2008年9月定例会 議案外質問 かとう典子議員(9月19日)

就労支援としての子育て支援の拡充を

公立保育所でも休日保育の実施を

【かとう議員】
「子育てするなら名古屋」という、本市の子育て支援の施策が、就労支援と一体で真剣に考えられているか、という点についてお尋ねします。

そこで、まずセーフティネットとしての、特別保育についてです。

わが子をある保育園に入所させて、現在パートで働いている若いお母さんから、「延長保育、休日保育をしてほしい」と要望が出されました。よく聞いてみると、「生活が厳しいので、正社員になりたいけれども、入社のための面接で、『残業ができますか。休日に働けますか』などと聞かれて困っている」と訴えられました。

生活が厳しいからフルタイムで働きたいけれども、残業や休日まで働く職場などでは、子どもを抱えて働けない、そういった家庭を支援する保育が求められています。

また、名古屋市が発行している「母子家庭のお母さんのための就職ガイドブック」を見ると、就職活動について、仕事と子育ての両立をすすめ、しっかり働くことを求めており、「仕事と子育ての両立に利用できる制度いろいろ」という項目の中には、延長保育や休日保育があると、案内されています。

ところが、市内、282ヵ所の保育所のうち、延長保育実施園は、公民合わせて156ヵ所とかなり増えたものの、休日保育は民間だけで8ヵ所と、まだほんの一部に過ぎません。

一方、市営住宅などに併設した公立保育園には、母子家庭や、生活苦を抱えた世帯が、比較的多く入所しています。市が、セーフティネットの役割と位置付けている公立保育園にも、休日保育を拡大すべきです。

さらに、休日保育のうち、とりわけ年末保育は、すぐにも必要です。官公庁は、仕事納めが12月28日で、29日から3日まで休みですが、民間の職場では、12月29日か30日まで仕事があり、お正月は4日とか5日まで休みのところが多く、保育園の開所日が働く親の勤務実態に合っていません。せめて年末の12月29日、30日の2日間に、年末保育を実施してほしいという願いは当然です。

就労支援のために、休日保育をもっと拡大するべきです。とりわけ公立保育園での休日保育・年末保育を早急に実施することを求めます。

多様化する保育ニーズの中の検討課題の1つ(局長)

【子ども青少年局長】
休日保育は8か所の民間保育所で各園10人定員で実施している。平成19年度利用実績は、1園1日あたり平均7人、述べ約2,500人となっており、平成22年度までに12か所での実施を民間保育所で予定している。

公立保育所における年末年始を含む休日保育の実施は、今後、多様化する保育ニーズ全体への対応を図っていく中で、検討すべき課題のひとつである。

児童福祉法のもとでのしっかりした学童保育の位置づけを

【かとう議員】
国は、1998年の児童福祉法改正で、放課後児童健全育成事業を法制化して以降、少子化対策として、学童保育を積極的に進めており、全国的には、市町村の責任で学童保育所の整備が推進されてきました。法制化以前には、「児童館があれば十分」としていた留守家庭児童の放課後について、就労などによって保護者が昼間、家庭にいない子どもたちには、特別の保育が必要だという認識に変わったのです。

また、名古屋市でも「母子家庭のお母さんのための就職ガイドブック」には、就労支援として学童保育所を利用するようにと掲載されています。

しかし、本市では、学童保育施策は育成会への助成という、側面的支援にとどまっており、いまだ積極的な取り組みにはなっていません。

このような中、本市は、トワイライトスクールと学童保育を一体的に行う「名古屋市放課後子どもプラン」の基本的な考え方を発表し、モデル事業の具体的実施方法について「推進委員会」で検討されています。

市の考え方について実施された、パブリックコメントでは、市民から「学童保育がなくなるのではないか」との不安の声や、「専用スペースや指導員が不十分で、学童保育の機能を果たせるのか」など、意見が多く出されています。

これらの意見に共通しているのは、留守家庭児童のために学童保育の機能が保障されるのか、ということだと思います。トワイライトスクールの時間延長だけですまされるのではないか、と不安なのです。仕事を持った親は、仕事に出かけている間、わが子を親の代わりに、毎日、責任を持って預かってくれる体制を求めています。名古屋市が進めている方向が、就労によって保護者が昼間いない家庭を支える取り組みになっていくのかが問われます。

「放課後子どもプラン」を実施するとしても、まず、児童福祉法で定める「放課後児童健全育成事業」=学童保育を、きちんと位置付けて実施するべきではありませんか。

放課後子どもプランの中で着実に推進したい(局長)

