2008年11月定例会 議案外質問 さとう典生議員(11月21日)定額給付金について
「公金を使った選挙買収」だ【さとう議員】 アメリカ発の金融危機が、日本経済にも深刻な影響を与えており、景気悪化から国民生活を守ることが喫緊の課題となっています。しかし、たった1回限りの「給付金」で、景気がよくなるのでしょうか。家計を支援すると言うのなら、自公政権が、高齢者への増税や定率減税の廃止、医療改悪や年金保険料の連続引き上げなどで国民に押しつけてきた年間13兆円、一人当たり10万円にものぼる負担増・給付カットこそ見直すべきです。 しかも、この提案では3年後に消費税の増税が待ち受けています。まさに、「大増税予約つきの給付金」、バラマキは一瞬、増税は一生ついて回る。これで、どうして景気がよくなるのでしょうか。 さらに、政府・与党は、右往左往したあげく、自治体に丸投げし、混乱と負担を自治体におしつける。こんな無責任なやり方は前代未聞です。「定額給付金」は、まじめな景気対策と呼べるものではなく、「公金を使った選挙買収」といわれても仕方がない代物だといわなければなりません。国民世論からも見放され、マスコミからも見放され、自治体からも疑問の声が出されています。 そこで、松原市長にお尋ねします。定額給付金は経済効果があると考えているのか。所得制限や支給方法が市町村に任せられたことについて、どのように受けとめているのか。所得制限を設けるのか。給付金支給にともなう市の事務量の増大、事務費の負担、「二重取り」や「支給漏れ」などの混乱など課題が山積しているが、対処できるのか。政府は今年度内の支給をめざすとしているが、その見通しはあるのか補正予算の策定など手続きが必要であるが、どうするのか。 以上、4点お答えください。 白紙撤回しかない(意見)【さとう議員】 さて、答弁ではGDPを「0.1%」押し上げるので経済効果を期待している、とのことでしたが、それは認識が間違っているといわざるを得ません。 10年前の地域振興券のときの国の調査による効果分析ではGDPの0.1%程度とされていて、ほとんど効果がなかったのは皆さんご存じの通りです。 今回についても、地元の銀行系のシンクタンクが試算しています。それによれば、東海3県に与える消費効果は568億円。消費が他産業を刺激し、経済成長率を押し上げる効果は0.1%にとどまり、「景気浮揚効果はほぼゼロにひとしい」としています。あわせて、景気対策ならば、公共事業の方が有効と、指摘しています。これは、まさに正論です。 本市での給付金は335億円と聞いていますが、このお金を国保料や介護保険料、後期高齢者医療保険料などを引き下げ、高齢者の医療費の減免を行うべきではないでしょうか。定額給付金は政府に白紙撤回するようもとめるべきです。 しかも、年度末で転勤など住民異動の多い、4月には市長選挙も控えて、なにかと一番忙しい時期に膨大な事務が窓口となる区役所に押しつけれることになれば、大混乱であります。政権与党の党略的な「定額給付金」に地方自治体は協力する必要はありません。この点からも、白紙撤回を求めるべきであります。 この不況を解決する道は「外需だのみから内需主導へ」日本経済の体質を改善することです。社会保障を手厚くし、正社員の採用など雇用を改善し、家計を暖め、国民の購買力を増やすことが求められていると指摘しておきます。 LRT・次世代型路面電車システムの導入についてについて基幹バス2号系統をLRTに切り替えるなどの具体化促進を【さとう議員】 ヨーロッパでは、パリでの路面電車復活が話題になるなど、LRTの導入が着々とすすめられています。国内でも、一昨年4月に、富山市でLRT導入が行われました。郊外に拡がっていく都市構造から、公共交通を整備して市街地に居住を誘導し、コンパクトシティーをつくるという構想の下にLRT導入が行われました。JR富山港線の廃止に伴い線路を譲り受け、駅前まで道路上に軌道を敷設し、新型の低床式車両を導入しました。富山につづいて、宇都宮、京都、大阪・堺、東京都豊島区、新潟などで導入の検討がされています。 本市もこれらの都市に遅れることなく、LRTの導入に向けて足を踏み出すときです。環境首都をめざす本市にとってふさわしい交通手段です。