意見書・決議(2007年9月議会)

日本共産党をはじめ各会派から提案された13件の意見書案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、1件が取り下げられたため、日本共産党の提案した意見書案も含め、12案件が適切な修正や調整を行って共同提案の合意が得られ、10月3日に議決しました。

意見書案に対する各会派の態度(議会運営委員会に提出された意見書・決議案)
意見書案 原案
提出
  各会派の態度
共産 民主 自民 公明 名自
割賦販売法等の改正に関する意見書(案) 民主 可決
雇用対策の拡充に関する意見書(案) 民主 可決
地方議会制度の充実強化に関する意見書(案) 自民 可決 修正
原爆症認定基準の見直しに関する意見書(案) 自民 可決
高齢者医療の負担軽減に関する意見書(案) 自民 可決 修正 修正
中小企業の事業承継の円滑化に関する意見書(案) 公明 可決
「地域安全・安心まちづくり推進法」の早期制定に関する意見書(案) 公明 可決 修正
いじめ・不登校対策の充実に関する意見書(案) 公明 取り
下げ
政令指定都市の県費負担教職員制度見直しに関する意見書(案) 名自 可決 修正
介護職員の人材確保に関する意見軍(案) 名自 可決 修正
地域医療体制の充実に関する意見書(案) 名自 可決 修正 修正 修正
児童扶養手当の削減に関する意見書(案) 共産 可決 修正 修正
ムコ多糖症の治療に必要な国内未承認薬の承認迅速化等を求める意見書(案) 委員会での請願採択により 可決

太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。意見書名を修正した場合は修正後の件名を掲載。
議運に提案された段階での態度です。 ○=賛成 ●=反対 △=保留
●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。
会派名 共産:日本共産党 民主:民主党 自民:自民党 公明:公明党 名自:名古屋市会自民党

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《採択された意見書》

割賦販売法等の改正にに関する意見書

近年のクレジット取引拡大に伴い、クレジット取引を利用した悪質な販売行為や利用者の返済能力を超えた過剰なクレジット契約などが社会問題となっている。

このような中、国においては、クレジット被害の防止に向けて割賦販売法等の改正に関する検討を進めているところであり、クレジット被害の防止と取引適正化の実現のために実効性ある法令改正の方向性が示されることが期待されている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、割賦販売法等の改正に関し、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. クレジット事業者が顧客の支払い能力を超えるクレジット契約を提供しないように、具体的な与信基準を含む実効性ある規制を行うこと。
  2. クレジット事業者による加盟店への調査を義務づけるとともに、無効の販売契約等について、既払金の返還義務を含むクレジット事業者の民事共同責任を規定すること。
  3. 規制対象を限定している政令指定商品制を廃止するとともに、すべてのクレジット契約を法の適用対象とすること。
  4. 契約書型クレジットを扱う事業者を登録制にするとともに、クレジット契約に対する契約書面交付義務及びクーリング・オフ制度の適用範囲を拡大すること。

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雇用対策の拡充に関する意見書

昨今、経済状況は回復傾向にあり、人口が減少する中、本格的な労働力不足時代が到来すると言われている。

しかし、大都市圏と地方との雇用情勢の格差が拡大しており、地域の実情に応じた就労支援策の実施や雇用のミスマッチの解消に向けたより積極的な取り組みが求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、雇用対策の拡充を図るため、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. 国・地方が行う雇用施策の役割分担を明確化し、権限移譲を行うとともに、必要な財政措置を講ずること。
  2. 地方公共団体が独自の職業相談・職業訓練・トライアル雇用・職業紹介を一貫した体制で実施し得るよう十分な支援策を講ずること。

