政府は、生活保護の母子加算を2009年4月から廃止した。母子加算は、1949年に子育てを一人でする母親には追加的な栄養等が必要であることを理由として創設されたものである。急な残業で近所の人に子どもを迎えに行ってもらったり、子どもが熱を出しても仕事を休めずベビーシッターをお願いしたり、授業参観等には3回に1回は参加したいためにぎりぎりの時間まで仕事をしてタクシーで行くなど、母子世帯の母親には、経済的負担とともに、父親の役割も果たしていくという目に見えない精神的負担がある。
1980年の中央社会福祉審議会生活保護専門分科会の中間的取りまとめによると、「母子については、配偶者が欠けた状態にある者が児童を養育しなければならないことに対応して、通常以上の労作に伴う増加エネルギーの補填、社会的参加に伴う被服費、片親がいないことにより精神的負担をもつ児童の健全な育成を図るための費用などが余分に必要となる」と確認された。
2004年度では、18歳以下の子ども(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者)がいるひとり親世帯に支給されていた母子加算は、1級地の2万3260円から3級地の2万20円までとされていた。今回の廃止理由は、母子加算を含めた生活保護の基準が、平均所得の母子世帯の消費水準と比較しても高いというものであるが、母子世帯の収入は一般世帯の収入の4割に満たないものである。母子世帯の生活の安定のためには、一層の手立てを講ずることこそ必要なことである。
母子家庭からは、「食費を削り、風呂の回数も減らした」、「子どもにいつも我慢をさせるのはつらい」、「あらゆるものを節約し、交際もほとんどできない」との声が上がっている。全国紙でも「最後のセーフティーネットとされる生活保護の機能が失われるのではないかとの危機感が広がっている」などと報じられている。 ついては、生活保護制度をより良い制度にしていくため、貴議会が次の事項を内容とする意見書を国の関係機関に提出されるようお願いする。
- 生活保護の母子加算を復活すること。
|