【子ども青少年局長】
留守家庭児童育成会に対しては、国基準を上回る運営助成を行い、その支援に努めてきている。

一方、国の放課後子どもプランを踏まえ、名古屋のすべての子どもたちが豊かで健やかな放課後を過ごすことができるよう、留守家庭児童健全育成事業とトワイライトスクールのそれぞれのよい面を取り入れ、名古屋市放課後子どもプランを創設することとした。このプランの創設により、安心・安全な小学校施設を活用して、児童福祉法に定める放課後児童健全育成事業を着実に推進してまいりたい。

市の責任で必要とするすべての子どもに学童保育の提供を(再質問)

【かとう議員】
学童保育について、「放課後こどもプランの創設で、児童福祉法に定める放課後健全育成事業を着実に推進してまいりたい」と答弁されました。これは、名古屋市として、学童保育を必要とする児童に対して、市が責任を持って、放課後児童健全育成事業を、しっかりと提供していくことだと確認させていただきます。その上で、どれくらいの規模が必要かということについて、再質問をさせていただきます。

今年、保育園を卒園する年長児は7,200人ほどで、基本的に、就労家庭の子どもであり、学校にあがっても、当然保育を必要とします。学童保育所に入る児童は、本来は6年生まであるといいのですが、3年生までで計算したとしても、市内で2万人を超える児童が保育を必要としています。市内の262の全学区で平均すると、今現在でも1学区80人以上の、保育を必要とする児童がいます。昨日の本会議でも議論があったように、国では70人以上の大規模学童を解消するとの方針であり、平均すれば、すべての小学校に複数の学童保育所が必要だという計算になります。これが現実なのです。

名古屋市は「放課後子どもプラン」で「児童福祉法に定める放課後健全育成事業を着実に推進する」というなら、新たに実施する学校での一体型の事業とともに、学校外の学童保育との連携も含めて、学童保育を必要とする、すべての児童が保育を受けられるように、名古屋市が責任をもつべきだと思います。放課後子どもプランの創設にあたっては、学童保育を必要とする、すべての子どもに学童保育を提供していくという立場で、必要な量も含めて、市が責任を持って進めていくつもりか、お答えください。

モデル事業の検証・評価をしながらすすめる(局長)

【子ども青少年局長】
モデル事業を実施し、その検証・評価を行いながら、プランを創設して、放課後児童健全育成事業を着実に推進したい。

学童保育への一層の支援を(要望)

【かとう議員】
来年4月からモデル事業が16区で実施します。

モデル事業が始まってから、複数年かけて検証・評価を行うとのことですが、今、学童保育所が、少ない上に減り続け、留守家庭児童が行く場所がない状態が多くあります。学童保育所がこれからも大いに力を発揮しなければなりません。学童保育所が減ることがないよう援助をするべきです。これからも引き続き求めていきます。

イオンモール新瑞橋SCの進出を規制せよ

大規模集客施設制限地区建築条例の施行直前に申請された建築を許すのか

【かとう議員】
南区の住友電工跡地に「イオンモール新瑞橋ショッピングセンター」出店計画が出されて4年になります。当初予定は、5万平方メートルの敷地に、大型商業施設と超高層マンションが建設されることになって、近隣・周辺住民は、周辺道路の交通問題や、騒音・防犯などについて心配してきました。この間、計画は少し縮小したものの、車の駐車台数は1,500台を超えています。環状線の道路では、渋滞の影響がどこまで広範囲になるのか、右折禁止道路の規制を変更させてまで、無理やり右折させる計画により、通学路の安全が守れるのか、環状線に面していない3方の狭い生活道路に、車の侵入を防ぐことができるのか、など相変わらず問題は山積です。

この間、全国でも、大型店の出店が商店街を疲弊させ、町を壊すなど、問題がたくさん生じているため、その悪影響をくいとめるとして、昨年11月、国は、まちづくり三法を改正しました。それを受けて、本市は、同じく11月、都市計画審議会で、「大規模集客施設の立地の在り方について 名古屋市方針」がだされ、今年3月、市独自で準工業地域の規制を作りました。「イオンモール新瑞橋ショッピングセンター」の建設予定地は、この準工業地域なのです。

昨年、わが党のさとう議員は質問で「住友電工跡地は、立地規制前であっても、この基準に沿って、「住民の理解を得ての地区計画」にすべきであり、本市として、開発者に指導なり、協力を求めるべきだ」と尋ねたところ、それに対して、「事業者において、法施行前でも、法改正の趣旨を理解し、計画内容をできる限り都市構造や周辺環境に影響の少ないものとし、かつ地元住民の理解も得て進めるよう、市としても協力を求める」と答弁しています。

