2008年2月定例会 代表質問と答弁 わしの恵子議員(3月4日)
市民の暮らしに目を向けた予算編成を
わしの議員
【わしの議員】 市民の生活は、増税や負担増により大変になるばかりです。その上、原油高騰により灯油やガソリンだけでなく、牛乳、みそ、しょうゆなど生活必需品の値上げラッシュが、家計を襲っています。電気やガス代も値上げが計画されています。子育て世代からは、「これ以上の節約はできない」とか、高齢者からは、「少ない年金ではもう暮らせない」と深刻な声が寄せられます。私は、自転車駐車場の有料化が予定されている西区上小田井と庄内緑地公園駅でアンケートを行ったところ、「4月から高校生、地下鉄代もいるのに1500円も余分にかかると困る、絶対やめてほしい」と、家計を心配する子どもたちの声には、本当に胸が痛みました。貧困と格差はますます増大しています。
政府も、2月末の閣僚会議に対して、景気判断を下方修正しました。ところが、市長は予算編成方針でも、「企業部門の底堅さが持続するとともに、家計部門が緩やかに改善し、物価が安定している」との認識を示されましたが、そんな認識でいいのでしょうか。市民の暮らしにもっと目を向け、市民生活が向上できるような予算編成をすべきであります。
だれもが安心して暮らせる、温かい市政に
高齢者支援について
高齢者の市税減免制度改悪をやめなさい
【わしの議員】 第一に、だれもが安心して暮らせる、温かい市政にすることを求めて具体的に提案します。
相次ぐ増税や介護保険料の値上げ、さらに、市税の減免制度の見直しや、後期高齢者医療制度の実施、ささやかな敬老のお祝いさえも削るなど、市長の示した予算案は、高齢者にとって、全く冷たいとしかいえません。
まず、市民税の減免制度の見直しについては、減免規定から65歳以上の要件が外されます。これにより、これまで減免を受けていた63,000人の内、40,000人が受けられなくなります。3年かけて段階的に廃止するといいますが、対象となる4万人にとっては、新たな負担増が押し付けられることになります。市民税減免制度は、これまで所得の低い弱い立場の高齢者だからこそ受けられていたのではないでしょうか。減免を続けるよう、市長の見解を求めます。
後期高齢者医療制度の中止を
【わしの議員】 4月から始まる、後期高齢者医療制度についてです。この間の説明会では、どこの会場でも、「もう年寄りは死ねということか」、「なぜ、75歳以上が後期高齢者になるのか」などと、怒りや不安の声がいっぱいだったそうです。この制度は、「医療費の削減」のために、高齢者を差別するもので、世界にも例がない姥捨て保険であると批判の声が高まっています。
国会では、野党4党が、後期高齢者医療制度の導入そのものを、撤回させる、廃止法案を衆議院に提出しました。市民の健康・命をあずかる市長も、国に対して、「中止するように」求めるべきであり、どうしても実施するなら、高すぎる保険料を助成すべきです。
保険料は、法定軽減措置を講じても、一人あたりの平均は、年額84,440円にもなります。いままでの国保では、75歳減免という制度があり、82,000人もの対象者が恩恵を受けていました。ところが、こうした減免制度もなく、収入のない人からも容赦なく取り立てるものです。こんな制度を実施すれば、混乱は目に見えています。
市長は、国に対して、高齢者いじめの後期高齢者医療制度の中止を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
独自の新たな福祉制度の新設を
【わしの議員】 実施するなら、高齢者の負担増を減らすために、本市として、独自の新たな福祉制度を新設することを求めます。この点については健康福祉局長にお聞きします。
子育て支援について
入院・通院ともに中学3年生まで医療費無料の拡大を
妊婦無料健診は14回に
保育料の値上げはやめよ
【わしの議員】 子育て支援について、今回の予算案では、子どもの医療費無料化が、入院は中学3年生まで、通院は小学6年生までに拡大されます。また、妊婦無料健診についても、5回に拡大されることになりました。わたしども日本共産党市議団も、市議会で繰り返し質問を行い、請願の紹介議員や採択にも力を注いできましたので、今回の提案は一定の前進だと評価するものです。そこで質問します。
