2009年2月定例会 個人質問 かとう典子議員(3月5日)

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放課後子どもプランモデル事業について


かとう議員

モデル事業は学童保育の役割を果たさない

【かとう議員】
本市は、トワイライトスクールと学童保育を一体化する、「放課後子どもプラン」のための、「モデル事業」を4月から実施しようとしています。「モデル事業実施計画」によれば、事業に参加するすべての児童は、放課後から5時まで活動しますが、留守家庭児童など選択事業に登録した児童は、放課後から7時まで活動することになります。しかし、5時までの基本時間帯は、どの子も区別しないことを建前としているため、留守家庭の子どもの学童保育の機能が果たせません。

これまでもわが党は、専用スペースと専任指導員の問題を、取り上げてきましたが、今回の実施計画をみると、危惧したとおりとなっています。「専用スペース」については、「生活面を重視した部屋(ライフルーム)と活動面を重視した部屋(プレイルーム)を設ける」としていますが、基本時間帯においては、いずれの部屋も、すべての児童が使用できるため、ライフルームを、留守家庭児童のための専用室とは呼べません。また「子ども指導員」については、「一人ひとりの子どもの、生活への援助を専任として行う」としていますが、すべての子どもに対して、まったく同じように、かかわることが求められており、留守家庭児童のための専任でないことは、明らかです。

さらに、開設時間が、厚生労働省の補助基準を満たしていないことが重大です。開設時間については、5時までの基本時間帯では、留守家庭児童とそれ以外の児童が、まったく同じように扱われる以上、5時以降7時までの2時間だけしか「学童保育」の開設時間といえません。厚生労働省は、学童保育の開設時間について、「1日平均3時間以上」と実施要綱で定めており、市の「放課後子どもプラン」が厚生労働省の基準を満たさないことは明らかであり、国庫補助の対象となりえないと思います。

そこで、子ども青少年局長に質問します。

どの子も区別しないことが建前となり、逆に、保護者が就労している留守家庭の子どものための、学童保育の役割を果たさないのではないか。これでもまだ、厚生労働省から、留守家庭児童のための放課後児童健全育成事業としての、補助が認められると、確約があるのでしょうか。お答えください。

選択事業では国の放課後児童健全育成事業実施要綱などに沿った取組み(局長)

【子ども青少年局長】
モデル事業は、参加するすべての子どもたちに「遊び」「学び」「体験」「交流」「生活」の場を提供するとともに、援助を希望する家庭の子どもには生活への配慮を重視した選択事業を行う。

選択事業は、放課後から午後7時までの4時間から5時間を対象とし、子どもの出席確認などの安全確認や健康管理、基本的生活習慣の援助や自立に向けた手助けを行い、家庭との日常的な連絡、情報交換を行うなど、国の放課後児童健全育成事業実施要綱や放課後児童クラブガイドラインに沿った取組みを行うもので、児童福祉法に基づく放課後児童健全育成事業に該当するものと認識し、厚生労働省からは、実施計画に肯定的な評価をいただいている。具体的には事業が始まって以降の判断になる。

モデル事業の4月実施は中止を

【かとう議員】
本市は、新年度から、各区1カ所のモデル事業を、実施しようとしました。しかし、4月からは、8区で実施の予定で、残りの8区は4月実施が困難だとして、9月実施を予定しています。これは、学童保育関係者をはじめ、実施予定学区の理解が得られていないためです。それだけこの事業に対する不安が大きいところの、証明ではないでしょうか。とりわけ、4月に実施する予定の候補学区に隣接する学区に学童保育所があり、当該学区の児童が入所しているにもかかわらず、その学童保育所の育成会、運営委員会での確認、関係者の理解を得ていないことは問題です。またトワイライトスクールを運営してきた関係者からも、説明も不十分で、どうなるのかと心配の声が寄せられています。この事業は誰からも歓迎されていないことは明らかです。問題を抱えたままでの、見切り発車によって、子どもたちが振り回されることは許せません。

そこで、子ども青少年局長にお尋ねします。

不十分なモデル事業の、4月実施はやめるべきです。もう一度、トワイライトスクールと学童保育の、それぞれの役割を生かすといった原点に立ち返り、計画を作り直すべきだと考えますが、お答えください。

8区は4月から、残りも9月から実施する(局長)

【子ども青少年局長】
モデル事業の実施にあたり関係者に鋭意説明を行った。その結果、8学区において、関係者の理解を得て、モデル事業実施に向けての準備を進めている。その他の8区は、引き続き調整を進め、9月からの実施に向けて、取り組みたい。

モデル事業実施計画に基づいてモデル事業を実施し、状況を市民に知らせ、モデル事業の検証を行っていくことが大切であり、今後とも、モデル事業実施に向けて最大限の努力をしたい。

あいまいなモデル事業実施計画は、撤回を(意見)