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地方議会制度の充実強化に関する意見書

地方分権の進展に伴って、自治体の自己決定権がますます拡大する中で、二元代表制のもと二地方議会の役割と責任は極めて重要なものとなっている。

今後、地方議会が住民の代表機関としてその負託にこたえ、その機能を一層強力に発揮していくためには、議会の権限をさらに充実強化していく必要がある。

地方議会制度については、第28次地方制度調査会答申に基づき、平成18年の地方自治法改正によって一定の改善が図られたが、地方議会がその機能をさらに強力に発揮していくためには、なお一層の取り組みが必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、議会の招集権や附属機関の設置などの権限制約的諸規定の緩和により、地方議会の充実強化を図るための抜本的な制度改正を行うとともに、地方議員を市民の直接選挙によって就任する「公選職」として法上明確に規定するよう強く要望する。

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原爆症認定基準の見直しに関する意見書

現在、原爆被爆者は全国で25万人以上存在し、その多くが高齢でさまざまな病気に苦しんでいると言われている。

現在、こうした原爆被爆者の中で厚生労働大臣から原爆症と認定された者については医療特別手当の支給制度があるが、その認定基準が非常に厳しいため、認定を受けている被爆者は全体のごくわずかという状況であり、被爆者に対する支援が十分とは言いがたいのが現状である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、原爆被爆者の立場に立った支援を行うため、現行の原爆症認定基準を早急に見直すよう強く要望する。

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高齢者医療の負担軽減に関する意見書

平成20年4月から、新たな医療保険制度として後期高齢者医療制度が開始される。この制度により」新しく賦課される保険料の負担は医療給付費の1割となるが、制度導入に当たり、これまで国はこの保険料負担額を全国平均で月額6200円程度になると説明してきた。

しかし、保険料には医療給付費以外に、葬祭費、保健事業や審査支払手数料などに要する費用も加わることがこの説明の中で十分周知されていなかったため、実際の保険料額は当初示された金額を大きく上回るものと予想される。加えて、被扶養者にも新たに保険料の負担が課せられることになっている。

また、70歳から74歳までの商齢者の窓口負担は1割から2割に増額されることが予定されている。

こうした中、高齢者の窓口負担増の凍結が検討されていると報じられているが、早急に高齢者医療制度を見直し、高齢者に対する負担を軽減することが求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、高齢者医療制度における医療費負担増を凍結し、窓口及び保険料の負担を軽減する措置を講ずるよう強く要望する。

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中小企業の事業承継の円滑化に関する意見書

中小企業経営者の高齢化が進展する現在、日本経済を支える中小企業の雇用や高度な技術の確保を図るために、その事業承継を円滑に行うことが重要な課題となっている。

このような中、平成19年度の税制改正大綱において、事業承継の円滑化を支援するための枠組みを総合的に検討する旨が明記されたところであり、今後は特に中小企業の円滑な事業承継の大きな障害になっているとの指摘がある相続税負担の減免措置拡充を初めとする事業承継の円滑化に向けた一層の取り組みが求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、事業の継続を前提とした非上場株式に係る相続税の減免措置の大幅な拡充を図るなど、中小企業の事業承継を円滑に行うために必要な措置を講ずるよう強く要望する。

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「地域安全・安心まちづくり推進法」の早期制定に関する意見書

近年、子どもを初め、地域住民を巻き込んだ凶悪事件が市民に著しい不安感を与えている。

安全で安心して暮らせる地域社会を築くには、犯罪の発生を抑止し治安を回復することが必要であり、それには警察の力に加えて住民みずからの防犯活動を欠かすことはできない。現在、住民による活動が盛り上がりを見せる中、防犯ボランティア団体の活動を多角的にサポートするための法律の制定が強く求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、「犯罪に強いまちづくり」への自発的な取り組みや防犯意識の向上のための住民活動を、国や自治体が総合的かつ計画的に支援することを責務とする内容を盛り込んだ「地域安全・安心まちづくり推進法」(仮称)を早期に制定するよう強く要望する。

