意見書・決議(2007年11月議会)日本共産党をはじめ各会派から提案された12件の意見書案について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、追加提案された1件、日本共産党の提案した意見書案2件も含め、7案件が適切な修正や調整を行って共同提案の合意が得られ、12月10日に議決しました。
太字で表示された、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。議運に提案された段階での態度 《採択された意見書》取り調べの可視化など刑事訴訟法の改正に関する意見書最近、被疑者として起訴された人物が、裁判で無罪となるケース等が各地で起きており、こうした問題が発生する背景に被疑者に対する自白の強要等が行われるなど、密室での取り調べにおける問題点の存在が指摘されている。 また、裁判員制度の導入により、国民の感覚が裁判に反映されるようになることが期待されているが、実際の裁判で争点と‘なることも多い供述調書の任意性等について、裁判員となった国民が判断に迷うことが懸念されていることから、警察等による取り調べのあり方の見直しが求められている。 こうした状況の中、警察庁では取り調べ状況を監督する部門の創設など、取り調べの適正化に向けた一定の対策を打ち出したところであるが、不通正な取り調べを根絶する必要があることと、被疑者取り調べの録画・録音によるいわゆる可視化についての議論が行われている現状にかんがみ、取り調べのあり方を抜本的に見直すことが必要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、取り調べの際の弁護人立会権の創設や録画・録音による刑事事件の取り調べの全過程の可視化などを内容とする刑事訴訟法の改正を早急に行うよう強く要望する。 緑地の保全・創出に関する意見書都市の緑は、生活に潤いと安らぎを与えるなど、良好な都市環境を形成する上で重要な役割を果たしているが、急速な都市化の進展により、緑被率は減少傾向が続いている。 一方、ヒートアイランド現象の緩和やCO2の削減の観点からも、緑地の持つ公益的重要性は、ますます高まりつつあり、緑地の保全・創出の推進は喫緊の課題となっている。 しかしながら、現行の税制は、相続発生時に緑地を開発用地として転用、売却する原因の一つとなっており、緑地減少の大きな要因になっている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、特別緑地保全地区に対する相続税の土地評価に係る評価減の割合や譲渡所得の控除額の引き上げ、市民緑地・借地公園に対する相続税の土地評価に係る評価減の割合の引き上げ等、都市における緑地の保全・創出を促進する税制上の優遇措置の拡充を図るよう強く要望する。 民法の嫡出推定の見直しに関する意見書民法は、離婚後300日以内に出産した子の父を母の前夫であると推定しているが、離婚・再婚をめぐる社会情勢の変化などに伴い、戸籍の父が事実と合致しないことがあるため、子の出生届を提出せず戸籍が作成されないままとなるなど、子の権利を害する問題が生じている。 国は、離婚後妊娠の場合に限り、医師の証明を添付することで現在の夫の子として出生届を認める特例救済措置を実施しているが、この特例で救済されるのは全体の1割程度と推計され、離婚手続の長期化により離婚成立前に妊娠した場合など、圧倒的に多い離婚前妊娠の救済を求める声が強くなっている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、子どもの人権を守るため、離婚前妊娠であっても、戸籍が事実と合致する記載となるよう制度の改正を強く要望する。 家電リサイクル法の見直しに関する意見書循環型経済社会を実現するため、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が施行されたが、リサイクル費用が後払い方式のため、示法投棄が後を絶たず、それらを処理するための地方自治体の財政負担が増加している。 こういった問題に対し、不法投棄対策でメーカー等による協力の仕組みを構築する方向性が政府から示されたものの、現行の後払い方式を踏襲しているため、抜本的な対策とならないことが懸念される。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、地方自治体が行う不法投棄対策及び処理について関係業界等に一定の負担と責任を課すとともに、リサイクル費用を製品の購入時に支払う前払い方式とするなど同法を見直すよう強く要望する。 食品偽装の防止に関する意見書製造日や消費期限の改ざんなど食品偽装事件が相次いで発覚し、食の安全に対する消費者の信頼を大きく損ねる事態が広がっている。こうした食品偽装は、食品メーカーのコンプライアンス(法令順守)だけでは済まされない問題であり、消費者の安全を守る立場に立って、食品衛生行政を抜本的に改善することが求められている。 