2009年2月定例会 議案外質問 田口かずと議員(2月25日)

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平成20年度名古屋市一般会計補正予算について


田口議員

≪生活保護扶助費≫

住居のない人への中村区での受理状況はどうか

【田口議員】
今回の補正は、生活保護の受給者数が増加することにともなうものであり、当初予算から800世帯の増加が見込まれています。

昨年来、生活保護の受給者数は増えつつありましたが、今年に入って、一層の増加が予想される事態が生まれています。大企業による「派遣切り」「期間工切り」など大量の雇い止め・解雇によって、仕事と住まいを失った労働者が本市に殺到し、中村区役所には、年明け以降、連日100人を超える相談者が押し寄せ、それがいまだに続いているのです。当局の調査では、相談者の過半数は名古屋市外から来た人であり、県外が3分の1を占めています。

中村区役所に相談に訪れた「住居がない方」は、1月だけでのべ1,926人にのぼっているそうですが、こうした人からの生活保護の申請を受理した件数は何件ですか。それは、昨年の4月から12月までと比較してどの程度増えていますか、お答えください。

1月だけで280件を受理、昨年の約4倍(局長)

【健康福祉局長】
中村区役所に相談に訪れた方々の本年1月、1か月間の生活保護の申請受理件数は280件となり、昨年4月から12月までの9か月間の中村区役所における住居のない方からの生活保護の申請受理件数596件、−月当たり66.2件と約4倍となっています。

住居がない場合も住まい確保を支援し保護の適用を

【田口議員】
中村区役所では、住居がない場合でも生活保護の申請があれば受理しています。さる2月9日の衆議院予算委員会では、日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が、住居がないからといって生活保護の申請をはねつけるのではなく、中村区のような対応を「すべての自治体の基本方針とすべきだ」と求めました。これにたいし、厚生労働大臣は、「日比谷公園のようなところで寝泊まりしている人も申請は可能。また、自治体の助けを借りてアパートを借りると、そこが住所となり、その段階で給付ができる。全国で同じようにする」と答弁しています。

ところが、市内の区役所の中には、中村区役所のような丁寧な対応がなされていないケースが、ごくまれですが、あるようです。

健康福祉局長、住居がない場合の生活保護の適用については、中村区役所で現に行っており、厚生労働大臣の国会答弁にもあるように、「住居がない場合でも生活保護の申請は可能であり、申請した上で自治体の助けを借りてアパートを借りると、その段階で生活保護の給付ができる」というのが、本市の基本方針ですね。確認させていただきます。そして、その基本方針にもとづいて丁寧な対応をするよう各区の社会福祉事務所に徹底することを求めます。お答えください。

各社会福祉事務所に通知し実施(局長)

【健康福祉局長】
住居のない方に対する生活保護の適用に関して、平成15年7月の「ホームレスに対する生活保護の適用について」という国からの通知があり、(1)住居がないからという理由だけで、生活保護を適用できないという考え方はしないこと、(2)生活保護の適用に当たって、直ちに居宅生活が可能と認められる方については、居宅生活のための支援をすること、(3)居宅生活が困難な方につきましては、生活保護施設を活用するなどして、居住の場を確保し、自立に向けた相談指導などを行うこと、という内容となっています。

本市としては、その通知に基づき平成15年11月に住居のない方に対する生活保護の適用についての取り扱いを定め、各社会福祉事務所に通知をし、福祉事務所で実施してきています。

市長は、大企業と国の責任を認識しているか

【田口議員】
中村区役所では、他の区役所からも応援を得て、職員のみなさんは、宿泊場所の確保や生活保護の手続など、懸命に相談にのっています。しかし、深夜まで仕事をしても追いつかない、体調を崩しても休めないといいます。こうした事態を招き、生活保護受給者の急増を招いた責任はどこにあるのか。それは、「100年に一度」という経済危機にあわてふためいて道理のない「非正規切り」に走っている大企業と、派遣労働の規制緩和を進め、「使い捨て」労働の増加に拍車をかけてきた政府にあると思うのです。

市長は、生活保護受給者が急増している背景にある大企業と国の責任について、どのように認識されていますか。今まで派遣労働者が住んでいた寮は、追い出してガラガラに空いている。その一方で、名古屋市が、必死になって宿泊場所を確保し、生活保護で助けている。大量に「派遣切り」をした大企業は、それを見て涼しい顔をしている。こんなおかしな話はないと思いませんか。答弁を求めます

責任と権限がある国や県に繰り返し要請している(市長)

【市長】
仕事と住まいを失った多くの方が、中村区役所に相談に訪れている背景には、いわゆる「派遣切り」の問題があると考えている。

その観点から、労働行政に責任と権限を持っている国や県が、適切かつ迅速に対応されるよう切に願っており、即効性のある対策を国や県に要請してきた。

一自治体でできることには限界があるが、相談に見える方には、既存の施策を活用しながら、できる限りの対応を行っている。

住居のない方への生活保護の適用を全市に徹底せよ(要望)

