後期高齢者医療広域連合議会 第1回定例会 2月13日
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軽減内容 | 対象者 | 割合 |
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均等割(7割⇒9割)軽減 | 112,500人 | 17% |
所得割5割軽減 | 54,500人 | 8% |
被扶養者軽減 | 83,300人 | 13% |
合計 | 250,300人 | 38% |
※ただし、72,000人(11%)の人は8.5割軽減から7割軽減に負担増。
【田口議員】
具体的なケースについて伺いたい。たとえば、後期高齢者の夫婦世帯の場合、妻は年金収入のみで年間60万円しかなくても、夫の年金収入が90万円あったら、夫婦とも均等割の9割軽減の対象にならないのではないですか。したがって、この世帯の場合、20年度の保険料は8.5割軽減とされていたため、夫婦各々6千円でしたが、21年度には7割軽減に戻ってしまうため、保険料が各々1万2千円へと倍増するのではありませんか。確認させていただきます。
この夫婦世帯のケースでは、夫婦合わせた年金収入は年間150万円です。ところが、世帯の年金収入が同じく150万円であっても、夫婦のいずれの年金収入も80万円以下の世帯の場合は、9割軽減の対象となるため、年間保険料は各々4千円になります。したがって、世帯の年間収入が150万円しかない低所得の世帯であっても、一方は1万2千円、一方は4千円と、保険料の負担に3倍の格差が生じるというのは不公平ではないでしょうか。認識を伺います。
【事務局長】
ご指摘のとおり、9割軽減は「後期高齢者の被保険者全員が年金収入で80万円以下の世帯」が条件なので、夫の年金が90万円の場合には、9割軽輝の対象とはならず、7割軽減の保険料となり、年金が夫婦とも80万円以下の場合には9割軽減となる。夫婦合わせた世帯の収入額が同じでも、世帯によって軽減される場合とされない場合が生じるが、やむを得ない。
年金額 | 20年度保険料 | 21年度保険料 | ||
---|---|---|---|---|
150万円 | 夫90万円 | 6,000 | → | 12,000 |
妻60万円 | 6,000 | 12,000 | ||
合計 | 12,000 | 24,000 | ||
150万円 | 夫75万円 | 6,000 | → | 4,000 |
妻75万円 | 6,000 | 4,000 | ||
合計 | 12,000 | 8,000 |
基本 | 均等割40175円 所得割7.43% |
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単身世帯 公的年金のみ | |||||
年金収入 | 区分 | 20年度 | 21年度 | 備考 | |
79万円 基礎年金額 |
均等割 | 6,000 | → | 4,017 | 8.5割軽減→9割軽減 |
所得割 | 0 | 0 | |||
年間保険料 | 6,000 | 4,000 | △2,000 | ||
168万円 | 均等割 | 6,000 | → | 12,052 | 8.5割軽減→7割軽減 |
所得割 | 5,573 | 5,573 | 5割軽減 | ||
年間保険料 | 11,500 | 17,600 | +6,100円 | ||
201万円 厚生年金 平均額 |
均等割 | 32,140 | → | 32,140 | 2割軽減 |
所得割 | 17,832 | 17,832 | 5割軽減 | ||
年間保険料 | 49,900 | 49,900 | 変更なし | ||
211万円 | 均等割 | 40,175 | → | 40,175 | |
所得割 | 21,547 | 21,547 | 5割軽減 | ||
年間保険料 | 61,700 | 61,700 | 変更なし | ||
夫婦世帯 妻の年金80万円以下。公的年金のみ | |||||
年金収入 | 区分 | 20年度 | 21年度 | 備考 | |
79万円 基礎年金額 |
夫の均等割 | 6,000 | → | 4,017 | 8.5割軽減→9割軽減 |
夫の所得割 | 0 | 0 | |||
妻の均等割 | 6,000 | 4,017 | 8.5割軽減→9割軽減 | ||
年間保険料 | 12,000 | 8,000 | △4,000 | ||
168万円 | 夫の均等割 | 6,000 | → | 12,052 | 8.5割軽減→7割軽減 |
