2008年2月定例会 議案質疑 くれまつ順子議員(2008年2月26日)

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大規模集客施設制限地区建築条例の制定について


質問するくれまつ議員

【くれまつ議員】
大型店の出店や、24時間営業などの規制緩和により、商店街が衰退し、まちそのものが空洞化する深刻な事態が全国に広がり、都市計画法や建築基準法がみなおされました。昨年12月から第2種住居、準住居、工業地域では1万平方メートルを超える大規模集客施設、すなわち大型店は原則としてできなくなりました。今回の条例は、準工業地域でも1万平方メートルを超える大型店は原則禁止としていくものです。昨年の法律改正と本条例により、名古屋市の9割近い地域で大型店の出店が規制されることになります。これにより、「これ以上の大型店は必要ない」という市民の要望にこたえ、大型店の出店が抑制されていくものと期待しています。そこで、2点、住宅都市局長に伺います。

「駆け込み」建設には厳しい罰則を

第一に、既存の建築物に対する制限の緩和条項についてです。本条例は、建築基準法の規定で、条例施行時にすでに建築されている建築物は、用途を変更しなければ、増改築ができるという内容です。つまり、大型店がすでに建てられている場合は、次に建て替えができるというものです。この場合に、着工して建築中のものも該当するということです。

しかし、本条例の大型店の出店を規制するという主旨から見れば、この、いわゆる「駆け込み」、すなわち今回条例が成立してから施行までの間に着工し、大型店を建てるようなケースは別に考えるべきです。

そこで、お尋ねします。今回条例が成立してからの「駆け込み」で建築された大型店は規制緩和の対象からはずし、次の建て替えを認めるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

法律通り規制緩和の対象になる(局長)

【住宅都市局長】
建築基準法では、既存の建築物が、法や法に基づく条例等の改正により、改正後の規定に適合しない部分を有することになった場合、工事中のものも含め、その建築物に改正規定を適用しないことが明文化されている。また、これらの建築物を増改築する場合などについても、政令で定める範囲内において、改正規定が適用されないこととなっている。

このたびの条例は、建築基準法に基づき定めるものであり、既存不適格の建築物の増改築などについても、法律と同様の制限緩和の規定を設けるもの。したがって、本条例の施行前に着工した建築物が、結果として条例の規定に適合しなくなった場合は、既存不適格建築物として建築基準法と同様の取扱いを行う。

住友電工跡地のような駆け込みには厳しく対処せよ

【くれまつ議員】
実際に準工業地域でかけこみ出店が懸念される問題についてです。南区の住友電工跡地に、2万4000平方メートルの大型ショッピングセンターと巨大マンションを作る計画が進められ、住民の方たちから様々な声が上がっています。この地域は準工業地域であるため、今回の条例の規制対象となります。条例施行は都市計画決定の告示日ということで、8月か9月ころではないかといわれていますが、その頃までにかけこみで着工されれば大型店が出店してしまいます。

ところで、条例が成立した場合にも一定の条件があれば、大型店の立地が可能となる場合があります。開発促進区を指定し、地区計画を策定するなどです。その際の取扱い基準も示されました。そこで、お尋ねします。

「かけ込み」にあたる住友電工跡地の大型店の出店については、条例の主旨を前倒しして取扱い基準を適用し、周辺住民の合意がなければ出店を認めないというような厳しい対応をすべきと考えます。住宅都市局長の答弁を求めます。

協力を求めている(局長)

【住宅都市局長】
大規模集客施設の立地を制限するには、建築条例の制定とともに、条例が適用される区域の都市計画決定が必要となり、それまでの間は、従前の規定が適用される。

しかし、事業者に対して、本市方針の趣旨をご理解いただき、計画内容ができるかぎり都市構造や周辺環境に影響の少ないものとなるよう、協力を求めている。

契約の締結(守山スポーツセンター)及び土地の無償貸付について


質問するくれまつ議員

1社だけで公正な入札と言えるのか

【くれまつ議員】
この契約案件は、本市が、守山スポーツセンターの設計・建設から運営・維持管理までを、PFI方式で、日立製作所を代表とした特別目的会社である守山エス・アンド・エス株式会社との間で契約を結ぶものです。金額は72億円で、契約期間は平成43年まで23年間の長期契約です。今回の契約について3点、教育長に伺います。

