感な人々が増えており、従来よりもわずかな汚染物質を浴びただけで発症するようになってきたのです。 だからわざわざ名古屋市でもNO2 では0.06ppmという環境基準の上限だけでなく0.04ppmという環境目標値を定めたのではありませんか。この0.04の環境目標値を超えた地域では全国平均より高い5%越えるぜん息の発症率が見られる、との調査結果も学会に報告されています。 逆に言えば、本市が自ら定めた環境目標値を達成すれば、子どものぜん息発症率をうんと改善できる可能性が高いのです。局長は環境基準についてしか答弁がなかった。 再度うかがいます。市の17ヶ所の一般測定局、12ヶ所の自動車排ガス測定局ではこの環境目標はクリアしていますか。環境基準ではなく環境目標値をクリアすることが、ぜん息患者の増大を食い止めるためには不可欠と考えますがお答えください。
「環境首都なごや」が泣く(意見)【山口議員】 ところが高速道路を所管する住宅都市局長の答弁は、高速道路をつくり車がスムーズに流れれば、CO2もSPM も改善する、NO2も環境基準は達成できる、だから道路はつくる、というものでした。 道路つくってどうなりましたか。車の通行量は増え、NO2は改善されず、CO2 は増えているのが現実ですよ。 先日、本会議で市長は、運輸関係のCO2排出が多いことに関わって「市民にはできるだけ車の利用を控えていただきたい」と答弁しましたね。道路はどんどんつくるけど「車には乗らないでね」とお願いする。矛盾していると思いませんか。 高速道路の環境基準は達成可能と言い切りましたが、その予測は、6万台の車が時速70kmで走る想定です。既存の高速、時速70kmで走っていますか。 おまけに高速2号線では、8万台の予測が現実は12万台、とくに平面街路が予測よりうんと増えています。こんな想定は信用できません。 市のは排ガス測定局で、環境基準の0.06ppmさえ達成できない所が一ヵ所あります。どこでしょう。南区の元塩公園、23号線と都市高速道路が交差するすぐ北の測定局です。ここと同じ状況が高速道路の延伸で、こんどは港区にもつくられるのです。 少なくともNO2に関して、0.06の環境基準ではなく、0.04の本市の環境目標を、国やメーカーとも協力しながら、まずクリアする。高速道路の環境対策でも、環境目標が達成できない計画は認めない。「環境首都なごや」と市長が言うのなら、せめてこれくらいの強い決意で環境行政、道路行政を抜本的に見直すよう強く要望します。 国民健康保険について滞納者の状況をつかんだのか【山口議員】 保険料が高すぎます。今度は税制「改正」による住民税の引き上げでさらに保険料が上がります。これでは滞納者がますます増えるだけです。 ところが国は2000年に、滞納者から保険証を取り上げ、代わりに医療機関では10割を支払う資格証明書の発行を義務化しました。保険証の取り上げは各地で、手遅れで死亡するケースまで生み出す深刻な社会問題となり、国民皆保険制度を空洞化させています。 そのなかで本市は、全国に誇れる保険料減免制度の活用や、国保推進員の努力などにより2005年度では、14政令都市中、資格証明書の発行は18件と最小ですが、保険料収納率では上から3番目と健闘しています。 ところが昨年8月、市は、滞納が長期に渡り一定額以上になった市民に対し、その事情も聞かぬまま、いきなり長期滞納者認定通知を1546通おくりつけました。そして12月には、2月中に何とかしないと、保険証を返させ、資格証明書をおくると通告しました。 これまでの資格証明書の発行では、すべて滞納者と接触をはかり、個々の事情も把握した上で、慎重に保険証から切り換えていました。今回は、滞納者を訪ね、事情を聞く努力はつくされたのでしょうか。 3月になりました。何人から保険証をとりあげ、資格証明書を発行したのか、その際、個々に面接したうえで発行したのか、それとも会わぬまま一方的に送付したのか、お答え下さい。
資格証の発行は滞納者との縁切り宣言だ(再質問)【山口議員】
高すぎる保険料こそ是正を(意見)【山口議員】 資格証の発行では収納率が改善しない、これが全国各地の教訓です。局長も「納付相談が収納対策の中心」と言いました。滞納者のなかに多重債務を抱えたまま困っている人はいなかったのでしょうか。 資格証の発行は、やはり滞納者との縁切り宣言、ますます滞納者の足を役所から遠ざけるだけです。滞納が多いと言うのなら、高すぎる保険料こそ是正すべきです。 これでは市民の医療と健康は守れません。何かあってからでは遅いのです。私は、資格証明書の大量発行を即時、撤回するよう強く要望しておきます。
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