【田口議員】
健康福祉局長が答弁されたことは、平たく言えば、国会で厚生労働大臣が答弁した内容になります。ただ、厚生労働大臣の答弁で大事だと思うのは、「自治体の助けを借りてアパートを借りること」と述べた点です。中村区役所では、現在ではこういう対応をされていますので、全市に徹底していただきたいと思います。

≪定額給付金給付事業≫

ホームレスやネットカフェ難民に届くのか、相談窓口をつくれ

【田口議員】
国会で第2次補正予算が通過した後も、定額給付金を「評価しない」が7割にのぼっている世論調査もあります。現金収入が増えるにもかかわらず、これだけの批判があるというのはどうしてか。国民が、究極のバラマキ、選挙対策であり、消費税増税付きだと見抜いているからにほかなりません。2兆円のお金があるなら、雇用対策や社会保障などもっと有効に使うべきとの声が出るのは当然であります。

しかしながら、もし、国会で与党が「3分の2」の多数で第2次補正予算関連法案を押し切ったときに、名古屋市では、給付金のための国の補助金は受け取れません、ということはできません。いくら愚策といわれても、国で決まったら対象者に給付しなければなりません。ですから、本市でも、もっと有効な使い道があるのにという、じくじたる思いで給付の準備を進めておられることでしょう。

そこで、給付するとなった場合に生じるいくつかの問題点についてお尋ねします。

1点目は、本当に生活支援を必要としているホームレスやネットカフェ難民の人たちに給付金が確実に届くのか、という問題です。給付金の対象者は、基準日の2月1日に住民登録などされている人となっています。ところが、ホームレスの人たちは、住民登録されている自治体から離れて暮らしていることが多く、申請書を郵便で受け取ることもできません。

高額所得者には盛大に使ってくれと言いながら、生活支援を本当に必要とするホームレスやネットカフェ難民の人たちの手元に届く保証がないのではありませんか。ホームレスの人たちにも給付金を支給するために、申請書を受け取れない人のための相談窓口を設ける考えはありませんか。

臨時相談窓口やコールセンターで説明したい(局長)

【総務局長】
定額給付金の申請書の送付先は、国の方針により、まず2月1日の基準日に住民登録等されている住所に郵送する。

住民票に記載されている住所に住んでないホームレスやネットカフェ難民といわれる方で、本市以外に住民登録等がある方は、当該市町村から申請書が送付される。

そのような方には、今後設置を予定している臨時相談窓口やコールセンターに問合せいただければ、給付を受けるための手続や制度の概要について、十分説明をさせていただく。

給付開始はいつになるのか

【田口議員】
2点目に、給付開始日はいつごろになるのか伺いたい。給付開始日までに、給付対象者に申請書を届ける必要があります。本市の対象者は、約100万世帯、約224万人ですので、この約100万世帯のデータを住民基本台帳などから抽出し、約100万枚の各世帯宛の申請書を印刷し、それを発送するという、給付開始までの事務に相当な期間がかかると思いますが、いかがでしょうか。

早ければ6月下旬に振込開始。現金給付はさらに2ヵ月後(局長)

【総務局長】
給付準備事務には相当な期間がかかります。住民基本台帳等から給付対象者のデータを抽出し、申請書の作成・発送作業に約2〜3ケ月かかると想定しており、申請書が発送できるのが5月下旬頃になる。申請をいただいた後、申請書の内容確認等の手続きを考えると、口座振替ができるまで少なくともその後1ケ月ぐらいかかると想定しており、6月下旬頃からの給付開始になる。

また、現金支給は、希望者数の集計、一日当たりの支給計画の作成などの準備のため、口座振替より2ケ月ぐらい遅くなる。

郵送返送分や口座のない人はどうなるのか

【田口議員】
3点目は、申請および給付の方法についてです。申請方法は、振込先口座を記入した申請書を市に郵送する、あるいは窓口で提出することになります。それでは、そもそも申請書が宛先不明で返送されるなど対象者に届かなかった場合はどうするのですか。給付方法は基本的には口座振替であり、口座を持たない人には窓口で申請してもらって現金で支給するとのことです。それでは、口座を持たず、病気などで窓口へ出向くこともできない場合はどうするのですか。答弁を求めます。

転出者には再送し広報なごやでも呼びかける。口座がなく病気などで来れない人への対策は検討課題(局長)

【総務局長】
申請書は、まず2月1日現在の住所に送り、それが宛先不明などで本市に返送された場合、転出等の手続きなどで宛先が確認できる方は、新たな住所へ再送付します。それ以外の方は、広報なごやなどを通して、申請の呼びかけを行いたい。

また、口座を持たず、かつ病気などで窓口へ出向くことができない方の対応は、支給方法について大きな課題と認識しており、今後、どういった方法で支給していくのかを検討したい。

様々な問題・課題が多い制度だ(意見)

【田口議員】
ただいまの答弁でも、実際に支給するとなると様々な課題があることが浮き彫りになったと思います。ホームレスの方の問題でも九州に住民登録されているところに九州の自治体が送っても届かないですね。名古屋市に相談に来ても九州まで取りにいくのか、という問題が出てきます。ですから様々な課題がありますが、引き続きの質疑は、同僚議員の委員会での審議にゆだねて、質問を終わります。

 

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