2009年6月定例会 代表質問 わしの恵子議員(6月24日)
河村市長への期待は、福祉・医療の充実や雇用・景気対策。この期待にこたえ、福祉とくらしをまもる市政運営を
1.河村市長の政治姿勢について
わしの議員
自治体の責務・役割をどう考えているのか
【わしの議員】 河村市長は、今定例会の所信表明で、「51万人を超える人たちから応援を受けたのは、世の中に漂っている閉塞感を打ち破ってほしいとの期待だと感じる」と言われました。市民が何に閉塞感を感じ、何を期待しているのか、市長選挙前とその最中に行われたマスコミの世論調査結果を見てみました。市政で力を入れてほしいことの第1位は、福祉・医療、2位は景気・雇用対策、3位は行政改革となっています。閉そく感を打ち破ってほしいという中身は、深刻な景気悪化、雇用破壊で市民が苦しんでいるなかで、福祉、医療を充実してほしい、景気・雇用を守ってほしいという強い願いではないでしょうか。市長は、「公務員、議員、市長はパブリックサーバント、公僕である」といわれますが、それは当然だと思いますし、私どもも、そういう立場で政治に携わっています。問題はどういう中身で市政を行うかということだと考えます。自治体の責務とは、「住民の福祉、くらしを守る」ことであり、市長にはそのために力を発揮していただきたいと思います。そこで市長に、自治体の責務・役割についての認識をおたずねします。
経済団体へ雇用を守る社会的責任を求めたのか
【わしの議員】 市長は盛んに、庶民の目線からの政治とか、庶民革命とかいわれますが、それならいま一番問題になっている「派遣切り」や「雇用破壊」について触れられないのはなぜでしょうか。派遣労働者をモノのように使い捨てにする、大企業の横暴勝手なやり方に対し、いまこそ「派遣切りするな」「雇用の社会的責任を果たせ」と真正面からものをいうべきです。
市長は、就任してから経済団体に挨拶に出かけた折、企業誘致を求めたとの報道がありましたが、そういう機会に、「雇用を守る社会的責任について」どのように求められたのでしょうか、お伺いします。
「派遣切りするな、社会的責任果たせ」と きっぱりいえ(再質問)
【わしの議員】 市長は、経済団体を訪れたとき雇用の問題については「話していない、今度機会があったらやんわりと言いたい」と言われたが、それではいけないと思います。いま本当に職を失って住まいもなくす、そういう人たちが後を断っていません。全国で一番多い愛知県です。だからこそ雇用の確保に努力するというのなら、ただちに経済団体へ足を運び、「派遣切りするな」「社会的責任果たせ」ときっぱりと意見をいうべきと考えます。いかがでしょうか。
2.市民税減税条例について
非課税の世帯への対策はあるのか
【わしの議員】 市長は、「市民税減税条例案」を提出されましたが、国の構造改革のなかで、庶民増税が押し付けられ、所得税・住民税が値上げされ、国保料や介護保険料等も雪だるま式に負担増になっている市民にとって、市民税の減税は大変期待されていることと思います。この減税が真に市民のくらし応援になる必要があり、一方で高額所得者や大企業などはこれ以上の減税は行なうべきでないと考えます。
そこでお聞きします。減税の対象とならない低所得の人たちをどう救うのかということです。減税の対象とならない人が何人見込まれているのか、非課税の世帯には、例えば、国民健康保険料の引き下げなどが必要だと考えます。どんな応援策を考えているのかお尋ねします。
非課税の方への応援策はどうする(再質問)
【わしの議員】 市民税減税について、今回の条例案は基本的な減税の憲法のようなものだと市長はいわれます。それならば、減税の対象にならない非課税・低所得の人たちに、どうするのかがはっきりと出せれていないといけないと思います。答弁の中ではその点がはっきりしませんでした。この減税の対象にならない低所得の人にどんな姿勢で向き合うのか、その精神が条例案から伝わってこないと思いますので、これでは市民の理解が得られないと考えます。非課税の方への応援策、例えば国保料の引き下げなどを行うべきではないですか。答弁ください。
十分な福祉施策で応援を(意見)