子どもの医療費については入院・通院ともに中学3年生までに拡げること。妊婦無料健診についてもさらなる拡大を求めます。東京都では23区のうち、21区で14回に拡充されることになりました。本市でも更に拡充されるよう市長の決断を求めます。
一方で、保育料については、平均3%値上げしようとしていますが、市長がいう「子育てするなら名古屋で」の理念に逆行するものではないでしょうか。市民生活が大変になっているときだからこそ、保育料の値上げはやめるべきです。市長の見解を伺います。
地球温暖化防止対策について
2010年目標が達成できるのか
【わしの議員】 第二に、地球温暖化防止対策についてです。
わが国では、京都議定書を批准してCO2等の6%削減を約束しましたが、CO2をはじめ、温室効果ガスの排出は、7.7%も増えています。
本市では、国の目標を上回る10%削減をかかげて取り組んできましたが、2005年のCO2排出量は、基準年の1990年と比較して、やはり減るどころか、2.6%も増加しています。市当局は、工場等の排出量は減っているが、家庭生活や店舗等から増えているのが大きな原因と説明されます。しかし、絶対量からいえば、大口排出者である工場や自動車、オフィス等の抜本的な対策が必要です。
こういう状況にもかかわらず、市長は2010年の目標達成については言明されず、いきなり、2050年をめざして、温室効果ガスの大幅な削減など「低炭素社会」への転換に向けて、世界に誇れる環境首都なごやの実現を図るといわれます。それなら、まずは、2010年目標を達成させることです。そこでお聞きします。
2005年では、2.6%も増えているのに、市長は、本当に、2010年目標が達成されると考えているのですか。
そして、2050年をめざすなら、次は、2020年に向けての目標をもつなど段階的な数値目標をかかげて取り組むことが必要ではないですか。見解をお聞きします。
広小路ルネサンスの現在の計画は温暖化防止に効果がない
【わしの議員】 さて、CO2削減のためには、車からの排ガス問題は避けて通れません。その観点から、都心部におけるまちづくり、広小路ルネサンスについて伺います。当初の計画では、車線を減らしてバス以外の自動車の通行を規制する等のトランジットモール化を目指していましたが、地元や関係団体などの調整がつかずに、現在は片側1車線に変更されました。市はこれまで公共交通とマイカーの割合を3対7から4対6にすることを掲げてきました。
わが党市議団は、都心部からの自動車を減らすことは、CO2削減等、環境の上からも大切なことだと思います。
そこでお聞きしますが、変更された、広小路ルネサンスの現在の計画では、地球温暖化防止対策について、あまり効果が期待できないと考えますがいかがでしょうか。市長の見解を求めます。
道路特定財源について
「道路中期計画」に沿った無駄な道路づくりをやめよ
【わしの議員】 第三に、道路特定財源について伺います。
政府は、道路特定財源、ガソリン税の暫定税率を10年間延長しようとしています。その背景には、今後10年で59兆円も使う「道路中期計画」がありますが、内容は、「国際競争力強化」を名目にした無駄な道路ばかりであり、通学路、バリアフリー化には、ほんの数%しか使われません。市は、「暫定税率が廃止されたら200億円も財源が減る」と不安をあおっていますが、都市高速道路を始め、池内猪高線など、ムダな道路建設をやめれば問題ありません。もちろん、市民にとって必要な道路は、道路特定財源を一般財源化してつくり、維持管理も行えばよいと思います。そして、財源は、通学路の整備やバリアフリー対策、社会保障にも教育にも使えるようにすべきです。そこで市長にお聞きします。国の「道路中期計画」に沿った、無駄な道路を造り続けることはやめるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
一般財源化を、国に求めるべきだ
【わしの議員】 次に、道路特定財源は、道路にも暮らしのためにも使えるよう、一般財源化を、国に求めるべきではないか、認識をお聞きします。
暫定税率の廃止を求めよ
【わしの議員】 さらに、今問題になっている暫定税率を廃止することも緊急課題です。