夫の所得割 | 5,573 | 5,573 | 5割軽減 | ||
妻の均等割 | 6,000 | 12,052 | 8.5割軽減→7割軽減 | ||
年間保険料 | 17,500 | 29,600 | +12,100円 | ||
192.5万円 | 夫の均等割 | 20,087 | → | 20,087 | 5割軽減 |
夫の所得割 | 14,675 | 14,675 | 5割軽減 | ||
妻の均等割 | 20,087 | 20,087 | 5割軽減 | ||
年間保険料 | 54,700 | 54,700 | 変更なし | ||
201万円 厚生年金 平均額 |
夫の均等割 | 32,140 | → | 32,140 | 2割軽減 |
夫の所得割 | 17,832 | 17,832 | 5割軽減 | ||
妻の均等割 | 32,140 | 32,140 | 2割軽減 | ||
年間保険料 | 82,000 | 82,000 | 変更なし | ||
211万円 | 夫の均等割 | 32,140 | → | 32,140 | 2割軽減 |
夫の所得割 | 21,547 | 21,547 | 5割軽減 | ||
妻の均等割 | 32,140 | 32,140 | 2割軽減 | ||
年間保険料 | 85,700 | 85,700 | 変更なし |
【田口議員】
今回の保険料軽減対策の問題点のもう一つは、被用者保険の被扶養者の場合、22年度に保険料の急激な負担増をもたらすケースが少なくないということです。被用者保険の被扶養者は、後期高齢者医療制度に移行する前までは保険料の負担はありませんでしたが、昨年の10月から保険料を負担しなければならなくなりました。激変緩和措置として均等割の9割軽減を21年度も継続するとしても、19年度まではゼロだった保険料が、20年度には年間2000円の負担となり、21年度には4000円へと倍増します。そして、22年度以降は激変緩和措置がなくなりますので、本来の保険料額を負担しなければなりません。
たとえば、年金収入が80万円の後期高齢者の母親が、給与年収140万円の息子の健康保険の被扶養者になっていた世帯の場合、母親の保険料額はどのように推移するのか。息子の所得が68万円を超えるため、この母親の22年度の保険料は、均等割の軽減対象となりません。均等割額が22年度もほとんど変わらないと仮定しても年間4万円余の保険料となります。21年度は9割軽減で4000円ですので、22年度には負担が10倍に増えることになるのではありませんか。確認させていただきます。
(年金80万円の高齢者が給与140万円以上の息子の扶養家族の例)
〜19年度 | 20年度 | 21年度 | 22年度 | |
---|---|---|---|---|
保険料 | 0円 | 2,000円 | 4,000円 | 40,000円余 |
【事務局長】
被用者保険の被扶養者は、激変緩和措置として2年間軽減される。この軽減期間が終了すれば、他の被保険者と同様の保険料を負担することとなる。
【田口議員】
いまの答弁でも明らかなように、今回の保険料軽減対策は十分なものとはいえません。
75歳以上の人全員が年金収入80万円以下の場合に限定されたために、全被保険者の11%にあたる約72000人もの人が、20年度と比べて保険料の負担が増えます。軽減対策と言いながら、保険料が増加する低所得者が少なからず生まれることは問題であります。
夫婦世帯の場合では、世帯の年金収入が同じでも、9割軽減の対象になる場合とならない場合があり、保険料に不公平な格差が生じます。
さらに、同居する子どもなど世帯主に一定の所得があり、もともと7割軽減の対象になっていない世帯の場合は、たとえ年金収入が80万円以下であっても、今回の9割軽減の対象とはなりません。しかも、所得割の50%軽減については、年金収入153万円から211万円の人が対象であるため、年金収入が80万円を超えて153万円に満たない人は、年金額が少ない低所得者であるにもかかわらず、今回の軽減対策の対象にはなりません。
また、被用者保険の被扶養者の場合は、22年度に保険料の急激な負担増をもたらすケースが少なくありません。
こうした点から、今回の保険料軽減対策は、まだまだ不十分で、矛盾を抱える見直しだと考えますが、連合長はどのように認識されておられますか。そして、さまざまな問題点や矛盾を解決するためには、制度の存続を前提とするならば、低所得者からは保険料を徴収しない新たな減免制度を設けるなど、さらなる見直しを国に求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