市は、これまでにイオンモール(株)に対して、具体的にいつどのような「協力」を求めたのか、イオンの「協力」はあったのか、具体的にどのような協力か、お答えください。

制度の趣旨を理解していただくよう働きかけた(局長)

【住宅都市局長】
平成18年の都市計画法等の改正を契機に、都市計画審議会からの答申を踏まえ、大規模集客施設の立地のあり方についての方針を策定し、本年9月1日に、準工業地域における立地を制限する特別用途地区の指定を行った。

立地規制に関する制度化の動きと並行して、本市としても事業者に対し、交通処理、まちなみとの調和、地元の理解等、周辺生活環境への配慮といった制度の趣旨を理解していただくよう働きかけをしてきた。

事業者も、地元との協議も踏まえ、計画規模の縮小をはじめ、区域内での公園、雨水貯留槽の設置や、敷地周辺での歩道整備、遮音壁、植栽帯の設置等、様々な対応を図り、本年7月に着工したものと理解している。

かけ込み申請を許さず、市民の意見をしっかり伝えよ

【かとう議員】
今年3月に「準工業地域では1万平方メートルを超える、大型店の立地を規制する」とする「大規模集客施設制限地区建築条例」が制定されました。この条例は9月から施行されました。まさに駆け込みの建築申請をして、工事に着工しました。しかし、前にも述べたように、たとえ駆け込みで、条例施行前であっても、市は新たな設置は認めるべきではなかったのではないですか。市内に大型店はいらないと、意思表示すべきです。

この新瑞橋ショッピングセンターについては、5月29日 大店立地法に基づく届け出が提出され、縦覧期間は6月5日から10月6日までの4か月間であり、今もまだ市民の意見が出されている途中です。10月6日にこれが締め切られた後、今度は、市民の意見を参考にして、名古屋市として「意見・勧告を述べる」のか、あるいは「意見なし」とするのか、市長の態度が問われます。大店立地法では「市が意見・勧告を述べることができる」とされているからです。市が意見を述べ、事業者が変更しても、まだ不十分となれば、勧告ができます。

市内での大型店出店自体を規制する条例を作った市長が、大店立地法で手続きとして認められている市の権限として、住民の心配の声をしっかり取り上げ、意見及び勧告を述べるのは当然だと思いますが、お答えください。

縦覧手続き中であり、今後、総合的に考える(市長)

【市長】
大規模小売店舗の出店に際しては、周辺地域の生活環境の保持の見地から、大規模小売店舗立地法にもとづき、届出書の縦覧、住民からの意見書提出、大規模小売店舗立地審議会の審議等の手続きを経て、必要なら本市の意見の有無を通知することとなっている。

イオンモール新瑞橋ショッピングセンターは、本年5月29日に届出がされ、現在、届出書縦覧の手続き中なので、市としての意見の有無は、今後、総合的に考えていくことになる。

駆け込み申請を許したのか(再質問)

【かとう議員】
新瑞橋ショッピングセンターについて、答弁では、事業者がやったこととして、計画規模の縮小とか、公園や雨水貯留槽の設置、歩道整備、などなど、地元住民との話し合いで事業者が出してきたことです。しかしまだまだ地元住民は理解、納得はしていません。

また、答弁では、交通規制、まちなみとの調和などを理解していただくよう働きかけたといわれましたが、条例について触れられたのか答えをお聞きしていません。

そこで、再質問させていただきます。国の法改正の趣旨、さらに名古屋市は、準工業地域まで上乗せして規制をかけた条例の趣旨は、大型店の無秩序な出店に、歯止めをかけるというものだったのではないですか。「条例の趣旨を踏まえて」というなら、4月1日に条例が公布された後に駆け込み申請しないように、働きかけるのが筋です。駆け込み申請はしないよう、事業者に求めたのかどうかお答えください。

条例施行前なので従前の規定(局長)

【市民経済局長】
本件は、大規模集客施設制限地区建築条例が施行された9月1日以前に着工された物件ですので、従前の規定を適用して事業が進められたものです。

市長は条例の趣旨をふまえ、市民の意思をきちんと伝えよ(意見)

【かとう議員】
新瑞橋ショッピングセンターは、名古屋市が条例の趣旨を伝えても、事業者が推し進めたと思っていましたが、残念ながら、名古屋市が条例を作っても、本腰を入れなかったということがわかりました。本当に残念です。市民の暮らしに寄り添えない市当局の姿勢が問われます。まだこれから、市長は意見・勧告を伝えることができます。そこで、いう事ははっきり言うことを求めて、質問を終わります。

 

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