暫定税率を廃止すれば、原油の高騰で苦しんでいる中小業者の経営改善にも役立つとともに、ガソリンや灯油代、生活必需品などの値下げも可能になり、家計の苦しさをやわらげることになります。市長は、市民生活の安定をはかるために、いまこそ緊急策として、暫定税率の廃止についても、国に求めるべきではないでしょうか。
不要不急の大型公共事業について
ムダにムダを重ねる徳山ダム連絡導水路
【わしの議員】 第四に、不要不急の大型公共事業についてです。
増税や社会保障切捨ての政治によって、市民には、痛みばかり押し付けられているとき、不要不急の事業よりも、市民の暮らしや福祉を充実させる予算に切り替えるべきではありませんか。
ムダの典型との批判を受け、建設された徳山ダムにつづく、徳山ダム連絡導水路の建設計画は、約890億円もの巨額の資金を要する公共事業であり、実際には、豊富な木曽川の水で十分に足りているにもかかわらず、依然として過大な水需要計画を基にしているもので、まさに不要です。これ以上ムダにムダを重ねることは許されません。徳山ダム連絡導水路事業については、きっぱりやめるべきです。市長の決断を求めます。
名古屋城本丸御殿復元は市民の合意と納得で
【わしの議員】 市長は4大プロジェクトの本格的実施をしようとしていますが、本当に必要なものかどうかを吟味して、急ぐ必要のないものは、身の丈にあったやり方をすべきではないでしょうか。
そこで、名古屋城本丸御殿復元についてですが、国の補助がついて市の負担が少なくなったというものの、「依然として厳しい財政状況」であるのに、なぜ急いでやる必要があるのでしょうか。名古屋城本丸御殿復元については、開府400年にこだわらず、もっと長いスパンで市民合意が熟し、財政も健全化が進んだときに行えばよいのではないかお聞きします。
裏金問題について
市長としての責任がわかっていない
【わしの議員】 第五に、裏金問題についてです。
市の裏金問題について、外部調査委員会の最終提言が出されましたが、またもや金額が増大しました。この間裏金が発覚してから5ヶ月、調査をするたびに膨れ上がり、とうとう2億円を超えました。市民からは「一体市は何をやっているのだ、許せん」「もう税金は払いたくない、市は裏金を吐き出せばいい」「市長は責任をとるべき」と、とにかく市民はカンカンです。市長は予算の提案説明で、「市民の信頼を損ない申し訳ない」と謝罪し、今回も「真摯に受け止め、適切に対応する」と延べられましたが、自らの処分については言及されませんでした。
しかし、今回の裏金は98年度からのもので、すべて、松原市長の任期中であり、「2006年4月の調査が不十分だったことに対する責任」も指摘されております。市役所内に、組織的に裏金をつくる風潮がまんえんしていたなら、トップとしての責任はまぬがれません。長年にわたる職員の公金意識の希薄さはもちろん、そのことを把握していなかった管理監督者としても責任が問われるものです。外部調査委員会の報告でも、「個人責任の量定をふまえ、市長、副市長に至るまで、管理監督者としての責任が問われるべき」とあります。そこでお聞きしますが、第一に、市長は、行政のトップとしての責任をどう認識されているのか。自ら処分を課すことも含め、おたずねします。
外郭団体への調査も行え
【わしの議員】 「早く決着を図ろう、とにかく終わりにしよう」というのではなく、徹底究明により真相を明らかにすることこそ市民の信頼に応えるものではないでしょうか。そのためには、市が出資している外郭団体への調査も必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
市バス乗務員への教育について
実態はどうか、今後の対策は
【わしの議員】 第六に、市バス乗務員への教育についてうかがいます。
2005年5月のJR西日本福知山線の事故を受け、私は、土木交通委員会で、「市交通局では、問題を起こしたといわれる、市バス乗務員の教育をどのようにしているのか。JR西日本のようなことはないのか」と質しましたが、交通局は「決してJRのような懲罰的ことはない」とはっきり答えられました。
ところが、最近の新聞報道でもあるように、利用者から苦情があったり、事故などの多いバス乗務員を対象に「リフレッシュ研修」と称して、自主退職を迫ったり、威圧的な指導を行っていたことが明るみになりました。