地球温暖化防止対策として自動車からのCO2排出を減らすこと、すなわち車の数を減らすことが大きな課題です。車の比率が高い中7:3から6:4へと公共交通を増やす目標を達成するためにもLRTの導入を行うべきです。 また、これからの高齢化社会を迎えて、自動車の運転を断念する高齢者に、バリアーフリーの移動手段として、LRTの役割は高いものがあります。さらに、本市はデザイン都市宣言もしています。ユネスコのクリエイティブ・シティズ・ネットワークにデザイン分野で加盟が認定されました。斬新なデザインのLRTを走らせ、トランジットモール化による中心市街地の活性化を行なえばデザイン都市として面目躍如、大変大きなインパクトを与えることになります。LRTは都市デザインでも大きな比重を占めます。 このように、名古屋こそがLRTを導入して、21世紀の先進都市として、名乗りを上げるべきだとわたしは考えます。 そこで、本市として、LRT導入の必要性をどのように考えているのか。総務局長にお尋ねします。前回の質問では広小路にトランジットモール化と合わせて導入してはどうかと提案しました。今回はさらに一歩進めて、基幹バス2号系統をLRTに切り替えてはどうか提案します。 LRTは15kmくらいの距離で時間あたり5,000人から15,000人程度の中量輸送に適しているといわれています。基幹バス2号系統は栄から引山まで走行距離10.21kmで、もともと中央走行ですから、これを軌道にすればよいわけです。また、いまのバスレーンは交差点の通過時に進路を変えるため、左右に揺れ、そのたびに踏ん張らなくてはならず、乗り心地がよくありません。軌道走行に変えれば、乗り心地も格段によくなります。定時制の確保、輸送能力の向上に役に立ちます。パークアンドライドなどの施策も通じて、自家用車からの乗り換えを促進すれば、自動車が減って古出来町線の道路渋滞の解消にもつながります。 そこで、総務局長に伺います。基幹バス2号系統のLRTへの転換に着手することを求めます。いかがでしょうか。 具体的な路線の導入には調査・研究を踏まえた議論が必要(局長)【総務局長】 LRTを導入するためには、導入に適した場所はどこか、どこが主体となって整備や運営を行うのか、事業として採算が取れるのかなどの様々な多くの課題がある。 こうした課題に対する十分な調査・研究を踏まえた上での議論が必要と考える。 一刻も早く、議論に着手を(要望)【さとう議員】 3年前に、国土交通省はLRT総合整備事業を制度としてつくり、LRT導入計画ガイダンスをまとめています。LRTはまちづくりと一体となった導入計画が必要です。30年から50年先を見てすすめることが求められます。自分たちがどのような町に住みたいのかという哲学の問題です。ヨーロッパの経験でも熱意と強力なリーダシップが必要とされています。市長の熱意とリーダーシップが問われていると申し上げておきます。 市営永金荘について解体工事の進め方に不安【さとう議員】 市内での建築工事に伴って発生する、各種建築紛争について本市は条例を作って業者に紛争解決の努力義務を課しています。 本市が市営住宅の改築を行う場合もこの条例の適用を受けるのは当然です。その際、民間業者の場合よりもいっそう住民の要望にこたえる必要があると思います。 そのような立場を要請される本市が、市営永金荘の解体工事にあたって、地元住民とどのような関係を築いて、対応するのかが問われています。 説明会を3回開いたと聞いております。ところが、地元からの工事協定案が示されて、アスベストの除去方法、周辺住宅など事前調査の範囲と個数、騒音・振動など工事に伴う問題を話し合っている中で、もう、これ以上市として対応できることはないと一方的に、「説明会は行わない。工事協定は結ばない。」と打ち切りを表明したそうです。 地元では「予定価格の半分で落札したが、きちんと工事が担保されるのか」「現場での監督はどうするのか」など、まだ協議したい項目があるのに突然打ち切りを言い出すのは、市の責任逃れだと怒っています。地元の要望の主な点は、工事に伴う被害が予想される周辺の事前調査、特に精密機械を使用している工場への対応と工事中における騒音計と振動計の設置です。そして、市と業者と地元の三者で工事協定を結ぶことを求めています。永金荘は住宅密集地での建て替えです。今後こうした市街地での改築も増えてきます。