【連合長(松原市長)】
後期高齢者医療制度は、高齢者にも一定の保険料負担をしていただき、社会全体で高齢者の医療を支えようとするもの。そのため、すべての被保険者に、県下一律の基準で保険料を負担していただくことになるが、今回の保険料軽減対策により、低所得者には新たに9割軽減が設けられ、より負担が軽減される。
国では制度の見直しに向け議論がされており、現時点で国への要望は考えていない。
【田口議員】
連合長は、国に対してさらなる保険料減免を求める考えはないようです。残念です。
今回の軽減対策によって、たしかに一部の人であっても保険料の負担が軽くなり、しかも、その財源は全額国が負担するという点は評価したいと思いますが、しかし、これで十分といえるものではけっしてありません。
今回の軽減対策でよしとせず、保険料の減免制度をさらに拡充することを求めて質問を終わります。
【田口議員】
協定保養所利用助成事業について質問します。これは、国からの特別調整交付金を財源に、「あいち健康プラザ 健康宿泊館」、「名古屋市休養温泉ホーム 松ヶ島」など県内の6か所の保養所に後期高齢者が宿泊する際に、1人1泊千円を年度内4泊まで助成するという事業です。
「名古屋市休養温泉ホーム 松ヶ島」についていえば、名古屋市の国民健康保険証を持っていくと宿泊料金が千円割引されますが、後期高齢者医療制度が始まって、75歳以上の高齢者は国民健康保険から追い出されたために、74歳までの国保加入者は割引されるのに、75歳以上は割引されないという不条理が生じていました。市民の中から75歳以上の割引の復活を求める声が広がっていましたので、今回、広域連合が「松ヶ島」も含めて助成制度を設けることは喜ばしいことだと思います。
協定保養所 | 定員(人) | 所在地 |
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あいち健康プラザ 健康宿泊館 | 140 | 東浦町 |
愛知県市町村職員共済組合 レイクサイド入鹿 | 100 | 犬山市 |
サンヒルズ三河湾 | 80 | 蒲郡市 |
名古屋市休養温泉ホーム 松ケ島 | 80 | 三重県桑名市 |
豊田市 百年草 | 51 | 豊田市 |
愛知県都市職員共済組合 シーサイド伊良湖 | 120 | 田原市 |
計 | 571 |
そこで、お尋ねしたいことは、今回、協定保養所として6か所を選定した理由についてであります。
75歳以上の方が利用している保養所は、今回、協定保養所とされた6か所以外にもあります。名古屋市が保有している保養所には、名古屋市民御岳休暇村セントラルロッジもあります。ここの利用実績を調べてみましたら、19年度では、愛知県内の利用者のうち75歳以上の方が1085人、6.6%であり、そのうち名古屋市以外の県内市町村の方も1割余りが利用されています。御岳休暇村の所在地は長野県ですが、名古屋市の国保の加入者には宿泊料金の割引制度があり、75歳以上の高齢者が少なからず利用していることからも、どうして御岳休暇村は協定保養所に選定されなかったのかなあと思いますので、協定保養所として6か所に限った理由についてお答えいただきたいと思います。
【事務局長】
協定保養所利用助成事業は、被保険者が協定保養所に宿泊する際に、その費用の一部を助成し、身体的・精神的なリフレッシュや健康の保持・増進を図るもので、財源は全額特別調整交付金により実施するもの。協定保養所の選定にあたっては、4つの要件を基に検討した。
以上を踏まえて選定にあたり、6か所とした。
【田口議員】
協定保養所については、尾張地区で3か所程度、三河地区で3か所程度などの要件で選定されたということでありますが、今後、さらに、名古屋市民御岳休暇村セントラルロッジなども含めて、協定保養所の拡大について検討していただきますよう要望させていただきます。
【田口議員】
保険料の滞納者への資格証明書の発行についてお尋ねします。
後期高齢者医療制度では、原則として保険料の滞納が1年以上続くと、資格証明書が発行され、医療機関でいったん、かかった医療費の全額を払わなければならないという事実上の「無保険」状態になります。病気になってもお医者さんにもかかれず、命と健康を脅かす事態が生まれることは明らかです。この制度の導入までは、お年寄りの場合は、命に直結する問題だとして、資格証明書の発行の対象外でしたが、無慈悲にも75歳以上の高齢者も保険証取り上げの対象にしたところに、この制度が「姥捨て」制度といわれるゆえんの一つがあると思います。
