2008年2月定例会 個人質問 さとう典生議員(3月5日)

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1.児童福祉センターの跡地利用について


さとう議員

跡地利用についての検討委員会を設置し、住民や各団体との協議を

【さとう議員】
新年度予算で、児童福祉センターの移転工事が着工されることになり、順調にいけば、2年後の平成22年には完成し、移転することになります。

そこで、今日は、児童福祉センターが移転した後の敷地について、地元学区などの要望を紹介し、名古屋市の跡地利用についての考えをお聞きします。

現在の児童福祉センターは児童相談所を初め障害児の通所施設や中央児童館が設置された、複合型のセンターとして、長年この地で児童を支えて活動してきました。特に児童相談所は児童虐待から児童を守るために中心となって働いてきました。

また、敷地内には公園もあり、子どもたちに人気で、毎日、多くの子どもでにぎわっています。また、近所の保育園児の散歩コースの定番になっています。

児童福祉センターのある滝川学区は転勤族を含めて、若い子育て世代が多く住んでいます。そして、子育て活動が大変盛んであります。

2月に開催された昭和区区民の集いで、学区の福祉協議会で行っている子育てサロンの活動の報告がありました。市長も参加されていたのでご存じのとおりです。そのほかのNPO団体も子育て活動を支援しています。

この学区にはコミュニティセンターがないので、こうした活動を行う上で大変苦労しています。ある保育園は民家を借りて、子育て支援センターを開設しています。高齢者の福祉活動も場所がないため、お寺の離れを借りたりして食事会などを行っています。

跡地利用については、これまでの歴史をふまえ、市民的観点で考え、また、地元の強い要望もふまえて、みんなが使える施設として発展させて行くことが求められます。

是非、「子育て支援のモデルケース」となる事業をこの地で行うべきと考えます。また、地域コミュニティーの中心としても大事な土地です。

地元学区からはコミュニテイセンターと消防団詰め所の建設、公園を残す要望が出されています。まちづくり団体からも、公園を残し、子育て支援施設や託老所など総合的な福祉の拠点をつくることの要望が出されています。

そこで市長にお尋ねします。児童福祉センターの跡地利用について、検討委員会を設置し、ワークショップなどを開催して、住民や各団体との協議を開始することを求めます。いかがでしょうか。

売却も含めて検討(市長)

【松原市長】
児童福祉センターは機能拡充を図るため、平成22年度の移転に向けて来年度から建築工事を進める。跡地は、厳しい財政状況の中で、売却も含め、どのように活用するのが望ましいのか検討をする必要がある。

全市的な利用調整の場である公有財産運用協議会において調整を行っていく。

売ることは絶対に許されません(意見)

【さとう議員】
売却も含めて、活用の検討という答弁ですが、貴重な市民の財産ですから、売ることだけは絶対に許されません。

建物施設を当面作らなくても、公開空地として残してもらうだけでも貴重です。子どもたちは空き地があれば自分たちで、遊びを考えます。そして大人が見守っていればよいわけです。内部的な検討だけでなく、子ども青少年局が中心となって、地元も含めて市民の要望を取り入れて検討していただくことを求めます。以上、要望しておきます。

2.名古屋食肉公社の冷蔵庫借り上げ問題について

なぜ南部市場敷地内に冷蔵庫(部分肉用)を作らなかったのか

【さとう議員】
次に、財団法人名古屋食肉公社の冷蔵庫借り上げ問題についてです。

今年初めに、次のような、新聞報道がされました。

国のBSE対策の助成金を不正受給したり、輸入豚肉の脱税事件を起こしたりした、フジチクグループの中核会社「愛知食肉卸売市場協同組合」の所有する冷蔵庫を名古屋食肉公社が月3000万円で20年間借り上げるという契約を結んでいた。しかし、賃貸面積の変更と賃料の変更の交渉中で、南部市場が開場してからの一年間使用せず、契約が宙に浮いているというものです。

昨年2月に開場した南部市場は一年がたちます。はじめてのかたもおられるので少し補足説明をします。

もともと、名古屋市は中央卸売市場として高畑に食肉市場を開設していました。そして、外郭団体として名古屋食肉市場株式会社(名食)が卸売を担当し、財団法人名古屋食肉公社(食肉公社)がと畜と冷蔵保管を行っていました。

これとは別に、民間の地方市場として熱田区に愛知食肉卸市場協同組合(愛食)が愛知食肉市場を開設して、卸売りを行っていました。

新しい食肉市場建設に合わせてこの両者を統合するということで、7年前に名食が「愛食」から59億円で「卸売りの営業権」を譲り受けたわけです。

ここで問題なのは、その際に営業権の評価の根拠の説明もなく、その後の事件で明らかになった取り扱いの粉飾などから、高すぎたのではないのかという点や、営業権だけでなく、その後もフジチクグループにお金が流れる仕組みが作られたのではないのかという疑惑です。