私も、実際に研修を受けた人達から実情をお聞きしました。「5〜6人ぐらいの指導官から、威圧的に退職を迫られた、それ以後、乗務していてもそのことで頭がいっぱいで、うつ状況が続いた」と、語ってくれました。私も、市バスをよく利用しますが、多くの人の命を預かる市バスの乗務員が、こんな状態でハンドルを握っていたことは本当にびっくりしました。
「リフレッシュ研修」と称して、こんな研修が日常的に行われていたら、大変な問題だと考えますが、実態についてどのように把握されているのか、また今後の対策はあるのか交通局長におたずねします。
平和について
銃をかついでの自衛隊の市街地行軍はやめよ
【わしの議員】 最後に平和についてうかがいます。
沖縄の米兵による中学生暴行事件、自衛隊のイージス艦の衝突事故など、軍事優先の政治が、人命さえも奪う重大問題になっていますが、本市にも、平和を脅かすような状況がおこっています。万博を契機に名古屋港に、たびたび米軍艦、自衛艦が寄港しており、平和な商業港である港には、ふさわしくありません。
守山区の陸上自衛隊第10師団の「徒歩行進訓練」が、エスカレートしています。私は、1月下旬、「徒歩行進訓練」の状況を視察しましたが、夜8時、ジープを先頭に、迷彩服の自衛隊員が小銃を抱えながら、まさに戦争する姿で自衛隊の門から出てきて、歩道を行進していました。私の目の前を通り過ぎたとき、心臓が凍りつくような思いでした。銃社会に対する批判の声が高まっている中、こんなことが市民の目の前でおこなわれてよいのでしょうか。翌朝まで歩行訓練が行われたそうです。寒い日であまり市民の姿をみかけませんでしたが、こんな訓練が何回も行われていると聞いて、本当に背筋が震えました。自衛隊の門のすぐ近くには保育園や生涯学習センターもあります。市長、昨年11月議会であなたは、「必要な手続きを経て行われている」と答えられましたが、あらためてお聞きします。自衛隊員が市街地で本物の銃をかついで訓練していることについて、あなたはどのように感じられますか。
市民の気持ちがわからない市長だ(意見)
【わしの議員】 市長の答弁は全く納得できません。市バスのリフレッシュ研修について、私は実際に研修を受けた人から話を聞いたが、局長が言うような人ではありません。乗務員としての資質が欠けるならもっと温かい指導があってもいいのではないか、今の答弁を聞くだけでは懲罰的な感じを受けます。リフレッシュ研修のあり方をつかんで見直していただきたい。
裏金については、市長はトップの責任は重大といわれ、減給をいわれるが、あなたのこれまでの市政運営そのものが、こういう問題を生み出してきたのであり、その反省が求められます。昨年の裏金発覚以来の市長としての真相解明の構えは、副市長をトップに据えることにみられるように、市長自身の市政が問われています。いまそのことに対する責任の取り方が改めて問われていますと指摘します。
後期高齢者医療制度については、国民的な怒りが、怒涛のように広がっているのに、市長は、「必要な改革だと認識している」といわれました。あなたは、高齢者の痛みに心を寄せようとさえしないのでしょうか。
また、平和の問題についても11月議会と全く同じ答弁でした。沖縄の中学生の事件や、イージス艦の衝突事故がおこるなど、11月議会時点に比べ、軍事優先の政治に対する市民の怒りは広がっています。にもかかわらず、市長の答弁は、相変わらず役人の答弁に徹しており、全く市民の安全、平和への思いを受け止めていないものといわざるを得ません。
以上の点を指摘し、市民が安心して暮らせるよう、住民こそ主人公の立場に立って引き続き、委員会等でただしていきます。
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負担の公平から見直した(市長)
【松原市長】
名古屋市税制研究会の提言を踏まえ、公平性や有効性等の観点から、見直しをさせていただく。
個人住民税の近年の税制改正は、広く公平に負担を分かち合う観点から、65歳以上という年齢を要件とする非課税措置や老年者控除が廃止された。
市も、地方税法の改正趣旨に沿ったものとなるよう、年齢を要件とした減免の見直しをお願いするが、地方税法と同様な激変緩和措置として、平成21年度から3年間かけて段階的に廃止してまいります。
65歳以上のかたの減免制度の見直しと合わせ、所得の低い方に対する減免について減免率の引き上げを予定している。