【わしの議員】 住民税非課税の方には福祉施策でという答弁でしたが、十分な福祉施策で応援していただきたい。ワーキングプアだけでない、45万人の人を忘れないでください。
「派遣切り」された労働者の住民税減税はどうするのか
【わしの議員】 いま市民に住民税の納付通知が届いております。先日、「派遣切り」で仕事を失った方から「住民税の納入通知が届いたが、こんなお金払えない、どうしたらいいのか」と相談が寄せられました。とくに、本市には「派遣切り」された労働者が多数居住していることから、緊急の対応として、「派遣切り」された労働者の住民税減税を実施することが必要と考えますが、財政局長に伺います。
超大金持ちや大企業の減税をどうする
【わしの議員】 次に、所得の高い人ほど減税の恩恵は大きく、最も優遇されるのは、法人市民税の減税を受ける大企業です。19年度、法人市民税を払っている企業は88705社で、918億円ですが、上位10社だけで、法人市民税額は127億3千万円余です。10%減税されれば、12億7千万円もの減税となります。一番応援を必要としている人たちには恩恵がなく、一方で大幅な利益を上げている大企業等にさらなる減税が必要なのでしょうか。市長は、「金持ちは減税ゼロ」と公約されましたが、超大金持ちや大企業の減税についてどうされるのかお答ください。
市民サービスの後退につながらないか
【わしの議員】 財源問題について、条例案では、事務事業の見直しその他の徹底した行財政改革の推進による歳出の削減と、歳入の確保とありますが、見直しの対象となるものは何か。また、徹底した行財政改革とは何を指すのか。それによって市民サービスの後退につながるのではないか危惧するものですが、市長に伺います。
3.納税者の権利憲章について
【わしの議員】 納税者の権利憲章についてです。日本共産党は、納税者憲章について、課税・納税手続きにおける納税者の権利を制度的に保障する基本的なものだと考えており、納税者憲章の制定の早期実現をめざしています。市長はマニフェストにも「名古屋市納税者憲章」の制定を掲げていますが、制定について、スケジュールも含めてお聞かせください。
4.中学生医療費無料化について
5.高齢者医療費助成について
【わしの議員】 中学生までの通院医療費無料化と高齢者医療費助成についてです。5月12日、共産党市議団は、市民の期待を市政に生かすため、市長がマニフェストに掲げた項目のうち市民生活にかかわる問題について、4項目の「緊急申し入れ」を行いました。内容は「高齢者の医療費自己負担分にたいする助成制度の創設」「中学生までの通院医療費無料化」等についてです。市長は、中学校卒業までの医療費無料化については、「マニフェストにもある、遅くとも来年度から行う」と答えられました。
中学生までの通院費無料化を来年4月から実施する決意と、合わせて、70歳以上の高齢者の医療費自己負担分の助成制度の創設について、お答えください。
凍結解除のときは市独自の助成を(再質問)
【わしの議員】 70歳から74歳までの高齢者医療費の自己負担については、「国の動向を見守りたい」といわれました。マニフェストにはっきりと書かれていますが「1割から2割へ」引き上げが凍結解除された場合、市独自の助成を実施するとありますので、決意を述べてください。
必ず実施を(意見)
【わしの議員】 70歳〜74歳の医療費は市長が決意を述べられたと思いますのでぜひやっていただきたい。
6.生活保護行政について
【わしの議員】 名古屋市の生活保護世帯数は、激増しています。私は、2月定例会でもケースワーカーの大幅な増員を求めましたが、新年度では、11名の増員にとどまりました。そのため、今年4月現在で、すでに、国の標準数に比べ89名も不足する事態になってしまいました。
区の担当者に伺いましたが、1日中面接に追われ、夜は書類の整理などで残業はうなぎのぼりに増えているそうです。11名の増員では「焼け石に水」だと思います。こんな状況を改善して、保護を受けた方々への就労支援等、親身な相談活動で、自立支援を行えるようにすべきだと思います。派遣切りされた労働者も、「早く仕事を見つけて自立したい」と強く願っています。そこで伺います。
