2009年5月臨時会
期末勤勉手当の削減に関する議案質疑(5月28日)
江上博之議員

民間の春闘妥結も終わらない時期に給与削減することは問題。
民間の給与をさらに引き下げる悪循環に陥ることになる

平成21年6月に支給する市長等の期末手当並びに職員の期末手当及び勤勉手当の特例に関する条例の制定について


江上議員

選挙目当ての公務員たたきではないのか

【江上議員】
第一に、今回の条例案の前提になっている人事委員会の意見の問題点についてお聞きします。

人事委員会の意見、勧告は、市職員にストライキ権がない代償措置として行われています。したがって、公務員の生活を守る立場で最低限尊重すべきことです。

しかし、今回の調査には問題があります。例年、民間の春闘妥結を見て判断するために、5月以降調査に入り、9月に意見、勧告、その後、労使の交渉があって、12月に条例提出でした。

ところが、問題点の一つめは、4月に調査に入り、人事委員会の意見も「過半数の事業所が未定の段階」であると認めています。したがって、民間の実態を反映したものか疑問があることです。二つ目に、ボーナス支給額について未定が過半数ということは、中小企業の賃金交渉の最中であるということであり、市職員の手当削減は、民間給与そのものを引き下げることにもつながりかねないことです。

そこで、まず、人事委員会に質問します。人事委員会として、なぜ、この時期にこのような問題点のある意見を出したのか。理由をお聞きします。

さて、今回の異例な意見の背景には、国において、自民党が公務員給与の減額法案を検討し始めたことが発端といわれています。一時金カットを与党が、選挙を前に、「公務員をたたいた」とアピールするためといわれ、それを人事院や人事委員会が追随したものではないかと言われています。

市長は、このような認識をお持ちか、お聞きします。

第二に、景気回復において、今回の措置の与える影響について市長にお聞きします。

5月20日、内閣府が発表した1月から3月の国内総生産速報値で、物価変動の影響を除いた実質のGDPは年率換算値で、15.2%減であることが明らかとなりました。労働者の失業、中小企業の倒産も相次いでいます。愛知労働局が5月1日に発表した県内雇用情勢によれば、昨年10月から今年3月までに県内で雇い止めにあった非正規労働者は3万1千人にのぼり、6月までにさらに3,500人増える計画といいます。この不況で、名古屋市でも市民税収入が、新年度予算で、昨年度比約300億円の減収です。そんな時、民間が低いから公務員も削減、さらに民間が削減という悪循環を続けたら景気は、ますます悪くなるのではないでしょうか。市税収入もますます下がります。不況の原因は、外需頼みで、内需をないがしろにしてきたからではなかったでしょうか。市長もおっしゃっているように、今、市政に必要なことは、「日本一早く不況から脱出し、経済復興する」ことであり、そのために、いかに働く人たちの個人消費を増やし、景気を回復するかです。

そこで、市長に質問します。今回のボーナス削減が、民間給与の削減につながり、さらに、景気回復に逆行するという懸念をわたくしはもちますが、そのような認識を市長はお持ちでしょうか。お聞きします。

人事委員会の調査は民間の実態を反映しているのか疑問だ(市長)

【市長】
人事委員会の調査は民間の給与を反映しているか疑問だ。民間はもっとひどい。共産党は庶民の味方として、共産主義は支持しませんが、あとはなかなかええこともあると前から思っている。公務員の話になると急に公務員を守るが。民間はもっとひどいので、人事委員会に、どういう調査をどこで実際にやったのかを指示し、調査中だ。民間の実態を反映しているのかということについては同じ意見だが認識が違う。もっと民間はひどいという認識だ。

国の戦略はわからんから差し控える。

公務員を削減すると民間も下がるから不景気になるということはついぞ聞いたことがない。今や民間の場合は200万、300万、400万というところだ。今の最大の問題である格差社会の大きなものの一つは、官民格差。地域格差もあるが。税金を払っている人の地獄の苦労を公務員の皆さんは本当に考えないかん。経済というのは民間で金を使うことで、最大の問題は民間で銀行に貯蓄しても銀行が貸せない、借りる人がいない、貯蓄過剰がすごいわけだ、実態は。その金を国になり名古屋市に・・・・・

(議事進行:市長の主張を聴いているのではない。答えよ)。

【市長】
景気はどういうことで回復しないかということについて答えを言っている。今の官民格差で江上議員はいいと思っているのか。聞いてみたい、どうでしょうか。私はそう思っていない。少なくとも、これだけの格差について、今回の是正は最低限の是正だと思っている。

(議長:市長に言っておく。答弁は簡潔に)

景気の急速な悪化のもとで厳しい状況が予想される(人事委員会)

【人事委員長】
本年の民間企業における夏季一時金は、昨年来の世界的な金融危機を発端とした景気の急速な悪化の中、例年になく厳しい状況が予想され、国家公務員について人事院も同様の考えにより調査を実施したので、本委員会も、緊急にその実態を調査した。

調査の結果、5割強の事業所は本年の夏季一時金について未定であったが、すでに決定があった事業所のうち過半数は、昨年比減ということが確認でき、やはり、本年の民間の夏季一時金は非常に厳しいという傾向が認められた。

このような経済的な情勢、さらには国家公務員について人事院が期末・勤勉手当の一部凍結の勧告を行ったことも勘案し、本市も、同様の措置の必要性が認められるので、意見申出を行った。

なお、この措置は暫定的なものであり、今後、現在実施している民間給与の調査の結果に基づき、精確な比較を行い、例年どおり、年間を通じた支給割合を報告し、必要に応じ調整措置について勧告させていただく。

人事委員会の意見を尊重しつつ提案した議案ではないのか(意見)

【江上議員】
市長は提案者として人事委員会の意見を尊重しつつ提案したと言っている。そういいながらの今の答弁は理解できない。市長の姿勢を問いただしたい。議会としてきちんと対応をお願いしたいということを議長に申し上げておきます。

今、市政の一番の課題は、貧困・格差の課題に加え、派遣切り下請切りであえぐ市民の生活をどうまもるかです。一方、民間給与の反映をしたものであるということも公務員の給与として求められている。このような中で景気回復を進めるためにどうするのか、そこでの給与はどうあるべきか、引き続き委員会での審議に託し、質問を終わります。

 

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