制度が始まってから1年近くが経とうとしています。制度開始以来、保険料を払えず、この4月に保険料の滞納期間が1年となり、保険証を取り上げられる恐れのある人がどれだけ生まれるのか。名古屋市に保険料の滞納者数を問い合わせたところ、年金額が月1万5千円以上で、年金から保険料が天引きされている特別徴収者では、滞納者は当然、一人もありませんでした。保険料を直接納める普通徴収者では、最初の納付月である昨年7月分の滞納者が、12月25日時点で1752人であり、普通徴収者の4.6%ということでした。
そこで、お尋ねしますが、広域連合全体では昨年7月分の保険料滞納者は何人いるのか。それは普通徴収者の何%なのか、お答えください。
【事務局長】
平成20年7月納期の保険料滞納者は、12月末現在で10万22人のうち4,461人、普通徴収の対象者の4.5%となる。
2008年12月末
市町村名 | 7月納期 | 8月納期 | 増減 | 市町村名 | 7月納期 | 8月納期 | 増減 |
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名古屋市 | 1,750 | 1,664 | -86 | 北名古屋市 | 66 | 76 | 10 |
豊橋市 | 0 | 685 | 685 | 弥富市 | 25 | 21 | -4 |
岡崎市 | 242 | 255 | 13 | 東郷町 | 24 | 27 | 3 |
一宮市 | 475 | 748 | 273 | 長久手町 | 9 | 17 | 8 |
瀬戸市 | 0 | 109 | 109 | 豊山町 | 12 | 13 | 1 |
半田市 | 115 | 177 | 62 | 春日町 | 6 | 8 | 2 |
春日井市 | 0 | 269 | 269 | 大口町 | 7 | 9 | 2 |
豊川市 | 149 | 149 | 0 | 扶桑町 | 25 | 22 | -3 |
津島市 | 24 | 34 | 10 | 七宝町 | 11 | 11 | 0 |
碧南市 | 86 | 38 | -48 | 美和町 | 9 | 8 | -1 |
刈谷市 | 64 | 64 | 0 | 甚目寺町 | 30 | 31 | 1 |
豊田市 | 290 | 322 | 32 | 大治町 | 16 | 16 | 0 |
安城市 | 93 | 145 | -52 | 蟹江町 | 14 | 13 | -1 |
西尾市 | 22 | 27 | 5 | 飛島村 | 2 | 2 | 0 |
蒲郡市 | 28 | 52 | 24 | 阿久比町 | 15 | 12 | -3 |
犬山市 | 0 | 87 | 87 | 東浦町 | 50 | 55 | 5 |
常滑市 | 25 | 27 | 2 | 南知多町 | 98 | 147 | 49 |
江南市 | 0 | 98 | 98 | 美浜町 | 7 | 12 | 5 |
小牧市 | 0 | 124 | 124 | 武豊町 | 19 | 28 | 9 |
稲沢市 | 108 | 110 | 2 | 一色町 | 7 | 6 | -1 |
新城市 | 67 | 78 | 11 | 吉良町 | 4 | 3 | -1 |
東海市 | 55 | 59 | 4 | 幡豆町 | 0 | 2 | 2 |
大府市 | 66 | 71 | 5 | 幸田町 | 16 | 16 | 0 |
知多市 | 39 | 48 | 9 | 三好町 | 19 | 18 | -1 |
知立市 | 30 | 43 | 13 | 設楽町 | 5 | 9 | 2 |
尾張旭市 | 0 | 115 | 115 | 東栄町 | 5 | 2 | -3 |
高浜市 | 24 | 20 | -4 | 豊根村 | 3 | 4 | 1 |
岩倉市 | 47 | 51 | 4 | 小坂井町 | 7 | 9 | 2 |
豊明市 | 25 | 30 | 5 | 合計 | 4,461 | 6,444 | 1,983 |
日進市 | 19 | 22 | 3 | ||||
田原市 | 33 | 39 | 6 | 認定件数 | 100,022 | 123,232 | |
愛西市 | 28 | 39 | 11 | 収納件数 | 95,561 | 116,788 | |
清須市 | 46 | 48 | 2 | 滞納率 | 4.46% | 5.23% |
【田口議員】
資格証明書の発行については、国民健康保険でも、とくに子どものいる世帯からの保険証取り上げ問題が国会でも自治体でも大きな問題になっています。政府も、国保の保険料滞納を理由にした機械的な資格証明書の発行をいましめる立場を明確にしつつあります。