生活保護のケースワーカーを増やすことは急務の課題だと考えますが、対応策について、市長にお尋ねします。
7.子どもの貧困について
子ども条例にもとづく総合計画での位置づけを
【わしの議員】 先日私ども党市議団は、「子どもの貧困」を考えるシンポジウムを行いました。雇用破壊などの影響を受け、子どもたちの7人に1人が大変深刻な状況になっており、「親子でホームレスになった」「まともな食事は給食だけ」「授業料が払えず退学せざるをえない高校生」、こんな子どもたちが急増しています。
「子どもの貧困」問題は、自己責任で済まされる問題ではありません。名古屋市では昨年4月になごや子ども条例を制定しました。この条例には、「子どもは一人一人かけがえのない存在です。すべての子どもが大切にされ、自分の持っている力を伸ばしながら、いきいきと安心して健やかに育ってほしい・・・そんな願いをこめてこの条例をつくりました。」とパンフレットに明記されています。そして、子どもの権利を保障するために、行政や保護者、地域住民、学校関係者、事業者がそれぞれ子どもたちを支えることを明らかにしています。さらに、市長が子どもに関する総合的な計画を策定し推進していくとありますが、この素晴らしい「子ども条例」にもとづく子どもの総合計画の中に、子どもの貧困問題の解決を位置づけることが必要だと考えます。
そこで伺います。子ども条例にもとづく総合計画に、子どもの貧困問題をどのように位置づけて取り組んでいくのか、さらに今後のスケジュールについてもお答えください。
就学援助制度の対象者拡大を
【わしの議員】 本市の就学援助制度は、所得基準について1984年度から「生活保護基準の1.3倍」で行ってきました。ところが国が一般財源化したことや、さらには外部評価を受けて、2006年度から所得基準を「生活保護基準の1.0倍」に切り下げてしまいました。そのため、受給率は05年度をピークに減っています。調べてみたら、全国の政令市のなかで、大幅に基準を下げたのは本市だけでした。名古屋市の就学援助の所得基準は政令市で1位だったのが、8位に転落してしまったのです。「就学援助で大変助かっていたのに、受けられなくなって本当に困っている」という深刻な声も聞いています。 私は、2月定例会で、学校給食費の値上げ撤回を求めたところ、松原市長は「経済的にお困りの方は、就学援助制度の利用をご案内している」と答弁されましたが、その制度がこのように後退していては十分な活用はできません。
就学援助制度については、まずは生活保護基準の1.3倍に戻すべきと求めます。
8.中小企業の支援策について
すべての業者の実態調査を
【わしの議員】 マニフェストには、「市長が中小企業の現場を直接視察し、現場の声を聞く」とあります。これも、私ども市議団は、これまで一貫して求めつづけ、2月定例会でも、「市が中小企業の実態調査を行い、仕事おこしにつなげること」と求めたところです。残念ながら松原市長の答弁は、「年2回の景況調査を実施している」からと実態調査を受け入れませんでした。河村市長のもとでは是非実現していただきたいと思います。
そこで、国の補正予算関連である、「経済危機対策」における交付金を活用して、緊急に市内すべての業者の実態調査を実施することについて市長にお聞きします。
全ての中小企業を対象に調査を(要望)
【わしの議員】 市長は、「中小企業の現場を訪問し、現場の声を聞いていきたい」と言われました。こういう答弁は議場では初めてですので、前向きな答弁で評価するものです。いまこそ、不況で苦しんでいる中小企業者の実態を把握して適切な支援が必要です。そのためにも全ての中小企業を対象にすることを要望します。
「ものづくり支援事業」を立ち上げよ
【わしの議員】 優れた技術と事業継続の意志をもちながらも、受注の確保が困難で経営が厳しい中小企業にたいして、仕事おこしが必要だと思います。市民経済局長にお尋ねします。新製品や新技術を開発するための委託研究制度を創設するなど、「ものづくり支援事業」を立ち上げて、中小業者の仕事おこしを図ることを提案しますがいかがでしょうか。
9.本丸御殿復元について
市民の意見をどう聞き、反映していくのか