【かとう議員】
選択事業の子どもには、「安全確認、健康管理、基本的生活習慣についての援助や自立に向けた手助けを行い、また、家庭との日常的な連絡、情報交換を行う」と言われました。子ども指導員が、選択事業の子どもについて、家庭との日常的な連絡など丁寧に対応するなら、それだけその子を見ることになり、選択事業の子と、そうでない子を区別するなと言われても、同じように対応することが難しいのではないでしょうか。それなのに、「保護者が就労しているかどうかに関わらず、子どもの視点に立ち、子どもや子育て家庭の状況に応じた支援を行う」として、基本時間帯では選択事業の子どもと区別しないことが、子ども指導員の仕事に、位置付けられています。さらに、子ども指導員は選択事業の子ども20人に1人とされているため、その他の子どもがどれだけ多くても子ども指導員が増えないのです。放課後から5時まで、選択事業の子とそうでない子を区別するのかしないのか、こんなあいまいなモデル事業実施計画は、撤回すべきです。

国の放課後子どもプランは放課後子ども教室と学童保育をすべての学区でやるようにというものです。名古屋市はその名前を借りているだけです。名前を借りるだけでなく両方の事業、とりわけすべての留守家庭児童のための事業に予算をつけるべきです。すべての留守家庭事業が安価な保育料にすることこそが大事だといっておきます。

千種台保育園の廃園について

残された子どもたちの心を傷つける嫌がらせはやめなさい

【かとう議員】
千種台保育園の園児募集を順次やめ、千種台保育園移転予定地に民間保育園を作る問題について質問いたします。

もともと、1997年、千種台保育園は、市営住宅や消防署建設による日照被害を解決するため、2004年までに移転改築することを、市当局と父母の会とで約束をしていました。移転計画が延び延びにならなければ、すでに移転改築は終わっているところです。

ところが、2007年11月、市は突然、千種台保育園を含む、3つの保育園の廃園・民営化を発表しました。父母との話し合いが進められてきましたが、約束通り、公立で建て替えてほしいという父母の声が強く、反対運動が広がりました。

合意が得られていないまま、昨年10月、市が父母の意見を無視した、一方的な2つの提案をしました。第1案は、予定地に民間保育園を建設し、1年間の共同保育を経て2010年4月に千種台保育園を廃園すること、第2案は、今年から募集を順次停止し、2014年3月で園児がいなくなり、廃園するというもので、10日間でどちらかを選べと迫りました。父母が決められないでいると、それなら第2案だと言って、そのまま強引に、千種台保育園の募集停止と、移転予定地の民間保育園の選定を行ないました。この第2案で進めれば、まともな保育園でいるのは来年だけで、その後はどんどんクラスと園児が減っていき、現在0歳児クラスの子どもは、上のクラスの子たちが次々卒園し、自分たちより小さな子どもとは、ずっと接する機会がないままで、卒園までの4年間をさびしく過ごすことになります。

子ども青少年局長、こんなやり方は、千種台保育園の、残された子どもたちの心を傷つけることになると思わないのですか。人格を形成する大事な幼少期の子どもに対して、この市のやり方でいいと思っているのか、局長の認識を求めます。

近隣の保育所との連携や交流も行い適切に保育する(局長)

【子ども青少年局長】
千種台保育園は、平成21年度は0歳児の受入れ停止、22年度は0歳児と1歳児の受入れ停止と、年齢の低い児童から順次受入れの停止をし、それ以外のクラスは今後も積極的に児童の受入れを行うので、一定規模の集団保育が維持できる。平成25年度には5歳児クラスのみになるが、近隣の保育所との連携や交流で、行事のあり方を工夫するなど、子どもの発達過程に応じた適切な保育を、責任を持って実施し、子どもが健やかに成長できるようにする。

募集停止を撤回し、関係者と誠実に話し合え

【かとう議員】
今議会で、提案された議案を見ると、西区の山田保育園は、民間保育園への移管を進めるための共同保育に、新年度から、民間保育園の職員5人分の人件費が、計上されています。一方で「千種台保育園は引き継ぎ無し」では、千種台保育園の父母への見せしめのようです。市当局は、ある機関紙に、千種台保育園の方は、保護者の方の理解を得ることができなかったため、山田保育園のような「望ましい民営化」を諦めることになりました」と、内容の投稿をしました。まるで千種台保育園の父母をわがまま呼ばわりするものであり、千種台保育園の父母の皆さんは、嫌がらせだとひどく傷ついています。まさに、嫌がらせでは無いでしょうか。

本市は、則武保育園を民営化したとき、強引に進めたことを、反省したのではありませんか。千種台保育園については、丁寧に話し合うとしていたはずではありませんか。しかし、結局は、説得するだけで、期限が来たから強行に出たということであり、結論ありきで進めてきたことに、変わりはないのではないかと思います。則武の反省が、活かされていないと思います。

行政は、市民に対して、あくまで誠実に仕事をしなければなりません。募集停止を撤回し、千種台保育園関係者ともう一度誠実に話し合うべきではありませんか。お答えください。

新園の整備を着実に進めていく(局長)