最近、国保の資格証明書に関して、日本共産党の小池晃参議院議員の質問主意書にたいする答弁書の中で、政府は、医療費の一時払いが困難だと申し出る状態は、保険証を取り上げることのできない「特別な事情」に準ずるという見解を示しました。
そこで、お尋ねしますが、後期高齢者医療でも、保険料の滞納が1年を超えた被保険者について、糖尿病の治療を継続しているなど医療を受ける必要が現に生じており、かつ、医療機関にたいする医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料の納付ができない「特別の事情」に準ずる状態にあるので、被保険者証の返還を求めることはできないという考えでよいのか、伺います。
【事務局長】
糖尿病などで継続して医療を受けているだけでは、特別な事情に該当しないが、医療機関の窓口で医療費の全額を支払うことが難しい場合は、市区町村窓口で相談し、実情を把握して、資格証明書とせず短期保険証を渡すことも必要と考える。
【田口議員】
政府・与党は昨年6月、資格証明書の運用に当たっては、「相当な収入があるにもかかわらず、保険料を納めない悪質な者に限って適用する」との方針を示しました。
「相当な収入のある」人というのは、どの程度の収入のある人のことを指しているとお考えですか。
【事務局長】
政府・与党のプロジェクトチームは、「相当な収入のある」方の例として、収入額383万円以上の現役並み所得のある方を掲げている。
しかし、資格証明書交付の要否は、保険料滞納にかかる被保険者とその世帯の状況を総合的に勘案して判断するべきであり、ある一時点における収入額のみによって一律に判断することは難しい。
なお、1月に開催された全国厚生労働部局長会議上で、厚生労働省が各広域連合、市町村の意見を聞きながら、一緒に資格証明書の交付基準を考えていきたいとする高齢者医療課長の発言もあり、今後、国から何らかの基準が示される可能性もある。
【田口議員】
昨年7月分の保険料の滞納者が、広域連合全体で4461人、4.5%にのぼるという答弁でした。滞納者は、基本的には年金額が月1万5千円未満の低所得の人たちであり、こうした低所得の人たちの中で保険料が払えない人が少なくないというきわめて深刻な事態が明らかになったと思います。
そこで連合長にお尋ねします。保険料の滞納者が、普通徴収者の4.5%、すなわち20人余に1人という事態は、まったく無年金の人も含めて高齢者一人一人から保険料を取り立てるというやり方が破たんしていることを示してしているのではないでしょうか。
【連合長】
後期高齢者医療制度は、高齢者も一定の保険料負担をし、社会全体で高齢者の医療を支えようというもので、低所得者も負担能力に応じて一定の負担をお願いすることとなる。
保険料の収納率は、普通徴収で97%、特別徴収を含めた全体では99%に近い、高い収納率を確保できている。
【田口議員】
4400人余の滞納者が、その後の納付分も滞納を続けて今年の4月を迎えると、資格証明書の発行の対象となりかねません。
保険料の滞納者は、基本的には年金額が月1万5千円未満の人であり、滞納期間が1年以上となっても、こうした低所得のお年寄りから保険証を取り上げて、資格証明書を発行することは、人の道に反すると考えますが、そのような認識はありませんか。こうした認識をお持ちなら、資格証明書の発行は原則として行わないという立場に立つべきだと考えますが、いかがでしょうか。答弁を求めます。
【連合長】
資格証明書は、保険料を納付する資力が十分にあるにもかかわらず、特別の事情もなく長期にわたって保険料を支払わない、いわゆる悪質な滞納者に限って交付すべきものと認識している。したがって、真に保険料を払えない方にまで、一律に機械的に交付するものではない。
保険料を滞納している方には、何よりもきめ細かな納付相談を行うことが大切であると考えている。
【田口議員】
保険料の滞納者は、昨年7月分では普通徴収者の4.5%ですが、その後についても調べてみたところ、8月分では6,444人で5.2%、9月分では9,010人で5.8%と増加しています。この人たちは、多くは無年金や低年金で、保険料を払いたくても払えない人たちではないでしょうか。連合長はお認めになりませんでしたが、私は、少なくない滞納者が生まれていることからも、高齢者一人一人から保険料を取り立てるというやり方が破たんしていると思います。無年金など負担能力のない人からは保険料を取るべきではありません。