【わしの議員】 先日行われた「河村市長の本丸御殿本音トーク」に、私も、参加しましたが、このような討論会を行って市民意見を聞いたことは、大きな意義があると考えます。しかし、市民全体を対象にしたものではなく約150名の参加者にすぎません。参加されていた方のなかにも「名古屋市からの説明を受けて初めて本丸御殿のことが分かった」と述べられていた人がいましたが、市は、これからも市民に丁寧な説明や議論する場を設けて、市民の意見を広く聞くように努力をすべきではないでしょうか。
市長は、本丸御殿復元について、夏までには決めたいといわれていますが、それまでに市民の意見をどのように聞き、反映していくのかお尋ねします。
私どもは、本丸御殿について文化的な価値を否定するものでもありません。しかし、今、住まいさえ奪われた派遣労働者の問題など市として急いでやるべき仕事が他にもあること、本丸御殿の復元だけを突出させるのではなく、城跡全体を整備計画に沿って進めることなどを提案しています。本丸御殿復元については、「一時中断」して、もっと検討すべきと考えます。
本音トークで意見を述べる山口議員(檀上右端)
もっと市民全体の声を聞け(再質問)
【わしの議員】 本音トークは関心のある方がいらっしゃっていたと思う。だからこそ幅広く、もっと市民全体の声を聞くべきです。そのためにも市民アンケートの項目に加えたらどうか。
選挙前のアンケートは反対の声が多かった。市民の声を聞け(意見)
【わしの議員】 本丸御殿をアンケートに入れる気はないというが、市民が本当に大きな関心がある事業なのでアンケートするくらいはそんなに大変な労力ではない。それでみんなの合意が得られるなら、それはそれで考えるべきだが、選挙前のアンケートでも本丸御殿に復元に反対の声が多かったのです。やっぱりもう一度市民の声を聞きなおすべきだと思います。
10.平和・平和宣言について
【わしの議員】
最後に市長がマニフェストに掲げられていない平和の問題です。いま名古屋の市政は、大きく変わりつつありますが、世界でも、平和と進歩の方向への大きなうねりが起こっています。アメリカのオバマ大統領がプラハでおこなった演説は、世界に大きな問題を提起するものになりました。米国大統領として初めて「核兵器のない世界」をめざすと、核兵器廃絶に向けて世界の人々に協力を呼びかけました。日本共産党の志位委員長は早速、オバマ大統領に「心からの歓迎」の手紙を送り、その後、米国政府から返書が届き、麻生首相、衆参両院議長とも会談を行いました。麻生首相はオバマ演説に対し、大変感動されたようですが、本来なら被爆国の政府の代表として、大統領と話し合うべきだと思います。
オバマ大統領のプラハ演説を契機として、名古屋市でも核兵器廃絶の声を上げることが大切だと考えます。本市では、S38年、「名古屋市平和都市宣言」が議決されて以降、その理念のもとに平和行政が進められていますが、それから46年も経ったいま、世界の核兵器廃絶を求める声、平和を願う声は大きく広がっています。そこでお聞きします。名古屋市でも、「非核・平和名古屋市宣言」を掲げることを求めるものですがいかがでしょうか。市長の答弁を求めます。
人間らしく生きられる平和な社会をめざしてがんばっています(意見)
【わしの議員】
平和の問題では、私たちは、だれもが人間らしく生きられる平和な社会をめざして一貫してがんばっている政党です。市長とは平和、歴史認識では今後じっくりと議論をしていきたいと考えています。そのことを表明して質問を終わります。
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自治体間競争で福祉とくらしを守る(市長)
【市長】
自治体の役割で「住民福祉とくらしを守る」ことは当然その通りで、福祉・くらしというのは広く言えば安全とか消防も入ると思いますが、私の場合はそれに自治体間で競い合いながら福祉・暮らしを守ることを進めることも重要ではないかと思っている。その一つが減税。平成18年に地方財政法5条が変わり、減税ができるようになった。自治体の経営に資するためと書いてある。競争して市民税を下げてもいい、競争しなさいとなった。そういう意味で市の役割を考えている。