【子ども青少年局長】
千種台保育園は、日照問題の解消と建物の老朽化を解決するため、民間移管で移転改築することで平成19年11月に公表した。その後、平成21年度に社会福祉法人による新たな保育所を整備し、法人の保育士と千種台保育園の保育士による共同保育を行い、22年度に運営を移管する計画を、概ね1年間、延べ7回の説明会を実施し、十数回の質問・要望書等に回答をするなど丁寧に対応し、保護者の理解に努めてきた。しかし、保護者の方の同意を得ることができなかったので、共同保育を経て児童が一斉に新園に移る案と、在園児が千種台保育園を卒園できる案を保護者に提示して、最終的に、市として平成25年度末まで千種台保育園を存続させることとした。

社会福祉法人による新たな保育所の整備は、待機児童の解消、多様な保育需要に対応する必要があるので当初予定どおり平成21年度に行い、在園児の卒園保証、新園への転園のいずれかを選択できるようにした。

十分な配慮で保護者に誠意ある対応を進め、千種台保育園に在園する子ども達が楽しく健やかな園生活が過ごせるような保育を実施し、新園の整備を着実に進めたい。

2004年度に移転改築するとした約束をなぜ守れない(再質問)

【かとう議員】
今の答弁は、私は納得できません。そもそも公立保育園の民営化自体、保育園は、幼い子どもにとって第二の家庭であり、慣れ親しんだ保育士がいっせいに入れ替わることは、大きな心の負担になるものです。また、保護者や事業者にとっても、移行は現実にさまざまなリスクや不安を伴うものとなります。

しかし、今回はそれ以前の問題です。再質問します。

答弁で「日照問題の解消と老朽化という早急に解決すべき課題に対応するため」と言われました。だから、千種台保育園は1997年、当時の保育課長名で文書が提出されています。その中には、こう書いてあります。「千種合保育園は、昭和39年度に建設され、昭和51年度に一部増築されましたが、現在の保育園の老朽度も勘案すると、今後改築も検討していかなければならない状況にあると考えております。こうした状況を総合的に考え、また財政状況も勘案しつつ、できるだけ早期に現在の保育園に近い、環境のよい地域に改築するよう、今後建築局と・・・・」と書いてあります。

子ども青少年局長、なぜ、移転改築しなかったのですか。答弁を求めます。

平成9年の話し合いを踏まえ、民間移管で移転改築とした(局長)

【子ども青少年局長】
国の方針変更により公立保育園に対する補助がなくなる中で、千種台保育園は、平成9年の話し合いの趣旨を踏まえ、日照問題と建物の老朽化という早急に解決すべき課題に対応するため、民間移管で移転改築を行うこととした。

約束が守られないことで理解が得られない。白紙撤回をせよ(意見)

【かとう議員】
結局、約束が守られてないから、大元での理解が得られていないのです。千種台保育園の廃園は白紙撤回し、公立での移転改築をするべきです。

1月22日から行われた「公立保育園の民営化の是非を問う住民投票を求める直接請求の署名運動」は、藤前干潟を守る署名数を超えて、市民の大きな運動が広がりました。未来を担う子どもを守りたいという声が広がっています。全国で、民営化の被害が報告されています。被害をこれ以上広げないよう、方向転換することを求めておきます。

臨時的任用職員の待遇改善を

臨時的任用職員の時給を1000円以上に

【かとう議員】
本市の臨時的任用職員の処遇改善について質問します。

昨年末から、多くの大企業が、期間社員、派遣社員を解雇し、人間をモノ扱いにすることが問題になっています。住まいも仕事も失った人びとが路頭に迷う事態が生まれています。派遣切りにあった人たちは、求職活動をするとき、できれば臨時やパート、日雇い、派遣などの非正規雇用ではなく、正規雇用を求めています。非正規雇用は、期間が限られており、正規と同じ仕事をしても賃金が低く、雇用保険や健康保険もないことが多いと思います。将来に希望を持って、人間らしく働けることが必要です。

派遣切りにあった人たちの、仕事のあっせんとして、本市が募集した3月末まで、たった2ヶ月で、時給785円の、臨時雇用に希望者はなかなかあつまりませんでした。短期の非正規であることが大きな理由だと思いますが、賃金が安いことも、一つの要因だと考えます。

私たちは、新年度予算要求書で、市が発注する事業に携わる労働者に、時給1000円以上を保証する、公契約条例の制定を求めていますが、その前段階としても、本市の臨時的任用職員の時給を1000円以上とするべきと考えますが総務局長、お答えください。

職員給与は下げたが臨時職員賃金は据え置いた(局長)

【総務局長】
臨時的任用職員の賃金単価は、職種や職務の内容及び雇用期間などに応じて定めており、短期雇用の事務・労務補助の臨時的任用職員の賃金単価は785円、看護師、保育士などの職種は1,000円以上の賃金単価となっている。これらの臨時的任用職員の賃金単価は、基本的には職員の給与改定に準じた取扱いをしているが、民間等の状況にも配慮しつつ決定している。

職員給与は、今年度、減額したが、昨今の非正現職員を取り巻く状況等を考慮し、臨時的任用職員の賃金単価については据え置きとしている。

 

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