保険料の滞納者にたいする資格証明書の発行について、連合長は、「真に保険料を払えない方にまで、一律に機械的に交付するものではない」と答弁されました。それならば、資格証明書は原則として発行しないという立場を明確にし、無保険という命に直結する事態を招かないようにすべきであります。
【田口議員】
健診事業について伺います。21年度予算では、保健事業費が、20年度予算と比べて68.5%と3割以上も減額されています。その理由は、20年度において健診の受診率が予算で見込んだ受診率を大きく下回ったために、21年度は受診率の見込みを大幅に引き下げたことによるものではないかと考えます。
名古屋市に後期高齢者医療健診の受診状況を伺ったところ、20年度の受診率は9.4%の見込みということです。名古屋市では、19年度の成人基本健診の75歳以上の受診率も16.4%と低かったのですが、後期高齢者医療制度に移行して、さらに受診率が大幅に低下しています。
広域連合が20年度予算で見込んだ健診の受診率は何%だったのか。20年度の受診率の実績は何%になるのか。21年度予算で見込んでいる受診率は何%なのか、お答えください。
【事務局長】
健康診査は、市町村に委託をして実施しているが、20年度の予算積算では、18年度に受診券を全被保険者に発行して健診事業を実施している11市町村の平均受診率を基にして45%と見込んだ。20年度の実績見込みは、各市町村の現在の状況を見て21%程度の受診率になると推定している。
21年度予算は、この実績見込みを踏まえて受診率を30%に見込んでいる。
【田口議員】
そもそも後期高齢者の健診については、生活習慣病で通院や入院をしている人は受診する必要はないというのが、政府や広域連合の立場でした。ここに一宮市が後期高齢者に送付した健診の受診券の見本があります。この受診券には、生活習慣病で通院、入院しているか、していないかをチェックする欄があり、「通院、入院している」に該当する人は、「この健診は、受ける必要がありません」と明記されています。名古屋市の受診券の見本もありますが、これにも、生活習慣病で通院、入院していないことを確認する欄があります。こんな受診券が送られてきたら、生活習慣病で通院や入院をしていない人までも、受診券を見た時点で健診を受けようという気持ちが失われてしまうのではありませんか。
名古屋市のように健診の受診率が1割にも満たないという状況は、本来、健診を受診すべき人も受診していないケースが少なくないことを示しており、疾病の予防と早期発見にとって重大な事態だといわなければなりません。
事務局長は健診の受診率が低いことについてどのように認識されていますか。受診率を引き上げるために、生活習慣病で通院、入院中の75歳以上の高齢者についても健診を保障し、希望者は全員が健診を受けられるようにすべきではありませんか、答弁を求めます。
【事務局長】
20年度の受診率は決して高い数値であるとは認識していない。したがって、21年度は
という方針で、全市町村と実施委託をする予定です。
【田口議員】
健診事業については、受診率を引き上げるために、通年実施あるいは実施期間の延長を図り、生活習慣病で治療中の人も含めて希望者には健診を実施するという方針を示されたことは評価させていただきます。市町村においては当然、今後は被保険者に送付する受診券に、生活習慣病での通院、入院を確認するような記載はされないと思います。
【田口議員】
次に、広域連合独自の保険料の減免制度を実施することを求めてお尋ねします。
全国の広域連合の中には、独自の保険料軽減策を講じているところがあります。たとえば、東京都広域連合では、葬祭事業、審査支払手数料、財政安定化基金拠出金、収納率による保険料上乗せ分の4事業について、保険料算定からはずして区市町村負担とすることによって保険料を軽減しています。京都府や石川県の広域連合では、健診事業にたいして府や県から補助金が交付され、保険料を引き下げています。
そこで連合長にお尋ねしますが、本広域連合としても独自の保険料減免制度を設ける考えはありませんか。お答えください。
【連合長(松原市長)】
保険料の軽減策には全国一律の減額制度がありますが、この制度に加え、現在、本広域連合では、災害、所得激減、給付制限による独自の減免を実施している。それ以外の保険料の軽減策は、財源負担の枠組みのあり方も含め、国において定められるべきものと考えている。
【田口議員】
健診事業については、概ね国が3分の1を負担し、残りの3分の2は被保険者の保険料で負担していますが、京都府や石川県のように、愛知県が健診事業にたいして補助金を支出すれば、その分保険料を引き下げることができます。後期高齢者医療制度に移行する前までの健診では、国、県、市町村が3分の1ずつ負担をしていたわけですから、後期高齢者医療制度の健診においても、県に費用負担を求めることは、当然の要求だと考えます。