すなわち、卸売りは止めても、「愛食」は存続し、冷蔵庫や建物などを持っている。そして、名食がその建物や冷蔵庫を借りて賃料を払うという形でお金が流れていくわけです。

移転するまでの間、それまでの「愛食」の事務所をそのまま名食の事務所として業務が行われ、家賃が支払われたり、名古屋食肉公社が「愛食」の冷蔵庫を借りて、13億円余を支払ったりしています。

3年前の経済水道委員会の決算審議の際に、私は「こうした関係をいつまで続けるのか」と問いただし、当局は「南部市場に移転すれば終了する」という趣旨の答弁をしました。

そのとき、これで「愛食協」との不明瞭な関係は終わると思ったのでした。ところがその陰で、今回報じられたように冷蔵庫を20年間借りて72億円支払う約束がされていたわけです。

あの答弁はいったい何だったのかと思い、当局にただしたところ、答弁は「旧館の冷蔵庫について」のもので、「そちらは止めた。今回、報道されたのは新館の冷蔵庫であり、借り上げることについては『食肉卸売市場機能強化調査書』で明らかにしてある」との説明で、そのコピーを受け取りました。

しかし、報告書を読んでも冷蔵庫を借りるとは書いてありません。図表に出てくるだけです。そして、以前、私たちの入手した資料(概要版)とを比べてみると、とんでもないことがわかりました。概要版と今回受け取った資料とでは、文章は全く同じです。ところが、肝心の図表が異なっているのであります。これがそうです。

9ページ目の図表だけが入れ替えられています。

概要版の図
正規版の図
概略版の図(縮小)
正規版の図(縮小)
上の図はクリックすると拡大図が別ウィンドウで開きます

今回の資料では、たしかに「愛食協」の冷蔵庫を借り上げて食肉公社の冷蔵庫として使うと図に書いてありますが、概要版の図は卸売市場だけで、全部南部市場に統合されるように書いてあるわけです。

また、報告書を読んでみますと、わざわざ熱田区のような遠い場所に冷蔵庫を設置して営業するというようには読めないのであります。

そこで、市民経済局長にまずお聞きします。なぜ南部市場敷地内に冷蔵庫(部分肉用・今回報じられた機能の)を作らなかったのでしょうか。その理由を明らかにしていただきたい。

既存の中部食肉部分肉流通センターを活用(局長)

【市民経済局長】
昨年2月に開場した南部市場の整備にあたり、中央卸売市場と地方卸売市場の統合を図ることとした。平成12年度、有識者等を構成員とする「食肉卸売市場整備問題検討委員会」を設け、市場の一元化や、市場の機能強化、整備の基本方針などの課題を検討した。平成12年当時、部分肉の流通拠点の冷蔵庫として、中部食肉部分肉流通センターが愛知食肉卸売市場協同組合により整備され、事業を行っていた。検討委員会では部分肉の流通にかかる冷蔵庫としてはこの施設を活用することとし、南部市場内には、部分肉流通用の冷蔵庫は整備を行わないこととした。

なぜ図表だけ入れ替えた概要版を作ったのか

【さとう議員】
なぜ図表だけ入れ替えた概要版を作ったのか。愛食の冷蔵庫を借り上げることを隠すための情報操作を行ったのではないのでしょうか。

部分肉用冷蔵庫を活用する仕組みを図表を省略した(局長)

【市民経済局長】
「食肉卸売市場整備問題検討員会」の検討結果をまとめた報告書と概要版の関係ですが、概要版は市場一元化のねらいや方法を中心に取りまとめたもので、関係法令や他市場の状況、各種統計などの資料を割愛するとともに、部分肉用冷蔵庫を活用する仕組みを図示した図表を省略した。

契約を破棄し、フジチクグループとの関係を絶て

【さとう議員】
さて、「愛食」からの営業譲渡など食肉市場をめぐる問題について、これまで何度も本会議などで質問、指摘してきました。しかし、その都度、検討委員会の結論に従ったというような答弁で当局は逃げてきました。それではと、検討委員会の議事録の公開を求めると、肝心なところは黒塗りで闇の中です。

そして、相変わらず、59億円の営業権譲渡の根拠も不明朗なまま、その上に、先程も述べたように、愛食の冷蔵庫を借りる形で、13億円余がフジチクグループに渡っています。そのほか、当局に聞いても数字を明らかにしませんが、名食が事務所などの家賃も支払っています。

その上、さらに今回明らかになったように、冷蔵庫の借り上げで、20年間で72億円がフジチクグループに渡ることになります。しめて、144億円というお金です。このことをきちんと市民に説明できるのでしょうか。

こうした関係は新聞でも指摘されているようにまさに不明朗きわまりないのであります。癒着としか言いようがありません。

いろいろ問題を起こした、フジチクグループの中核会社との関係をいつまで続けるのでしょうか。直ちに止めるべきです。

南部市場ができてから1年間使用せずに済んだのなら、この契約は破棄をして、「愛食」などフジチクグループとの関係を絶つべきことを求めます。

取扱量の減少で、今は愛食の冷蔵庫を利用していない(局長)

