2007年9月定例会 議案外質問 山口きよあき議員(2007年9月20日)録画中継を別サイトにて配信しております。 港区への新斎場建設について地元の理解と納得は得られたと考えているのか【山口議員】 市内に複数の斎場を整備する必要性は理解しますが、斎場という施設の性格上、その建設には一般の公共施設にもまして、十分な地元の理解、納得と合意が必要です。地元の理解を得るために、市当局はこの4年間、それなりの努力を重ねてきたとは思います。その結果、地元の学区連絡協議会は、「苦渋の決断」で受け入れを表明しました。それでも「市長の顔が見えん、本丸御殿のことばかりで、斎場のことは地元まかせではないか」との声がくすぶっています。 また一方、建設予定地の地元町内会は依然、反対の態度を崩していませんし、周辺の住民には未だに強い異論があります。 名古屋市の事業の進め方に、賛成反対の双方から不信の声が出ています。地元の合意形成が不十分なままでは斎場建設はできません。 そこで市長にうかがいます。あなたは斎場建設について、地元の理解と納得はすでに十分得られたと認識しているのですか。お答えください。 区画整理組合の同意書は関係者の納得で【山口議員】 地元町内の過半数が賛成しなければ地権者の8割からの同意は得られません。つまり地権者の同意が集まるか否かは、斎場計画に対して、住民の理解と納得が得られたかどうかを判断するうえで、重要な指標なのです。 ところで名古屋市は、区画整理組合についての許認可権を持つ一方で、斎場建設の推進をはかる立場にあります。事業推進の立場で、同意が得られたか否かを公平公正にジャッジできるのか、との声があります。当然の疑問です。 市長、区画整理組合の認可にあたり、地権者の同意の有無を公平に判定するために、第3者機関の設置など、関係住民みんなが納得できる仕組みを整えるべきではありませんか、お答えください。 市の責任で公正にすすめる(市長)【市長】 土地区画整理組合の認可は、市の責任で公正に行っていきたい。市は、新斎場の整備とともに地域の皆さんの長年の夢である質の高い新しいまちづくりが実現できるよう努めていく。 新斎場問題は誰もが納得できるように(要望)【山口議員】 斎場は人生の最後をしめくくるおごそかな施設です。施設の性格にふさわしい建設の仕方があります。その前提は、地域のみなさんに、心から理解・納得していただくことです。合意形成が不十分なままでの見切り発車は許されないと、強く指摘しておきます。 市長はまた、斎場整備と区画整理は、「車の両輪」と言いましたが、これがより事態を複雑にしています。斎場整備にとってもいま最大の焦点は、区画整理組合の発足に地権者の8割の同意が得られるか否かです。 本市は、「組合の早期設立を期待する」が、「認可は本市の責任で公正に行う」、との答弁でしたが、ほんとに両立できますか。市長の姿勢、当局の動きを市民はきびしく見ています。8割の同意が必要という姿勢をしっかり堅持し、住民の合意形成の判断は、誰が見ても納得できる方法で行うように重ねて要望しておきます。 金城ふ頭における「モノづくり文化交流拠点構想」についてなぜ金城ふ頭なのか【山口議員】 また金城ふ頭では、いまでも活発に港湾作業が行われています。貨物が増え、廃止予定だったコンテナターミナルも再稼働しています。モノづくり文化交流エリアに想定されている岸壁及びその周辺は、完成自動車の保管施設、自動車専用船岸壁として、新車・中古車合計で年間約35万台が取り扱われる名古屋港の一大輸出拠点です。岸壁にずらっと並ぶ完成自動車の群れは、地域の産業を象徴する、名古屋港を代表する光景のひとつです。 今年3月、自動車の保管や積み込みを取扱っている二つの業界団体からも、金城ふ頭内での自動車専用岸壁とそれに直結する自動車保管施設を、引き続き一体的に使用させてほしい、との強い要望が名古屋港管理組合に出されました。 この地域のモノづくりに対する市民の理解を深めるのが構想の目的ならば、この現に動いている港そのものを見学してもらえば良いではありませんか。なぜわざわざ産業活動の拠点をつぶすのか。金城ふ頭は、都市再生緊急整備地域に指定されたし、あおなみ線も通したので、無理してでも開発しなければいけないのでしょうか。港ではまず港湾本来の機能こそ優先すべきです。 モノづくりを物流面で支えている関係者の声も無視し、モノづくりを名目にして金城ふ頭を産業拠点から交流拠点に変えるというのでは、本末転倒ではありませんか。なぜあえて金城ふ頭なのか、総務局長、お答えください。 「懇談会」の議論などを参考にした(局長)【局長】 具体的に構想の展開を考えている場所は、名古屋港港湾計画で、物流ではなく、多くの人々の交流活動を推進することで賑わい作りや活性化をはかることを目的とした「交流厚生用地」を中心に考えている。 モノづくりの発展にどう役立つのか【山口議員】 モノづくりの支援には、文化交流拠点づくりに税金を注ぎ込むより、市内の中小企業、地場産業を直接支援する方が、よほど有効な税金の使い方です。 