私は昨年の第2回定例会で、愛知県に対して健診事業への費用負担を求める考えがないのか質したところ、連合長は「必要に応じて対応していく」と答弁されました。
連合長はその後、この点についてどのように対応されたのか。健診事業への費用負担を愛知県に要望されたのか、お聞きします。
【連合長(松原市長)】
健康診査事業の費用は国の補助金および保険料を財源としており、都道府県や市町村の負担は義務付けられていない。
平成20年度及び平成21年度の保険料は、こうした財源の枠組みで算定しており、県に対し健診事業への費用負担を要望していないが、今後の制度の実施状況を勘案しながら、必要に応じ対応したい。
【田口議員】
減免は国が定めるものだから、広域連合独自には、災害等による減免以外はやらないという姿勢は問題であります。国の軽減対策は、議案第1号の質疑でも明らかにさせていただいたように、きわめて不十分です。全国の広域連合の中には、知恵をしぼって、保険料負担を少しでも軽くする独自の対策を講じているところがあるのですから、本広域連合でも行うべきです。
以上を指摘して質問を終わります。
【田口議員】
特別会計予算にたいして反対の立場から討論を行います。
後期高齢者医療制度が始まってから1年近くが経とうとしていますが、この制度にたいする高齢者をはじめとする国民の怒りは収まっていません。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出され、2年ごとに際限なく保険料が引きあげられ、受けられる医療内容も別建てで差別されるという、この制度の本質的な問題は、政府・与党による度重なる「見直し」があっても解決されていません。まさに「うば捨て」制度と言われる後期高齢者医療制度は廃止すべきであります。
保険料を納めることができず、滞納を続けている人が少なくないことは、無年金の人も含めて高齢者一人一人から保険料を取り立てるというやり方が破たんしていることを示しています。無年金や低年金の低所得者からは、保険料を取り立てるべきではないのです。それにもかかわらず、広域連合として独自の保険料減免を実施する考えもなく、さらなる保険料減免を国に求める姿勢もないことは、問題であります。
この4月に保険料の滞納期間が1年となり、保険証を取り上げられる恐れのある人が少なくありません。保険証の取り上げは、高齢者にとっては命に直結する問題です。先ほどの答弁では、資格証明書の発行には慎重な姿勢を示されはしましたが、発行そのものをやめようとしていないことも、重大であります。
以上の反対理由を申し上げ、討論を終わります。
議案名 | 議案に対する 態度 |
結果 | 内容 | ||
---|---|---|---|---|---|
共産党 | 他議員 | ||||
発議 第1号 |
愛知県後期高齢者医療広域連合議会会議規則の一部改正 | ○ | ○ | 可決 | 地方自治法改正で、「議案説明会」「議員全員協議会」を規則に明記 |
議案 第1号 |
愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部改正 | ○ | ○ | 可決 | 20年度の保険料軽減を継続。7割軽減の一部を8.5割から9割軽減に、被扶養者の9割軽減など。一部負担増あり |
第2号 | 愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療制度臨時特例基金条例の一部改正 | ○ | ○ | 可決 | 軽減による経費を国が交付する臨時特例交付金を基金に積立。27億7837万円 |
第3号 | 愛知県後期高齢者医療広域連合議会の議員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正 | ○ | ○ | 可決 | 規則に定めた協議会などに出席すれば議員報酬が出る |
第4号 | 愛知県後期高齢者医療広域連合特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正 | ○ | ○ | 可決 | 自治法改正による字句の変更 |
第5号 | 愛知県後期高齢者医療広域連合個人情報保護条例の一部改正 | ○ | ○ | 可決 | 統計法改正による規定の整備 |
第6号 | 平成20年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計補正予算(第2号) | ○ | ○ | 可決 | 28億8448万円。保険料軽減のための臨時特例交付金27億円など。 |