現在、加工食品には製造日表示の義務づけが廃止されており、消費期限表示または賞味期限表示だけが義務づけられているが、このことが期限表示の偽装を容易にする背景となっている。また、食に関する法令と行政機関が多岐にわたっていることから消費者の混乱を招いている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、商品に製造年月日と期限表示を併記させることを義務づけるとともに、関係法令を整備し、食に関する行政機関の一本化を目指しつつ、当面は連携を強化するなど食品偽装を防止するための食品衛生行政の抜本的な改善を図るよう強く要望する。 国民健康保険に係る国庫負担金の減額算定措置に関する意見書少子化の進行が大きな社会問題となっており、子育て家庭の経済的負担を軽減するさまざまな施策が各自治体で取り組まれている。とりわけ医療費の一部負担を免除する乳幼児医療費助成制度は、すべての都道府県・政令市で単独事業として実施されている。また、障害者医療助成制度等も各自治体において実施されている。 ところが、国民健康保険に係る国庫負担金の減額算定措置により、乳幼児医療など福祉医療制度を現物給付方式で実施している地方自治体では、国保に係る国庫負担金が減額されており、財政運営上の大きな支障となっている。これは政府が推進する少子化対策とも逆行する。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、乳幼児・子ども医療費助成を初め自治体の福祉医療制度が地域住民の福祉に大きく貢献している実態を考慮し、国保国庫負担金の減額算定措置を廃止するよう強く要望する。 地方税財源の拡充に関する意見書現在、国において、地方間の税源の偏在是正の観点から、地方法人二税を見直し、都市部の税収を地方に振り向ける議論を進めている。 しかしながら、現在の地方財政の疲弊は、三位一体改革時に税源移譲とは無関係に行われた5.1兆円にも及ぶ地方交付税の大幅削減に起因するものであり、今回の地方法人税の見直しは、地方の自主的な行財政運営を妨げ、地方分権に逆行するものと言わざるを得ない。 また、今回の地方法人税の見直しは、地方税の原則をないがしろにするものであり、これまでに地方が行ってきた税源滴養努力を無にするものである。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、真の地方分権の実現に向けて、国と地方の役割分担を明確にした上で、地方が役割に応じた税財源を確保するため、次の事項について特段の措置を講ずるよう強く要望する。
《日本共産党が提案したものの、採択されなかった意見書》障害者自立支援法の見直しに関する意見書(案)障害者自立支援法の施行から一年半が経過した。国の軽減措置や地方自治体での軽減措置が図られたにもかかわらず、法案審議の中での「サービス水準は後退させない」という政府答弁とは裏腹に、全国の通所施設では利用料負担の重さを理由に施設利用を断念する利用者が続出した。これは、「応益者負担」を導入したことによる影響である。 また、施設・事業所に対する報酬制度が変更されたことによる施設の収入減も深刻な状況となっており、改善が求められている。全国の障害者団体からの障害者自立支援法を抜本的に見直すことを求める声は日増しに強くなっており、政府においても見直しを行う意向が表明されている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、障害者自立法の見直しに当たっては「応益者負担の原則」を撤回するよう強く要望する。 最低賃金制に関する意見書(案)働いても生活保護水準の収入さえ得られないワーキングプア(働く貧困層)と呼ばれる世帯が増大しているが、その根底には、主要国で最低水準となっている最低賃金がある。最低賃金の引き上げを求める世論が広がる中、国会では最低賃金法の改正案についての審議が行われている。ところが、衆議院で可決された改正案は、「生活保護との整合性に配慮する」などの文言を加えただけのものであり、地域別最低賃金制を固定化するなど、最低賃金の抜本的な引き上げにつながるものとはなっていない。 ILO(国際労働機関)の調査によると、全国一律最低賃金制を法律で定めている国は、調査対象国101カ国中59カ国に上り、先進諸国ではほとんど全国一律最低賃金制となっている。最低賃金制は、労働者全体の賃金水準を引き上げるものでなければならず、全国一律最低賃金制の確立を基本とすることが求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、全国一律最低賃金制の確立、最低賃金額の抜本的な引き上げ等を盛り込んだ最低賃金法の改正を行うよう強く要望する。 |
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