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政令指定都市の県費負担教職員制度見直しに関する意見書

社会や子どもたちを取り巻く環境の変化により、現在の学校教育には課題が山積し、また、その課題にも地域差が存在していることから、地域での教育ニーズに応じた質の高い教育施策を独自に実施していくことが求められている。

しかし、現在、政令指定都市における県費負担教職員については任命権を政令指定都市が有し、道府県が給与負担を行うという任命権者と給与負担者の不一致が生じているほか、学級編制基準や教職員定数に係る権限についても道府県が 有しており、政令指定都市は独自の教育施策を十分に行えない状況にある。

教育の分野において政令指定都市が主体的な教育行政を展開できるように県費負担教職員制度を早急に見直す必要がある。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、政令指定都市における教職員の給与費負担とそれに必要な税財源を移譲するとともに、学級編制基準や教職員定数の設定等の包括的な権限の移譲を行うよう強く要望する。

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介護職員の人材確保に関する意見書

本格的な高齢社会を迎え、介護サービスに対する国民のニーズや期待はますます高まり、今後必要とされる介護職員の安定的な確保が必要不可欠な状況となっている。

国は、介護・福祉分野の人材確保に関する指針を改正したところであるが、介護職員の現状は、給与水準が低く、厳しい労働環境などから離職率が高くなっており、介護制度が十分機能していくための人材確保が喫緊の課題となっている。

よって、名古屋市会は、国及び政府に対し、介護ニーズに対応するのに必要な人材を安定的に確保するため、マンパワーへの適正な報酬体系の確立や労働環境の改善を早急に図るよう強く要望する。

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地域医療体制の充実に関する意見書

市民が安心して生活するためには、良質かつ適切な医療を安定的に提供するための地域医療体制の充実が必要不可欠である。

しかしながら、我が国においては、地域医療の担い手である医療従事者が、欧米先進諸国に比べて不足しているのが現状である。また、近年の診療報酬改定では、技術料の引き下げやリハビリテーションに係る算定日数制限が行われるなど、地域医療の質の低下が危慎されており、早急に対応することが求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、医療従事者の大幅増員を図るなど、医療の質を確保し、安心・安全な地域医療体制の充実に必要な診療報酬の引き上げ等の措置を講ずるよう強く要望する。

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児童扶養手当の削減に関する意見書

政府は、2002年の児童扶養手当法改正に基づき、母子家庭に支給されている児童扶養手当について、手当受給期間が5年を超える場合、来年4月から最大半減する方針である。

今日、不安定雇用の広がりや社会保障の改悪により、母子家庭の生活はますます困窮している。母子家庭の収入は1世帯当たり平均212万円で一般家庭の平均589万円と比べて36%にすぎない。母子家庭の就業状況は、臨時・パートが49%に上り常用雇用が減少して、不安定雇用がふえている。さらに生活保護の母子加算の削減も行われようとしている。このように母子家庭の生活が、深刻さを増す中で、こうした状況に配慮した政策が求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、児童扶養手当の削減を凍結し、制度のあり方を再検討するよう強く要望する。

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ムコ多糖症の治療に必要な国内未承認薬の承認迅速化等を求める意見書

難病患者の多くは、症状の改善を図り、悪化を防止する有効で安全な医薬品が迅速に提供されることを望んでいる。

しかしながら、ムコ多糖症では、海外で承認されているにもかかわらず、我が国では未承認の医薬品があるため、患者が生命の維持に必要な治療を十分に受けられず、症状の進行を食いとめられない深刻な問題が生じており、早急な対応が求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. 安全性の確保に十分留意しつつ、国内未承認薬に関する審査の迅速化により申請から承認までの期間の短楯を図ること。
  2. 国内未承認薬に関する承認申請がない場合における当該薬の供給施策を早急に講ずること。
  3. 新生児スクリーニング等の患者の早期診断技術の開発を推進すること。
  4. 超希少難病に関する国内未承認薬問題の抜本的解決を図るため、新たな制度を創設すること。

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