【市民経済局長】
新市場開場時には愛知食肉卸売市場協同組合の冷蔵庫を活用する予定でしたが、平成13年秋にBSE問題が発生したことなどにより、部分肉の取扱量が、当初計画していた予定量から減少した。そのため、従来から中央卸売市場で冷蔵保管業務を行っている(財)名古屋食肉公社は、現時点では愛知食肉卸売市場協同組合の冷蔵庫を利用していない。

契約を破棄せよ(再質問)

【さとう議員】
局長答弁は、私の質問に正面から答えてはいただけませんでした。残念です。すれ違い、はぐらかしの見本のような答弁でした。

「図表を省略した」という答弁は、事実はそうでも「なぜか」という問に答えていません。都合が悪いから「情報を隠した」と思います。資料をそのまま出したのではまずい、特に私どもに渡したのではまずいと、その部分を削ったということで、自分たちが追求されることを避け、肝心なことを隠したことに他ならないとしか思えません。しかし、いつかは表に出てくるものです。

再質問しても平行線になり、時間がもったいないのでやめますが、こういう情報隠しを、市長はどう考えておられるのか。私はこうした情報隠しは絶対に許されないのだという点を強く指摘しておきます。

「なぜ、南部市場に作らなかったのか」という問いに、「検討委員会が決めた、農水省の補助を受けた中部食肉部分肉流通センターがあったから使うことにした」という答弁です。なぜ使うのかという点が抜け落ちていますし、ここでも検討委員会が隠れミノになっています。

「もう契約を破棄せよ」と求めたのに、今は「利用してない状況」と言うのでは全く答弁になっていません。契約は残っているのです。

なぜ、このようになっているのか。南部市場の中につくれば近くて便利ではなかったのか。愛食の冷蔵庫の建設費は45億円ですから72億円も払ったら払い過ぎということにもなります。特に熱田という離れた場所に冷蔵庫を借りることは、一元化といって南部市場を作った意味がないではないですか。

結局、南部市場を作っても、フジチクグループにお金がわたる関係を作ったということに他なりません。一つのポイントは市場一元化の方法でこれが巧妙なのです。

「新市場ができれば愛知食肉地方卸売市場は廃止するものとする」が、新市場開場に先立ち、営業権の譲渡を速やかに実施することとし、「新市場開場までの間名古屋食肉市場(株)は地方卸売りの業者としても卸売り業務を行うもの」とした点です。

このことによって、6年前にまず59億円を手に入れ、その後5年間新市場ができるまでの間黙っていても、冷蔵庫の賃料や事務所の賃料などが愛食に支払われる仕組みができあがったわけです。私が追及した旧冷蔵庫(枝肉)だけでも13億円です。今回問題になっている新冷蔵庫(部分肉)の賃料はどうなっていたのでしょうか。払っていたのではないですか。そして、南部市場が開場してからも冷蔵庫を貸して、20年間で72億円を手に入れるというわけです。

5年間、愛食が自分で営業を続けて、南部市場開場のときに営業権を譲ってもらえば、このような費用は発生しなかったはずです。しかも、愛食の理事長だった藤村勲氏が営業譲渡した相手方の会社、この場合は名食ですが、社長に納まったのです。これではしたい放題ではないですか。

その後、脱税事件などが発覚して、社長は交代することになったので、当初のもくろみ通りに行かなくなってきてはいると思いますが、このような利権の仕組みができあがっていたのでしょう。だから、検討委員会の議事録の公開を求めても、真っ黒けで塗りつぶされるのでしょう。

そこで最高責任者である市長にお尋ねします。市長はこのような利権構造についてどう思われるのでしょうか。先ほどの局長の答弁では答えがありませんでしたが、もう、このような利権構造は止めるときです。市長の英断で、食肉公社のこの冷蔵庫借り上げ契約は破棄させるべきではないでしょうか。お答えください。

公社が判断。指導・支援はする(市長)

【松原市長】
部分肉の冷蔵庫の借り上げの問題は、(財)名古屋食肉公社が冷蔵庫の機能、価格等契約の諸条件を考慮して判断する。公社は市が40%強の出捐をしている団体であり、経営に当たっては独立した法人として責任ある経営者のもとにその業務の執行が行われている。市としてはこれまでも十分な経営状況の把握に努めてきたが、必要に応じ、適宜、指導・支援を行ってきた。引き続きそのような対応をしたい。

フジチクとの関係を断て(意見)

【さとう議員】
ハッキリ止めるという答弁はありませんでした。

今回の契約は、識者も新聞記事で指摘しているように、議会のチェックが働かず、情報公開の対象外となる公社を使っての不透明な契約に他なりません。

昨日は裏金問題で市長の責任が話題になりましたが、たとえ外郭団体の公社とは言え、今回指摘したような利権構造のなかで不明朗なお金の流れがあることはやはり市長の責任が問われると思います。

一刻も早く、このような利権につながる関係を絶つべきであると指摘して、私の質問を終わります。

 

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