第一は、入札の公平性についてです。入札には、当初2社が参加表明をしていましたが、途中で1社が辞退し、残る1社について選定委員会が審査をして落札者として決定されました。名古屋市は入札をめぐる談合事件がくり返され市民から厳しい批判を受けてきましたが、契約の透明性、公平性を確保するため、一般競争入札の拡大などの改善が進められてきました。普通、一般競争入札において入札者が1者となった場合は、入札が成立しません。なぜPFI方式だと72億円もの多額の契約にもかかわらず入札参加1者だけで許されるのでしょうか?しかも落札率は99.7%となっています。これで公平な入札といえるのでしょうか。事実上の随意契約ではありませんか。入札の公平性について、見解をお聞きします。

1社でも有効であり、公正に行われた(教育長)

【教育長】
本事業は、予定価格が68億を超える契約案件で、政府調達における国際的な競争の機会を確保する手続等定めた国際条約である、いわゆる政府調達協定が適用される契約です。

本市の契約に係る標準的な事務手続きを定めた「名古屋市契約事務手続要綱」第33条第2項において、予定価格を公表した一般競争入札のうち、政府調達協定が適用される契約は、同協定に基づく手続きにより、広く事業者を募集していることもあり、入札者が1者となった場合でも有効とされている。

したがって、本入札は、公正に執り行われたものと考える。

安上がり建設で安全性は本当に確保できるのか

【くれまつ議員】
建物の安全性についてです。PFI方式は市の財政負担が削減できるとよく言われますが、安くなるのはどこでしょう。私が調べた資料を見ると、市が直接実施した場合と比べて維持管理運営費は3億円も高い一方、建設費は7億円も安くなっています。なぜ安いのか。

PFI方式では一括して設計・施工することで経費が削減できるといわれていますが、こんなに安くて建物の安全面は大丈夫なのでしょうか。従来、市が設計して建てる場合は、設計と施工それぞれの段階で安全面の検査を市が行ってきました。一方、PFI方式では、PFI会社に市が一括して発注をするので、市は建物が完成した段階でしか、安全面でのチェックを行いません。7億円も安い建物で、安全な建物ができるのでしょうか。

PFI方式でつくった仙台市のプールでは、天井落下事故が発生しましたが、市が直接建物の施行不備を検査できなかったのが原因の一つといわれています。PFI方式では、建物の安全性チェックが、市が直接発注する場合に比べて、甘くなるのではないか。この点について、お聞きします。

市の基準は満たしており一層の安全確保に努める(教育長)

【教育長】
事業者の施設計画は、耐震性など安全性に関する項目に対し、建築の専門家を含む選定委員会で審査し、市の求める基準を満たすものと確認されている。

また、建設にあたり、建築基準法に基づく確認・検査に加え、市として専門の職員を配置し、設計・施工の各段階において、事業者からの計画書・報告書等の提出や、工事内容の現地確認などのモニタリングを行う予定です。

さらに、全庁的な「名古屋市PFIガイドライン」に基づき、設計・建設業務に関する専門的知識を有する外部アドバイザーと支援契約を結び、確実な監督指導を行い、施設の安全性を十分に確保したい。

地元の意見をよく聞いてほしい

【くれまつ議員】
運営問題です。今回の運営者は日本水泳振興会ですが、この会社は、もともとスイミングスクールを展開し、最近になって体育施設の総合管理の仕事をはじめたばかりです。選定委員会の総評には、「実績が少ない上に、事業遂行上のリスクウエイトが大きい」とし、PFI事業会社全体での「バックアップ体制が必要」と書かれています。また、「提案された運営スタッフ体制では・・・地元との連携などを実現することは容易ではない」とまで書かれていますが、利用者である市民の要望を受け、地元との連携を十分に図ることが求められると思います。ところが、今回の提案では、既存のスポーツセンターの指定管理期間に比べ、実に5倍の20年間も運営を企業にゆだねることになるのです。市民の声が運営に反映できるのでしょうか。

そこでお尋ねします。守山スポーツセンターの運営に関し、地元とどのように連携をはかっていくのか、地元での説明会を開いたり、市民の要望や意見をとりいれるしくみはあるのかどうか、答弁を求めます。

運営に関し地元と連携をはかることになっている(教育長)

【教育長】
提案では、利用者の意見を十分に反映するために、事業者が毎年、利用者満足度調査を実施し、意見を直接聞く利用者懇談会も毎年開催することになっている。

本市も、事業者がこのような取組みを確実に実施するよう指導し、親しまれるスポーツセンターとなるよう努めたい。

納得できる回答ではない

【くれまつ議員】
それぞれ答弁いただきましたが、納得がいきません。詳細につきましては、常任委員会の審議にゆだねまして、私の質問を終わります。

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