第7号 | 平成20年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号) | ○ | ○ | 可決 | 保険料軽減の財源の名称変更のため |
第8号 | 平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計予算 | ○ | ○ | 可決 | 42億7518万円。国の交付金4000万円で松が島保養所など6施設の利用に助成を開始 |
第9号 | 平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計予算 | ● | ○ | 可決 | 5188億1207万円。支払基金2296億円、国庫1503億円、県398億円、市町村459億円。保険料501億円(一人当たり76,376円)。 |
請願 第1号 |
後期高齢者医療制度の改善を求める請願書(請願者:愛知県社会保障推進協議会) | ○ | ● | 不採択 | 低所得者に配慮した保険料減免制度の創設などを求める(1.2.4項 不採択) |
態度:○=賛成 ●=反対
日本共産党以外の29人の全議員は同じ態度でした。(渡辺義郎市議、加藤武夫市議など欠席3名と議長を除いた数。)
【田口議員】
請願第1号について、趣旨を簡単にご説明申し上げます。
後期高齢者医療制度が実施されて、まもなく1年を迎えますが、75歳で線を引いて高齢者を差別するというこの制度の不合理な点や矛盾は、政府・与党による再三の見直しを行っても解決されず、制度の廃止を求める国民の声が広がっています。しかしながら、制度が存続しているもとで、少しでも改善を図ろうというのが、この請願の趣旨です。
具体的には、愛知県に一般財源の投入を要請して保険料を引き下げ、広域連合独自の保険料減免制度を設けること、受診中の75歳以上の高齢者への健診の保障、後期高齢者の意志が十分反映できる制度的保障として、すべての自治体から広域連合議員を選出することなどを求める内容となっています。
皆様のご賛同をよろしくお願いいたします。
【請廟趣旨】
後期高齢者医療制度が実施され11カ月過ぎようとしています。この制度の不合理な点や矛盾はますます明らかになり、三度にわたる見直しをしても、なお怒りが広がっています。
私どもはこの間、生活困難から保険料が払うことができない高齢者に資格証明書や短期保険証の発行で、必要な医療を受けられなくなることを危惧し、改善を要請してきました。
この心配が今、名古屋市でも2,000人近くが未納、マスコミ報道でも10月未調査で「滞納20万人が無保険になるおそれ」と伝えられています。
つきましては、後期高齢者医療制度の改善に向けて、次の事項の実現をお願いします。
【請願事項】
【田口議員】
「後期高齢者医療制度の改善についての請願」について、賛成の立場から討論を行います。
まず、第1項、および第2項の保険料の引き下げ、減免制度についてですが、政府・与党の保険料軽減対策は不十分であり、矛盾を抱えるものとなっています。それゆえに、広域連合として独自の保険料軽減対策を講じることが求められています。
第3項目の健診の保障については、「特別会計予算」にたいする私の質疑の中で、当局は、生活習慣病で治療中の人も含めて希望者には健診を実施するという方針を示されました。
第4項目の後期高齢者の意志が十分反映できる制度的保障については、全国の広域連合では、運営協議会を設置しているところが少なくなく、本広域連合でも後期高齢者の代表を含む運営協議会を設置すべきです。また、広域連合議会議員は、後期高齢者をはじめとする住民と広域連合とを結ぶパイプであり、すべての自治体から議員を選出することが、すべての市町村の住民との直接のパイプを築くことになると思います。
以上の理由から、本請願の採択を求めて、討論を終わります。
○請願に対する質疑はなく、反対討論もありませんでした。
○請願第3項は議案質疑で「実施を予定」という答弁があり、趣旨実現として採決から除外されました。
○田口議員が採択を求める賛成討論を行い、田口議員だけが賛成しました。
約72,000人、全被保険者(65万6,000人)の11%程度(事務局長)
【事務局長】
平成20年度は経過措置として7割軽減を一律8.5割軽減とした。平成21年度は、7割軽減のうち一定の条件の方を9割軽減とするが、8.5割軽減から7割軽減となる人もいる。対象者は約72,000人、全被保険者(65万6,000人)の11%程度と見込んでいる。