その場合に名古屋市がどのような対応をするのかの試金石です。 そこで住宅都市局長にお尋ねします。話し合いを打ち切るのではなく、誠意を持って話し合いを続け、合意を広げる努力をして、工事協定を結ぶべきと考えますがいかがでしょうか。周辺の事前調査では精密機械を使用している工場には特別な対応が求められますが、いかがお考えでしょうか。 解体工事の騒音、振動、埃などは周辺に大きな被害をもたらします。騒音計、振動計の設置は当然のことだと考えますが、どう対応されるのか。以上3点についてお答えください。 要望があれば適切に対応するよう努める【住宅都市局長】 その後も、引き続き近隣住民との話し合いを続けており、先日も、ご要望にお応えして、取りこわし工事に伴う家屋調査の範囲を拡大した。いずれにしても、取りこわし工事では迷惑をかけることがあるが、今後とも近隣住民との話し合いを続け、要望があれば適切に対応するよう努める。 市営住宅の取り壊し工事においては、鉄筋コンクリート造建物の解体にともない、騒音・振動が発生する。そのため、騒音・振動対策として、騒音規制法・振動規制法の規定による特定建設作業実施届出書の提出など関係法令を遵守することに加え、低騒音・低振動に配慮した圧砕工法の採用、低騒音型・低振動型の建設機械の使用のほか、建物周囲の防音パネルの設置など、周辺環境に配慮した工事を行っているので騒音・振動の測定は行っていない。市営永金荘の取りこわし工事においても、これらの対策を講じて騒音・振動の抑制に努めていく。 敷地の南西に隣接する工場に対しては、今後、家屋調査を実施しますので、作業内容や使用機械等を聞き取り調査し、特殊な事情がある場合には、事業者と話し合いながら、本市の対応を検討する。 騒音計、振動計の設置を求める(再質問)【さとう議員】 その上で、答弁がなかったので、2点について再度質問します。 1点目は工事協定を結ぶ件です。先ほどの答弁では「対応可能な事項は文書で知らせた」とのことですが、地元の要望は協定を結んで欲しいということです。 民間業者でも協定は結びます。ぜひ、本市もこの要請にこたえていただきたい。 2点目は騒音計、振動計の件です。低騒音型、低振動型の建設機械を使うので、測定は行わない、という答弁でした。 しかし、絶対に音がでない、振動はないということではありません。地元が心配しているならばきちんと設置すればいいではないですか。しかも、低騒音、低振動工法だというなら、実証的にデーターを取ることにも意味があります。是非設置するべきです。以上、住宅都市局長の答弁を求めます。 設置を含め検討する(局長)【住宅都市局長】 また、隣接する工場への対応は、工場の方と話し合いながら騒音計・振動計の設置を含め検討する。 ぜひ要望にこたえていただきたい(意見)【さとう議員】
参考・・・「定額給付金は選挙買収だ」に関しての桜井議員の「議事進行」発言【桜井議員】(議事進行) 【江上議員】(議運理事) 【議長】 【さとう議員】(再質問の冒頭で)
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できるだけ早く制度の詳細を示していただきたい(市長)
【市長】
内閣府特命担当大臣の発言によると、今後1年間で実質GDPを「0.1%」押し上げる効果があるとされている。
所得制限については、課税のために保有する所得情報を目的外に利用できないという法令上の制約など、実際に所得制限を設けるのは難しいのではないかと考える。今後、制度の詳細が国から示された段階で具体的に検討したい。
現段階では、具体的な事務量を想定することは困難であり、給付対象者が220万人を超える本市では、膨大な作業とそれに伴うさまざまな課題が想定されるが、全庁あげて取り組み混乱なく実施できるよう努めたい。事務費にいては、11月14日に、指定都市市長会から「支給に必要な事務費や人件費を含め、各自治体に負担が生じることのないよう財政措置を講ずること」という緊急意見を政府に提出し、対応を要請している。
支給時期の見通し及び市の補正予算の策定手続きは明確に示せる状況にはない。
国において、できるだけ早く制度の詳細を示していただきたいが、決定された場合には、給付金の支給に停滞が生じないよう適切に対応したい。