この構想がモノづくりの発展に具体的にはどう役立つのか、答弁を求めます。 モノづくり技術の継承や各産業界の活性化に繋がる(局長)【局長】 モノづくり文化拠点構想は撤回しかない(意見)【山口議員】 守山市民病院の分娩受け入れ廃止と市民病院の産科医療について守山市民病院の産科を守りぬけ【山口議員】 先日は奈良県で、妊婦がいくつもの病院をたらい回しされ流産するという事件が起きましたが、とても他人事とは思えません。 市内の産婦人科のある病院数は1996年(平成8)の50カ所が、現在では30カ所にまで減りました。その病院のなかでも「出産は月10件まで」などの厳しい状況があります。「里帰り出産しようと思ったが病院が見つからない」「遠い病院しか予約できず、容体が急変したら不安」といった市民の声は切実です。産科のある病院の市内配置をみると、名東区はゼロです。一つだけが東区、西区、瑞穂区、熱田区、港区、天白区、そして市民病院だけの緑区、守山区、と8区です。新たに守山を空白にするのが市民病院再編計画なのですか。 市民病院再編計画では、守山と城西では出産の受け入れをやめ、城北病院に医師を集約し、二次救急に対応する周産期医療のセンター病院にします。しかし拠点病院への集約化では問題は解決しません。県の周産期医療協議会の議事録には「近隣の市民病院などが産科を閉鎖した影響か患者が集中し、正常分娩の受け入れを制限しないと、ハイリスク分娩を請け負う拠点病院本来の役割が果たせない」「正常分娩が可能な施設が減少し基幹病院に負担を集中させるには無理がある。行政は対策を」など現場の悲鳴があふれています。 通常の出産を受け持つ病院の充実とセットでないと、センター病院はその役割が果たせないのです。この点で、守山市民病院の産科入院廃止をふくむ病院再編計画は、時代の変化・要請に対応できない計画だと言わざるをえません。 民間では対応できない分野、採算があわない部門を担うのが公的医療機関の役割と言うのなら、産科の医療こそが、公的な対応が必要な、市民病院がしっかり担う必要がある分野になってきたのです。もちろん医師不足は国の悪政の結果です。国の医師数抑制政策をあらためさせることが第一です。それを前提に以下数点、健康福祉局長に答弁を求めます。 まず、守山市民病院でのお産対応を復活し、あわせて、地域医療の切り捨てと一体ですすめる病院再編計画は見直すべきです。「子育てするなら名古屋で」と胸を張るためにも市民病院の産科を守り抜くとはっきり宣言してください。 そして産婦人科医師をはじめスタッフ確保のためには、安心して働き続ける病院のモデルになるような待遇、労働条件の改善をはかることが必要です。市民病院での改善方向を示してください。 医師確保が困難。拠点病院との連携で(局長)【局長】 また、病院で勤務する医師の厳しい労働環境など、産婦人科医師を希望する医師が減少し、市立病院でもその確保が困難となりつつある。 産婦人科医療は、市立病院整備基本計画において、西部医療センター中央病院に医療機能を集約し、周産期医療の充実を図るとともに、産婦人科の365日24時間二次救急医療に取り組む。このことが、市民に、安心・安全な産婦人科医療を提供することになる。 守山市民病院での分娩は、平成20年4月より中止しますが、グループ化を図る由る東市民病院や城北病院を始め、地域の医療機関とも連携し、安心して出産できる場の確保に努める。 なお、産婦人科医の処遇は、今年度産科当直手当の引き上げなどを実施したが、医師確保の観点から、引き続き処遇改善に努める。 助産師の力を生かせ【山口議員】 医師不足をカバーするため市民病院では助産師の力をどう活かすつもりなのか、最後にうかがって第一回目の質問を終わります。 研究したい(局長)【局長】 市民病院再編は見直し、市民を守れ(要望)【山口議員】 議事録の一部を紹介しましたが、患者の大病院指向が強いなかでの集約化では、拠点病院の運営も遠からず困難になる可能性が大です。 困難の大元は、国のまちがった医療政策です。私たちはもちろん国に政策転換を求めていきますが、病院管理者である市長からも、国へ対し、医療費と医師数を抑制する路線を根本から転換するように強く働きかけるよう、強く要望して私の質問を終わります。 |
不安をもつ人もいるので、説明会などに努める(市長)
【市長】
現在、八事斎場一カ所で市民の火葬需要に応えているが、今後の火葬需要の増加や東海・東南海地震などの大規模災害に備えるため、新斎場の整備が急務となっている。将来にわたる万全な火葬体制を築くために新斎場の整備は何としても実現しなければならない。
これまで、学区連絡協議会などを通じ、南陽学区をはじめ地域の皆さんに新斎場の建設計画への理解に努めてきた。名古屋市全体の立場から、新斎場建設計画の受け入れを決断していただいたことに心から感謝している。地域の皆さんの中には、新斎場建設に不安を持っている方もみえるので、引き続き、説明や情報提供に努めたい。